先天代謝異常ハンドブック

  • ページ数 : 455頁
  • 書籍発行日 : 2013年3月
  • 電子版発売日 : 2016年8月19日
¥15,400(税込)
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商品情報

内容

予想を超えた多くの患者が発見されている「先天代謝異常症」

一般小児科医が時期を逃さず対応できるよう、難解な原因酵素の分子メカニズムを代謝マップで照準化し、主に日本人にみられる200疾患の見つけ方、検査手順と早期治療法を示しています。
けいれんや肝障害、成長障害など説明のつかない症状や診断に苦慮する症例に出会った時、本書が参考になります。

序文

先天代謝異常を包括的に集成

─序にかえて─

私が先天代謝異常症の診療と研究に取り組み始めてから35 年が過ぎました.わが国で新生児マススクリーニングが開始されたのもそのころです.アミノ酸代謝異常症の研究を始めたとき,最初に手にしたのはScriver とRosenberg が著した"Amino Acid Metabolism and Its Disorders"(1973 年刊)で,500 頁近い大部のものを隅々まで読みました.次に大いに参考になったのはStanbury(MIT),Wyngaarden(Duke),Fredrickson(NIH)の3 人が編集した"The Metabolic Basis of Inherited Diseases" です.これは1978 年刊の第4 版から持っており,刊行当時1 冊だった書籍はその後年を追って内容が増加し,最後の版(2000 年"The Metabolic & Molecular Bases of Inherited Disease")では全4 巻にまで膨れ上がりました.両手で持てないほどの重さは,遺伝性疾患への理解が急速に進み,また医学のなかでこの分野がより重要性を増してきたことの現れといえます.

これら海外の書物と同様に,手元に置いていたのが中山書店の『先天代謝異常病ハンドブック』(1971 年刊)でした.月刊誌『代謝』臨時増刊号として刊行されていましたが,他に類をみない充実した内容で,ハンドブックの名に恥じない立派な啓蒙・実用書でした.わが国の優秀な臨床家・研究者を総動員し,ほとんどの疾患を網羅したバイブルのような書物であり,新しい疾患名を聞くたびに,1 項目見開きの2 頁を熟読したものです.先の"The Metabolic Basis of Inherited Diseases" とは異なり,ハンドブックの使いやすさを心地よく感じていました.

その『先天代謝異常病ハンドブック』から42 年がすぎて,このたび『先天代謝異常ハンドブック』総編集の任にあたることになりました.懐かしさと同時に,自分がこの分野を研究テーマに決めたときと同じ高揚感もあり,本書の企画にあたっては,ともに研鑽を続けてきた編集の先生方とさまざまな意見交換しました.その結果,本書ではすでに夥しい量の知見が得られている疾患を2 頁にまとめ,疾患の概要・遺伝形式・頻度,代謝障害と病態,臨床病型,診断,最新の治療・対応が簡潔に解説されています.また分子メカニズムの解説については代謝マップで図式化し,どのテーマから読み進めてもひと目で理解できることをめざしました.執筆はそれぞれの分野における我が国の第一人者の先生方に依頼し,臨床の現場でアップデートに活用できる内容になっています.

どうかこの一冊を座右に置いて,けいれんや肝障害,成長障害など説明のつかない症状や診断に苦慮する症例に出会ったとき紐解き,そして永く親しんでいただきたいと願っております.


2013年 1月

遠藤 文夫
熊本大学大学院生命科学研究部小児科学分野教授

目次

Ⅰ 総論

1章 先天代謝異常症とは

先天代謝異常症とは

2章 先天代謝異常症の検査・診断

先天代謝異常症診断へのアプローチ-救急外来で見逃さないために

先天代謝異常症の特殊検査

先天代謝異常症のスクリーニングテスト

3章 先天代謝異常症の治療法と遺伝カウンセリング

先天代謝異常症の治療法

先天代謝異常症の遺伝カウンセリング

II 各論

1章 アミノ酸代謝異常

高フェニルアラニン血症

高フェニルアラニン血症

テトラヒドロビオプテリン(BH4)欠乏症

高チロシン血症

高チロシン血症I型

高チロシン血症II型・III型とホーキンシン尿症,新生児一過性高チロシン血症

オルニチン,プロリン代謝異常

高プロリン血症I型・II型

プロリダーゼ欠損症

脳回転状脈絡膜網膜萎縮症

分岐鎖アミノ酸代謝異常症

メープルシロップ尿症

含硫アミノ酸代謝異常症

ホモシスチン尿症(I型)

高メチオニン血症,シスタチオニン尿症

グリシン・セリン代謝異常症

非ケトーシス型高グリシン血症

セリン欠乏症

尿素回路関連代謝異常症(高アンモニア血症)

