健康心理学事典

  • ページ数 : 744頁
  • 書籍発行日 : 2019年10月
  • 電子版発売日 : 2019年11月22日
¥22,000(税込)
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商品情報

内容

心身の健康増進と疾病予防に関する心理学的研究から300項目を厳選。基礎から研究法までを、健康心理学の基礎、生理学的メカニズム、パーソナリティ、ストレス、健康教育・ヘルスプロモーション、アセスメント、適応(病気・問題行動)、対人・集団・社会、ヘルスケアシステム、カウンセリング、健康心理学的支援法・災害後支援、性・ジェンダー、研究法・倫理の全13章構成でわかりやすく解説した中項目主義の読む事典。

序文

刊行にあたって


日本健康心理学会は,1987 年に創設され2017 年には30 周年を迎えました。学会設立当初から,人々の健康増進と疾病予防に関する心理学的研究の推進を掲げ,多くの既存の学問領域を横断する形で,「健康心理学」という学問の体系化を試み,現在は主要な心理学の分野の1 つとして位置づけられるようになりました。学会組織も2010 年に一般社団法人化を行い,学術的見地からのより強い社会的責任を果たすべく,現在に至っています。そして,この法人化に伴って,さまざまな規約などの改廃等を行い,次第に学会のガバナンスも整備されてきました。

この間,日本健康心理学会は,学会企画・編として,いくつかの出版物を出版してきました。最初の出版物は,1997 年に実務教育出版から刊行された『健康心理学辞典』です。続く,2002 年から2003 年にかけて,健康心理学基礎シリーズとして4 冊のテキストを出版しました(健康心理学概論,健康心理アセスメント概論,健康心理カウンセリング概論,健康教育概論)。そして,最後の出版から15 年が経過し,この間も健康心理学の学術的発展や健康心理学を取り巻く社会環境の変化がありました。これらを受けて,学会設立30 周年企画として,各領域の専門的な観点から,保健と健康の心理学の標準テキストを6 冊刊行しました(保健と健康の心理学,保健医療・福祉領域で働く心理職のための法律と倫理,健康心理学の測定法・アセスメント,臨床健康心理学,産業保健心理学,健康・医療心理学)。そして,これらの標準テキストと相補的な位置づけの学会刊行物として,学会編の『健康心理学事典』を発刊することにいたしました。

この『健康心理学事典』の企画,編集にあたっては,とりわけ各章の構成,見出し項目の選定には相応の注意を払いました。それは,これまでの学会企画・編としての出版物をすべて精査し,主要なタームであると考えられるものは,その内容を最新の情報にアップデートしながら,事典の見出しや本文の中で必ず言及するようにしたことです。さらに,近年の健康心理学の研究,実践領域の拡大に伴い,これまでには十分に取り上げられてこなかった領域やタームも新たに採り入れることを試みました。こうすることによって,健康心理学の伝統的な基礎を体系的に網羅することができると同時に,近年の健康心理学を取り巻く変化などにも十分に対応できることが可能になると考えた次第です。

これによって,結果的に『健康心理学事典』は,全13 章からなる構成となりました。それらは,「健康心理学の基礎」「生理学的メカニズム」といった基礎的テーマに関する章に始まり,「パーソナリティ」「ストレス」「健康教育・ヘルスプロモーション」「アセスメント」といった健康心理学の伝統的なテーマに関する章,「適応(病気・問題行動)」「対人・集団・社会」「ヘルスケアシステム」といった健康心理学のさらなる理解のために必須となるテーマに関する章,「カウンセリング」「健康心理学的支援法・災害後支援」といった健康心理学の実践的テーマに関する章,そして,近年あらためて着目されている「性・ジェンダー」「研究法・倫理」に関するテーマを独立した章として取り上げました。そして,それぞれの章には,『健康心理学事典』の前述の特徴を担保すべく,当該の領域に精通している2 名ずつの気鋭の先生方に執筆者の選出や編集を依頼したため,非常に充実した包括的な内容に仕上がりました。

『健康心理学事典』は,初学者はもとより,健康心理学やその周辺領域の研究者や実践者にも活用していただけるような内容を意図しております。そのため1項目を見開きページでわかりやすく解説するという中項目主義の特性を活かして,インターネット情報などとも差別化ができる使い勝手のよい事典の編集を目指しました。ぜひ,健康心理学を学ぶ皆様の傍らに置いていただき,健康心理学に関する学びを深めていただくと同時に,内容の最新の情報にもアクセスを試みることによって,さらなる理解を深める一助にしていただければ幸いです。また,この『健康心理学事典』の刊行の準備をしている間に,心理専門職の国家資格である公認心理師の最初の有資格者が輩出されたにとどまらず,図らずも「平成」から「令和」への改元を迎えることになり,文字どおり時代を越えた新しい時代の幕開けの事典になりましたことを大変嬉しく感じております。

