• ページ数 : 216頁
  • 書籍発行日 : 2017年10月
  • 電子版発売日 : 2018年4月27日
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商品情報

内容

最新情報を盛り込み、4年ぶりの改訂!

米国の人気歌手が闘病を公表し注目を集めた『線維筋痛症』
日本でも約200万人の有病率を占めていると言われているが、本疾患に対する正しい情報が欠如しているのが現状です。本症の治療薬が保険適用され診療報酬請求ができるようになったことなど、この数年間に生じた状況の変化を踏まえ、本症の病態・診断・治療などをつぶさに解説します。

序文

はじめに

▶線維筋痛症は,わが国においても人口の約1.7%(約200万人)の有病率を占め,欧米と同様に比較的頻度の高い疾患であるが,ごく最近までなじみのない疾患として,限られた医療機関でしか診療されてこなかった。そこで,厚生労働省がわが国における実態,診断基準の作成,診療体制の整備などを目的に2003年に調査研究班を発足させた。一方,わが国の線維筋痛症に関する基礎的,臨床的研究の推進,診療体制の構築,患者の支援などを目的に2007年に線維筋痛症研究会(2009年に日本線維筋痛症学会へ改組)が発足した。これらが契機となって,わが国において保険適応の薬剤がまったくなく,しかもエビデンスがないにもかかわらず,診療の手引き的な「線維筋痛症診療ガイドライン2009」(公益財団法人日本リウマチ財団発行)を作成した。

▶その後,線維筋痛症に対して欧米では既に認可されているプレガバリン,デュロキセチンなどの国内治験が開始・企画されるようになったことを背景に,日本線維筋痛症学会(2013年に一般社団法人化)が中心となって,「線維筋痛症診療ガイドライン2011」,「線維筋痛症診療ガイドライン2013」を作成し,公開してきた。これら両ガイドラインは公益財団法人日本医療機能評価機構EBM医療情報部Mindsのガイドライン選定部会で採択され,Mindsホームページで広く公開された。その結果,線維筋痛症がわが国でも医療者のみならず広く社会にも認知されるようになり,プライマリケアレベルでも診療されるようになってきた。しかしながら,初期治療でコントロールできない症例や疾患バイオマーカーのないことから,少なからず診断に問題のある症例,あるいは併存疾患が十分考慮されていないことから臨床上の問題症例が相対的に増えている傾向が目立つようになった。

▶一方,診療ガイドライン作成から数年が経過し,ガイドライン作成法に関する国際標準がわが国でも一般的となってきたことから,旧ガイドラインを大幅に改定する必要性に迫られた。そこで,日本線維筋痛症学会と国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)線維筋痛症研究班の合同で作成することとなった。すなわち,市民・患者代表の参加,関連学会の外部評価とパブリックコメントも行い「診療ガイドライン作成の手引き2014」に準じ,エビデンスの質の評価や推奨度の決定はGRADE(The Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)Systemにより,さらにAGREE Ⅱ(The Appraisal of Guidelines forResearch&Evaluation Ⅱ)に含まれる6領域をできるだけ明確化するように作成することを原則とした。今回のガイドラインの構成は3部構成とし,第1部は線維筋痛症に対する正しい理解とわが国における基礎・臨床研究の示唆となるように専門家による疾患の解説と最近のトピックスをまとめ,第2部は世界標準による本来のガイドラインとし,第3部は実臨床において線維筋痛症の診断,鑑別,治療・ケアに必要な情報をガイドラインに基づく資料としてまとめたものである。したがって,2017年版はまさに線維筋痛症症例を目の前にして,座右の教科書となれば望外の喜びである。

▶最後に,このガイドライン作成,編集,公開にあたって,汗をかいて頂いた作成チームの諸氏に感謝するとともに,出版に多くの汗をかいて頂いた日本医事新報社出版局の磯辺栄吉郎氏に深謝します。


2017年8月盛夏

一般社団法人日本線維筋痛症学会 理事長
西岡 久寿樹
AMED線維筋痛症研究班 代表(ガイドライン作成委員長)
松本 美富士

目次

第1部 疾患の解説とトピックス

1-1 ガイドライン改訂の背景

1-2 疾患の解説

1-3 トピックス

a 慢性疼痛の基礎科学の進歩

b 脳内神経炎症と線維筋痛症/慢性疲労症候群

c 高齢者/若年者の疾患特性

① 高齢者

② 若年者

d 最近注目されている,鑑別すべき重要疾患

① 線維筋痛症と神経内科疾患の鑑別

② リウマチ性疾患,特にシェーグレン症候群とSAPHO症候群

③ 身体症状症および関連障害(DSM-5)

