睡眠の診かた 睡眠障害に気づくための50症例

千葉 茂 (編著)

株式会社 新興医学出版社

136 頁  (2019年3月)

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リリース日: 2019年07月31日

臨床の第一線で活躍する睡眠のエキスパートたちが50症例を提示

睡眠のエキスパートたちが自験例に基づき、診断や治療法の選択に至るまで、そのプロセスやポイントを簡潔に解説している。特長は見開き2ページで1つのストーリーが完結するように構成されていること。症例の合間には4つのコラムがあり、睡眠に関する知識をさらに深めることができる。

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タテ

見開き


ストレス社会、24時間社会、超高齢社会などのさまざまな社会変化により、睡眠障害を訴える患者が急増している。このような状況のなかで、2018年には睡眠障害国際分類第3版(日本睡眠学会 診断分類委員会訳)において、最新の分類や診断基準がまとめられた。しかし、複数の睡眠障害を合併している症例などもあり、実際の診療は簡単ではない。

本書は、臨床の第一線で活躍する睡眠のエキスパートたちが50症例を提示。自験例に基づき、診断や治療法の選択に至るまで、そのプロセスやポイントを簡潔に解説している。症例の合間には4つのコラムがあり、睡眠に関する知識をさらに深めることができる。


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人類の歴史のなかで,現代ほど「睡眠」に高い関心が寄せられた時代はないであろう。

現代社会は,ストレス社会,24時間社会,および高齢化社会へと変化してきた。また,最近では,人為的災害(戦争やテロ,原子力災害,列車・航空・交通事故など)や自然災害(大雨や地震,火山噴火など)によって,人命が失われるだけでなく,多くの人々の社会生活の安全性が根本から崩壊する事態が頻発している。このような社会的変化は,人々の睡眠の質的・量的低下やサーカディアンリズムの乱れなど,睡眠障害を増加させる要因になっている。

一方,睡眠のサイエンスは急速に進歩してきた。たとえば,睡眠・覚醒の発現には,実行システム(睡眠系・覚醒系)とタイミングシステム(恒常性維持システム・体内時計システム)がかかわっていること,また,体内時計は,視交叉上核の中枢時計と全身の末梢時計からなる階層性多振動体サーカディアンシステムであることが明らかになった。このような研究成果の一部は,虚血性心疾患やがんに対する時間治療の発展にも貢献している。

臨床の最前線では,睡眠に高い関心が寄せられていることを反映して,睡眠障害を訴える患者が急増している。しかし,睡眠を診ることはそう容易ではない。たとえ最新の睡眠障害国際分類(ICSD-3)(日本睡眠学会 診断分類委員会訳,2018年)が座右に置かれているとしても,実際に診断するとなると,これが意外に難しい。

本書は,臨床の第一線で活躍なさっている医師,歯科医師,看護師,検査技師,心理士などの医療従事者の皆様が,「睡眠の診かた」をわかりやすく学ぶ目的で上梓された。本書は睡眠のエキスパートたちが自験例に基づいて語った「睡眠の診かた」の集大成であり,その内容はリアルで説得力がある。たとえば,病態生理からの症状の解釈,必須の検査とそのデータ判読のコツや落とし穴,確定診断までの思考プロセス,治療法の選択などが,簡潔に綴られている。なかには,社会的偏見を受けていた症状の背景に睡眠障害が発見された症例も散見される。また,本書では,「コラム」として4人のエキスパートによって「睡眠の診かた」を深めるための叡智が紹介されている。

本書の特長は,何処から紐解いていただいても見開き2ページで1つのストーリーが完結するように構成されていることである。したがって,ちょっとした時間を利用して読み進めていただきたい。読者の皆様には,診断分類という二次元の世界から抜け出し,「睡眠を診る」とはどういうことなのかを,臨床という多次元の世界に身を置いて楽しく学んでいただけると確信している。

結びに,執筆者の皆様,ならびに,新興医学出版社社長 林 峰子氏,編集部 下山まどか氏に心から感謝する。


2019年1月

白銀の大雪連峰を眺めながら

千葉 茂


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Ⅰ.不眠症

A.「眠り方がわからなくなってしまった」不眠恐怖を抱く慢性不眠患者への治療アプローチ

B.認知行動療法を通じて目標が変わったことにより軽快した慢性不眠障害の一例

C.慢性不眠障害(精神生理性不眠)への精神療法

D.オレキシン受容体拮抗薬への切り替え後に寛解した短期不眠障害の一例

Ⅱ.睡眠関連呼吸障害群

A.CPAP治療継続のためには,治療データの説明が不可欠

B.夜尿を伴う不眠を訴えて来院した成人男性

C.口腔内装置は,いびきや軽症・中等症OSAをはじめ,CPAP脱落者にも対応可能

D.超重症の閉塞性睡眠時無呼吸?

