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- 加藤 健
- あらゆる症例に対応できる!消化器がん化学療法
商品情報
内容
基本的なレジメンはもちろん、対応の難しい病態での治療の進め方や合併症・副作用対策を解説。実臨床で役立つ知識を身につけたい医師はもちろん、薬剤師・看護師など、がん療法について深く学びたい全ての医療スタッフにオススメです。
序文
改訂版 発刊によせて
根拠に基づく医療(evidence-based medicine:EBM)が浸透し,進歩し続ける医療技術を適正に利用することの必要性からガイドラインが生まれ,近年,厚生労働省の後押しのなか,わが国の各種学会や研究会,団体において,さまざまな疾患や病態のガイドラインが作成されるようになった.結果,今やまさに百花繚乱の如く多数のガイドラインが刊行される状況になっている.しかし,これだけ多くのガイドラインが世に出てきても,種々の症状や厄介な合併症,さまざまな社会的背景や多種多様の希望を有する目の前の一人一人の患者さんに,いったいどれほどの"ガイドライン通りの治療" が施せるであろうか.
本書の初版は,必ずしもガイドライン通りの治療が行えない患者に対して,どのように病態を捉え,どのような治療を行えばよいのかの道すじを教えてくれる,そんな「痒いところに手が届く」臨床現場の実践書として大いに好評を博し,発刊から4 年半経過した.
この数年間でガイドラインを取り巻く状況はさらに変化した.すなわち,現場の医療者は診療ガイドラインを金科玉条の如くに奉り,ガイドライン通りの治療を行わないと外道のような扱いを受けたり,ガイドラインから外れるような治療があたかも犯罪行為のように批判の対象になったりされるようになった.目の前の複雑な病態や状況にある患者さんに対して,"ガイドライン通りの治療" を行えないからといって,治療を放棄することすら起きているのである.恐るべき事態である.その一方で,患者を取り巻くさまざまな状況を鑑みたり,病態を深く考察することもないまま,ただ無思慮に"ガイドラインをなぞるだけの治療" が横行していたりもする.憤りを禁じ得ず,ガイドラインの弊害とも言える.
私事で恐縮だが,私自身,日本臨床腫瘍学会のガイドライン委員長を拝命して複数のガイドライン/ガイダンスの策定に関与し,大腸癌研究会,日本胃癌学会でもガイドライン委員に名を連ね,『大腸癌治療ガイドライン』や『胃癌治療ガイドライン』作成に関与している.そんな関係もあって,いわゆる診療ガイドラインの社会的意義や臨床現場における治療指針としての重要性は人一倍理解しているつもりである.そんな私でさえ,昨今の"ガイドライン偏重主義" と,それと表裏一体の"ガイドライン通りにやりさえすれば良いのでしょ的薄っぺら主義" には心底辟易している.
上記状況のアンチテーゼとして,そして,消化器がん治療の真髄をお見せしたいという義侠心から,本書をバージョンアップさせる必要があると痛感し,改訂版を発刊することとした.本書には私自身のそんな熱い思いが込められており,認識を共有しているたくさんの仲間たちによって執筆,編集が行われた,時宜を得た珠玉の一品である.熟読していただくとわかると思うが,どんな患者さんに対する治療も,そしてその治療に至る考え方も,結局,EBM やガイドラインが基本になっているという点である.まさに我が意を得たりで,執筆にご尽力いただいた消化器がんの臨床腫瘍医,ならびに共同編者の加藤 健先生,池田公史先生に深謝する.また,第2 版発刊にあたり,鈴木美奈子さん,溝井レナさんはじめ羊土社の方々に大変助けて頂いた.この場を借りて御礼申し上げたい.
本書を,真摯に魂を込めて消化器がん治療に取り組んでいる若手臨床腫瘍医ならびにメディカルスタッフに捧げます.
