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- jmedmook21 あなたも名医!新しい経口抗凝固薬、どう使う?
商品情報
内容
jmedmook21は、心房細動を診るジェネラリストが今こそしっかり押さえておきたい明日からの診療に役立つ情報が満載の一冊です!
序文
近年,ワルファリンに代替しうる新規経口抗凝固薬が複数開発されました。新規経口抗凝固薬は一定量を投与すれば一定の薬効を期待できるためモニタリングは不要です。食物や他の薬剤との相互作用も少なくなりました。しかし,新規経口抗凝固薬には,解決できていない問題点もあります。
抗凝固薬ですから, 血の塊をできなくして血栓イベントを減少させる代わりに出血イベントを増加させることは避けられません。PT-INRを用いた個別最適化ができなくなった分, 過去の経験を将来に投影した「標準化された出血リスク」を患者さんが負うことになります。我々医師には今のところ個別に患者さんの将来を予測する能力はないので, 血栓イベントを減らして出血イベントを増やす介入を望むか否かは個別に患者さんと十分相談して決定しなければなりません。
もともと「心房細動」が「脳血栓塞栓症」に直結するような理解をされていますが,「心房細動」自体が長年の生活習慣の結果として生じている現象です。心房細動を合併するほどリスクの重畳する状態になってから抗血栓介入を行うのでは問題の根本的解決にはなりません。降圧,肥満の排除,糖尿病予防など,包括的なリスク管理が必須です。一人の患者さんの長い人生の結果としての「心房細動」と考えれば,その後数年の抗血栓療法のインパクトは大きくないかもしれません。
心房細動の患者さんを診るジェネラリストは,症状に対応して名声を得た医師である「扁へんじゃく鵲」を目指すのではなくて,彼が尊敬していた「扁鵲の長兄」を目指すべきです。長兄は「我長兄治病,是治病於病情發作之前」と,症状の出る前に病気を治してしまうため,まったく周囲に名を知られることがなかったとのことです。つまり,地道に保健指導をして,症状が出ないように患者さんを元気なうちにコントロールしている多くの無名の医師達こそが真にわが国が誇るべき名医「扁鵲の長兄」というわけです。そのような観点から,本書では抗血栓療法以外にも,心房細動の発症,管理に関する項目を扱っています。
本書で執筆をお願いした先生方は,わが国を代表する専門家ばかりです。「名医 扁鵲」に相当する先生も「扁鵲の長兄」に相当する先生もいらっしゃいます。編者としては,本書をお読みになった先生方には「扁鵲の長兄」を是非めざして頂きたいと思います。
抗血栓薬を使用するばかりが医療ではありません。暑い時期には多くの水を飲ませて凝固因子を稀釈させ,寒い時期には部屋を暖めるように指導して血圧の変動による頭蓋内出血を防ぐ,など目立たない地道な活動こそ臨床医学の本道であることを改めて認識して頂ければと思います。
医師という職業(特に内科診療)に最も近い職業はツアーコンダクターだと編者は思っています。パック旅行が楽しく終わるか否かの過半はツアーコンダクターの腕によっています。患者さんは,いきなり未知の病気の世界に連れて来られた旅人です。病気の世界はつらく苦しいかもしれませんが,ご一緒するツアーコンダクターの腕が良ければ苦痛を最小限にできると思います。
本書が良いツアーコンダクターを育成するために役立てば幸甚です。
2012年 8月
東海大学医学部内科学系(循環器内科学)教授
後藤 信哉
目次
第1章 抗凝固薬はなぜ必要?─薬剤処方の前に押さえておきたい発症機序と疫学
1 心房細動ではなぜ脳血栓塞栓症が増加するの?
2 血栓性亢進に寄与する全身性の因子
3 日本における脳梗塞と心房細動?--?発症率と重症度
4 リスク因子の重要性
5 アブレーションによる内膜損傷と血栓塞栓症
6 遺伝因子と環境因子と
7 Framingham研究は何を教えてくれる?
第2章 心房細動症例の診療─治療に入る前に押さえておきたいこと
1 病歴聴取と心電図と
2 経胸壁心エコーと経食道心エコーの意義
3 電気的除細動をすべきか否か?
4 高血圧のインパクト
5 生活習慣は最も重要なリスク因子
6 リスク因子を回避するためにどのような生活を心がけたらよいか?
第3章 心房細動症例の外来での薬物治療はどうする?
A 主な抗不整脈薬の特徴と使用法
1 ジギタリス
2 Ca拮抗薬
3 β遮断薬
4 Ⅰ群抗不整脈薬
5 ベプリジル,アミオダロン
B 抗凝固薬の特徴
1 抗凝固療法を行う前に
2 ワルファリン
3 経口抗トロンビン薬
4 経口抗Ⅹa薬
第4章 合併症のある心房細動の患者さんをどう診る?
A 心房細動により増悪する疾患
1 心房細動を合併する心不全の特徴は?
2 心房細動症例が手術を受けるときの注意点は?
3 心房細動を合併した急性冠症候群の特徴は?
4 心房細動を合併した脳出血への対応は?
5 悪性腫瘍と心房細動
B 心房細動を惹起する場合
1 僧帽弁狭窄症の心房細動にどう対応するか?
2 甲状腺機能亢進症の心房細動にどう対応するか?
3 慢性肺疾患と心房細動
4 腎不全を有する心房細動の特徴と治療
5 透析患者さんの心房細動の特徴と治療
第5章 心房細動症例への抗凝固薬の介入をどうする?
1 実臨床の世界における抗凝固薬と出血の実態
2 クリニックにおけるワルファリン使用の実態
3 心房細動症例における抗凝固介入のリスク/ベネフィットの考え方
4 新規経口抗凝固薬の使用をどう考えるか?
5 やはりリスク因子の補正が何より必要
第6章 モニタリング,その他
1 抗凝固薬のモニタリング
2 新規経口抗凝固薬の薬効モニタリング
3 内視鏡治療と抗凝固薬中止の問題
4 妊娠と抗凝固療法
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書籍情報
- ISBN:9784784964215
- ページ数:180頁
- 書籍発行日:2012年8月
- 電子版発売日:2013年5月25日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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