E.小児の口呼吸,夜間の咳は睡眠時無呼吸症を疑う

F.CSR--CSAを合併する低心機能心不全の治療ストラテジー

G.早産児では睡眠時無呼吸の可能性を考える

H.CPAP治療を開始したら,閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者に中枢性無呼吸が出現した!?

I.心臓手術後の右側横隔膜片側麻痺の睡眠関連低換気障害にNPPVを導入した生後7ヵ月の乳児

J.合併した種々の睡眠呼吸障害にadaptive servo ventilation(ASV)が有効であった多系統萎縮症の一例

K.いびき治療の代表的保存治療は口腔内装置である

L.患者満足度の高いいびき治療には,代替え(手術)治療を含め,いくつかの治療選択肢の組み合わせを考慮する

M.睡眠中にうなるのは病気?カタスレニアは睡眠関連呼吸障害?それとも睡眠時随伴症群?

Ⅲ.中枢性過眠症群

A.日中の眠気と突然の脱力を訴える患者を診たら

B.多彩なレム関連症状と共存するナルコレプシーの症例

C.中年,肥満,いびき・眠気=OSAと思い込まない

D.臨床症状だけでは診断がつかない過眠症とその検査の限界

E.眠っても眠っても眠い病気

F.遷延型のクライネ-レビン症候群

G.睡眠不足症候群は国際的に認知されている疾患名

H.日中に眠い→睡眠時無呼吸症候群とナルコレプシー以外に考えられるのは?

I.ナルコレプシーと診断され,投薬されていた睡眠不足症候群の中学生

J.残業による睡眠不足が引き起こす過剰な日中の眠気

Ⅳ.概日リズム睡眠・覚醒障害群

A.時間療法が有効であった睡眠・覚醒相後退障害

B.若年者に多い,見逃されやすい睡眠・覚醒相後退障害

C.不眠と抑うつで治療されてきたが,睡眠・覚醒相後退障害+双極Ⅱ型障害と判明した症例

D.睡眠覚醒時刻が日々後退した症例

E.生体リズムと勤務時間とのミスマッチによるシフトワーカーの睡眠障害

F.繰り返しの時差フライトが引き起こす睡眠障害

Ⅴ.睡眠時随伴症群

A.外傷の危険を伴う睡眠時遊行症の中学生例:診断,対応と今後の方針

B.睡眠関連摂食障害はまれな疾患ではなく,本人の苦痛も強い

C.夢に関連した異常言動―将来の神経変性疾患発症の可能性―必要な検査・治療と,長期的フォローは?

D.抑肝散が奏功した典型的な特発性レム睡眠行動障害の70歳台男性例

E.重症閉塞性睡眠時無呼吸を併存した特発性レム睡眠行動障害の70歳台男性例

F.入眠時に爆発音と閃光を自覚した症例

G.精神疾患治療中に生じる夜間の異常行動に対処する

Ⅵ.睡眠関連運動障害群

A.問診が診断の鍵になる睡眠障害

B.むずむず脚症候群という病気があることを知っておこう!

C.家族性のむずむず脚症候群

D.眠れない原因は下肢のピクつきだった!

E.「毎晩,必ず頭を左右に振っているんです.これって大丈夫なんでしょうか?」

F.「お腹がひくひくして眠れません.何科に診てもらったらいいのでしょうか?」

Ⅶ.身体疾患および神経疾患に関連する睡眠障害

A.見たこともない異常なPSG所見!短期間に急速に状態が変化!

B.睡眠中に異常行動を示す少年―エキスパートはてんかんを見逃さない

C.「ビデオ脳波も受けたけど,うちの子は無呼吸です!」と親が主張するてんかん症例

D.真夜中の暴行―おばあちゃんの家庭内暴力?

コラム

●「睡眠」を表す接頭語"hypn(o)--"に寄せて―古代ギリシャの神話と医学 管見―

●遠隔医療と遠隔睡眠学

●アクチグラフィーを使ったリズム障害の診かた

●睡眠障害のcomorbidity

特記事項

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