アトラス脳腫瘍病理

  • ページ数 : 500頁
  • 書籍発行日 : 2017年10月
  • 電子版発売日 : 2018年1月12日
¥22,000(税込)
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商品情報

内容

脳腫瘍に取り組んでいる病理医や脳神経外科医、将来の医学徒、医療者、研究者の参考に。

将来いかなるパラダイムシフトが起ころうとも、それはこれらの画像の見方を変えることはあっても、画像そのものの価値は不変である。WHO分類改訂第4版によるパラダイムシフトを踏まえ、選りすぐられた組織・電顕写真、マクロ画像から脳腫瘍の新の姿に迫る決定版。

序文

脳腫瘍の病態を理解し,患者の診断・治療を適切に進める上で脳腫瘍の病理診断は極めて重要な意味を持っていた.ところが今世紀に入り脳腫瘍の遺伝子異常に関する膨大な知見が集積し,遺伝子異常の観点から脳腫瘍を分類整理することにより,腫瘍の発生メカニズム,生物学的特性,治療反応性,予後予測などがより明快に説明され,臨床的にも有用であることが明らかになってきた.2016年5月,脳腫瘍WHO分類において「病理・遺伝子分類」が導入されたことは,90年以上にわたって脳腫瘍病理の基盤であり続けた「組織発生学的分類」からのまさにパラダイムシフトと言うべき大変革であった.

このような時流の中で純粋に形態学的な観点から脳腫瘍をみつめようとする本書『アトラス脳腫瘍病理』を出版することにいかなる意義があるのかと疑問視される方もおられると思う.しかし,我々病理医は脳腫瘍の形態に内在されている情報のはたして何パーセントを認識して病理診断を行っているのか実はよく解っていない.形態情報の中には染色体異常や遺伝子変異さらにはepigeneticな異常などによってもたらされる細胞・組織の粗大なあるいは細やかな変化がしっかりと織り込まれているはずであり,それを観察し,有益な情報として理解し,病態解析や病理診断に生かすことがこれからも病理医にとって大切な責務であると考えている.本書に掲載した数々のマクロ画像,組織写真,電顕写真は脳腫瘍の真の姿であると私は信じており,将来いかなるパラダイムシフトが起ころうとも,それはこれらの画像の見方を変えることはあっても,画像そのものの価値は不変であると考えている.そこでこれまで収集してきた脳腫瘍画像をまとめて出版し,現に脳腫瘍に取り組んでいる病理医や脳神経外科医,あるいは将来の医学徒,医療者,研究者の参考に供したいと考えるに至った.

群馬大学医学部病理学第一講座は川合貞郎初代教授から石田陽一教授そして私へと引きつがれ,脳腫瘍の病理を主要な研究テーマとしてきた.この間に集められた大学病院及び関連病院の脳腫瘍症例を基礎とし,さらにコンサルテーションなどの目的でお預かりした症例も一部借用しながら本書はまとめられた.群馬大学の症例の利用を可能としてくれた横尾英明病態病理学分野教授および好本裕平脳神経外科学分野教授に御礼申し上げます.また,関東脳神経外科病院清水庸夫院長には多数のMRI画像を提供いただき,さらに山形大学先進がん医学講座(脳神経外科)嘉山孝正教授には多数の脳腫瘍症例をコンサルテーションとして提供いただいたことに篤く御礼申し上げます.群馬大学において脳腫瘍病理をともに学んだ同僚はこの目的に全面的に賛同して,分担執筆を快く引き受けてくれました.本書の企画より3年半という長い時間が経過してしまい,途中で脳腫瘍WHO分類が改訂されたため,多くの章の書き直しが必要となるなど予想外の事態にも遭遇したが,この間辛抱強く私達を励まし続けてくれた株式会社中外医学社の企画部鈴木真美子さんと編集部上村裕也さんに深く感謝いたします.


2017年9月

中里洋一

目次

CHAPTERI 脳腫瘍病理の基礎

1.脳腫瘍病理の歴史

脳腫瘍病理の黎明期

形態学的技術の進歩

WHO分類の樹立

2.脳腫瘍の分類

脳腫瘍の歴史的分類

脳腫瘍のWHO分類

WHO分類の改訂

WHO分類第4版改訂への道のり

新WHO分類の特徴

3.脳腫瘍の臨床

【疫学・症状・徴候】

脳腫瘍の疫学

脳腫瘍の症状

【画像診断】

CT

MRI

造影撮影

MRS(magnetic resonance spectroscopy)