2015 年 3 月
編者を代表して
室 圭
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目次
改訂版 発刊によせて
初版 序にかえて
Color Atlas
執筆者一覧
第1章 化学療法を行う前に
1 患者さんへの説明・インフォームドコンセントの基本
2 抗がん剤・分子標的治療薬の概要
3 副作用への対策・安全管理
第2章 各がんの標準治療
1 食道がん
2 胃がん
3 大腸がん
4 肝細胞がん
6 膵がん
7 NET(膵・消化管神経内分泌腫瘍)
8 GIST(消化管間質腫瘍)
第3章 症例でわかる! 食道がん化学療法
A.対応に困る病態
1 PS 不良・高齢者の食道がん
2 腎機能低下を認める食道がん
3 高度な通過障害を有する食道がん
4 食道腺がん(食道胃接合部がんを含む)
5 その他の扁平上皮がん以外の食道がん(小細胞がん,悪性黒色腫など)
6 初発時から食道気管瘻をきたしている食道がん
7 術前化学療法・術後化学療法(5-FU+ シスプラチン)後,再発した食道がん
8 高度局所進行食道がん
B.合併症・副作用対策
1 化学放射線治療中,瘻孔を併発した症例
2 化学放射線治療中,骨髄抑制が遷延している症例
3 化学放射線治療後に,食道狭窄をきたしている症例
4 化学放射線治療後に,胸水・心嚢水貯留をきたしている症例
5 FP-RT 治療により腎機能低下をきたした症例のその後の治療
6 ドセタキセルで高度浮腫,爪変形をきたしている症例
7 化学放射線治療後に,甲状腺機能低下をきたした症例
第4章 症例でわかる! 胃がん化学療法
A.対応に困る病態
1 経口摂取が困難,または高度腹膜播種(腹水大量貯留など)をきたしている胃がん
2 PS 不良・高齢者の胃がん
3 腎機能低下の胃がん
4 肝機能低下の胃がん
5 原発から出血している胃がん
6 腺がん以外の胃がん(小細胞がん,扁平上皮がんなど)
7 術後補助化学療法後に再発した胃がん
8 中枢神経に転移を伴う胃がん
9 DIC を合併している胃がん
B.合併症・副作用対策
1 S-1+ シスプラチン投与時に,食欲不振・下痢・好中球減少をきたしている症例
2 腹膜播種のある胃がんで,イリノテカンを含む治療により高度下痢・骨髄抑制をきたしている症例
3 S-1 で流涙をきたしている症例
4 S-1 で高度の皮疹をきたしている症例
5 パクリタキセルで高度のしびれをきたしている症例
6 パクリタキセル,ドセタキセルでアレルギーを起こした症例
7 味覚障害をきたした症例
第5章 症例でわかる! 大腸がん化学療法
A.対応に困る病態
1 PS 不良・高齢者の大腸がん
2 肝機能低下の大腸がん
3 肝転移のみを有する大腸がん
4 切除可能な同時性遠隔転移を有する大腸がん
5 原発巣を有する治癒切除不能Stage Ⅳ大腸がん
6 腹膜播種により経口摂取が困難な大腸がん
7 中分化~高分化腺がん以外の大腸がん(大腸粘液がん,低分化腺がん,印環細胞がんなど)
8 術後補助化学療法としてFOLFOX 施行後再発した大腸がん
9 微小転移巣を有する大腸がん
B.合併症・副作用対策
1 オキサリプラチンでアレルギーを起こした症例
2 オキサリプラチンで神経障害をきたした症例
3 FOLFIRI で高度下痢・骨髄抑制をきたした症例
4 FOLFOXIRI +ベバシズマブで骨髄毒性をきたした症例
5 カペシタビンを含む治療で手足症候群をきたした症例
6 ベバシズマブで高血圧をきたした症例
7 ベバシズマブで血栓塞栓症をきたした症例
8 ベバシズマブで蛋白尿をきたした症例
9 セツキシマブで皮膚障害(ざ瘡,皮膚裂創を含む),爪囲炎をきたした症例
10 セツキシマブで低マグネシウム血症をきたしている症例
11 レゴラフェニブで手足症候群をきたした症例
12 レゴラフェニブで肝機能障害をきたした症例
