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医療訴訟の「そこが知りたい」‐注目判例に学ぶ医療トラブル回避術

  • ページ数 : 288頁
  • 書籍発行日 : 2010年6月
  • 電子版発売日 : 2012年7月7日
¥4,180(税込)
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商品情報

内容

医療訴訟の今がわかる!
この10年間の医療訴訟トレンドと、新時代の訴訟対応ノウハウがこの1冊に。
医師、病医院経営者、医学生、看護師必携の1冊です。

序文

医師向け総合誌『日経メディカル』に好評連載中の記事、「医療訴訟の『そこが知りたい』」に掲載した判例解説を中心に、最近10年間の主な医療関連訴訟をまとめたのが本書です。連載では取り上げなかった「福島県立大野病院事件判決」を新たに書き下ろすとともに、総説として「この10年の医療訴訟のトレンド」も収録しました。

本書では、47に上る裁判の判決文をわかりやすく要約、裁判官がどうしてその判決を下すに至ったのかの理由や背景のみならず、判決の問題点についても分析しています。各ケースの最後にある「3分でわかる判決のポイント」を読むだけでも、医療関係者が、病医院で起こる様々なトラブルを回避するためのノウハウを学べる構成になっています。

「医療訴訟の『そこが知りたい』」の連載が『日経メディカル』でスタートしたのは2006年9月です。当時は、1999年に起きた「横浜市立大・患者取り違え事件」「都立広尾病院・注射器取り違え事件」の余波がまだ残っており、医療機関にとっては厳しい判決が相次いでいました。その後、小泉政権下での医療費抑制策や新医師臨床研修制度などを背景に、医療崩壊が進み、世の中の医療を見る目に変化が生じました。そして08年の大野病院事件の被告医師の無罪判決を経て、現在はかつてのような、医療機関には酷ともいえる理不尽な判決は減ってきているようです。

しかし、それも現時点での「傾向」にしか過ぎません。医療安全に対する国民の期待はかつて以上に高まっています。その期待に反して重大事故が起きれば、(たとえ事故を起こしたのが1医療機関であっても)医療界に対する世間の視線は再び厳しいものに変わるでしょう。

「その時に備えるため」――というわけではありませんが、日本の医療裁判史上、まれにみる激動の10年間を振り返っておくことは、医療安全をより発展させるためにも、さらには無用な裁判を回避するためにも大変意味のあることだと考えます。加えて、裁判における「過失」や「因果関係」の考え方の変遷や、「説明義務」についての最近の解釈は、臨床の現場に立つ方々に大いに参考になるはずです。

本書は、医療に携わるすべての医師、病医院の経営者に読んでいただきたいと思います。さらに「横浜市立大・患者取り違え事件」も「都立広尾病院・注射器取り違え事件」も知らない、若い世代の医師、看護師(医学生、看護学生)の方々にも、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。

本書の編集作業は、日経メディカル副編集長の豊川琢が行いました。また、同連載の執筆陣である、弁護士の石黒敏洋氏、北澤龍也氏、桑原博道氏、田邉昇氏、平井利明氏、蒔田覚氏、水澤亜紀子氏(田邉氏と水澤氏は医師でもあります)には、本書の編集に際しても、多大なご協力をいただきました。厚く御礼申し上げます。


2010年 6月

日経メディカル編集長
千田敏之

目次

第1章 この10年の医療訴訟のトレンド

1.医療訴訟件数の推移

2.判決・訴訟内容の傾向

3.民事の最高裁判例について

4.今後の見通し

5.医療機関の今後の対応

第2章 『47の裁判事例に学ぶ』注目裁判を読み解く

「横浜市立大・患者取り違え事件」患者取り違えに気付かず手術予防体制次第では無責の余地(最高裁2007年3月26日判決)

「都立広尾病院・注射器取り違え事件」異状死基準で注目の判断「医療過誤なら届け出」は誤解(東京高裁2003年5月15日判決)

「杏林大・割りばし死事件」 「割りばし事故」で医師無責刑事・民事で過失判断に違い(刑事事件:東京地裁2006年3月28日判決、民事事件:東京地裁2008年2月12日判決)

「福島県立大野病院事件」胎盤剥離で産婦が失血死「医学的準則」から医師無罪(福島地裁2008年8月20日判決)

「川崎協同病院事件」家族の要請で呼吸器取り外し有罪ながら最も軽い刑罰適用(東京高裁2007年2月28日判決)

「軽井沢町軽井沢病院事件」医療事故は「信頼を裏切る行為」交通事故より高額の慰謝料認定(東京地裁2006年7月26日判決)

治療・処置関連

イレウス手術で“植物状態” 責任は担当医より麻酔科医に(札幌地裁2002年6月14日判決)