N-アセチルグルタミン酸合成酵素欠損症

カルバモイルリン酸合成酵素I欠損症

オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症

シトルリン血症

アルギニノコハク酸尿症

アルギニン血症

シトリン欠損症--NICCDとCTLN2

高オルニチン血症・高アンモニア血症・ホモシトルリン尿症症候群(HHH症候群)

リシン尿性タンパク不耐症

グルタミン酸脱水素酵素異常症

アミノ酸転送障害

Hartnup病

シスチン尿症

クレアチン代謝異常

クレアチン代謝異常

2章 有機酸代謝異常

メチルマロン酸血症

プロピオン酸血症

β-ケトチオラーゼ(ミトコンドリアアセトアセチルCoAチオラーゼ)欠損症

イソ吉草酸血症

3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症

メチルグルタコン酸尿症

3-ヒドロキシ-3-メチルグルタル酸血症

ミトコンドリアHMG-CoA合成酵素欠損症

サクシニルCoA:3-ケト酸CoA転移酵素(SCOT)欠損症

複合カルボキシラーゼ欠損症

グルタル酸血症I型

グルタル酸血症II型

3-ヒドロキシイソ酪酸尿症

L-2-ヒドロキシグルタル酸尿症

メバロン酸キナーゼ欠損症

原発性高シュウ酸尿症I型・II型

アルカプトン尿症

グリセロール尿(血)症

2-メチル-3-ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素欠損症(HSD10病)

ピログルタミン酸血症(オキソプロリン血症)

Canavan病

エチルマロン酸脳症

トリメチルアミン尿症(魚臭症候群)

3章 脂肪酸代謝異常

全身性カルニチン欠乏症

カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ�欠損症

カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ�欠損症

カルニチンアシルカルニチントランスロカーゼ(CACT)欠損症

極長鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症

ミトコンドリア三頭酵素欠損症/長鎖3-ヒドロキシアシルCoA脱水素酵素欠損症

中鎖アシルCoA脱水素酵素(MCAD)欠損症

短鎖アシルCoA脱水素酵素(SCAD)欠損症

3-ヒドロキシアシルCoA脱水素酵素欠損症

4章 ミトコンドリア代謝異常

ピルビン酸脱水素酵素複合体異常症

ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症

α-ケトグルタル酸脱水素酵素複合体欠損症

フマラーゼ欠損症

スクシニルCoAリガーゼ欠損症

呼吸鎖複合体I欠損症

呼吸鎖複合体II欠損症

呼吸鎖複合体III欠損症

呼吸鎖複合体IV欠損症

チミジンホスホリラーゼ欠損症

5章 糖質代謝異常

糖吸収障害

ラクターゼ欠損症,スクラーゼ・イソマルターゼ欠損症

ガラクトース・フルクトース代謝異常症

遺伝性フルクトース不耐症

ガラクトース─1─リン酸ウリジルトランスフェラーゼ欠損症

ガラクトキナーゼ欠損症

UDPガラクトース4-エピメラーゼ欠損症

糖新生系異常症

FBPase欠損症,PEPCK欠損症

糖原病

糖原病0型

糖原病I型

糖原病III型(Cori病)

糖原病IV型(Andersen病)

糖原病V型・VII型

糖原病VI型

糖原病IX型(ホスホリラーゼキナーゼ欠損症)

糖転送異常症

Glut1欠損症

Glut2欠損症(Fanconi─Bickel症候群)

6章 ライソゾーム病

ムコ多糖症

ムコ多糖症I型

ムコ多糖症II型

ムコ多糖症III型

ムコ多糖症IV型

ムコ多糖症VI型

ムコ多糖症VII型

オリゴ糖症

フコシドーシス

αマンノシドーシス

βマンノシドーシス

アスパルチルグルコサミン尿症

Schindler病/Kanzaki病

シアリドーシス

ガラクトシアリドーシス

スフィンゴリピドーシス

GM1ガングリオシドーシス

GM2ガングリオシドーシス

異染性白質ジストロフィー

Niemann-Pick病A型・B型(酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症)

Gaucher病

Fabry病

Krabbe病

Farber病(セラミドーシス)

マルチプルスルファターゼ欠損症

ムコリピドーシス

ムコリピドーシスII型・III型

糖蓄積症

Pompe病

脂質蓄積症

Niemann-Pick病C型

Wolman病とコレステロールエステル蓄積症

ライソゾーム膜転送障害

シスチノーシス

Salla病(遊離シアル酸蓄積症)