13 TAS-102 で骨髄抑制をきたした症例
第6章 症例でわかる! 肝がん化学療法
A.対応に困る病態
1 PS 不良・高齢者の肝細胞がん
2 腎機能低下の肝細胞がん
3 血小板が低値の肝細胞がん
4 ヨード造影剤アレルギーで造影剤が使用できない肝細胞がん
5 ソラフェニブでCR となった肝細胞がん
6 微小な肝外転移を有する肝細胞がん
7 門脈本幹または一次分枝に腫瘍栓を有する肝細胞がん
8 門脈二次分枝より末梢に腫瘍栓を有する肝細胞がん
9 ソラフェニブの適応となるChild-Pugh B の肝細胞がん
10 Child-Pugh C の肝細胞がん
B.合併症・副作用対策
1 ソラフェニブで手足症候群をきたしている症例
2 ソラフェニブで高血圧をきたしている症例
3 ソラフェニブで膵酵素上昇をきたしている症例
4 ソラフェニブで肝機能障害をきたしている症例
5 ソラフェニブで下痢をきたしている症例
第7章 症例でわかる! 胆道がん化学療法
A.対応に困る病態
1 PS 不良・高齢者の胆道がん
2 腎機能が低下した胆道がん
3 ゲムシタビン+ シスプラチン療法に不応の胆道がん
4 閉塞性黄疸を有する胆道がん
5 腺がん以外の胆道がん
B.合併症・副作用対策
1 化学療法施行中,閉塞性黄疸を併発した症例
2 化学療法施行中,急性胆管炎を併発した症例
3 腎機能障害をきたしている症例
第8章 症例でわかる! 膵がん化学療法
A.対応に困る病態
1 PS 不良・高齢者の膵がん
2 腎機能低下の膵がん
3 ボーダーライン切除可能膵がん(borderline resectable 膵がん)
4 局所進行膵がん
5 術後補助化学療法としてS-1 施行後再発した膵がん
6 一次化学療法に不応の膵がん
7 悪性腹水が貯留している膵がん
8 膵腺房細胞がん・膵管内乳頭腫瘍由来膵がん
B.合併症・副作用対策
1 ゲムシタビンで間質性肺炎をきたした症例
2 ゲムシタビンで骨髄抑制をきたした症例
3 ゲムシタビンで血管痛・発熱をきたした症例
4 S-1 で腹痛・下痢をきたした症例
5 ゲムシタビン+ エルロチニブで皮疹をきたした症例
6 FOLFIRINOX でアレルギーを起こした症例
7 FOLFIRINOX で消化器症状が強い症例
8 深部静脈血栓症を併発した症例
9 味覚障害をきたした症例
第9章 症例でわかる! NET の化学療法
A.対応に困る病態
1 進行性の消化管NET
2 進行が緩徐な膵・消化管NET
3 ホルモン症状を有する膵NET
4 NET G3 の膵NET
5 MEN1
B.合併症・副作用対策
1 エベロリムスで間質性肺炎をきたした症例
2 エベロリムスで結核を発症した症例
3 膵NET に対してエベロリムスを投与しB 型肝炎の再活性化をきたした症例
4 スニチニブで消化器症状をきたした症例
5 スニチニブで手足症候群をきたした症例
第10章 症例でわかる! GIST の化学療法
A.対応に困る病態
1 イマチニブ,ニロチニブ,スニチニブ,レゴラフェニブに耐性となった胃GIST・多発肝転移症例
2 イマチニブに耐性となった小腸GIST 切除後脳転移(硬膜転移)症例
B.合併症・副作用対策
1 イマチニブにて副作用が強い症例
2 スニチニブにて副作用が強い症例
略語一覧
消化器がんに用いられる抗がん剤一覧
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書籍情報
- ISBN:9784758110556
- ページ数:445頁
- 書籍発行日:2015年4月
- 電子版発売日:2018年2月2日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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