糖尿病性足潰瘍の100例 あなたの患者さんはどのType?

  • ページ数 : 220頁
  • 書籍発行日 : 2016年2月
  • 電子版発売日 : 2019年1月11日
¥13,200(税込)
ポイント : 240 pt (2%)
今すぐ立ち読み
今すぐ立ち読み

商品情報

内容

神戸分類の本、アジアでの答えがここにある!

神戸分類の提唱者が自身の経験した100症例を神戸分類TypeI~TypeIVに分けてその治療経過を綴った症例集。写真多数で経過がわかりやすいのと、各症例から学んだ教訓を1行タイトルに纏めている点がユニーク。パンデミック的に増加する糖尿病性足潰瘍に関わる医療人には待望の、必携書籍。

序文

私は,研修医の頃から「創傷治癒」という分野に興味を抱き,臨床も研究もそれを生業としてきました。医師生活30年のうち前半15年を癌患者と,後半15年を下肢潰瘍患者と対峙する運命を辿りました。若い頃には,糖尿病があり足に創傷を有する患者さんに1年に1人出会うかどうかという状況でしたが,今では毎週どこに行っても遭遇する世情に移ってきています。かつては,既存の治療に抵抗する病態に出会い,容易に下肢大切断へと移行していくのを目の当たりにしても,「創傷治癒」専門としながら糖尿病のせい? 血流不足のせい? 感染のせい? であって,私の力量不足のせいではない,と思い込んでいました。それは全く身勝手な考えで,あまりにも病態を把握していなかったことに気づいた時には戦慄が走り,動揺しました。そして2002年頃,米国足病医との出会いは,「創傷治癒学」専門の私を根本から塗り替え,既存の医学・医療では太刀打ちできないことを思い知らされました。戦慄が自己啓発を呼び,創造を産んでいくことになります。欧米とは異なった,アジア人固有の糖尿病足の病態把握へと関心は進みました。その後,糖尿病性足潰瘍の治療は,血流改善を目的とするのではなく,創傷治癒のみを目指すのでもないことに気づきます。いま,治療の目的は患者さんの「歩行を守る」ことであるとはっきり言えます。血流改善や創傷治癒は,あくまでもそのための手段に過ぎない,との結論に至りました。

本書では,100人の糖尿病性足潰瘍の治療歴を述べ,すべて一旦は創傷を治癒せしめているわけですが,それは決して100 例のbest way ではなく,こうして治すというバイブルでもありません。癌患者とはまた異なった喪失感を経験するかもしれない,生身の人間に触れる医療記録です。この本を手にした医療人が,この100例とは全く別の足潰瘍を有す糖尿病患者に対峙した時にも,その道標が,この本のどこかにきっと潜んでいるはずだと思っています。

糖尿病性足潰瘍の診断学と治療学,そして摩訶不思議な歩行メカニズムの解明は,今後大いに発展していくに違いありませんが,これまでわたしたちが日本で習練してきた医学の域では解決していく方途が見つかりません。例えば,潰瘍発生予防のための腱延長術・腱切り術・腱移行術や骨格を変える手術であるprophylactic surgeryは,その適応患者数が潰瘍を有す患者数よりもはるかに多い。神戸分類は,この全く未知の世界への導入ツールです。これからの若い医療人が足病医学という未知の分野に入っていき,闇の世界を開拓し,多くのアジア人の脚を救う。本書がそのための指南書となれば,望外の喜びです。


2015年晩秋

神戸大学医学部形成外科 寺師 浩人

目次

第1章 救え!アジアの人の糖尿病足

1.アジアにおける糖尿病性足病変の背景

2.アジアと欧米の違い

3.なぜ,「神戸分類」が必要なのか

第2章 糖尿病性足潰瘍の病因

1.末梢神経障害

2.末梢血行障害

3.感染症

第3章 糖尿病性足潰瘍の病態:神戸分類TypeI~IV

COLUMN

第4章 症例集

用語の解説

用語・略語/足の部分切断法(小切断法)/フットウェア/足関節


Type I

001 典型的な神経障害性潰瘍

002 神経障害性潰瘍は"歩く褥瘡"である

003 感覚神経障害では,創傷の原因がわからないことが多い

004 原因不明の時は,生活環境を探る

005 強直(強剛)母趾は,第1趾底に潰瘍を生じる

006 第5中足骨を失うと内反変形を来たす

007 低温熱傷は,時に骨まで壊死となる

008 フットウェアで治し,予防する

009 安全靴,靴の中では要注意!

