無名の医療者が医学書を出版するまでの道

  • 書籍発行日 : 2020年3月
  • 電子版発売日 : 2020年3月13日
¥3,080(税込)
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商品情報

内容

「書いてみたい」がカタチになる入門書!

コネや肩書がなくても医学書は出版できる!自分の強み(unique selling proposition;USP)を明確にして企画・執筆を進めれば、きっと誰かに役立つ本が書ける。企画書に必要な要素から刊行後の販促活動まで、著者が経験をもとに、わかりやすくユーモアに満ちた筆致でセキララに語る!

序文

はじめに

「いつか本を書きたい!」と考えている医療者は少なくないと思います。私自身そのように思っていましたし、2017 年4 月に日本医事新報社から処女作である拙著『ER必携 救急外来 Tips 1121』を上梓した直後には、実際にたくさんの同僚から「どうやって本を書くきっかけを得たのか?」を尋ねられました。それも医者だけでなく、看護師、看護アシスタント、医療事務、薬剤師などさまざまな職種からです。

医療現場はスペシャリストの集まりです。多くの人間ドラマも生まれます。医療者として何年も働いていると、日々の外来業務、病棟業務、臨床や看護、仕事のノウハウ、キャリアアップのコツ、後輩の指導経験、先輩との上手なつきあい方、患者さんとの貴重な体験、心温まる思い出、予期せぬクレームなど、誰しも語り継ぎたいことのひとつやふたつはあるでしょう。機会があれば本としてまとめて発表したいと、皆さんも一度は考えたことがあるのではないでしょうか。

卒後30 年クラスのベテラン医療者や、その分野で成功を収め活躍している医師など、すでにある程度の地位に立っているのであれば、自然に出版依頼がやってくるのかもしれません。また、出版業界と何らかのコネがあれば、原稿執筆のチャンスが生まれるのかもしれません。しかし、そのような機会をどんなに待っていたとしても、無名の医療者のところにそういう話がやってくることは普通ありません。どんなに貴重な経験や面白いネタを持っていたとしても、「どうやって本を書くのか」がわからなければ、どこをどう進めばよいのかわからず、ただ途方に暮れるのみです。

地方病院の無名の医者に過ぎなかった自分がどのように単著を出版するチャンスをいただいたのか。自分自身の出版経験とともに、そこで学んだ出版のためのノウハウ・アドバイスを紹介させていただこうと思いました。そして、出版を夢見る若手医療者やまだ無名の医療者の方たちへ、出版のお手伝いができればと思い、本書を執筆させていただきました。

本書は「読めば必ず出版できる」という類いの魔法の書ではありませんし、本書の内容が万人に当てはまる唯一の道しるべになるわけではないでしょう。しかし、「出版」という目的地にたどり着くための一筋の光として、右も左もわからない皆さんの足下を照らすことはできるのではないかと思います。

私のような地方のしがない一救急医でも、出版を通じていろいろな経験ができ、日本にいながら世界が大きく広がりました。若手医療者の方はその新鮮かつ斬新な切り口のネタを発信すべく、またベテラン医療者の方はその長く温めてきた知恵を萌芽させるべく、本書を活用していただければと思います。

本書の概要は、次のとおりです。

第1 章では、さまざまな出版形式と、自分の原稿がどのように出版社に届いて本になるのか、導入部分を述べます。本書の目標は、出版社から本を出す「商業出版」の道筋をお示しすることです。本書全体で紹介しているふたつのアプローチ方法、著者側から出版社側に能動的にはたらきかける「能動的出版アプローチ」と、出版社側から著者側へ出版の打診を受ける「受動的出版アプローチ」について、この章から解説を始めます。

第2 章では、「能動的出版アプローチ」の具体的な準備の仕方を提示します。ここではただ単に「原稿を持ち込めばいい」などという無責任なことをお話するつもりはありません。出版とは無縁の私たち医療者は、原稿を持っていても第一歩をどこにどうやって踏み出せばよいのかもわかりません。必ずしも完成原稿は必要ではなく、まずは何を準備するべきなのか、確実な第一歩を踏み出すきっかけをお話します。

第3 章では出版企画書の書き方について述べていきます。おそらくこの第3 章が本書の心臓部分にあたるでしょう。よい出版企画書が書ければ、それは出版への道筋ができたということ。あとはそれを出版社に持ち込むだけです。ただし「よい出版企画書」であることが前提です。そのためには「ネタ」「企画」「プロフィール」もブラッシュアップしなければなりません。本章ではそのためのお手伝いをさせていただきます。

第4 章は、私が処女作を出版した際の体験談をお話しします。一般論や抽象論だけでは、なんとなくイメージして、そこで終わってしまいます。私の浅くつたない経験ではありますが、出版が決まるまでの長い道のり、苦労話や失敗談、そして成功体験を共有させていただき、イメージを具現化していただければと思います。

第5 章では、企画が受理されてから編集者との打ち合わせ、そして原稿を提出するまでの流れを紹介します。たとえば編集者との打ち合わせってどんな風に行われるのでしょうか。作家や漫画家が「ボツ!」と言われてピリピリしているイメージがありますよね。本章ではその誤解を払拭します。また、図表やイラストはどうするのか? などといった、原稿執筆に関する素朴な疑問や、原稿の自己添削である推敲のコツなどについてもお答えします。

第6 章は他の章と比べると異色の章です。名刺の作成やサインの準備など、今回の出版とは必ずしも関係はありません。しかし、今後皆さんが「著者」になるにあたり、きっと役に立つと思われる項目についてお話しします。