PET

SPECT

【治療】

グリオーマの治療

胚細胞性腫瘍

悪性リンパ腫

髄膜腫

シュワン細胞腫

下垂体腺腫

4.脳腫瘍の肉眼像

神経外胚葉性腫瘍

胎児性腫瘍

脳神経および脊髄神経腫瘍

髄膜の腫瘍

悪性リンパ腫と造血器腫瘍

転移性脳腫瘍

5.脳腫瘍の組織細胞像

細胞形態の特徴

基質の特徴

組織構築のパターン

間質の特徴

・コラム1 Clear cell tumorの鑑別診断

6.脳腫瘍の細胞診

細胞診応用のための基本的知識

細胞診を応用した脳腫瘍の迅速診断

7.脳腫瘍の免疫組織化学

細胞分化マーカー

細胞増殖マーカー

分子遺伝学的代替指標

・コラム2 IDH1の免疫染色

8.脳腫瘍の遺伝子異常

成人の浸潤性神経膠腫

毛様細胞性星細胞腫

小児の低悪性度浸潤性神経膠腫

小児の悪性浸潤性神経膠腫

上衣腫

髄芽腫

・コラム3 遺伝子発現による成人glioblastomaの分類

9.脳腫瘍病理診断の実際

実際の脳腫瘍病理診断の流れ

病理組織診断において組織型・WHO gradeの決定に苦慮しうる症例の実際

CHAPTER II 脳腫瘍の組織型と病理

1.びまん性星細胞性および乏突起膠細胞性腫瘍

びまん性星細胞腫

退形成性星細胞腫

膠芽腫

H3 K27M変異型びまん性中心性膠腫

乏突起膠細胞系腫瘍

乏突起膠腫

退形成性乏突起膠腫

乏突起星細胞腫,退形成性乏突起星細胞腫

・コラム4 Rhabdoid glioblastomaとepithelioid glioblastoma

・コラム5 GliosarcomaとEMT

・コラム6 1p/19q codeletion

・コラム7 オリゴ系腫瘍における神経細胞分化

・コラム8 Refractile eosinophilic granular cells

2.限局性星細胞性腫瘍

毛様細胞性星細胞腫

上衣下巨細胞性星細胞腫

多形黄色星細胞腫

退形成性多形黄色星細胞腫

・コラム9 星細胞腫の変性構造物

・コラム10 脳腫瘍のBRAF遺伝子異常

3.上衣系腫瘍

上衣下腫

粘液乳頭状上衣腫

上衣腫

RELA融合遺伝子陽性上衣腫

退形成性上衣腫

・コラム11 上衣腫のgrading診断基準

・コラム12 Vacuolated ependymoma(空胞化上衣腫)

4.脈絡叢腫瘍

・コラム13 脈絡叢腫瘍の多様性

5.その他の膠腫

第三脳室脊索腫様膠腫

血管中心性膠腫

星芽腫

6.神経細胞および混合神経細胞・膠細胞系腫瘍

異形成性小脳神経節細胞腫(レルミット・ダクロス病)

線維形成性乳児星細胞腫・神経節膠腫

胚芽異形成性神経上皮腫瘍

神経節細胞腫

神経節膠腫

退形成性神経節膠腫

中枢性神経細胞腫

脳室外神経細胞腫

乳頭状グリア神経細胞腫瘍

ロゼット形成性グリア神経細胞腫瘍

傍神経節腫

その他の腫瘍

・コラム14 Glioneuronal tumorの鑑別診断

7.松果体部腫瘍

松果体細胞腫

中間型松果体実質腫瘍

松果体芽腫

松果体部乳頭状腫瘍

8.胎児性脳腫瘍

髄芽腫

中枢神経系胎児性腫瘍

多層ロゼット性胎児性腫瘍

非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍

・コラム15 髄芽腫の遺伝子分類

・コラム16 ETMRの概念

・コラム17 Atypical teratoid/rhabdoid tumorとINI1異常

9.脳神経・脊髄神経腫瘍

シュワン細胞腫

神経線維腫

悪性末梢神経鞘腫

・コラム18 シュワン細胞腫と酸化ストレス傷害

10.髄膜腫

・コラム19 髄膜腫の遺伝子異常

11.間葉系腫瘍

孤立性線維性腫瘍・血管周皮腫

血管芽腫

脊索腫

・コラム20 STAT6と孤立性線維性腫瘍/血管周皮腫

・コラム21 孤立性線維性腫瘍/血管周皮腫の新しいgrading

12.メラノサイト系腫瘍

メラノサイト腫瘍

神経皮膚メラノーシス

13.リンパ腫と組織球性腫瘍

中枢神経系びまん性大細胞型B細胞リンパ腫

その他のリンパ腫

ランゲルハンス細胞組織球症

その他の組織球症

14.胚細胞腫瘍

15.トルコ鞍部腫瘍

頭蓋咽頭腫

トルコ鞍部顆粒細胞腫

下垂体細胞腫

紡錘形細胞オンコサイトーマ

下垂体腺腫

下垂体癌

16.転移性腫瘍

CHAPTER III 参考資料

1.脳腫瘍病理に有用な抗体一覧表

2.Gunma--LIを用いたKi--67(MIB--1)LIの測定

3.Gunmetryによる脳腫瘍画像からのデジタル情報抽出


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書籍情報

  • ISBN:9784498228641
  • ページ数:500頁
  • 書籍発行日:2017年10月
  • 電子版発売日:2018年1月12日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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