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実験医学増刊 Vol.37 No.2 腸内細菌叢

大野 博司 (編)

株式会社 羊土社

204 頁  (2019年1月)

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リリース日: 2019年04月10日

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健康と疾患を制御するエコシステム
健康と疾患の事なら、一生を共にする細菌叢が知っている!

ヒト細菌叢の乱れが免疫・がん・老化・情動に関連するメカニズムから、食品・便移植など介入による制御、ロングリード、16S rDNA解析の新手法まで

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健康と疾患の事なら、一生を共にする細菌叢が知っている!ヒト細菌叢の乱れが免疫・がん・老化・情動に関連するメカニズムから、食品・便移植など介入による制御、ロングリード、16S rDNA解析の新手法まで


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2014年3月に服部正平博士とともに編者を務めた実験医学増刊号Vol.32 No.5「常在細菌叢が操るヒトの健康と疾患」が刊行されてからちょうど5年が経過しようとしている今,めまぐるしい展開を見せる細菌叢研究の最新の情報を,再び実験医学増刊号の編者として上梓できることになった.

そもそも,ヒトの腸内(糞便内)の共生微生物の存在は,17世紀後半に「微生物学の父」と称されるアントーニ・ファン・レーウェンフック(Springerから「Antonie van Leeuwenhoek」と言う微生物学学術誌が刊行されている)が,自作の顕微鏡(彼は商人でありながら趣味として顕微鏡を作製し,その倍率200倍以上と,当時の一般的な顕微鏡の10倍以上を誇っていたことから,「顕微鏡の父」と言われることもある)を用いて,人間の糞便を観察し,うごめく微小な生物を発見したことに端を発して知られるようになった.ちなみに,画家のフェルメールもレーウェンフックと同じ1632年に同じオランダのデルフトで誕生している.レーウェンフックの顕微鏡スケッチ画が,あるときから芸術作品のような筆致で描かれており,福岡伸一博士はフェルメールが代わりに描くようになったとの仮説をたてている(レーウェンフックはフェルメールの死後,その遺産管財人となっていることから,何らかの関係があった可能性は高い.実際,美術研究者らは,フェルメールの「天文学者」,「地理学者」のモデルはレーウェンフックであると考えている).

前置きが長くなったが,腸内細菌叢はレーウェンフックの時代から,神秘的な人体の小宇宙として研究者を,ときには芸術家を惹き続けたに違いない.時を経ること300有余年,腸内細菌叢の正常な組成からの逸脱・異常(dysbiosis)が様々な疾患の発症要因や増悪因子となることなど,現在では腸内細菌叢をはじめとする共生細菌群が宿主の生理・病理に多大な影響を及ぼすことが次々と明らかになっている.

本書が,この分野や周辺・関連領域の研究者の新たな視点や着想の一助となり,さらには生物学・生命科学を志す若き研究者や臨床に携わる医師の皆様が共生細菌叢と宿主の生理や病理の関係に興味を持ち,あるいはこの分野に参入するきっかけとなれば望外の喜びである.お忙しい中ご執筆いただいた先生方には,この場を借りて心からお礼を申し上げたい.

さらに,羊土社の早河輝幸氏ならびに本多正徳氏には,本企画の立案から編集を通して大変お世話になった.末筆ながらここに深謝の意を表する.


2019年1月

2019年1月
大野 博司


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概論-拡大・深化する常在細菌叢研究

第1章 常在細菌叢の基礎と解析技術

1.ロングリードシークエンサーを用いたヒトマイクロバイオーム解析の新展開

2.メタゲノムデータの情報解析とデータベース

3.de novoアセンブリの新技術とメタゲノムへの応用

4.マイクロバイオームの数理モデル

5.マイクロバイオームの1細胞解析技術の現状

第2章 常在細菌叢と生理・病理

Ⅰ 免疫・腫瘍免疫の制御

1.腸管上皮細胞の粘膜バリアによる腸内細菌制御

2.腸管IgAによる腸内細菌制御

3.共生細菌が制御する自然リンパ球と疾患誘導

4.T細胞を誘導する腸内常在菌とがん免疫への関与

5.腸内細菌叢とがん免疫応答

Ⅱ 炎症・免疫関連疾患

6.炎症性腸疾患(IBD)と腸内細菌叢

7.糞便微生物移植は腸内環境改善の最適解か?

8.腸内細菌と自己免疫疾患

9.アレルギー疾患と腸内細菌叢

10.菌叢,病原微生物のクオラムセンシングと皮膚炎惹起

11.口-腸-全身軸に基づく歯周病と全身疾患の関係

Ⅲ 全身恒常性の制御

12.宿主代謝制御と腸内細菌叢

13.自己免疫疾患としての1型糖尿病と腸内細菌との関連

14.老化と腸内細菌

Ⅳ 精神・神経系の制御,救急医療

15.腸内細菌叢や免疫系が情動に及ぼす影響

16.幼少期環境による中枢発達にかかわる腸内細菌叢の役割

17.パーキンソン病と腸内細菌叢

18.多発性硬化症における腸内細菌の影響

19.救急・集中治療領域の腸内細菌叢と腸管内治療

第3章 世界と日本の研究動向

1.ヒトマイクロバイオーム研究の産業への応用

2.IHMC(国際ヒト細菌叢コンソーシアム)と世界細菌叢デー

3.NIH(米国国立衛生研究所)でのヒト細菌叢研究の概要

4.EU(欧州連合)におけるヒト細菌叢研究の資金調達と動向

5.中国におけるヒト細菌叢研究の動向

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