第7 章は、校正の仕方から完成した本が書店に並ぶまでについて説明します。校正・編集用語を整理し、校正記号を習得して、本の仕上がりの最終段階を着実に進めていきましょう。完成した本を初めて手に取ったときの感動を皆さんも味わってください。

第8章は、出版社側から出版の打診を受ける方法、「受動的出版アプローチ」を概説します。出版社から声をかけられるということは、自分の実力がある程度世間に認められているということです。本書は「まだ無名の医療者のための出版術」について述べた本なので、即効性はないかもしれませんが、将来のためにきっと役立つと思います。個人のブログやインターネットサイトを始めたり、自分の売りや強みを見つめ直してみたり、自分の価値の高め方、アピールの仕方について、一緒に考えていきましょう。

第9 章は、出版後の人生についてお話します。一般書のベストセラーであれば別ですが、医学書であれば、「出版後に人生が大きく変わる」とまではいかないでしょう。しかし、出版するとよい変化が訪れるのも事実です。私の経験を中心にお話します。

第10 章は、これから皆さんが原稿を執筆するにあたって、私からのアドバイスです。執筆は長い道のりです。文章を書くことを生業としていない私たち医療者にとっては、文章術や時間管理術の習得は必ずや役に立つでしょう。そのさわりの部分を紹介します。

このような形で、全部で10 個の章が皆さんをお待ちしています。一般論だけではなく、時には私自身の経験や体験談を、時には私が影響を受けたアドバイスやエピソードを、そして時には私なりのユーモア(ちょっとわかりにくい?)やマンガに関連したネタを交えながら解説していきます。

さあ、出版への第一歩はこちらです。

2020年1月

山本基佳

目次

第1章 いざ出版を目指して

私が医学書を書こうと思ったきっかけ

自分のネタはどうやって出版社へ届くのか

私たちは「修学旅行のしおり」も満足に作れない

出版の主な形式(商業出版と自費出版)

共著や原稿執筆依頼について

Column はじめての原稿執筆

商業出版への道を逆算して考えてみる 「能動的出版アプローチ」と「受動的出版アプローチ」

第2章 能動的出版アプローチの準備

「能動的出版アプローチ」とは 原稿・出版企画書・業績一覧の準備

原稿と目次

出版企画書

業績一覧

Column 業績一覧を作っておきなさい

第3章 出版企画書の書き方

出版企画書の書き方

「2度見」させるタイトル! タイトル・サブタイトル・キャッチコピー

自分はこんな人! 著者名・著者プロフィール・監修者

本は自分が書きたいことを書くのではない? 本書の内容・企画意図・企画の背景

「ピ○チュウ! キミにきめた!」 読者ターゲット

Column 難しい内容をわかりやすく書く ~各専門職のジュニアレベルを目指す~

あなたのテーマはすでに二番煎じ? 類書・類書との差別化・類書がある本は書いてはいけないのか?

Column 類書がない本は書いてはいけないのか?

完成された本をイメージしてみよう 本の体裁

サザエさんの伊佐坂先生にならないために 原稿完成の予定

その他いろいろ 企画書の要望・有利な条件

出版企画書のまとめ

第4章 企画書の送付・ボツ・快諾まで

どの出版社にお願いする? 自分の体験談・複数の却下から快諾まで

もし断られ続けてしまったら

第5章 企画が受理されてから原稿提出まで

出版社が決まってからの流れ

担当編集者との打ち合わせ

Column 余白への気遣い

打ち合わせにあたる心構え

いざ原稿の完成に向けて

原稿執筆にあたって気になる素朴な疑問

推敲

ついに原稿を提出

第6章 原稿の提出直後に行うべきこと

原稿の提出直後に行うべきこと

プロフィール作成

名刺の作成

サインの準備 小学生からせがまれるようなかっこいいサインを準備しよう

次回作の検討

第7章 校正から最終段階、そして出版へ...

原稿提出後の流れ

校正ミニ用語辞典

校正はすごい! 編集されたゲラに感動

著者校正をやってみた

Column 校正記号

本の仕上がり最終段階

ついに出版 出版社から完成した本が届いたときの喜び

リアル書店にも並んでいた!

第8章 受動的出版アプローチ

「受動的出版アプローチ」とは

ブログやインターネットサイトのすすめ

「出版をしたい」と話し続ける

自分が実力者になる

Column 10,000時間を達成するには?

王道は努力! あしたのために 打つべし!打つべし!! 打つべし!!!

Column 型破りになるためにはまず型を学べ

第9章 出版後の人生

「出版熱」をあと1℃だけ高めるお手伝い

出版後の人生は変わったか?

感謝したい人たちがいる 思いもよらないところからの応援

ここだけの話 ......印税

第10章 これから本を出版する方へのアドバイス

文章術について

Column いまでも役に立っている医学部での日本語授業

締切を守るコツ

時間確保について

環境作りについて

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対応機種

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    iOS 10.0 以降

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    AndroidOS 5.0 以降

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    ダウンロード時に必要なメモリ:74.0MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcherが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784840471985
  • ページ数:0頁
  • 書籍発行日:2020年3月
  • 電子版発売日:2020年3月13日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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特記事項

※今日リンク、YNリンク、南山リンクについて、AndroidOSは今後一部製品から順次対応予定です。製品毎の対応/非対応は上の「便利機能」のアイコンをご確認下さいませ。


※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。


※コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcher(iOS/iPhoneOS/AndroidOS)が必要です。


※書籍の体裁そのままで表示しますため、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。