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腫瘍病理鑑別診断アトラス 腎癌

長嶋 洋治, 黒田 直人, 松嵜 理 (編集)

株式会社 文光堂

264 頁  (2013年11月)

Android 対応製品 iOS/iPhoneOS対応製品

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リリース日: 2019年03月15日

腎癌の病理診断のスタンダードをめざした腫瘍病理鑑別診断アトラス!

腎実質上皮性腫瘍のみならず,非上皮性腫瘍,混合性腫瘍,小児腫瘍も含めた腎腫瘍の日常診断に即役立つアトラス.疾患毎の解説,鑑別診断,臨床との連携を含め詳述する.

>『腫瘍病理鑑別診断アトラス』シリーズ

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腎実質上皮性腫瘍のみならず,非上皮性腫瘍,混合性腫瘍,小児腫瘍も含めた腎腫瘍の日常診断に即役立つアトラス.疾患毎の解説,鑑別診断,臨床との連携を含め詳述する.


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このたび,腫瘍病理鑑別診断アトラスシリーズの一環として,「腎癌」が選ばれた.本書名は「腎癌」ではあるが,腎癌取扱い規約が「取扱う」対象である「腎実質上皮性腫瘍」にとどまらず,非上皮性腫瘍,混合性腫瘍,小児腫瘍を併せて掲載する.編集にあたっては,各症例を経験し,発表された先生方,特に若手を中心に執筆をお願いした.

2011年に腎癌取扱い規約(第4版)が出版された.第3版の出版は1999年であり,12年ぶりの改訂である.今回の改訂では2004年のWHO分類に準拠して組織型分類項目が設けられた.新たにXp11.2転座型腎細胞癌,粘液管状紡錘細胞癌が加わり,顆粒細胞癌が抹消された.

こうした組織型の細分化は,淡明細胞癌における癌抑制遺伝子であるvon Hippel︲Lindau病遺伝子,家族性乳頭状腎細胞癌における責任遺伝子であるc︲metやfumarate hydratase遺伝子の同定に裏づけられたものである.最近では嫌色素性腎細胞癌,オンコサイトーマを好発するBirt︲Hogg︲Dubé症候群の責任遺伝子FCLNもクローニングされている.腎細胞癌の範疇にとどまらず,腎芽腫抑制遺伝子WT1,結節性硬化症責任遺伝子で,血管筋脂肪腫,類上皮性血管筋脂肪腫の発生に関わるTSC1,TSC2遺伝子も同定されている.各腫瘍の責任遺伝子が同定され,コードする蛋白の機能が知られるようになったことから,腎腫瘍の治療に分子標的治療が導入されるようになった.淡明細胞型腎細胞癌をはじめとする腎細胞癌切除不能例や転移例で血管内皮成長因子(VEGF)とその受容体を標的とした分子標的治療が導入されてから数年が経つ.いまだに各症例での奏効性を予想することは困難であるが,免疫療法との組み合わせや薬剤の変更を行う,または術前にmass reductionさせ,切除可能な状態にしえたなどの報告がみられる.放射線画像のみならず病理組織所見に基づいた効果判定が求められる機会も多くなるであろう.さらに,こうした動向と相まって,術前の正確な組織型診断が求められ,放射線画像診断や,切除不能例の針生検による診断の需要が高まると思われる.

以上を踏まえ,本書ではWHO分類2004や腎癌取扱い規約を包含し,腎に発生する腫瘍を対象とした.まず第1部(検鏡前の確認事項)で,腎腫瘍(特に腎実質上皮性腫瘍)の分類の歴史,検体の取扱いに加え,診断に有用な免疫組織化学染色を総論的に概説した.また,分類の変遷の起動力となってきた分子生物学的知見を概説した.第2部(組織型と診断の実際)では腎上皮性腫瘍,非上皮性および混合性腫瘍,小児腫瘍に分け,各組織型の肉眼,病理組織像などを概説した.非上皮性腫瘍には血管肉腫,骨肉腫,滑膜肉腫,孤在性線維性腫瘍,末梢性神経外胚葉腫瘍といった骨軟部腫瘍としてみられることのほうが多いものがWHO分類に盛り込まれている.これらについては本シリーズの他書を参照いただくこととして,血管筋脂肪腫,類上皮性血管筋脂肪腫,傍糸球体細胞腫瘍といった腎に固有のものに限定して掲載した.第3部(鑑別ポイント)では,日常の診断で鑑別に苦慮する組織型の診断のポイントを紹介した.第2部で割愛した腫瘍の中で,鑑別候補として問題になってくる腫瘍(滑膜肉腫など)はここに取り上げた.第4部(臨床との連携)では,疫学,診断(画像),治療(分子標的治療を含む)を第一線の臨床の先生方にご執筆いただいた.

