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- 厳選41症例から示す治療戦略 脊髄腫瘍の臨床 [動画付き]
商品情報
内容
基本症例を23症例、治療困難例を18症例、合計41症例を厳選し、更にクリニカルクエスチョン形式で脊髄腫瘍に関する臨床での疑問に徹底的に答えました。画像所見・手術所見をまとめた動画で更に理解が深まります。
序文
脊椎脊髄外科の分野で,脊髄腫瘍は難治性疾患の1 つである.特に脊髄髄内腫瘍は,常に神経麻痺との戦いを手術中に強いられる.ここ約30 年間,顕微鏡や手術器具の近代化,そして何より術中脊髄モニタリングの進歩発展に支えられて,手術後の神経麻痺を最小限に抑えて腫瘍を切除する方法が追究されてきた.しかし,その技術を取り入れ熟練するのには十分なトレーニングが必要である.
脊髄腫瘍は症例が少なく,また長時間を要する手術も多く,症例が紹介されて大学に集中することが多い.大学は学問をする場であり,腫瘍の全摘出を心がけることになる.その結果,腫瘍は全摘出されても,手術後のADL やQOL が低下し,日常生活に支障をきたす症例が過去にはみられた.
腫瘍の性質をよく研究して,術中の脊髄モニターを注意深く見つめながら,脊髄腫瘍を全摘出することを心がけるのは当然であるが,患者のADL やQOL を重要視するような医の心を術者に育てることも重要である.この本を読んでいただいて,その医の心が十分に伝わることを願っている.
さて,腫瘍を消滅させるために必要な保存療法,特に新規薬剤の開発と,神経麻痺を最小限にしていかに腫瘍を安全に摘出するかという研究が今後とも絶え間なく必要である.
この本は,外科的に腫瘍を切除する方法を追究してきた名古屋脊椎グループ(Nagoya Spine Group:NSG)および浜松の脊椎グループのこれまでの成果を記録し,今後この道を進む者への参考資料とするものである.ここに記された内容を糧としていただき,脊髄腫瘍の患者の手術後の人生が少しでも明るい,より良い方向に向かうことを願うものである.
神径医療環境研究所所長
元名古屋大学整形外科助教授 脊椎班リーダー
見松 健太郎
目次
【第1章 基本23症例】
<I 髄内腫瘍>
〔a|上衣腫〕
◆case 01 肉眼的全摘出術を行った頚椎部上衣腫の1例
◆case 02 可及的摘出術にとどめた胸椎部上衣腫の1例
◆case 03 頚髄上衣腫にて手術を行った1例
〔b|海綿状血管腫〕
◆case 04 初回出血後に腫瘍摘出術を行った髄内海綿状血管腫の1例
◆case 05 髄内海綿状血管腫で再出血を起こした1例
◆case 06 髄内海綿状血管腫の出血後,回復期に腫瘍を摘出した1例
〔c|血管芽腫〕
◆case 07 頚椎部に生じた髄内血管芽腫の1例
◆case 08 髄内病変と髄外病変を有する胸椎部血管芽腫の1例
◆case 09 長大な脊髄空洞を伴った血管芽腫の1例
〔d|星細胞腫〕
◆case 10 頚椎部に生じた巨大な星細胞腫の1例
◆case 11 術後3ヵ月で腫瘍播種を認め,化学療法および放射線療法を施行した脊髄星細胞腫の1例
〔e|転移性腫瘍〕
◆case 12 肺腺癌の転移性髄内腫瘍を発症した1例
◆case 13 乳癌手術18年の後に再発した転移性脊髄髄内腫瘍の1例
<II 髄外腫瘍>
〔f|神経鞘腫〕
◆case 14 神経鞘腫:第12胸椎レベルの1例
◆case 15 胸髄に発生した神経鞘腫の1例
〔g|髄膜腫〕
◆case 16 胸髄を前側方より圧排する髄膜腫の1例
◆case 17 両下肢の神経症状が1年以上診断されなかった胸椎髄膜腫の1例
〔h|神経線維腫〕
