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第4版 臨床薬物動態学 薬物治療の適正化のために

緒方 宏泰 (編著) / 増原 慶壮, 松本 宜明, 木島 慎一, 高橋 晴美 (著)

丸善出版 株式会社

240 頁  (2019年8月)

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リリース日: 2019年09月11日

「第3版 臨床薬物動態学」(2015年刊行)の改訂版!第4版では、必要と思われる新たな知見や考え方を追加

血中薬物濃度を解析するという従来の薬物動態、TDMのイメージを一新し、血中薬物濃度を用いずに薬物動態の視点、情報を薬物治療のモニターに付加し、モニターの内容を豊富化していくための概念や具体的な方法を示すことに力点を置いている。薬物動態学の臨床適用という目的に徹した書。

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見開き


「第3版 臨床薬物動態学」(2015年刊行)の改訂版。薬物血中濃度を解析するという従来の薬物動態、TDMのイメージを一新し、薬物血中濃度を用いずに薬物動態の視点、情報を薬物治療のモニターに付加し、モニターの内容を豊富化していくための概念や具体的な方法を示すことに力点を置いている。薬物動態学の臨床適用という目的に徹した書。薬物動態の情報をいかに治療に適用、利用していくかを述べることにより、薬物動態の視点が薬物治療を適正に遂行していくうえでいかに大切であるかを伝えている。第4版では、必要と思われる新たな知見や考え方を追加している。


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第4版 はじめに

2000年3月に初版を出版し,2007年4月に第2版,2015年2月に第3版と改訂を積み上げ,幸いにも多くの方々に読んでいただき,ここに第4版を出版することになりました.


第4版においても,基本的なコンセプト,構成は初版の「はじめに」で述べたように,「本書を通じて,薬物血中濃度をいかに解析するかではなく,薬物治療に関わる薬剤師や医師が,薬物動態の情報をいかに治療に適用,利用していくかを述べることにより,薬物動態の視点が薬物治療を適正に遂行していくうえでいかに大切であるかを伝えたいと思っています.」との考えを中心に置いています.


血中の薬物総濃度ではなく,薬物非結合形濃度が,薬物治療の効果,作用の指標になります.血中の薬物非結合形濃度が測定され,その測定値の変化をベースに用法用量の調節が検討されることが基本です.ただし,血中薬物の非結合形分率が変化しないとしてよい条件では,血中の薬物総濃度の変化の程度と薬物非結合形濃度の変化の程度は同じになりますので,血中の薬物総濃度の変化の程度から用法用量の調節を検討してよいことになります.

また,血中の薬物総濃度の変化の程度と薬物非結合形濃度の変化の程度が食い違う条件は明確に把握できますので,その条件を有する薬物は血中の薬物非結合形濃度の変化率を考えることによって,その条件を有しない薬物は血中の薬物総濃度の変化率を考えることによって,用法用量の調節を検討することになります.まず,この判断基準を学んでいただくため,この内容を書き加えました.


血中薬物総濃度あるいは薬物非結合形濃度の変化が臨床的に意味のある程度以上に変化する場合,その血中濃度が測定されている場合には,その実測値の変化の程度をもとに用法用量の調節の可否を判断するというステップに進みます.しかし,血中濃度が測定されていない場合には,一歩も考察が進まないということになりかねません.その場合は,血中薬物総濃度,特に薬物非結合形濃度を決定している因子の把握を行うことで,変化の「可能性」を推定することになります.測定値がないとまったく判断ができないということではなく,測定値がなくても,変化を引き起こす因子を事前に推定し,その因子が変化する状態が患者にあるか否かの評価から,血中薬物総(あるいは非結合形)濃度の変化の「可能性」を推定し,患者モニターに役立てていくことが,きめ細かい,見落とさない患者モニターとなります.

血中薬物総濃度,特に薬物非結合形濃度を決定している因子の把握を行うには,薬物の体内動態を決定している因子の把握が必要となります.全身循環血に到達した薬物は,ただちに体内に分布し,同時に全身循環血によって各臓器に運ばれ,消失機構を有する臓器に運ばれてきた薬物の一部が消失します.このようなモデルに従って,薬物の消失速度を決定している因子が推定されます.この推定においては,薬物は全身循環血によって運ばれるという概念によって考察しますので,すべて,全血中薬物総濃度をもとにした考察となります.

現在の薬物の体内動態の研究,検討は血漿(あるいは血清)中薬物総濃度で行われているため,測定値から薬物の消失速度を決定している因子の推定を行うことはミスリードを生み出し,決定因子の推定ができません.そのため,血漿(あるいは血清)中薬物総濃度と全血中薬物総濃度の間の橋渡しを行うことが必要となります.

薬物の体内動態を決定している因子の推定を行うには,総薬物は全身循環血によって各臓器に運ばれるという事実から考察し,動態を決定する因子の推定を行いますが,私たちの目的は,動態の機構の解明にあるのではなく,有効性,安全性と関係する血中薬物非結合形濃度の変化の可能性を推定することにあります.そこで,血中薬物総濃度をベースに組み立てた動態の決定因子をもとに,血中薬物非結合形濃度に基づく決定因子の推定へと導くことが必要です.これが,最後の仕上げです.上述した流れが汲み取りやすいように本文の整理,構成の改良に行いました.より,理解が進むことを期待いたします.


近年,薬物の効果,作用と血中薬物濃度の間の関係(pharmacokinetics/pharmacodynamics;PK/PDあるいはexposure/responce;ER)に関する研究が進展してきています.医薬品の開発において,これらの情報を収集し,合理的な開発に応用することも行われてきており,その結果,私たちが得られる情報量は多くなってきています.用法用量の調節の可否の判断には,血中薬物非結合形濃度の変化の程度と,血中濃度と効果,作用の関係をあわせて考察することが可能となってきています.また,薬剤師や医師が科学的で合理的,適切な薬物治療を遂行する条件は広がり,深まってきています.これらの臨床薬物動態情報を駆使し科学的で適切な薬物治療に取り組んでいかれることを期待します.


2019年7月

緒方 宏泰


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第I部

A 血中薬物濃度のとらえ方

A1 薬物治療の適正化と薬物動態の関連性

A2 薬物動態の基本パラメータ

A3 薬物動態パラメータの変動要因からみた薬物の特徴づけ

A4 血中薬物濃度の決定

A5 薬物動態パラメータ値の収集

B おもな疾病における薬物動態変化の推定の考え方

B1 肝疾患における薬物動態

B2 心疾患における薬物動態

B3 腎疾患における薬物動態

C 薬物の投与設計に必要な関係式

C1 薬物投与後の血中薬物濃度を表現する関係式

C2 クリアランスが薬物濃度依存性を示す薬物の投与設計に必要な関係式

C3 薬物投与設計の考え方

C4 ベイズ推定を用いた血中薬物濃度の推定

第II部

D TDMの実際

D1 ジゴキシン

D2 ジソピラミド

D3 テオフィリン

D4 抗てんかん薬

D5 アミノ配糖体系抗生物質

D6 バンコマイシン

D7 その他

第III部

E PK/PD解析

E1 導入編

E2 基礎編

E3 応用編

第IV部

F 薬物の体内動態パラメータ値と特徴づけ


付表 薬物動態パラメータ

索引

特記事項

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