• m3.com 電子書籍
  • 流れがわかる&大事なとこだけ 医学生のための医学史(まとめ問題付き)

流れがわかる&大事なとこだけ 医学生のための医学史(まとめ問題付き)

  • ページ数 : 393頁
  • 書籍発行日 : 2017年5月
  • 電子版発売日 : 2018年5月25日
¥1,018(税込)
ポイント : 18 pt (2%)
今すぐ立ち読み
今すぐ立ち読み

商品情報

内容

おさえるべきポイントはココ!医学史の重要点を多くの写真や図とともに解説

長い長い医学の歴史、その中の“重要なポイントだけ”を楽しくわかりやすくまとめました。「興味はあるけど手が出せなかった」というもったいない人にも、「医学史って面白いの?」と疑っている人にもオススメの1冊。

序文

◆医学を学ぶ上で医学史は必要か?

「温故知新」という言葉があります.『論語』の「子曰く,故きを温ねて新しきを知れば,以って師と為るべし」に由来し,古い歴史を知ることで新しい見方が開ける,あるいは,新しいことを知るには歴史を知らなければならない,という教えです.では,最新の現代医学を学ぶ上で,医学史を学ぶことは 必要でしょうか?

誤解を恐れずにあえて言えば,答えはNOです.確かに社会学,政治学など人文科学系の学問では「温故知新」は有効ですが,日進月歩の自然科学の場合,これはあまり当てはまりません.もちろん,何か新しい研究を始めるには,現時点で何が分かっていて何が分からないかを把握するため,過去20~30年の研究の流れを知る必要はあるでしょう.しかし,100年以上も昔のことを知る必要はまずありません.ましてや,ギリシア,ローマ時代,あるいは中世の歴史を知る必要性は皆無です.医学史を知らないと,最新の医学を理解できないということはありません.

にもかかわらず,大部分の医学部では医学史の講義があり,医師国家試験でも医学史の知識が問われることがあります.なぜでしょうか.

それはひとえに,医学という学問,医師という職業が,単に病気を扱うものではなく,病気を持つ「人間」を対象とするものだからです.厳然たる自然科学として最新の医学を学ぶことが重要であるのは間違いありませんが,人間や病気の理解には,医学の周辺知識や,医学以外の知識を欠くことができません.社会学,歴史学,文学など,およそあらゆる分野の知識が,人間の幅広い理解につながります.逆に言えば,たとえ間接的であったとしても,人間理解につながらないものはないとも言えます.歴史,文学,小説はもとより,映画,絵画,音楽,漫画......すべてこの目的に役立ちます.医学生の皆さんには,医学の教科書以外の本もたくさん読み,いろいろ な経験を積んで欲しいと思います.

そして,この医学史もその一つととらえてください.医学は人間の祈りだと言われます.病の苦しみ,死の恐怖から逃れるため,長い歴史の中で,医者や患者がどのように考え,何を成し遂げてきたか.それを知ることは,必ずや人間の理解に役立ちます.

◆本書の特長と医学史の学び方

本書の目的は,このような考え方をもとに,医学生の皆さんに医学史の概要を伝えることにあります.あくまでも人間理解の一助としての医学史ですから,以下のような点に留意しました.

(1)医学全体の流れを追う医学通史に加え,特に重要な分野,興味深い分野をテーマ別に取り上げ,医学史を立体的に理解できるようにしました.

(2)大きな流れ,重要なイベントの意義をおさえることに主眼を置き,派生的な内容,関連事項は,「+α」として別に記載しました.「+α」では,医学史の関連事項のみならず,医学史の流れには直接関係ないものも含め,興味深いエピソードを多く取り上げて,興味を持って読めるように配慮しました.また,これから学ぶ現代の医学との接点について随所で触れました.

(3)歴史を扱う上で年号を避けては通れません.あえて年号は細かく記載しましたが,受験勉強の世界史ではありませんから,いちいち覚える必要はありません.物事の前後関係の目安としてください.理解しやすいように,必要に応じて同時期の一般世界史についても触れています.

(4)図版をできるだけ多く取り入れ,図とその解説を読むだけでも,全体の流れが分かるように配慮しました.

(5)巻末に問題集を付し,どうしてもおさえておいてほしい知識を確認できるようにしました.

◆さらに深く勉強する方へ

筆者の専門は放射線医学です.放射線医学,自然科学の歴史に興味を持ち,医学史全般についてもいろいろ勉強してきましたが,決してその専門家ではありません.医学史を専門に研究する学問は「医史学」と呼ばれます.しかし,厳密性を重んじる医史学専門書はどうしても難しく,無味乾燥になりがちです.本書は医学史全体の流れを理解することを目的としていますので,あえて細部を省略しているところも少なくありません.そこで,さらに詳しく勉強したい方のために,医史学者による詳しい教科書を含めた参考書をいくつか紹介しておきます.

・梶田昭『医学の歴史』(講談社学術文庫, 2003).標準的な医学通史.文庫本ですが内容は質,量ともに充実しており,参考書としても使えます.

・茨木保『まんが 医学の歴史』(医学書院, 2008).タイトルの通り漫画ですが,解説の文章も詳しく分かりやすい内容です.著者は産婦人科医で,臨床医ならではの記述も豊富です.

・酒井シヅ『病が語る日本史』(講談社学術文庫, 2008).著者は,日本の医史学の第一人者.縄文時代以来の日本医学史を,疾病史の側面から記述しており,教科書,参考書としてだけでなく読み物としても面白く読めます.