最後に,ご多忙の中,多大なエネルギーを割いていただきました編集幹事,編集委員,執筆者の先生方の皆様に深く感謝申し上げます。また,刊行にあたっては,丸善出版株式会社企画・編集部の小林秀一郎さん,安部詩子さんの献身的なご尽力をいただきました。ここに記してあらためてお礼申し上げます。


2019年(平成31年)4月30日 平成最後の日に

一般社団法人 日本健康心理学会
健康心理学事典編集委員会委員長
嶋田 洋徳

目次

第1章 健康心理学の基礎

健康心理学

健康心理士

健康

QOL

精神保健(メンタルヘルス)

健康行動

生活習慣

生涯発達

健康寿命

世界保健機関

健康日本21

健康診断

労働安全衛生

健康生成論

ポジティブ心理学

トランスセオレティカルモデル

生物-心理-社会モデル

エビデンス・ベイスド・メディスン(EBM),エビデンス・ベイスド・プラクティス(EBP)

医療者-患者関係

ノーマライゼーション

コミュニティ・オーガニゼーション

行動科学

行動医学

心身医療

【コラム】 健康心理学への期待と今後の貢献

第2章 生理学的メカニズム

自律神経系活動

内分泌系活動

免疫系活動

ホメオスタシス(恒常性)

中枢神経系

遺伝子

感情・情動の生物学的基礎

認知機能(記憶)の生物学的基礎

睡眠の生物学的基礎

メタボリックシンドローム

心身症のメカニズム

発達・加齢

【コラム】 風邪の症状と抑うつの症状

第3章 パーソナリティ

パーソナリティ

パーソナリティと健康

自己概念

アイデンティティ

自己受容

防衛機制

パーソナリティ障害

レジリエンス

アレキシサイミア

児童期・青年期の発達障害

成人期の発達障害

パーソナリティのアセスメントの種類と活用

感情・情動

動機・欲求

ポジティブ感情

ネガティブ感情

フラストレーションとコンフリクト

闘病意欲

タイプCパーソナリティ

オプティミズム

タイプA行動パターン

タイプDパーソナリティ

【コラム】 技術の革新とパーソナリティ研究の発展

第4章 ストレス

トランスアクショナルモデル

ストレス反応説

ライフイベント理論(ストレス刺激説)

ストレス素因モデル

学校のストレス

職場のストレス

家庭のストレス

地域環境のストレス

ストレスコーピング

攻撃性とストレス

怒りとストレス

無気力とストレス

不安とストレス

ストレス耐性

ストレス反応

ストレスに対するソーシャルサポート

ウェルビーイング

ストレス予防

ストレス関連疾患

ストレスにおける認知的評価

認知行動療法によるストレスへの介入

ストレスに関するセルフモニタリング

ストレスに対する心理療法

ストレス免疫訓練

子どものストレス評価

青年期のストレス評価

成人のストレス評価

【コラム】 ストレスはない方がよいのか?

第5章 健康教育・ヘルスプロモーション

健康教育の理念,定義,変遷

健康教育の展開(進め方)

妊婦・授乳婦への健康教育

幼児期の健康教育

学童期の健康教育

思春期・青年期の健康教育

成人期の健康教育

高齢期の健康教育

身体活動(運動・スポーツ)

栄養(食行動)

喫煙行動

飲酒行動

ストレスマネジメント行動

口腔保健行動

ヘルスリテラシー

健康格差

ソーシャルキャピタル

ヘルスコミュニケーション

ICTの活用(eHealth)

健康教育のための行動経済学

プリシード・プロシードモデル

エコロジカルモデル

ソーシャルマーケティング・イノベーション普及理論

エンパワメント

【コラム】 《赤ひげ》と健康心理学

第6章 アセスメント

アセスメントの意義と役割

QOLのアセスメント

痛みの測定

原因帰属のアセスメント

健康観のアセスメント

健康状態の指標

自己効力感尺度

ソーシャルスキルのアセスメント

不安のアセスメント

抑うつのアセスメント

怒りのアセスメント

職場ストレスのアセスメント

神経生理学的・神経心理学的アセスメント

精神生理学的アセスメント

ストレスコーピング尺度

ストレッサーの測定

ソーシャルサポートのアセスメント

バーンアウト尺度

生活習慣のアセスメント

リスク行動のアセスメント

パーソナリティのアセスメント

依存症のアセスメント

知能のアセスメント

【コラム】 インターネット依存のアセスメント

第7章 適応(病気・問題行動)

受療行動

アドヒアランス

ICDとDSM

心疾患

が ん

生活習慣病

喫煙の害(禁煙)