神経セロイドリポフスチン症

7章 ペルオキシソーム病

ペルオキシソーム形成異常症

Zellweger spectrum

rhizomelic chondrodysplasia punctata(RCDP) type 1

単独酵素欠損症

副腎白質ジストロフィー

ペルオキシソームβ酸化酵素欠損症

Refsum病,rhizomelic chodrodysplasia punctata(RCDP) type 2・3

8章 金属代謝異常

Wilson病

Menkes病

無セルロプラスミン血症

ヘモクロマトーシス

モリブデン補酵素欠損症,亜硫酸酸化酵素欠損症

腸性肢端皮膚炎

9章 色素代謝異常

先天性ポルフィリン症

Gilbert症候群,Crigler-Najjar症候群I型・II型

Dubin-Johnson症候群,Rotor症候群

10章 胆汁酸・ステロール代謝異常

胆汁酸生合成異常症

11章 タンパク質グリコシル化異常

先天性グリコシル化異常症

12章 プリン・ピリミジン代謝異常

プリン代謝異常症

HPRT欠損症(Lesch-Nyhan 症候群)

アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損症

ホスホリボシルピロリン酸シンターゼ亢進症

キサンチン尿症

ADA欠損症,PNP欠損症

尿酸トランスポーター異常症

ピリミジン代謝異常症

遺伝性オロト酸尿症 (UMP合成酵素欠損症)

ジヒドロピリミジン脱水素酵素欠損症

ジヒドロピリミジナーゼ欠損症,β-ウレイドプロピオナーゼ欠損症

13章 ビタミン代謝異常

葉酸代謝異常

メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素欠損症,グルタミン酸ホルムイミノトランスフェラーゼ欠損症,先天性葉酸吸収不全症

コバラミン代謝異常

コバラミンの吸収・転送障害

細胞内コバラミン代謝異常症

ビタミンB6代謝異常

ピリドキシン依存性けいれん─α─アミノアジピン酸セミアルデヒド脱水素酵素欠損症

ピリドキシン不応性けいれん─ピリドキシン(ピリドキサミン)5'-リン酸オキシダーゼ欠損症

14章 腎・尿細管機能異常

ネフローゼ症候群

先天性ネフローゼ症候群(フィンランド型)

常染色体劣性巣状糸球体硬化症,常染色体優性巣状糸球体硬化症

Alport症候群

Alport症候群

尿細管疾患

Dent病

Lowe症候群

腎性低尿酸血症

Bartter症候群

Gitelman症候群

腎尿細管性アシドーシス

腎性尿崩症

嚢胞性疾患

ネフロン癆

多発性.胞腎

15章 血漿タンパク異常

血友病A

血友病B

その他の先天性凝固因子欠損症

von Willebrand病

α1アンチトリプシン欠損症

家族性アミロイドーシス

16章 神経伝達物質異常

BH4代謝異常

瀬川病(GTPシクロヒドロラーゼI欠損症)

カテコールアミン代謝異常

チロシン水酸化酵素欠損症,芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素欠損症

モノアミン酸化酵素(MAO)欠損症

ドーパミンβ水酸化酵素(DBH)欠損症

GABA代謝異常

SSADH欠損症,GABAT欠損症

17章 脂質代謝異常

原発性高カイロミクロン血症

家族性リポタンパクリパーゼ(LPL)欠損症

家族性アポタンパクCII欠損症

原発性V型高脂血症

家族性高コレステロール血症ホモ型・ヘテロ型

常染色体劣性高コレステロール血症

多遺伝子性高コレステロール血症

家族性複合型高脂血症(脂質異常症)

家族性III型高脂血症(脂質異常症)

アポリポタンパクE異常症・欠損症

内因性高トリグリセリド血症

無βリポタンパク血症,家族性低βリポタンパク血症

Tangier病

アポリポタンパクA-I欠損症・異常症

CETP転送タンパク欠損症

HTGL欠損症

ATGL欠損症

FIC1欠損症

家族性LCAT欠損症

18章 内分泌異常

くる病をきたすビタミンD・カルシウム・リン代謝異常症

くる病をきたすビタミンD・カルシウム・リン代謝異常症

先天性骨系統疾患

骨形成不全症

副腎ステロイドホルモン合成酵素欠損症

21-水酸化酵素欠損症,その他の酵素欠損症

高インスリン性低血糖症

高インスリン性低血糖症

19章 結合組織異常

Ehlers-Danlos症候群

低フォスファターゼ症

20章 その他

嚢胞性線維症(膵嚢胞線維症)

セリアック病など


略語一覧

索引


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  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784521736945
  • ページ数:455頁
  • 書籍発行日:2013年3月
  • 電子版発売日:2016年8月19日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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特記事項

※今日リンク、YNリンク、南山リンクについて、AndroidOSは今後一部製品から順次対応予定です。製品毎の対応/非対応は上の「便利機能」のアイコンをご確認下さいませ。


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