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複合性局所疼痛症候群(CRPS)をもっと知ろう―病態・診断・治療から後遺障害診断まで―

堀内 行雄 (編)

株式会社 全日本病院出版会

130 頁  (2015年10月)

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リリース日: 2018年11月23日

CRPSに対する早期診断・早期治療のための必読書!

整形外科、麻酔科、精神科など多角的な視点から、CRPSの“今”をまとめました。診断や治療にとどまらず後遺障害診断や類似疾患にいたるまで、日常診療で役立つ一冊です。

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CRPSに対する早期診断・早期治療のための必読書!

整形外科、麻酔科、精神科など多角的な視点から、CRPSの"今"をまとめました。

診断や治療にとどまらず後遺障害診断や類似疾患にいたるまで、日常診療で役立つ一冊です。


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複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome;CRPS)は日常診療で遭遇した医師の頭を悩ませる難解な疾患の1つである

読者のなかには,本疾患を発症した患者を実際に診察したり,不幸にも自分が治療している患者が本疾患を発症してしまったという経験を持たれている方も少なくないと思われる.その際,放置すれば軽微な外力で重篤な症状が残ってしまうこの不可解な疾患については,通常の医学的な知識では,明解にその症状や成因を理解や説明することが出来ず,途方に暮れてしまったこともあったのではないだろうか.最終的に本疾患を少なくとも重大な後遺症無く,より軽微な障害程度に留めるためには,この疾患の存在を常に念頭に置き,発症させないように,また悪化させないように注意しなければならない.そのためには,早期診断早期治療によりover-diagnosisになってもよいので病状の悪化を未然に防ぐ努力が必要である.拘縮や疼痛の中枢感作が完成してしまったあとでは,いかなる治療手段を駆使しても良好な結果を得ることは難しくなってしまう.本疾患の治療に際しては,アロディニアに代表される異常疼痛の対策は勿論のこと,四肢機能を最大限温存することを常に念頭に置く治療法を実施することが必要である.

2010年1月の日本整形外科学会広報室ニュース第80〜85号まで6回にわたり私を含めて6人の専門家にCRPSの現状について6項目にわたり書いていただき,早期診断早期治療の重要性を伝え,臨床で実践していただくようにお願いした.その紙面を借りて,本疾患の概要や早期診断早期治療の重要性,筆者が勧める治療法として,温冷交代浴とステロイド療法を紹介し,さらに後遺障害判定の要点を紹介した.その後も病態の究明や診療,特に新しい薬物などによる治療法は蝸牛の歩みではあるが少しずつ進歩している.今回は,CRPSを含めてその関連する類似疾患を取り上げ,現在までの知識をまとめていただくと同時に,現在どこまで解明され,どのような診療がされているのかを知っていただくことと,さらに後遺障害を書類に記載するときの注意も併せて理解し,実践していただけるようにと考え,今回書籍として「CRPSをもっと知ろう」を企画した.また,CRPSを理解するうえでも重要な関連する3つの疾患についても加えた.

CRPSの病態は未だ不明であるが,「CRPS:疾患概念の変遷と最新の研究動向」と題して,不動がもたらす悪影響や中枢感作のメカニズムについて,名古屋大学手の外科平田仁先生に解説をお願いした.

CRPSは反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)やカウザルギーなどの名称で呼ばれてきたが,国際疼痛学会はCRPS という名称に統一することを提唱(1994年)し,CRPS typeⅠをRSD,typeⅡをカウザルギーとした.CRPSの早期診断早期治療の重要性はコンセンサスが得られているが,このためには,明確な診断基準が必要になる.現在用いられている国際疼痛学会の診断基準と大阪大学が中心となって日本で作成された判定指標は,ともに治療には早期診断が可能な感度の高い「臨床用」と,研究には特異度の高い「研究用」の使用が推奨されている.「CRPS診断の実際」と題して,日本における判定指標作成に尽力された東京大学麻酔科・痛みセンター住谷昌彦先生に執筆をお願いした.

最近ではMRIの解像度の進歩を受け,「CRPSの画像診断―BMD 計測およびMRSによる診断―」も開発されてきている.このことについては,以前から注目し検討をされている国際医療福祉大学臨床医学研究センター中村俊康先生に執筆を依頼した.

早期RSD(CRPS)という概念を打ち出し,早期治療の重要性を強調しておられるサトウ病院古瀬洋一先生には,早期診断早期治療に欠かせない「早期CRPS の考え方とその対策―超早期ステロイド療法の実際を含めて―」と題して解説をお願いした.

CRPSでは,しばしば,うつ症状などの精神科関連の症状が出現する.しかし,その症状が発症に起因したものか,強い疼痛のために二次的に生じたものかの判定は難しい.いずれにしてもそのような場合は,精神科の先生にコンサルトをお願いすることになる.愛知医科大学学際的痛みセンター西原真理先生には,鑑別診断や治療も含めて精神科的なアプローチの方法についてお教え願うことにした.

