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- 森田 明夫
- 新NS NOW 4 脳・脊髄腫瘍摘出のための引き出し
商品情報
内容
No.4では腫瘍をテーマに取り上げた。総論と各論で構成され,総論では腫瘍摘出全体にかかわるコンセプトと術前のシミュレーションを,各論では各種脳・脊髄腫瘍に対する解説と,手技のコツ・ピットフォールを示している。腫瘍の摘出では事前の正確な検査・診断,血管や神経近傍での剥離・摘出の操作,播種を念頭に置いての術後の検査など,さまざまな点に注意を要する。本書ではこれらのポイントを特に画像に注力しながら紹介する。
> 新NS NOWシリーズ
序文
脳・脊髄腫瘍の摘出にはさまざまな知識と技術を要する。特に本書でも取り上げた脳血管障害の手術技術はマスターしていないといけない。脳と腫瘍の固さ(consistency)や質感(texture),微妙な色差を見極める力,微細な血管や穿通枝の温存,神経や脳幹からの剥離などきわめて慎重で繊細な技を身につけないといけない。ただ腫瘍は髄膜腫,神経鞘腫,下垂体腺腫,グリオーマほかの同じ病名または同じ患者の腫瘍のなかでも,さまざまな差があり,固さや血流,被膜の厚さ,脳や神経,血管との癒着や浸潤の程度は大きく異なる場合がある。同じ手術アプローチを使って,同じ方法で摘出することはなかなか難しい。熟練した術者は「このような腫瘍にはこのような方法があった」などの経験や,また「誰かが学会であんな工夫を発表していたな」などのことを記憶しており,それを実施できる。ようは,腫瘍摘出は経験や知識の蓄積が上達へのきわめて重要なステップであり,それらの各症例で工夫を手術記録などに記録し記憶へとどめる必要がある。すなわち摘出のための技術やコツの「引き出し」をもっていることが重要な手段となる。
カダバーやモデルを用いた実習では手術アプローチについて学ぶことができ,腫瘍には比較的安全に到達できる。しかし実際の手術の予後は,いかに腫瘍を"摘る"かにかかっている。
本書では最初の心構え,手術準備の点から,実際のさまざまな腫瘍や場面の手術療法のコツや陥りやすいピットフォールを,その道に熟練した先生方に執筆していただいた。秀逸な章ばかりである。この場を借りて著者の先生方に感謝したい。さまざまな手法や腫瘍の種類について記載していただいてはいるが,実際にはすべての"道具と知識"はどのタイプの腫瘍にも用いることができる。開頭の手術でも経鼻手術のコンセプトや内視鏡手術のコンセプトは十分生かせる。例はProf. Patric J. Kelly が15mmのシリンジチューブで深部腫瘍をvolumetric stereotactic surgery で摘出していたことなどが挙げられる。柔軟な考えで,「エッ」と思うようなアイデアを生かすことが患者の障害を少なくする手術技術開発の可能性につながる。
本書では診断学や手術適応や術後のケアなどの議論はほかの書籍に譲り,特に技術的側面に集約した。ぜひ本書のToolboxから得たコツや知識で明日の患者のためになる手術を身につけてほしい。
2015年11月
日本医科大学大学院脳神経外科学大学院教授
森田明夫
目次
Ⅰ 総論
腫瘍摘出のコンセプト
腫瘍摘出のための画像評価とシミュレーション
ハプティクスと立体モデルによる実体感型手術シミュレーション
モニタリングの活用と腫瘍摘出度の決定(止めどき)
脳血管外科の視点から取り組む脳腫瘍手術
Ⅱ 各論
グリオーマ摘出計画法 転移性脳腫瘍を含めた悪性脳腫瘍の摘出計画法
グリオーマ摘出術 血管損傷を避けるために
Tractに留意したグリオーマ摘出 NY Tract Finderを用いた錐体路同定法
ALA光線力学診断(ALA-PDD)ガイドによる腫瘍摘出術
レザフィリンⓇとphotodynamic therapy(PDT)
髄膜腫摘出 神経・脳幹との剥離
髄膜摘出時の穿通動脈保存法
神経鞘腫 特に神経との剥離に重点をおいて
下垂体腺腫の被膜外摘出
頭蓋咽頭腫に対する開頭手術 Bilateral subfrontal/interhemispheric approach
頭蓋咽頭腫に対する経鼻内視鏡手術 鞍上部腫瘍を中心に
脳幹腫瘍 海綿状血管腫 Tractやvein術前予想に基づいた脳幹の手術
血管芽腫
脊索腫
脊髄髄内腫瘍 血管とtractの温存
シリーズ わたしの手術記載
①経錐体到達法を用いて切除した脳幹部橋海綿状血管腫
②腫瘍手術
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書籍情報
- ISBN:9784758315647
- ページ数:224頁
- 書籍発行日:2015年12月
- 電子版発売日:2019年2月1日
- 判:A4判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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