・百島祐貴『ペニシリンはクシャミが生んだ大発見』(平凡社新書,2010,Amazon Kindle版).拙著ですが,医学史上の面白いエピソードを軸にして一般読者向けに解説しました.本書にもその一部を紹介しています.


※本書には、現在では差別的とも捉えられる表現を使用している箇所がありますが,時代背景を考慮した上での表現であり,著者および出版社に差別の意図は一切ございません。

目次

序文

医学史年表

A.古代・中世

1. 先史時代

2. 医神の時代

3. ヒポクラテス

(1)四体液説

(2)病名なき病理学

(3)予後の重視

(4)ヒポクラテスの誓い

4. ローマ帝国の医学―ガレノスの登場

(1)ヘレニズムの時代

(2)ガレノス

5. アラビア医学

(1)ギリシア・ローマ医学の後継者

(2)イスラームの医学

(3)イブン・シーナ

6. インドの医学『アーユルヴェーダ』

7. 中国の医学

(1)『黄帝内経』

(2)中国医学の特徴

(3)中国の名医

(4)現代の中医学

8. 中世ヨーロッパの医学

(1)修道院医学

(2)サレルノとモンペリエの医学校

(3)大学の誕生

(4)黒死病

B.近代

1. 解剖学の復興

(1)人体解剖の再開

(2)解剖学の父ヴェサリウス

2. 血液循環の発見

(1)プネウマと血液の循環生理学

(2)ハーヴェイの血液循環説

3. 外科学の発展

(1)床屋外科医

(2)外科学の父パレ

(3)巡回外科医

(4)職人芸から医学へ

4. 科学的医学の胎動

(1)物理医学派

(2)化学医学派

(3)折衷派

(4)臨床医学の見直し

C.19世紀

1. 病理学と診断学の発達

(1)モルガーニの病理解剖学

(2)組織学の父ビシャ

(3)ウィルヒョウの細胞病理学

(4)打診法と聴診法

(5)診断学と医者―患者関係の変化

(6)病院医学から実験室医学へ

2. 細菌学と消毒法

(1)ミアズマとコンタギオン

(2)ゼンメルワスの消毒法

(3)パスツールの病原微生物説

(4)リスターの無菌手術

(5)細菌学の父コッホ

3. 麻酔の発明

(1)世界初の全身麻酔

(2)泥沼の争い

4. 薬物学の発達

D.20世紀

1. 抗生物質の発見

(1)化学療法の誕生

(2)サルファ剤

(3)抗生物質−ペニシリン

(4)結核治療薬−ストレプトマイシン

2. 画像診断の発展

(1)エックス線の発見

(2)放射能の発見

(3)CTの発明

(4)MR1の発明

3. DNAの発見

(1)遺伝物質

(2)二重らせんモデルの発見

E.日本医学史

1. 古代・中世の医学

(1)古墳時代・奈良時代

(2)鎌倉・室町時代

2. 西洋医学の伝来

3. 江戸時代の医学

(1)古方派と後世派

(2)医学館

(3)漢蘭折衷派と華岡青洲

(4)『解体新書』と蘭学塾

(5)シーボルトの来日

(6)種痘所と西洋医学所

4. 開国と明治維新

(1)ポンペの活躍

(2)ドイツ医学の採用

(3)医制と漢方医学の衰退

5. 日本人医学者の活躍

(1)野口英世

(2)鈴木梅太郎

(3)北里柴三郎

(4)志賀潔

(5)石原忍

F.トピックス

1. ワクチンと免疫学の歴史

(1)二度なし免疫

(2)種痘

(3)狂犬病ワクチン

(4)血清療法

(5)エールリッヒの側鎖説

(6)細胞性免疫の発見

(7)その後の免疫学

2. 神経学・脳外科学の歴史

(1)神経とプネウマ

(2)神経と電気

(3)ニューロンの発見

(4)世界初の脳外科医クッシング

3. 精神医学の歴史

(1)古代医学における精神疾患

(2)中世の精神疾患論

(3)パリの一般施療院

(4)中世の精神疾患治療

(5)近代精神医学の幕開け

(6)二大精神疾患の確立

(7)新しい治療法の登場

(8)日本の精神医療

4. 病院と看護の歴史

(1)ギリシア・ローマ時代の病院

(2)修道院と騎士団

(3)宗教改革の影響

(4)中世から近代へ

(5)市民革命と病院医学

(6)近代看護の幕開け

5. 医用機器の歴史

(1)注射器

(2)体温計

(3)血圧計

(4)顕微鏡

(5)内視鏡


まとめ問題

+α リスト

ノーベル生理学・医学賞リスト

図版出典一覧

著者プロフィール

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 10.0 以降

    外部メモリ:39.8MB以上(インストール時:86.5MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:159.2MB以上

  • android icon

    AndroidOS 5.0 以降

    外部メモリ:30.1MB以上(インストール時:75.1MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:120.4MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcherが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784871634762
  • ページ数:393頁
  • 書籍発行日:2017年5月
  • 電子版発売日:2018年5月25日
  • 判:指定なし
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※今日リンク、YNリンク、南山リンクについて、AndroidOSは今後一部製品から順次対応予定です。製品毎の対応/非対応は上の「便利機能」のアイコンをご確認下さいませ。


※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。


※コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcher(iOS/iPhoneOS/AndroidOS)が必要です。


※書籍の体裁そのままで表示しますため、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。