本書が腎腫瘍の日常病理診断にあたっての座右の書となることを祈念している.


平成25年11月

長嶋 洋治
黒田 直人
松嵜 理


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第1部 検鏡前の確認事項

Ⅰ.腎腫瘍組織分類の現状

1.腎細胞性腫瘍

2.後腎性腫瘍

3.後腎芽細胞性腫瘍

4.間葉性腫瘍

5.混合性腫瘍

6.神経内分泌腫瘍

II.病理標本の取扱い方

1.根治的腎摘除術検体の扱い方

2.腎部分切除検体の扱い方

3.腎細切除去morcellation nephrectomy

4.小児腎腫瘍

III.腎腫瘍の免疫組織化学

1.正常腎組織における免疫組織化学的特徴

2.腎腫瘍の診断に用いる代表的な免疫組織化学的マーカー

3.腎腫瘍の各組織型における免疫組織化学

4.細胞形態および組織形態の類似性からみた腎腫瘍の鑑別診断

5.針生検組織における腫瘍診断

6.腎細胞癌の転移の診断

IV.特殊検査法(分子生物学的手法)

1.染色体解析法

2.癌の網羅的染色体解析によって何が明らかになるか
─アレイCGH解析でわかること─

第2部 組織型と診断の実際

Ⅰ.上皮性腫瘍

1.淡明細胞型腎細胞癌

2.多房囊胞性腎細胞癌

3.乳頭状腎細胞癌

4.嫌色素性腎細胞癌

5.集合管癌

6.腎髄質癌

7.Xp11.2転座型腎細胞癌

8.神経芽腫随伴腎細胞癌

9.粘液管状紡錘細胞癌

10.乳頭状・管状乳頭状腺腫

11.オンコサイトーマ

12.後腎性腺腫

13.紡錘細胞癌(類肉腫癌)

14.TFEB転座型腎細胞癌

15.ALK転座型腎細胞癌

16.管状囊胞癌

17.BHD(Birt-Hogg-Dubé症候群)関連腎腫瘍

18.透析関連腎腫瘍

19.腎カルチノイド(神経内分泌腫瘍)

II.非上皮性および混合性腫瘍

1.傍糸球体細胞腫

2.血管筋脂肪腫

3.類上皮性血管筋脂肪腫

4.囊胞性腎腫と混合性上皮間質性腫瘍

5.腎髄質間質細胞腫瘍

III.小児腫瘍

1.腎芽腫

2.先天性間葉芽腎腫

3.明細胞肉腫

4.悪性ラブドイド腫瘍

第3部 鑑別ポイント

Ⅰ.淡明または好酸性細胞質をもつ腎腫瘍の鑑別

1.淡明細胞型腎細胞癌

2.嫌色素性腎細胞癌

3.類上皮性血管筋脂肪腫

4.オンコサイトーマ

5.黄色肉芽腫性腎盂腎炎

II.小型細胞からなる腫瘍

1.臨床的事項

2.腎芽腫

3.後腎性腺腫

4.滑膜肉腫

5.PNET/Ewing肉腫

III.乳頭状,管状乳頭状構築を示す腫瘍の鑑別

IV.囊胞状構築を示す腫瘍の鑑別

1.囊胞性腎腫

2.混合性上皮間質性腫瘍(MEST)

3.多房囊胞性腎細胞癌

4.淡明細胞型乳頭状腎細胞癌

5.その他の囊胞を主体とする腎腫瘍の鑑別疾患

Ⅴ.浸潤性増殖,紡錘形細胞からなる腫瘍の鑑別

1.集合管癌

2.腎浸潤性尿路上皮癌

3.紡錘細胞癌(類肉腫癌)

4.高悪性度乳頭状腎細胞癌

5.粘液管状紡錘細胞癌

第4部 臨床との連携

Ⅰ.腎癌の疫学

1.我が国における腎発生癌の疫学調査

2.腎癌研究会による疫学調査結果

3.腎癌の発症と予防

4.腎癌の臨床─診断

5.腎癌の臨床─治療

6.自施設における腎癌調査結果

II.腎腫瘍性病変の放射線画像診断

1.質的診断の手順

2.各疾患の画像所見

III.腎腫瘍性病変の進行期と治療方針・予後

IV.家族性腫瘍症候群への対応

1.ヒト腎癌の組織学的分類とヒト遺伝性腎癌の分類

2.von Hippel-Lindau(VHL)病

3.遺伝性乳頭状腎癌1型と2型

4.Birt-Hogg-Dubé(BHD)症候群

5.結節性硬化症(TS)

6.最近のトピックス

7.遺伝カウンセリング

8.インフォームド・コンセント

9.研究試料の扱い

Ⅴ.病理診断報告書の記載

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