◆case 18 神経線維腫症II型に合併した髄外腫瘍
〔i|転移性腫瘍〕
◆case 19 転移性脊椎腫瘍(肺腺癌)
<III 血管性腫瘍>
〔j|AVF〕
◆case 20 L2高位にshunting pointをもつ脊髄硬膜AVF
◆case 21 脊髄辺縁部(perimedullary)AVF
◆case 22 血管内塞栓治療が奏功したAVFの1例
〔k|AVM〕
◆case 23 外科的に切除した髄内AVMの1例
【第2章 脊髄腫瘍クリニカルクエスチョン】
◆01 分類・頻度(名古屋脊椎グループでの統計)
◆02 脊髄腫瘍の悪性度はどのように決まるのか
◆03 脊髄髄内腫瘍摘出の難易度はどこで決まるのか
◆04 術中脊髄機能モニタリングの実際
◆05 椎弓切除を短時間で済ませる方法
◆06 上手な脊髄正中切開法とは
◆07 腫瘍と正常組織の境界は
◆08 神経根は切断しても大丈夫か
◆09 術中の脊髄への牽引圧迫はどの程度まで許されるか
◆10 脊髄への進入路はどう選ぶのか
◆11 脊髄海綿状血管腫の扱い方
◆12 脊髄髄膜腫の扱い方
◆13 脊髄空洞のある腫瘍はどのように進入するか(上衣腫を例にして)
◆14 再発髄内腫瘍摘出の成功のポイント
◆15 患者の術前の要望をどのように受け止めて対応するか
◆16 脊柱の再建方法は
◆17 手術前の準備は
◆18 手術中の配慮は
◆19 手術後の対応は
◆20 脊髄腫瘍術後の痛みの評価と薬物治療
◆21 脊髄腫瘍の手術成績(髄内腫瘍と硬膜内髄外腫瘍)
◆22 反省すべき症例から得た教訓は
◆23 髄内腫瘍ワンポイントアドバイス(髄内腫瘍腹側にある栄養動脈の止血)
◆24 小児の脊髄髄内腫瘍(手術後の長期経過観察)
【第3章 治療困難例18症例】
◆case 24 海綿状血管腫による腫瘍内出血により両下肢完全麻痺となった1例
◆case 25 初回出血で完全麻痺となった海綿状血管腫の1例
◆case 26 宗教的輸血拒否の頚髄海綿状血管腫症例
◆case 27 異常血管のような海綿状血管腫
◆case 28 髄内出血で発症し,待機的に手術を行った小児脊髄髄内動脈瘤の1例
◆case 29 術前診断に難渋した硬膜外海綿状血管腫症例
◆case 30 von Hippel-Lindau病に伴う脊髄血管芽腫の1例
◆case 31 他院で摘出を断念された血管芽腫の1例
◆case 32 脊髄軟膜に癒着し,髄外に存在した血管芽腫
◆case 33 脊髄円錐部に発生した嚢腫
◆case 34 術後髄液漏が生じた上衣腫再発の1例
◆case 35 再発上衣腫に対し,再手術を施行した1例
◆case 36 粘液乳頭状上衣腫:完全切除が困難であった1例
◆case 37 初回生検から11年後に再生検し確定診断を得た星細胞腫の1例
◆case 38 急速な転帰をたどった星細胞腫症例
◆case 39 放射線・化学療法にて神経症状が回復するも,腫瘍再増大をきたした退形成性上衣腫の1例
◆case 40 原発性の扁平上皮癌と診断した1例
◆case 41 von Hippel-Lindau病に発生した2種類の脊髄腫瘍
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書籍情報
- ISBN:9784840456197
- ページ数:232頁
- 書籍発行日:2016年2月
- 電子版発売日:2017年12月8日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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