脊椎手術合併症回避のポイント

  • ページ数 : 308頁
  • 書籍発行日 : 2019年5月
  • 電子版発売日 : 2019年8月30日
¥14,300(税込)
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商品情報

内容

脊椎手術で起こりやすい合併症と手技のポイントが一目瞭然!

若手脊椎外科医が執刀する手術で起こりうる合併症に限定し,構成されている書籍である。起こる頻度の高い合併症,それらを起こしやすい場面(メルクマール:指標)を術式別に取り上げ,イラスト・写真とともに解説している。
各項目は,「なぜ起こるのか」「起こさないために」「起きてしまったら」「オペ時のメルクマール」の見出し4つで構成されている。「オペ時のメルクマール」では最初に[起こしやすい場面:注意するポイント/回避のポイント]を青文字で強調しているので,例:[移植骨の設置時:母床椎体の骨性終板は温存する](移植骨設置位置の不良 より),この部分を見ていくだけでも,その手術で注意しなければいけない合併症の回避ポイントが理解できる。
術式別の合併症情報が一目瞭然になっている本書を,執刀前に是非必見していただきたい。

序文

このたび『脊椎手術合併症回避のポイント』を刊行することとなった。脊椎手術では神経損傷・麻痺,血管損傷,高位誤認,硬膜損傷など,重篤な合併症が生じる可能性を常に抱えている。したがって,脊椎手術に臨む術者には,術中・術後にたとえこれらの合併症に遭遇しても,状況を冷静に判断し,その場で可能な最善の対応をとることが求められる。

合併症の情報を事前に知っているのと知らないとでは大きな違いが生じる。術中・術後に,いつ合併症が起きても対応できる知識と技術をもっていることは,良好な予後に直結する重要なポイン卜である。本書では,多種多様な術中・術後の合併症を個別に取り上げ,その特徴,対処法と予防法について解説する構成とした。

小職が本書の企画を出版社から打診された際,「千葉・筑波脊椎手術手技講習会」で取り上げた手術から若手執刀医が行う頻度の高い術式を選び,〈頚椎〉〈胸椎・胸腰椎〉〈腰椎〉〈脊柱変形〉〈脊髄〉の章に分けて構成する案を提示し,実際にその形で編集が進んだ。

「千葉・筑波脊椎手術手技講習会(当初は千葉脊椎手術手技講習会)」は,平成18年10月に高橋和久先生(現千葉大学名誉教授,当時千葉大学整形外科助教授)と小職(当時同講師)が中心になって立ち上げた会である。当時の千葉大学整形外科教室では,多くの先生方が脊椎外科を専門に活動していた。また,脊椎脊髄外科診療が脊柱変形,腰椎,頚椎脊髄の3グループに分かれて運営されていた点が,わが国では類をみない特徴であった。教室では脊椎外科がより細分化されて専攻され,新しい手術手技の開発,導入が盛んに行われ,国内外の学会,研究会において活発に報告がなされていた。

しかしながら,手術を行ううえでの実際の手順,コツ,本当に注意すべき点などは,学会発表を聞いても分からないことが多く,論文を読んでも,本当に知りたい箇所の記載には,なかなか遭遇しないのが実情である。高橋先生および小職が危惧したのは,若い先生方のなかには,教室で行われている最新の手術手技の概要は知っているが,実際に手術を見たことがない,あるいは,具体的な手術のポイントが分からない,という方がいるかもしれないということであった。このようなことから,実際の手術手技をなるべく生の形で伝える講習会を定期的に行い,教室の若い先生方と知識を共有してレベルアップをはかる必要があると考え,「千葉脊椎手術手技講習会」の企画に到った。初回から講師の先生方には,動画をまじえた手術手技に特化したプレゼンテーションをお願いした。

本講習会は年に1度開催され,小職が筑波大学に赴任したのを契機に「千葉・筑波脊椎手術手技講習会」と名称を変更した。当初の千葉大学の手術の流儀に筑波大学の流儀が融合し,視野の広い講習会に発展してきているように思う。本書には,この「千葉・筑波脊椎手術手技講習会」のエッセンスが詰め込まれていると自負している。ぜひご熟読いただき,読者の先生方の知識および技術の整理・向上にお役立ていただければ幸甚である。

最後に,快く執筆を引き受けていただいた千葉大学および筑波大学整形外科の先生方に深謝いたします。また,本書の企画・編集にご尽力いただいたメジカルビュー社整形外科編集部の松原かおるさんに御礼を申し上げる次第です。


平成31年4月吉日

山崎正志

目次

トラブル&メルクマール 頚椎

頚椎椎弓形成術(片開き)

1 術後の頚部痛(軸性疼痛)

