• ページ数 : 812頁
  • 書籍発行日 : 2014年5月
  • 電子版発売日 : 2018年6月29日
¥22,000(税込)
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商品情報

内容

社会福祉学全般にわたる研究水準と課題を明示

実際に社会福祉に携わる上で必要な予備知識や方法上のガイドライン、そしてイシュー(論点・争点)なども丁寧に説明し、実務レベルで現場に即して活用できる「中項目主義」の事典。

序文

刊行にあたって

このたび『社会福祉学事典』が丸善出版より刊行される運びとなりました.この『事典』は,1954年5月に創立総会を開いて発足した日本社会福祉学会が2014年に60周年を迎えることを記念して企画されたものです.『事典』の意味や編集方針等については,この企画をたてられた第2期(通算第23期)の学会会長であった白澤政和先生が別に書かれておりますので,ここでは60周年を迎えた社会福祉学会と社会福祉研究の意味を述べることで,この刊行の意義を私なりに示してみたいと思います.

社会福祉という領域は,超「少子高齢社会」の現代日本では,市場の関心も高く,教育や保健医療などと並んで,脱工業社会時代のリーディング・インダストリーとしてその存在意義をますます大きくしています.これは社会福祉領域での「基礎構造改革」あるいは「規制緩和」を背景に,社会福祉が「成長産業」として見込まれていることを示しています.むろん,それは単純な市場ではなく,公的財源やその一定の規制を不可避とする「準市場」とよばれるようなものであることは周知のところです.ただし,リーディング・インダストリーと書くと,書いている本人にも違和感が残ります.それは,社会福祉領域が,労働条件の相対的に低い職業領域として長く認知されてきた経緯があり,また国家資格が導入されたとはいえ,その領域での専門職能としての確立がいまひとつ確かなものになっていないということがあるかもしれません.

他方で,こうした社会福祉という領域への学問的関心もますます学際的なものとなっており,多方面の学問領域からの「参入」も増えています.日本社会福祉学会にも多様なバックグラウンドの研究者,実践者が加入され,同時に日本社会福祉学会の会員も他分野の学会に参加しています.このような状況は,ある意味で社会福祉領域の学際性を示すものであり,そうした学際性によって,社会福祉研究の幅が広げられ,豊かになっていることは事実です.

しかし,もちろん日本社会福祉学会の存在意義は,そうした学際性豊かな「領域」としての社会福祉の中に,それ自体の専門的な概念や研究方法が育まれていることを確認し,それらを系統的に取り上げ,掘り下げ,社会福祉という領域がなぜ近現代社会に存在しているのか,どのような形で存在しているのか,そこにどのような課題があるのか等を批判的に検討していくことにあることはいうまでもありません.さらに,こうした社会福祉「それ自体」の研究は,他の学問領域がともすればその対象から見落としてしまいがちな,マイナーな問題,マイノリティの問題によく照準を当て,その現状を把握し,そこから論を立てていくような手法をもちうることにもう一つの意義があると思います.それは,他の学問領域をも刺激し,豊かにしていくものではないでしょうか.

60年前に日本社会福祉学会が発足した経緯については,本学会50周年を記念して作成された『社会福祉学研究の50年―日本社会福祉学会の歩み』に詳しく書かれていますが,その中で印象的なのは,戦前から磯村英一先生や牧賢一先生らが社会福祉研究の必要を説いて,学会形成の芽生えがあったということと,これが戦争で打ち砕かれ,戦争後は現場と研究者による研究発表会はあったが,「(学校の教員が)それでめしを食っているのにこの程度の発表でどうなるかと(嶋田啓一郎先生に)いわれた」と吉田久一先生が回顧しているところです.また,学会の名称を社会事業とするか社会福祉とするかの議論は丁々発止と繰り広げられ,社会福祉を主張した岡村重夫先生は「がんばりがいあったな」とおっしゃっています.さらに,創立大会には,社会政策学会と社会学会から祝辞もらったが,「お前さんたちのは学問じゃあない」と言われ続け,「社会福祉学をつくり上げるんだと誓ったな」というくだりは,60年経った現在も私たちの胸に迫ります.

