スーパー総合医 地域包括ケアシステム

  • ページ数 : 280頁
  • 書籍発行日 : 2016年7月
  • 電子版発売日 : 2019年9月20日
¥10,450(税込)
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商品情報

内容

聴診器を持つすべての開業医必読! かかりつけ医による総合診療。
超高齢社会を支える地域の開業医のためのシリーズ!

厚生労働省が推進している「地域包括ケアシステム」は、多職種の協働や地域の連携を基本とし、これからの日本の高齢者医療・在宅医療を考えるうえで必要不可欠なものである。本書では、医師や看護師だけでなく薬剤師や栄養士、介護職などさまざまな専門職、さらには行政の立場の第一人者が、それぞれの視点から地域包括ケアシステム実現にむけたヴィジョンを語っている。

序文

わが国の超高齢社会は,世界に類をみない規模とスピードで訪れ,やがて3 人に1 人が高齢者となる.人口構造の変化は疾病構造を変え,疾病概念をも変えたといえる.フレイル,サルコペニア,認知症等に象徴されるように,根本的治療が困難な症候との対峙が求められている.慢性的な経過をたどる多くの高齢者たち─ とりわけ虚弱で要介護状態となった高齢者たちの健康課題を,従来の入院や外来を中心としたヘルスケアシステムで解決することは難しい.疾病治療や救命を医療の目的と考えていた時代には,病院完結型医療の充実によりその役割を全うすることができたが,いまや地域完結型医療が「地域包括ケアシステム」という新たな仕組みの中で求められている.

地域包括ケアシステムという呼称に,堅苦しさを感じるかもしれないが,住み慣れた地域で尊厳をもって最期まで暮らし続ける仕組みと考えるとわかりやすい.国民のささやかな願いを叶えることにもなる.生活こそが上位概念であり,そこに過不足なく届けられる医療によって,望まれれば看取るという責務にこたえて,地域包括ケアシステムが成立する.すなわち地域包括ケアシステム構築と在宅医療の普及推進は表裏の関係性といえる.

日本医師会も,かかりつけ医の重要な機能として,在宅医療の実践を掲げ,地域包括ケアシステム構築に積極的にかかわることを求めている.さらに,地区医師会には,介護保険制度の保険者としての基礎自治体と医療を管轄する都道府県とのリエゾンとして,医療介護連携の触媒となるよう期待されている.

あるべき在宅医療の姿については,すでに本シリーズ他巻で取り上げられているが,地域包括ケアシステムにおいて,重要な視点は「協働」と「連携」であり,その根拠となる法制度への理解も忘れてはならない.これまでのわが国の医療は,医師と患者との診療契約の上だけで成立していた.病院医療は医師をリーダーとするある種のヒエラルキーのなかで提供され,疾病治療のためには医療が生活を支配することも容認されている.ところが,地域包括ケアシステムにおける医療の役割は,看取りも含め尊厳ある人生を支えることである.健康観だけでなく死生観をも汲み,家族や暮らしへの配慮が必要となる.さらに,ケアにかかわるステークホルダーの職能や役割を十分に理解し,チームケアの実践なくして達成できない.本書で医師以外の職種の方々にもご執筆いただいたのはそのためである.

医師は疾病管理には長けていても,ケアチームのオーガナイザーとなることは不得手ではなかろうか.しかし,革命と表現してもよいほど医療はパラダイムをシフトさせている.地域は医療を実践する場としてだけではなく,医療を提供する主体そのものとなった.地域包括ケアシステムへの本質的理解なくして,地域で医療を実践していくことは,もはや困難な時代となっていると認識し,本書の編集をお引き受けした.新たな秩序としての地域包括ケアシステムの一翼を担い,スーパー総合医の矜持として地域の医療文化を変えていただきたいと願っている.


2016年6月

専門編集

太田 秀樹

医療法人アスムス理事長

目次

1章 地域包括ケアシステム構築への社会的背景

超高齢社会と人口構成比

疾病構造の変化

家族の変化と在宅ケアの可能性

病院医療の役割─入院医療の可能性と限界

高度医療を担う病院の役割

地域医療を担う病院の役割

障害者と医療

医療のパラダイムシフト

市民の意識の変化-長寿から天寿へ

地域居住

2章 地域包括ケアシステムの概念─5つの領域の役割

医療の視点から

協力病院の役割

有床診療所の役割

在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院の役割

介護の視点から

介護保険施設の役割

介護サービス事業所の役割

居宅介護支援事業所の役割

訪問看護ステーション・訪問介護事業所の役割

生活支援の視点から

高齢者在宅医療を中心に

予防・医療の視点から

ロコモティブシンドローム対策を中心に

住まいの視点から

高齢者施設・住宅の現状と展望

3章 地域包括ケアシステムを牽引する法制度

医療介護総合確保推進法

4章 地域包括ケアにおける多職種協働

かかりつけ医としての役割-多職種協働・地域連携のための情報共有

医師の立場からみた多職種連携の実際

歯科医療従事者の立場から

訪問看護師の役割

薬剤師の役割

リハビリテーション専門職の役割-高齢者・脳卒中を中心に

多職種連携によるケアチームの育成

管理栄養士の役割

5章 地域包括ケアにおける地域連携

日本医師会-かかりつけ医と在宅医療

国立長寿医療研究センターの取り組み

保健所

日本在宅ケアアライアンス

全国在宅療養支援診療所連絡会と全国在宅医療医歯薬連合会

全国在宅療養支援歯科診療所連絡会

全国薬剤師・在宅療養支援連絡会

6章 地域包括ケアの実践

長崎在宅Dr.ネット

チームドクター5 ファイブの挑戦

稲城市

在宅看取りの実際


付録〈対談〉 地域包括ケアシステムの現状と展望


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書籍情報

  • ISBN:9784521739069
  • ページ数:280頁
  • 書籍発行日:2016年7月
  • 電子版発売日:2019年9月20日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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