2 不適切な除圧幅

3 頭尾側での除圧不足

4 骨溝開削時の硬膜外静脈叢損傷・髄液漏

5 ヒンジ骨折

6 脊髄の後方移動不足

7 C5麻痺

頚椎後方固定術 -椎弓根スクリュー,外側塊スクリュー

1 椎弓根スクリューの逸脱

2 椎弓根スクリュー挿入時の椎骨動脈損傷

3 外側塊スクリューによる外側塊の破壊

頚椎椎孔周囲スクリュー

1 固定スクリューの脱転

2 椎孔周囲骨硬化症例でのスクリュー挿入困難

環軸椎後方固定術

1 C1外側塊スクリュー挿入時の動静脈損傷

2 C2椎弓根スクリュー・C1-C2関節貫通スクリュー挿入時の椎骨動脈損傷

後頭骨頚椎後方固定術

1 術後の嚥下障害

2 後頭骨スクリュー挿入時の硬膜損傷,髄液漏,静脈洞損傷

3 C1後弓切除時の動静脈損傷,硬膜損傷,脊髄障害

頚椎椎間孔拡大術

1 神経根損傷

2 出血

頚椎前方除圧固定術

1 食道・後咽頭壁損傷

2 椎骨動脈損傷

3 術後の気道狭窄

4 術後の嚥下障害・嗄声

頚椎後縦靱帯骨化症 前方法

1 除圧操作に伴う出血

2 術後の髄液漏

3 移植骨の脱転(長範囲固定における腓骨移植)

頚椎前方椎弓根スクリュー

1 スクリューの椎弓根外逸脱

2 移植骨設置位置の不良

首下がりに対する頚胸椎矯正固定術

1 不適切な矯正角度

2 術後の嚥下障害

3 C5麻痺

脊髄空洞症を伴うキアリI型奇形に対する後頭下減圧術

1 展開時の静脈叢損傷

2 不適切な骨切除範囲

3 硬膜形成における難渋

トラブル&メルクマール 胸椎・胸腰椎

胸椎・胸腰椎前方除圧固定術

1 展開時の肺・胸膜損傷

2 開胸した際の術後呼吸トラブル

3 椎体スクリュー挿入の大血管損傷

胸椎・胸腰椎後方除圧術

1 高位誤認

2 除圧中のMEP振幅低下

3 硬膜損傷

胸椎・胸腰椎後方除圧固定術

1 椎弓根スクリューの逸脱(脊柱管内および椎体外)

2 椎弓根スクリューの術後バックアウト

3 術後の硬膜外血腫

骨粗鬆症性椎体骨折に対するBKP手術

1 セメントの椎体外逸脱

2 術後早期の矯正損失

3 術後早期の隣接椎体骨折

化膿性脊椎炎に対するPED

1 血管損傷による後腹膜血腫

2 術後の痙攣発作

3 外筒や鉗子による臓器・大血管損傷

腫瘍脊椎骨全摘術

1 分節動脈損傷

2 インストゥルメンテーション破損

3 硬膜損傷

4 術後の硬膜外血腫

トラブル&メルクマール 腰椎

腰椎前方固定術

1 腰椎部の大血管損傷

2 腹膜損傷,腹壁瘢痕ヘルニア,逆行性射精

側方進入腰椎前方固定術(OLIF)

1 展開時の腹膜損傷

2 分節動静脈損傷

3 尿管損傷

4 ケージ挿入時の終板損傷

側方進入腰椎前方固定術(XLIF)

1 後腹膜腔における下行結腸・上行結腸の損傷

2 腰神経叢損傷,動脈損傷

3 前方線維輪(ALL)損傷,終板損傷

経大腰筋側方アプローチを応用した椎体置換術

1 分節動静脈損傷

2 不適切なケージ設置

腰椎椎間板ヘルニア摘出術(Love法)

1 硬膜外静脈叢からの出血

2 硬膜損傷

3 不適切な開窓幅

4 前方線維輪(ALL)の穿破

腰部脊柱管狭窄症に対する後方除圧術

1 硬膜損傷

2 椎間関節損傷

腰椎後方除圧術(MED)

1 Tubular・retractorの不適切な設置(高位誤認含む)

2 硬膜損傷

3 術後の硬膜外血腫

腰椎後側方固定術(PLF)

1 高位誤認

2 横突起骨折

3 経筋膜的椎弓根スクリューのトラブル

腰椎後方椎体間固定術(TLIF)

1 椎弓根スクリューの不適切な設置

2 不適切なケージ設置

3 不十分な椎間孔除圧

CBT 法

1 スクリューの逸脱

2 骨孔周囲骨折

3 ロッド連結困難

S2 Alar Iliac Screwを用いた脊椎後方固定

1 不適切なS2・Alar・Iliac・Screwの挿入点と挿入方向

2 スクリューの逸脱

トラブル&メルクマール 脊柱変形

成人脊柱変形に対する変形矯正術(後方骨切り,LLIF)

1 骨切り時の出血

2 矯正時の神経障害

3 不適切な矯正角度

4 椎弓根スクリューのルースニング

側弯症に対する後方矯正固定術

1 椎弓根スクリューの逸脱

2 術中脊髄モニタリングの波形変化

トラブル&メルクマール 脊髄

硬膜内髄外腫瘍摘出術

1 大きな硬膜欠損

2 術後の髄液漏,低髄圧症状

3 神経鞘腫摘出術後の神経脱落症状

くも膜嚢腫の手術

1 硬膜外くも膜嚢腫における交通孔の同定困難

2 難治性硬膜内くも膜嚢腫に対する再手術での難渋

3 仙骨部嚢胞性病変の手術

癒着性くも膜炎に伴う脊髄空洞症に対するシャント術

1 空洞─くも膜下腔シャント術のシャント不全

2 隔壁を有する病変への対処

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書籍情報

  • ISBN:9784758318686
  • ページ数:308頁
  • 書籍発行日:2019年5月
  • 電子版発売日:2019年8月30日
  • 判:A5変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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特記事項

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