2011年7月,日本ペインクリニック学会は,神経障害性疼痛薬物療法ガイドラインを公表した.多くの新薬も発売され,それに伴って治療の幅が広がってきた.日本大学総合科学研究所麻酔科小川節郎先生には,主な最新の疼痛治療薬について,現在使用されている薬剤も踏まえて「CRPSの薬物療法―病状,病期による薬物の選択―」と題して,実際の使い方を踏まえて解説をお願いした.漢方薬については,那須赤十字病院整形外科吉田祐文先生にわかりやすい実際の使い方の解説をお願いすることにした.

CRPSの異常な痛みについては,従来からペインクリニックが中心となり疼痛緩和に取り組んできた.慶應義塾大学麻酔科伊原奈帆先生には,交感神経節ブロックや脊髄電気刺激療法を含めたペインクリニックの治療法の現況と最近の進歩について「CRPSのペインクリニックにおける治療―早期治療と慢性疼痛対策―」の解説をお願いした.

また,CRPSのリハビリテーションは疼痛緩和と機能温存の意味で重要な意味を持つが,広島県立障害者リハビリテーションセンター水関隆也先生には,先生の実践しているCRPS のリハビリテーションのうち,特に「温冷交代浴の理論と実際」を執筆いただくことにした.そして防衛医科大学校整形外科有野浩司先生には日頃から行っている「CRPSに対するリハビリテーションの実際」の解説をお願いした.

次に,なかなか困難なCRPS(特にカウザルギー)の手術的治療のなかで,末梢神経幹自体の手術法として,神経切除,神経剝離術,神経縫合術,神経移植術(人工神経)などの治療が行われている.筑波大学附属病院土浦市地域臨床教育センター西浦康正先生には「CRPS typeⅡの手術療法」と題してカウザルギーに対する手術(人工神経除く)の治療法を紹介していただき,稲田病院稲田有史先生に「CRPSに対する手術治療―病態別治療と生体内再生治療―」という題名で各々執筆をお願いした.

最終的に残存した障害に対して診断書を書くことになったとき,患者が痛がって診察を拒否する場合など,判定や記載に難渋することがある.そのようなときは可能な限り客観的事実を記載することが重要になる.「CRPSの後遺障害診断―留意点とアドバイス―」と題して,横浜労災病院三上容司先生に執筆を依頼した.

CRPSを診断治療する際に,どうしても知っておきたいことがいくつかある.その中で採血の際の神経損傷が問題になることも少なくない.宇治武田病院勝見泰和先生に「採血による末梢神経損傷とCRPS」と題してその現状と対策,特にCRPSを発症させないための工夫と予防についても解説をお願いした.ジストニアと線維筋痛症はCRPSに関連する疾患であるのでこれらの病気を理解しておかなければならない.東京女子医科大学脳神経外科平孝臣先生と大阪大学大学院疼痛医学講座三木健司先生にそれぞれの疾患の解説をお願いした.

本書で,ご多忙な16人の専門家にわかりやすく記載していただいたが,現状でのCRPSの診療と類似疾患をよりよく知っていただき,日常の診療ですぐに実践していただくことで,CRPSにならなくてすむ患者が少しでも増えることを望む.CRPSは,未解決な部分も少なくない疾患であるが,読者の先生方の診療にこの本から得られた知識が少しでもお役に立てば幸いである.


2015年8月

堀内 行雄


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Ⅰ 病 態

CRPS:疾患概念の変遷と最新の研究動向

Ⅱ 診 断

<診断基準>

CRPS診断の実際―判定指標と診療方針の概論―

<画像;MRI>

CRPSの画像診断―BMD計測およびMRSによる診断―

Ⅲ 治 療

<早期診断治療>

早期CRPSの考え方とその対策―超早期ステロイド療法の実際を含めて―

<精神科からのアプローチ>

CRPS様症状を訴える患者への精神科的アプローチ―鑑別診断も含めて―

<薬物療法①>

CRPSの薬物療法―病状,病期による薬物の選択―

<薬物療法②>

CRPSに対する漢方治療の実際

<神経ブロックなど>

CRPSのペインクリニックにおける治療―早期治療と慢性疼痛対策―

<温冷交代浴>

温冷交代浴の理論と実際

<リハビリテーション>

CRPSに対するリハビリテーションの実際

<手術療法①>

CRPS typeⅡの手術療法

<手術療法②>

CRPSに対する手術治療―病態別治療と生体内再生治療―

Ⅳ 後遺障害

CRPSの後遺障害診断―留意点とアドバイス―

Ⅴ 関連・類似疾患

採血による末梢神経損傷とCRPS

ジストニアの診断と治療

線維筋痛症(機能性疼痛・中枢機能障害性疼痛)の診断と治療,診断書記載

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