疼 痛

人工透析

歯の健康

周産期医療

小児疾患とその対応

神経・筋疾患

安楽死・尊厳死

高次脳機能障害とリハビリテーション

認知症

心身症

過敏性腸症候群

摂食障害と食行動異常

不安症

睡眠障害

重篤な精神疾患への対応

精神科リハビリテーション

うつ病と自殺予防

適応障害

嗜癖・依存1:分類・問題点

嗜癖・依存2:危険因子・介入

職場のメンタルヘルス

バーンアウト

ひきこもり・ニート

学校適応とその対応

児童虐待

ハラスメントの予防と対応

【コラム】 医学教育と健康心理学

第8章 対人・集団・社会

自己注目・自己意識

自己開示

ソーシャルサポート

ソーシャルスキル

援助行動

援助要請行動

職場の人間関係

感情労働

社会的感情

ユーモア

友人関係

家族関係

対人ストレス

社会的排斥

スピリチュアリティ

文化と健康

異文化適応

異文化滞在者

EPA

健康の地域差(日本)

健康の地域差(世界)

医療安全

混合研究法でみる社会と健康

情報化と健康

【コラム】 異文化と健康――国際化時代における実践

第9章 ヘルスケアシステム

緩和ケア

看護制度

感染症・疾病対策

医療費と医療保険制度

医療における各種法律

医療施設の種類と役割

医療における専門職

チーム医療

医療観察・保護観察

社会福祉制度

介護報酬と介護保険

福祉施設の種類と役割

介護における専門職

地域包括ケアシステム

プライマリヘルスケア

職場のメンタルヘルス対策

従業員援助プログラム(EAP)

過重労働対策

ストレスチェック制度

復職支援

治療と仕事の両立支援

職場のポジティブメンタルヘルス

産業保健における各種法律

産業保健における相談機関

【コラム】 心理学の新しい応用領域――産業保健心理学

第10章 カウンセリング

カウンセリングとは

来談者中心療法

精神分析的心理療法

行動療法

理性感情行動療法(論理療法)

認知療法

認知行動療法

交流分析

対人関係療法

家族療法

ブリーフセラピー

催眠療法とリラクセーション法

芸術療法

日本独自の心理療法

臨床動作法

回想法

グリーフケア

面接技法

予防的・開発的カウンセリング

自助グループ

運動行動,身体活動のカウンセリング

食行動のカウンセリング

アディクションとカウンセリング(喫煙行動・飲酒行動)

睡眠とカウンセリング

遺伝カウンセリング

肥満と糖尿病患者へのカウンセリング

心臓リハビリテーション患者へのカウンセリング

がん患者へのカウンセリング

HIV/AIDSカウンセリング

【コラム】 カウンセラーの職業倫理

第11章 健康心理学的支援法・災害後支援

児童期・青年期のストレスマネジメント

成人期のストレスマネジメント

ソーシャルスキルトレーニング(SST)

発達障害児のソーシャルスキルトレーニング(SST)

アサーショントレーニング

アンガーマネジメント

リラクセーション法

自己教示訓練法

問題解決療法

行動活性化療法

マインドフルネスストレス低減法

ライフスタイル療法

睡眠に関する健康心理学的支援

高齢者に対する支援

子育て支援

大規模自然災害(地震・津波など)による心理的影響と支援

原子力災害による心理学的影響と支援

急性ストレス障害・PTSD

心的外傷後成長

災害時の支援

災害支援とトラウマケア

トラウマに対する心理的支援

【コラム】 精神症状/身体症状および習慣行動の改善,安定に寄与する睡眠の役割

第12章 性・ジェンダー

月経前症候群(PMS)

月経周期

更年期障害

ジェンダーとセクシュアリティ

身体的健康における性差

性機能障害

メンタルヘルスにおける性差

性同一性障害,性別違和

不妊と不育

性行動

性の問題に関わる援助要請

食行動と性・ジェンダー差

羞恥と健康

性感染症

性的虐待,性暴力

セクシュアルヘルスと心理的支援,教育

妊娠・出産に伴う健康問題

産後の健康問題と育児

性に関する健康問題と社会

セクシュアルダイバーシティ

ワークライフバランス

【コラム】 性に関する意識と望まない妊娠

第13章 研究法・倫理

調査研究

実験研究

観察研究

介入研究

展望研究

研究不正行為

著作権関連ルール

人を対象とする研究倫理に関する国内ルール

人を対象とする研究倫理に関する国外ルール

利益相反

教育・トレーニングの職業倫理

カウンセリングと介入の職業倫理

アセスメントの職業倫理

福祉的支援の職業倫理

司法・メディアなど社会的発信の職業倫理

【コラム】 標準化研究倫理教育とCITI

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  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784621303764
  • ページ数:744頁
  • 書籍発行日:2019年10月
  • 電子版発売日:2019年11月22日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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特記事項

※今日リンク、YNリンク、南山リンクについて、AndroidOSは今後一部製品から順次対応予定です。製品毎の対応/非対応は上の「便利機能」のアイコンをご確認下さいませ。


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