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- 三鴨 廣繁
- ナースのための抗菌薬 はじめの一歩
商品情報
内容
序文
「感染制御学」は,新しい医学研究分野といえます.感染症学が,感染症の「診断」と「治療」を目的とするのに対して,感染制御は,病院施設内における感染症の発症を「予防」することが主目的となります.したがって,「感染制御学」には,(1)感染疫学に基づいた感染管理(各種サーベイランス,感染防止技術の指導など),(2)感染症患者の治療支援・介入(コンサルテーション,インターベンション,レギュレーションなど),(3)職員健康管理(ワクチンプログラム,針刺・切創・曝露事故などへの対応など),(4)感染症・感染制御教育,(5)感染症・感染制御に関する基礎的・臨床的研究の5つの側面が存在することになります.別の視点からみると,「感染制御学」には,感染防御技術などを駆使して微生物の伝播防止を担う「守りの感染制御」と,感染症患者を治癒に導く「攻めの感染制御」に大別することもできるでしょう.
感染制御の使命とは,医師,看護師,薬剤師,臨床検査技師,事務員など多くの職種の職員が,得意とする分野を分担し,可能な限りエビデンスに基づいて,責任をもって,感染症の治療,医療施設内の感染予防,職員の健康管理などを行い,患者に安心・安全な良質の医療を提供することです.そのような意味で感染制御は,コ・メディカルという概念のない新しい「横断的診療」を行う「チーム医療」ということができます.従来は,看護師が,患者の治療の本質に介入することはほとんどなかったかもしれません.しかし「患者の疾病を治癒に導く」ことは,医療従事者にとっては共通の目標です.そのためには,職種による垣根を取り払い,「チーム医療」のなかで,看護師が,たとえわずかでも患者の治療に介入することは必然であると考えられます.
本書では,近年の「感染症治療学」の中で明らかにされてきたpharmacokinetics-pharmacodynamics(PK-PD)理論に基づいた抗菌化学療法の考え方について,名古屋セントラル病院薬剤科の坂野昌志先生,東名古屋病院薬剤科の滝久司先生が中心となって,かつては感染症治療学は専門外・守備範囲外とされてきた医療従事者である看護師にも十分理解できるよう,平易な表現で,大胆かつ簡潔にQ&A方式で,イラストも交えながら執筆されたものです.
本書が,「横断的診療」を行う「チーム医療」の発展に寄与することを心から希望しております.
2010年 1月
愛知医科大学大学院医学研究科 感染制御学 教授
愛知医科大学病院 感染制御部 教授
三鴨 廣繁
目次
第1章 有効な抗菌薬の使用法
1 投与量が多すぎる?
・抗菌薬の選択の方法って決まりがあるのですか?
・抗菌薬の投与量はどうやって決めるのですか?
・最大量を投与しないとどうなるのですか?
2 効きめが変わる使い方
・よく効く抗菌薬の使い方が本当にあるのですか?
・濃度依存性抗菌薬の具体的な例を教えてください.
・時間依存性抗菌薬の具体的な例を教えてください.
3 まとめてのんで大丈夫?
・1日3回にわけてのんでいた抗菌薬を,1日1回にまとめてのんで大丈夫ですか?
・内服の抗菌薬の量が少なすぎるとは,どういうことですか?
4 1日4回も点滴するの?!
・1日4回も点滴する必要があるのですか?
・何回にも分けるなら,いっそのこと24時間持続で点滴すればいいのではないですか?
5 4時間も点滴する理由
・点滴時間が4時間も....長すぎませんか?
6 30分点滴にこだわる理由
・点滴時間がそんなに重要なのですか?
・AUCってなんですか?
7 術後抗菌薬はいつまで投与するの?
・手術時の抗菌薬の予防投与はいつまで行えばいいですか?
・使用する抗菌薬はどのような基準で決められているのですか?
・いつ投与を開始すればいいですか?
8 採血のタイミング
・血中薬物濃度を測定する必要がある抗菌薬には何がありますか?
第2章 臨床で使われる抗菌薬の分類
1 ペニシリン系抗菌薬
2 セフェム系抗菌薬
3 カルバペネム系抗菌薬
4 アミノグリコシド系抗菌薬
5 キノロン系抗菌薬
6 マクロライド系抗菌薬
7 テトラサイクリン系抗菌薬
8 グリコペプチド系抗菌薬
9 オキサゾリジノン系抗菌薬
コラム
・見られると...
・手は汚い?
・サーベイランス
・食中毒
・予防投与と治療投与って何が違うの?
・注射薬の混合
・インフルエンザワクチン
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書籍情報
- ISBN:9784525503215
- ページ数:90頁
- 書籍発行日:2010年2月
- 電子版発売日:2011年11月19日
- 判:AB判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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