ともあれ,日本社会福祉学会は,こうした「当時の若い研究者」たちの熱い議論に支えられて創設されたわけです.創設時の学会員は196名,現在(2014年3月末現在)の会員数は5047名と大きく拡大し,学会組織体制も2010年からは一般社団法人となり,大会も春秋の2回行われることになりました.学会機関誌『社会福祉学』の査読体制も次第に強化され,査読付きの本誌への論文掲載は,若手研究者の目標となっています.

この『社会福祉学事典』は「社会福祉学をつくり上げるんだ」と誓って発足した本学会の学問としてのイロハを,多数の学会員が参加して現代的な感覚で分類執筆されたものです.本事典が,社会福祉研究者の研究の一助となり,ここから「熱い議論」が生まれていくことを願ってやみません.


2014年3月吉日

一般社団法人 日本社会福祉学会会長
岩田 正美

目次

第Ⅰ部 基礎編

1章 原理・思想

〈社会福祉の基本原理・思想〉

〈政策に関わる原理・思想〉

〈援助に関わる原理・思想〉

2章 歴史

〈総論〉

〈前近代・近代の救済〉

〈20世紀以降―戦前〉

〈20世紀以降―戦後〉

〈海外からの影響〉

3章 方法1(政策と運営)

〈福祉国家機構の基本体系〉

〈福祉資源運用の基準と方法〉

〈福祉改革のパラダイム〉

〈サービス提供主体の運営〉

4章 方法2(ソーシャルワーク)

〈歴史的展開〉

〈ソーシャルワークの価値と論理〉

〈ソーシャルワークの過程〉

〈ソーシャルワークの機能と方法〉

〈ソーシャルワークを支える理論〉

〈現代のソーシャルワークの動向〉

第Ⅱ部 応用編

1章 生計を支える

〈貧困の諸相〉

〈所得補償の理念と体系〉

〈生計を支える諸制度:所得補償・低所得対策〉

〈生活保護制度の動向〉

〈貧困・低所得をめぐる動向〉

2章 健康を支える

〈精度・政策・社会〉

〈実践基盤〉

〈当事者理解〉

〈患者・家族の支援〉

〈地域生活と健康〉

3章 働く・社会参加を支える

〈就労支援をめぐる動向〉

〈女性を支える〉

〈若者を支える〉

〈高齢者を支える〉

〈障害者を支える〉

〈海外からの影響〉

〈被災地を支える〉

4章 育ちを支える

〈総論〉

〈社会的養護〉

〈地域子育て支援と保育・教育〉

〈障害のある子どもの支援〉

〈ソーシャルワーク実践〉

5章 住まうを支える

〈居住支援の基礎理論〉

〈居住型施設と住宅・ケア〉

〈居住支援の政策と実践〉

6章 人権を支える

〈社会福祉と人権を支えるための理論〉

〈社会福祉と人権を支えるための制度〉

〈社会福祉と人権をめぐる諸問題〉

7章 家族・地域を支える

〈家族を支える〉

〈地域を支える〉

〈家族・地域を支える機関と専門職〉

第Ⅲ部 研究・教育編

1章 研究方法

〈総論〉

〈社会福祉研究デザイン〉

〈研究資料の収集方法・分析方法〉

〈研究成果の公表〉

2章 教育

〈社会福祉専門教育の現状と課題〉

〈大学院教育と高度専門職養成・研修〉

〈海外のソーシャルワーク教育と資格〉

〈社会福祉教育の新潮流〉

3章 マンパワー・人材

〈総論〉

〈領域別のマンパワー人材の現状と課題〉

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書籍情報

  • ISBN:9784621088142
  • ページ数:812頁
  • 書籍発行日:2014年5月
  • 電子版発売日:2018年6月29日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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