臨牀消化器内科 2018 Vol.33 No.9 膵神経内分泌腫瘍 update

  • ページ数 : 120頁
  • 書籍発行日 : 2018年7月
  • 電子版発売日 : 2019年2月15日
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商品情報

内容

消化器の臨床現場になくてはならない最新情報をお届けすべく,1986年1月に創刊。

【特集】膵神経内分泌腫瘍 update
・膵神経内分泌腫瘍の疫学
・膵神経内分泌腫瘍の病理
・膵神経内分泌腫瘍のがん遺伝子研究
 他

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序文

巻頭言

膵神経内分泌腫瘍(pancreatic neuroendocrine tumors;PNETs)の疫学や診断,治療の最近の進歩は著しく,目を見張るものがある.

PNETsは年間人口10 万人に1~1.5 人の新規患者が発生する比較的まれな腫瘍で,近年増加の傾向にある.インスリノーマなどの機能性腫瘍に比べて,非機能性腫瘍の頻度が増している.

研究が進むにつれてPNETsの悪性度の多様性が認識され,2010 年のWHO分類から,Ki67 指数と核分裂数などの腫瘍細胞の増殖動態を反映する指標が用いられている.2017 年のWHO 分類ではNET G1,NET G2,NET G3,NEC に分類された.腫瘍の増殖傾向の強いほうが生存率が低い.PNETs以外の成分を30%以上含むmixed neuroendocrine‒nonneuroendocrine neoplasm(MiNEN)の概念も導入された.

次第に診断と治療も複雑化しており,わが国でも2015年に「膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET)診療ガイドライン」が,NET患者が少しでも早く正しく診断されて最新の知識に基づく診療がなされることを願って作成された1).

PNETsの画像診断にはCT,MRI,US,EUSなどがあり,EUS‒FNA(超音波内視鏡下穿刺吸引法)によって術前の病理組織診断も可能となった.ホルモン過剰分泌を示す腫瘍の局在診断に対してはSACI testなどが用いられており,さまざまな角度からの診断で局在診断,鑑別診断もいっそう精密性が増してきた.わが国でもオクトレオチドシンチグラフィが可能となり,腫瘍の診断だけでなくさらに全身への拡がり診断も可能となった.

治療も体系的に考えていくことが必要になっている.化学療法・放射線治療・外科治療の組み合わせは現場の医師を悩ませるものにもなっている.ソマトスタチンアナログなどのホルモン剤やmTOR(mammalian target of rapamycin)阻害薬,スニチニブなどの分子標的薬,さらにストレプトゾトシンなど,病態や拡がりによって使用をそれぞれに考えなくてはならない.PNETs に対する手術には,腫瘍核出術,脾温存膵体尾部切除術,脾臓摘出術を加えた膵体尾部切除術,膵頭十二指腸切除術やまれに十二指腸温存膵頭切除術などが症例に応じて選択される.悪性度の高いもの,リンパ節転移が疑われるものにはリンパ節郭清を考慮する.多発性内分泌腫瘍1 型(multiple endocrine neoplasia type 1;MEN 1)に合併するPNETs に対しては手術のタイミング,術式に関してcontroversial であるが,臓器機能の温存と根治性のバランスを考慮した術式を選択する.肝転移に対する手術としては,基本的にはできるだけ切除という考え方であるが,進行した肝転移巣に対して,どのような化学療法を行い,どのようになったら切除に向かうのか,など原発巣腫瘍の性質と絡んでなかなか体系化が難しいところもある.

放射線治療の一つとしてpeptide receptor radio‒nucreotide therapy(PRRT)も選択しうる一つとなった.

根源的な部分でPNETs においてWHO 分類のKi67 指数ではPNET G1,PNETG2 の境界は2%で適切か? という問題も存在する.

PNETs はその病理,診断,治療のすべてにおいて大きく変化してきており,PNETs を体系学的にとらえながら,1 例1 例を診るときには症例ごとの「手作り」の診断と治療をしていく必要がある.


文  献

1) 日本神経内分泌腫瘍研究会 編:膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET)診療ガイドライン2015 年(第1版).金原出版,東京,2015


木村 理

山形大学大学院医学系研究科医学専攻外科学第一講座

目次

巻頭言

1.膵神経内分泌腫瘍の疫学

2.膵神経内分泌腫瘍の病理

3.膵神経内分泌腫瘍のがん遺伝子研究―PHLDA3は膵神経内分泌腫瘍の運命を決定する

4.膵神経内分泌腫瘍と遺伝性疾患

5.膵神経内分泌腫瘍のCT,MRI

6.膵神経内分泌腫瘍のUS,EUS

7.インスリノーマの診断

8.ガストリノーマの診断

9.まれな機能性膵神経内分泌腫瘍の診断

10.核医学の膵神経内分泌腫瘍診断・治療への応用

11.膵神経内分泌腫瘍の手術治療

12.膵神経内分泌腫瘍の化学療法

13.膵 神経内分泌腫瘍のバイオセラピー,分子標的治療薬

連載

内視鏡の読み方

Dr.平澤の上部消化管内視鏡教室―この症例にチャレンジしてください

学会だより

第95回日本消化器内視鏡学会総会

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書籍情報

  • ISBN:9784888755035
  • ページ数:120頁
  • 書籍発行日:2018年7月
  • 電子版発売日:2019年2月15日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:2

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