010 感覚神経障害の患者は,外傷に気づかない

011 典型的なシャルコー関節症

012 立位の単純X線所見を参考にする

013 体重負荷を考慮する

014 通院が途絶えた時が,危険である

015 糖尿病の運動療法は,適切なフットウェアで行う

016 繰り返す神経障害性潰瘍

017 再建においては,主要血管を犠牲にしない

018 膝も,シャルコー関節症を発症する


Type II

019 皮膚灌流圧(SPP)測定は重要である(1)

020 皮膚灌流圧(SPP)測定は重要である(2)

021 足趾切断後,隣接趾はHammer(Claw)toe変形を起こす

022 歩行しなくても,足趾の変形は進む

023 小さな皮膚潰瘍を,保存的治療で治す

024 糖尿病はPADの危険因子である

025 外果の創は治りにくい

026 安易な陥入爪治療は危険である

027 踵部の褥瘡からのCLIは難治である

028 地域連携を前もって確立しておく

029 PADは両側とも進行する,と考えた方がよい

030 CLIは,心血管疾患で死亡することが多い

031 血管内治療は,再狭窄率が高い

032 血管内治療ができない場合,すぐにバイパス術に移行する

033 遠位バイパス術ではangiosomeを考慮しない

034 特殊なバイパス術を要することもある

035 急性下肢虚血では前脛骨筋部の壊死が起こる

036 人工血管の感染は,創傷治癒阻害因子である

037 Heloma molleから始まるCLIがある

038 CLIの急性増悪は,進行が早い

039 PADに慢性静脈不全症(CVI)が合併することがある

040 CLIでは,血行再建術ができない場合がある

041 長期保存的治療のみで治すことも可能である

042 バージャー病は,血管造影所見で診断する

043 耐え難い疼痛は,大切断の適応である

044 陰茎壊疽は,予後不良因子である


Type III

045 感染創は,原則的に開放創とする

046 感染は,腱や腱膜に沿って上行する

047 感染は,足底腱膜へ移行しやすい

048 ガス壊疽は,緊急デブリードマンで開放する

049 踵部の亀裂から感染が始まる

050 原因は不明でも,容易に感染性潰瘍になる

051 溶血性連鎖球菌には気をつけろ

052 敗血症から糖尿病治療が始まることがある

053 中間趾に発症した感染は,切断後,縫合しない方がよい

054 骨髄炎にまで進行した症例

055 趾間からcentral plantar spaceへ感染する

056 術中臨床所見でも,骨髄炎を見分ける

057 ゾンデ法で骨髄炎を知る

058 バニオネットは感染を来たしやすい

059 左右で病態の異なる潰瘍を生じる

060 感染沈静後のwound bed preparationに局所陰圧閉鎖療法を利用する

061 足背方向にも感染は波及する

062 時に腓腹皮弁は有用であ

063 肥満では,足底の単位面積当りの負荷が増す

064 土踏まずの形状が,歩行には重要である

065 リウマチの潰瘍の好発部位は,外果とアキレス腱である

066 Blue toe syndromeから末梢骨骨髄炎を併発した症例

067 骨髄炎にHBOは有効である

068 急性シャルコー関節症を見逃すな!

069 腐骨が自己排出されて骨髄炎が治癒することがある

070 抗生物質含有骨ペーストによる骨髄炎治療


Type IV

071 TASC II typeA short lesionでは,長期開存が期待できる

072 第1趾切断後,隣接趾は内側に偏位する

073 血液の流れを考慮した局所手術治療

074 急性感染が制御されてから末梢血行再建術を行う

075 露出した関節を動かさない

076 中足骨を残し,歩行を守る

077 TMAでは中足骨の長さの比が,歩行に大切である

078 末梢血行再建術とデブリードマンを繰り返して救肢しなければならないことがある

079 糖尿病のコントロールが悪化した時が危ない

080 Rutherford 5の遠位バイパス術後は創治癒を得やすい

081 PAD+感染を遠位バイパス術で制覇する

082 Rutherford 6は,遠位バイパス術の良い適応である

083 感染が慢性化した,救肢困難な症例

084 中間趾から発症する感染は,局所手術が重要

085 第2~4趾の壊疽にはdeep plantar spaceに感染巣が残っていることが多い

086 糖尿病のコントロール不良でPADは悪化する

087 心筋梗塞が絡む

088 踵骨全体の骨髄炎は,遊離筋皮弁の適応である

089 外傷患者の中にも,DMやPADをもつ患者が増えつつある

090 1年以上にわたる保存的治療で治癒させる創傷がある

091 末梢血行再建術の適否を誤ると...

092 耐え難い痛みは大切断の適応である

093 制御不能の感染症は大切断の適応である

094 Type II→血行再建術→blue toe syndrome→感染→Type IV

095 両側大切断では仙骨部に褥瘡を生じる

096 シャント肢のスティール現象で生じる手指壊疽


番外編

097 Blue toe syndrome(1.自然脱落)

098 Blue toe syndrome(2.予後が悪い)

099 壊疽性膿皮症(Pyoderma gangrenosum)

100 Werner syndrome(早老症候群)

第5章 歩行の意義

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 10.0 以降

    外部メモリ:71.0MB以上(インストール時:154.3MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:284.0MB以上

  • android icon

    AndroidOS 5.0 以降

    外部メモリ:66.2MB以上(インストール時:165.5MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:264.8MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcherが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784771904521
  • ページ数:220頁
  • 書籍発行日:2016年2月
  • 電子版発売日:2019年1月11日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※今日リンク、YNリンク、南山リンクについて、AndroidOSは今後一部製品から順次対応予定です。製品毎の対応/非対応は上の「便利機能」のアイコンをご確認下さいませ。


※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。


※コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcher(iOS/iPhoneOS/AndroidOS)が必要です。


※書籍の体裁そのままで表示しますため、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。