因果関係ないのに損害賠償患者に対する温情措置か(東京地裁八王子支部2005年1月31日判決)

健診の採血で神経損傷 安易な過失判決に疑問(仙台高裁秋田支部2006年5月31日判決)

頭部手術の遅延で医師に過失 疑問点多い不可解な判決(福岡高裁2006年10月26日判決)

大腸ポリープ切除でショック死 輸血量不足に「有責」と最高裁(最高裁2006年11月14日判決)

カテーテル感染の処置に過失余命短くても高額な賠償金(東京地裁2006年11月22日判決)

暴れる精神病患者に鎮静剤「問診足りない」と医師敗訴(京都地裁2006年11月22日判決)

ミスによる障害の治療受けず治癒可能性放棄で賠償減額(高松高裁2007年1月18日判決)

血栓溶解療法で脳出血死 指針に照らして治療適用なし(福岡高裁2008年6月10日判決)

添付文書上は禁忌でも医師の過失は認めず(大阪地裁2009年3月23日判決)

全身・局所麻酔時に患者死亡 過剰投与との因果関係を認定(最高裁2009年3月27日判決)

診察・診断関連

検査を拒否した患者が急死 医師の説得はどこまで必要か(札幌地裁2001年4月19日判決)

抗菌薬で患者がショック死 医師の指示不足が過失に(最高裁2004年9月7日判決)

膨張する「説明義務」の範囲適応ない治療法にも説明要求(高松高裁2005年6月30日判決)

乳児のヘルペス脳炎を疑わず「先進性」「専門性」理由に有責(名古屋高裁2006年1月30日判決)

開心術後に腸管壊死で死亡 診断・治療の遅れに過失認定(最高裁2006年4月18日判決)

チーム医療の総責任者に直接の説明義務なし(最高裁2006年4月24日判決)

健康診断で肺癌を見落とし「5年生存率低下」に400万円(東京地裁2006年4月26日判決)

入院の勧め足りず医師敗訴 カルテ加筆疑いで心証悪く(東京地裁2006年10月18日判決)

動脈瘤の手術合併症で患者死亡 一見十分な患者説明に落とし穴(最高裁2006年10月27日判決)

患者に適切に告知すれば近親者への説明義務なし(名古屋地裁2007年6月14日判決)

転医指示せず開業医に過失胃癌鑑別のための検査勧めず(名古屋地裁2007年7月4日判決)

HCV 検査勧めるも患者受けず医師の説明・説得に過失(大阪地裁2007年7月30日判決)

カテーテル誤挿入で醜状痕過度に求められた説明義務(京都地裁2007年11月22日判決)

疾患の鑑別前に患者が死亡 他科への併診指示の義務なし(東京地裁2008年2月22日判決)

心タンポナーデ措置に遅れ 理解しがたい過失判決(京都地裁2008年2月29日判決)

専門外の疾患で患者死亡 医師に診療契約上の過失なし(東京地裁2008年9月11日判決)

典型症状欠く肺塞栓症で死亡 検査義務争われるも医師無責(大阪地裁2008年11月25日判決)

行政・法律解釈関連

患者が薬物犯罪者と判明したら通報は「正当な行為」と最高裁(最高裁2005年7月19日判決)

診療録の開示請求権を否定 自主的な紛争解決が前提に(東京地裁2007年6月27日判決)

宿日直を通常労働と認定割増賃金の支払い命じる(奈良地裁2009年4月22日判決)

混合診療の原則禁止は適法一審と控訴審で判断分かれる(東京高裁2009年9月29日判決)

看護関連・その他

事故調査報告書の作成に注意裁判所が提出を命じるケースも(東京高裁2003年7月15日決定、広島高裁岡山支部2004年4月6日決定)

セクハラ疑惑の医師が逆提訴名誉棄損など認められず敗訴(東京高裁2006年8月31日判決)

若い医師がうつ病で自殺 病院に安全配慮義務違反(大阪地裁2007年5月28日判決)

勤務医の過失で患者死亡 病院より医師の責任重く(盛岡地裁2007年6月5日判決)

おにぎり誤嚥し患者死亡 見守り不十分で過失判決(福岡地裁2007年6月26日判決)

医療裁判の報道で名誉棄損 医師が自力でテレビ局に勝訴(東京地裁2007年8月27日判決)

入院患者がベッドから転落 医師や看護師に過失なし(大阪地裁2007年11月14日判決)

迷惑な長期入院患者 通院可能と判断し退院命じる(岐阜地裁2008年4月10日判決)

身体拘束に「適法」判断 最低限の受傷防止策と最高裁(最高裁2010年1月26日判決)

索引

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書籍情報

  • ISBN:9784822261283
  • ページ数:288頁
  • 書籍発行日:2010年6月
  • 電子版発売日:2012年7月7日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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特記事項

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