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実験医学別冊 もっとよくわかる!シリーズ もっとよくわかる!循環器学と精密医療

野村 征太郎 (編), YIBC(Young investigator Initiative for Basic Cardiovascular science) (著)

株式会社 羊土社

204 頁  (2020年3月)

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eBook Price(ダウンロード販売): ¥5,720 (税込) 

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リリース日: 2020年03月27日

これからの循環器診療に必須となる精密医療の基本から患者の診方までわかりやすく解説.本書で精密医療の第一歩を!分子レベルで患者を理解し,個々にあった治療を提供していく精密医療の視点が身につきます.

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これからの循環器診療に必須となる精密医療の基本から患者の診方までわかりやすく解説.本書で精密医療の第一歩を!分子レベルで患者を理解し,個々にあった治療を提供していく精密医療の視点が身につきます.


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はじめに

循環器疾患ほどダイナミックでおもしろい疾患はないでしょう.心筋梗塞や急性心不全を発症して救急外来にやっとのことで辿り着いた患者が血管内治療や集中治療によって劇的に改善する.私も,多くの方と同じように,そのような光景を目の当たりにして循環器学に憧れを抱き,自ら臨床の現場で実践することで多くの患者の役に立つ喜びを感じてきました.そして,循環器疾患ほど多岐にわたる知識や技術・経験を必要とする疾患もないでしょう.さまざまな病態を理解するための画像診断技術,生命予後を改善させる多くの内科的・外科的治療が次々と開発され,循環器診療は日々刻々と進化しています.しかし,循環器疾患の理解が進めば進むほど,同一疾患であっても治療効果の差や臨床経過の多様性があることに気づくようになります.それは,疾患の発症が分子レベルで生じているにもかかわらず,臨床現場における病態把握はそのレベルに到達していないからと考えられます.この問題を解決する概念が精密医療「Precision Medicine」です.

精密医療とは,患者の病態を分子レベルで理解して,その患者に最適な治療法を提供する医療のことです.がんの分野では,この概念に基づいて,原因遺伝子変異やがん組織の分子病理像によって分子レベルで病態が層別化され治療法が決められています.しかしながら,循環器疾患では分子レベルの病態把握やそれに基づいた治療選択をするといった概念は確立しておらず,これから精密医療を循環器診療に応用していくうえで,医療者に大きな意識変革が必要と考えました.

そこでわれわれは,基礎循環器学を専門とする若手研究者で「基礎循環器サイエンスにおける若手研究者イニシアチブ(Young investigator Initiative for Basic Cardiovascularscience:YIBC)」を発足して,若手心不全専門医U40 ネットワークと連携して研究会・学会などで今後の循環器診療のあり方について意見を交わしてきました.そのなかで,基礎循環器学を専門としていない多くの方が循環器疾患の背景にある基礎的知見に強い興味をもっており,それをベースとして臨床を組み立てられないか(すなわち,精密医療を実現したい)という考えをもっていることがわかりました.しかしながら,この精密医療の概念や循環器疾患の基礎的知見を包括的にとりまとめた書籍はこれまでになく,患者の診療をしながら一から勉強するのもたいへんであり,ここに基礎と臨床のギャップが存在すると感じました.

そこで,循環器診療に携わるメディカルスタッフを含めたすべての医療者,循環器学を学ぶ医学生,循環器基礎研究をはじめる大学院生やポスドク,こういった方々が,精密医療のための循環器学「Precision Cardiology」の全体像を理解するのに最適なものとなることをめざして,本書をYIBC のメンバーと企画しました.教科書的な記述は他書に譲り,各執筆者のフィロソフィーに基づいた記載とすることによって,循環器学をさまざまな角度から浮き彫りにさせることができれば,と考えました.読者の皆さまには,本書を読み通していただくことによって,循環器診療を行ううえでの精密医療のコンセプト,具体的な循環器疾患の病態の捉え方が身につき,遺伝子・分子・細胞といった概念に抵抗がなくなればと願っています.そして読者の方々は,実際に患者を診るうえで,どうしてこの患者はこの疾患を発症したのだろうか? この治療は本当にこの患者に有効なのだろうか? と疑問をもつようになることでしょう.それこそが,精密医療の実現に向けた第一歩です.現在の医療は完成されたものではありません.今の医療をどうよくしていくことができるかはこれからのわれわれの努力しだいでいかようにもなるでしょう.本書のタイトルにあるように,循環器診療にかかわる多くの方々に,「循環器学と精密医療のことが(これまでより)もっとよくわかった!」と感じていただき,これからの新しい医療を創るうえで自分には何ができるかを考えていただければ,筆者としてこれ以上嬉しいことはありません.

それでは,精密医療のための循環器学「Precision Cardiology」の旅に出かけましょう!


2020年2月

執筆者を代表して
野村征太郎


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はじめに

1章 循環器疾患における精密医療のイントロダクション

1.はじめに

2.精密医療における基本コンセプト

2章 遺伝要因と循環器疾患

1.心筋症における遺伝要因とは?

2.心筋症の遺伝要因の全貌解明と精密医療への展開

3.新規の心筋症原因遺伝子を特定する

4.複数の遺伝子変異によって病態が制御される場合もある

5.遺伝要因と環境要因の2 ヒット仮説

6.治療方法の確立された遺伝要因の例

3章 心筋細胞の機能的破綻としての心筋症・心不全

1.心筋症遺伝子に関係する遺伝要因から心不全に関係する分子生物学を紐解く

2.心不全の発症・制御に関係するシグナルの入力を理解する

4章 心筋梗塞・心房細動の遺伝要因と環境要因の統合的理解

1.循環器common diseaseは疾患関連遺伝子に関係する一塩基多型で特徴づけられる

2.疾患関連遺伝子の近傍には,影響力の強いレアバリアントが存在する

3.虚血性心疾患と心房細動における疾患関連遺伝子から発症機序を紐解く

4.ポリジェニック・リスクスコアによって疾患発症リスクを予測できる

5章 心筋細胞の代謝・収縮と電気生理

1.心筋代謝・収縮の関係性の理解

2.酸化ストレスによる心筋代謝の破綻メカニズム

3.心筋イオンチャネルの機能とその破綻により生じる不整脈の理解

6章 心筋再生・疾患iPS細胞

1.心筋分裂・再生のメカニズム

2.心臓再生医療の将来展望

3.疾患iPS研究による精密医療への発展

7章 心筋-非心筋の連携〜免疫・炎症・線維化・動脈硬化

1.心臓における免疫・細胞・線維化とそれを制御する非心筋細胞の機能

2.マルファン症候群の病態生理と精密医療

3.肺動脈性肺高血圧症の分子遺伝学的病態に基づく精密医療戦略

8章 代謝性疾患とHFpEF・右心不全

1.全身代謝が心臓に与える影響を理解する―糖尿病・肥満を中心に

2.近年明らかになってきたHFpEF・右心不全の病態について理解する

9章 先天性心疾患の基礎的分子メカニズム

1.心臓の発生と先天性心疾患

2.iPS細胞を用いた心臓発生研究

3.おわりに

10章 循環器疾患における臓器・疾患連関

1.心臓と他臓器との臓器連関を理解する

2.心臓と腫瘍との関係性を理解する腫瘍循環器の精密医療

11章 精密医療実現に向けた将来展望

1.精密医療実現に向けた電子カルテデータの利活用

2.心不全治療に心臓リハビリテーション・チーム医療・緩和ケアを組合わせた精密医療

あとがき ―精密医療の発展に向けた今後の取り組み

索引

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