④ 新たな疾病概念:全身性労作不耐疾患
(SEID:systemic exertion intolerance disease)

e 新規薬物:デュロキセチン,アミトリプチリン,ベンラファキシン,ミルタザピン

f 治療学の将来展望~Pain治療へのtotal managementの提唱~

第2部 線維筋痛症診療ガイドライン2017

2-1作成手順

2-2 Clinical Questions(CQs)一覧

2-3 Clinical Questionsの推薦文と解説

総論

①疾患概念

CQ1-1:線維筋痛症とはどのような疾患か

②疫学

CQ2-1:わが国の線維筋痛症の患者数はどれくらいか

CQ2-2:わが国の線維筋痛症の性差・年齢分布はどうであるか

③経過・予後

CQ3-1:線維筋痛症患者の日常生活動作(ADL),生活の質(QOL)の状況はどうであるか

CQ3-2:線維筋痛症の生命予後はどうであるか

④病態

CQ4-1:線維筋痛症の病因・病態はどこまでわかっているか


臨床的事項

⑤誘因

CQ5-1:線維筋痛症の発症の契機には何があるか

⑥臨床症状・併存疾患

CQ6-1:わが国の線維筋痛症の臨床症状はどのようなものか

CQ6-2:線維筋痛症の診断にどの基準を用いるか

CQ6-3:線維筋痛症の併存疾患(comorbidity)には何があるか

CQ6-4:線維筋痛症の重症度評価には何があるか


治療とケア

⑦基礎療法

CQ7-1:わが国の線維筋痛症に対する生活指導には何があるか

⑧薬物療法

1)治療総論

CQ8-1:線維筋痛症に対する薬物療法にアルゴリズムの原則はあるか

2)神経障害性疼痛治療薬

CQ8-2:わが国の線維筋痛症に対するプレガバリンの有効性はどうか

CQ8-3:プレガバリンが使用できない場合の同系統の薬剤のオプションには何があるか

3)抗うつ薬

CQ8-4:わが国の線維筋痛症に対するデュロキセチンの有効性はどうか

CQ8-5:そのほかの抗うつ薬は線維筋痛症に有効か

⑨そのほかの向精神薬

CQ8-6:抗うつ薬以外の向精神薬は線維筋痛症に有効か

CQ8-7:線維筋痛症の睡眠障害に対する睡眠導入薬の薬物療法はどうするか

5)鎮痛補助薬

CQ8-8:弱オピオイド系薬剤は線維筋痛症に有効か

CQ8-9:線維筋痛症に対して強オピオイド系薬剤(麻薬)の適応があるか

CQ8-10:そのほかの鎮痛薬は線維筋痛症に有効か

6)そのほかの薬物療法

CQ9-1:非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)は線維筋痛症に有効か

CQ9-2:グルコルチコイドは線維筋痛症に有効か

CQ9-3:ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液(ノイロトロピン®)は線維筋痛症に有効か

CQ9-4:生薬・漢方製剤は線維筋痛症に有効か

CQ9-5:神経ブロック,トリガー治療などは線維筋痛症に有効か

CQ9-6:そのほかの薬物療法で線維筋痛症に有効なものがあるか

⑩併用療法

CQ10-1:薬物の併用療法は線維筋痛症に有効か

⑪随伴症状に対する薬物療法

CQ11-1:ドライアイ,ドライマウスに対する治療は有効か

CQ11-2:下痢型過敏性腸症候群様症状に対する治療は有効か

CQ11-3:レストレスレッグス症候群(ムズムズ脚症候群)に対する治療は有効か

CQ11-4:付着部炎様症状に対する治療は有効か

CQ11-5:間質性膀胱炎・過活動膀胱様症状に対する治療は有効か

⑫非薬物療法

1)統合医療

CQ12-1:鍼治療は線維筋痛症に有効か

CQ12-2:そのほかの統合医療で線維筋痛症に有効なものは何か

2)運動療法

CQ12-3:運動療法(段階的有酸素運動)は線維筋痛症に有効か

CQ12-4:リハビリテーションは線維筋痛症に有効か

3)精神・心理療法

CQ12-5:認知行動療法(CBT)は線維筋痛症に有効か

4)そのほかの非薬物療法

CQ12-6:そのほかの治療(精神・心理療法)で線維筋痛症に有効なものは何か

⑬支持療法(ケア,セルフケア・マネジメントなど)

1)ケア

CQ13-1:線維筋痛症診療で必要な医療者の態度・姿勢は何か

CQ13-2:若年性線維筋痛症診療で入院の適応は何か

CQ13-3:線維筋痛症患者の家族・学校・職場において配慮すべき点は何か

2)セルフケア・マネジメント

CQ13-4:線維筋痛症患者に必要な病気との付き合い方(セルフケア・セルフマネジメント)に何があるか

CQ13-5:わが国における線維筋痛症に対する支援組織として何があるか

CQ13-6:わが国の線維筋痛症に対する公的補償制度には何があるか

CQ13-7:サプリメント・健康食品などは線維筋痛症に有効なものは何か

第3部 資料

3-1 線維筋痛症における傷病手当,身体障害者等級,障害年金の診断書等の発行についての基本的な考え方

3-2 診断基準・治療方針・薬物療法のエビデンスと推奨度一覧ほか

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書籍情報

  • ISBN:9784784954254
  • ページ数:216頁
  • 書籍発行日:2017年10月
  • 電子版発売日:2018年4月27日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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