COX-2阻害薬の適正使用

  • ページ数 : 55頁
  • 書籍発行日 : 2011年8月
  • 電子版発売日 : 2018年8月10日
¥1,980(税込)
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商品情報

内容

COX-2阻害薬のすべてが簡便に理解できるハンドブック。

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の開発の歴史から作用機序、COX-2選択的阻害薬へと発展した経緯、安全性・副作用(消化管障害・心血管系リスク)とそのエビデンス、今後の可能性について、図と解説文の組み合わせでコンパクトに解説します。

序文

NSAIDs は優れた解熱、鎮痛・消炎薬として、最もよく使われている医薬品の一つである。それはステロイドなどの他の抗炎症薬に比べ、副作用が少ないと考えられたからである。NSAIDs の市場は大変大きく、全世界で約1 兆5 千億円と言われている。特に高齢者に多く処方されることから、今後この市場は社会の高齢化に伴いさらに拡大すると思われる。

NSAIDs開発の歴史は、副作用、特に消化管障害との闘いであった。米国では、NSAIDsによる消化管出血での死亡数が、エイズで亡くなる患者数と同数である。以前考えられていたより、NSAIDs も安全とは言えないことが知られるようになった。そこで、消化管障害のないNSAIDs の出現が待たれていた。1991 年のシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の発見は、それを可能にした。COX にはCOX-1 とCOX-2 の2 つのサブタイプが存在する。COX-1 は生体保護に働く善玉であり、COX-2 は炎症に働く悪玉と考えられ、COX-2を選択的に阻害すれば副作用のない理想的なNSAIDsであるとの理論のもとに、多くのCOX-2選択的阻害薬が開発された。実際、COX-2 選択性と消化管障害の少なさは比例していた。従来薬の中のCOX-2 選択性の高いエトドラク、メロキシカム、新しく開発されたセレコキシブは、大規模臨床試験や国内での臨床試験においても消化管障害の副作用が従来のNSAIDs に比べ有意に少ないことが証明された。COX-2 選択的阻害薬において、問題となった心血管系リスクは、すべてのNSAIDs に共通する副作用とされている。特に、心筋梗塞の既往のある患者ではNSAIDs の使用はできるだけ避けた方がよい。ロフェコキシブと第二世代のCOX-2選択的阻害薬であるバルデコキシブ、パレコキシブ、ルミラコキシブなどが、心血管系リスクのため、市場から撤退することになった。

COX-2 は発癌、アルツハイマー病との関係も報告され、NSAIDs による抗腫瘍効果も知られている。今後、COX-2 選択的阻害薬とこれらの疾患の治療効果の検討が期待される。さらに、全く副作用のないNSAIDsが開発されることが望まれる。

本書は、臨床医全般、開業医、薬剤師、研究者を対象に、COX-2 選択的阻害薬のすべてがわかるように書かれている。第1 章では、NSAIDs 開発の歴史、作用機序とCOX-2選択的阻害薬の消化管への安全性、第2 章では、COX-2選択的阻害薬の心血管系への影響、第3 章では、現在日本で使用可能なCOX-2 選択的阻害薬である、エトドラク、メロキシカム、セレコキシブの特性について、第4 章では、薬物動態とCOX-2 選択的阻害薬の新たな可能性として、抗腫瘍効果について紹介する。


2012年2月

佐野 統

目次

第1章 COX-2選択的阻害薬の消化管への安全性

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)開発の歴史 ―消化管への安全性を目指して―

NSAIDsの作用機序 ―アラキドン酸カスケードとPGの作用―

疫学調査 ―NSAIDsによる消化管障害―

1)NSAIDsによる上部消化管障害有病率(内視鏡検査)

2)NSAIDs消化管障害による死亡

COX-2の発見と臨床への応用

1)COX-1とCOX-2の相違点

2)COX-1とCOX-2の作用

COX-2選択性を示す機序 ―COX-1とCOX-2の構造の違いより―

各種NSAIDsのCOX-2選択性

COX-2選択性と消化管障害の関連性

COX-2選択的阻害薬の消化管に対する安全性

1)消化管からの出血量の測定による評価

2)内視鏡による消化性潰瘍の評価

大規模臨床試験によるCOX-2選択的阻害薬の消化管障害軽減の証明

1-1)セレコキシブ(セレコックス) ―CLASS試験―

1-2)セレコキシブ(セレコックス) ―SUCCESS-Ⅰ試験―

2)メロキシカム(モービック)

3)エトドラク(ハイペン)

第2章 COX-2選択的阻害薬の心血管系への影響

NSAIDsによる心血管系リスクの発現機序 ―FitzGeraldの仮説―

大規模臨床試験における心血管系リスクの上昇

1-1)ロフェコキシブ ―VIGOR試験―

1-2)ロフェコキシブ ―APPROVe試験―

2-1)セレコキシブ(セレコックス) ―APC試験―

2-2)セレコキシブ(セレコックス) ―ADAPT試験―

3)その他 コキシブ系COX-2選択的阻害薬

4)メロキシカム(モービック)

エトドラク(ハイペン)の心血管系リスク

COX選択性の違いによる作用

―アスピリンによる血小板凝集抑制作用に対するNSAIDsの影響―

第3章 COX-2選択的阻害薬の種類と特性

COX-2 選択的阻害薬の開発・撤退の歴史

エトドラク(ハイペン)の適応症と国内開発経緯

エトドラク(ハイペン)の臨床試験成績

メロキシカム(モービック)の適応症と国内開発経緯

メロキシカム(モービック)の臨床試験成績

COX-2選択的阻害薬の重篤な皮膚障害

セレコキシブ(セレコックス)の適応症と国内開発経緯

セレコキシブ(セレコックス)の臨床試験成績

第4章 その他(薬物動態、COX-2選択的阻害薬の新たな可能性)

相互作用

高齢者に対する考慮(体内動態)

COX-2選択的阻害薬の新たな可能性

抗腫瘍効果 ―胃癌発生抑制効果―

抗腫瘍効果 ―APC試験、FAP試験―

エトドラク(ハイペン)のアロディニア寛解作用


文献一覧

主な非ステロイド性抗炎症薬の剤形、用法・用量、適応症、禁忌(表)

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書籍情報

  • ISBN:9784862700391
  • ページ数:55頁
  • 書籍発行日:2011年8月
  • 電子版発売日:2018年8月10日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
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