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- 肝癌診療Q&A
商品情報
内容
誌面を明日からの診療に直結する回答をまず得られるような構成にし、Answerにいたる考え方や理論的根拠、実際の手技・工夫を、幅広い分野から内科・外科・放射線科・病理、ひいては疫学の立場から解説しました。
序文
はじめに
保険診療の充実していたわが国では,1980年代より世界に先駆けて肝癌高危険群の認識のもとサーベイランスが励行された結果,肝癌の早期診断がなされるようになりました.より根治的で安全な肝切除への外科医の努力,反復治療を余儀なくされる経過のなかで適切な経皮的治療の努力を続けた内科医,治療経過の後半でいかに生存期間を延長できるかに腐心した放射線科医の努力など,現在も日本は,世界のなかで高い位置を保ち続けています.一方で,病理医や放射線科医は,早期や高分化型肝癌の概念を完成し基礎研究を続け,世界に発信していきました.
肝癌先進国としてのわが国で,今回「肝癌診療Q&A」を企画するにあたり,Question は,「ガイドライン」や「コンセンサス」には掲載されていない部分に焦点を当てました.情報過多の時代,インターネットで何でも得られる情報の時代に,コンパクトで,実は臨床医が本当に知りたいという設問に厳選して本を作成しました.質問のなかには,「本当に......?」「エビデンスは......?」というような素朴なギモンに由来するもの,「臨床的にはどう?」「どのくらいまでできる?」といった実地臨床のスタンスを問うような答えにくいものも多く含めました.執筆にあたっては,その分野で最も造詣が深く,最も知識の豊富な専門家を選び,幾多の無理を言って承諾を得ました.ここで皆さんに目次を見ていただければ,この本が究極のわが国の肝癌診療のレベルを示しているものであることは自明です.
本書は,現場の医師が本当に聞きたいことを78個Questionとして取り上げ,これに対する回答をすぐ下にAnswerとして書いてもらいました.日常診療や研究で多忙な医師が,とりあえずAnswerだけに目を通せば「世の中の流れ」「知っておくべき方向性」が得られ,明日からの診療に直結する専門家の回答が得られるはずです.現場の臨床医がまず知りたい結論が読み取れたら,この後の本文には,これを深める形で根拠となるデータ,エビデンス,世界の動向が示されています.
各分野での専門家の特殊技術,限られた範囲でしか行われなかった治験,高度先進医療でのみ可能な診療など,近未来の治療技術はもれなく取り上げるようにしました.執筆時点では未承認のビーズ製剤,陽子線・重粒子線治療,収束超音波,現在第III試験中の分子標的薬など,先進的な治療手段はもれなく触れるように心がけました.
現時点での最新の情報・知識が満載されている本書が,この本を手にとっていただいた方すべてに,お役に立てるものであると信じております.
2013年9月
虎の門病院肝臓センター 池田健次
目次
発癌・疫学
Q1 最近は肝癌の背景病態(B型・C型・NASHなど)に変化が起こっていますか
Q2 NAFLDからの発癌は年率何パーセントくらいですか?
Q3 ウイルス性肝炎は肝内胆管癌の発癌リスクとなりますか?
発癌抑制
Q4 C型慢性肝炎が抗ウイルス療法でSVR(ウイルス排除)となると,癌リスクはどのくらい下がりますか?
Q5 B型肝炎に対する核酸アナログ製剤で発癌抑制のエビデンスはありますか?
Q6 インターフェロンで肝癌の再発予防は可能ですか?
Q7 コーヒーを飲めば本当に発癌予防できるのですか?
Q8 SVR後に発癌した例では,根治切除後5年以後に再発することがありますか?
Q9 C型肝炎で抗ウイルス薬以外の薬剤での発癌抑制の研究やエビデンスはどのくらい集まっていますか?
サーベイランス
Q10 限られた予約枠のなかで,EOB-MRI検査の最適な撮像方法や手順はどうすればよいでしょう?
Q11 肝癌高危険群に対するサーベイランスで症例の予後が改善するという証拠はありますか?
Q12 肝癌のスクリーニングや確定診断で造影エコーはどのように使うのが効果的でしょうか?
Q13 EOB肝細胞相で出現してきた低信号結節は全て肝癌といえますか?
Q14 肝癌拾い上げにおけるAFP,PIVKA-II同時測定の意義は何でしょうか?
画像診断
Q15 肝細胞癌と間違えやすい肝腫瘤とその鑑別の手順を教えてください.
Q16 悪性度の高い肝癌を治療前に把握する方法はありますか?
Q17 Gd-EOB-DTPA造影MRI肝細胞相で高信号となる肝細胞癌にはどのような特徴がありますか?
Q18 肝癌の状態をできる限り詳細に把握するためには,どのような検査の組み合わせが適切ですか?
Q19 治療前にPET検査を行ったほうがよい肝癌は何でしょうか?
肝癌の病理と病態
Q20 肝癌の多段階発癌と de Novo肝癌とはどのように違うのでしょうか?(臨床医が気をつけないといけないことがあるのでしょうか?)
Q21 肝癌の肉眼分類は臨床的に大きな意味があるのでしょうか?
Q22 組織学的に早期の肝癌と診断するための手順や最新の病理学的手段がありますか?
Q23 EOB-MRI肝細胞相のみで認識できる早期の肝癌は,腫瘍の発育段階としてどのような特徴がありますか?
Q24 細胆管細胞癌は肝内胆管癌の亜型と考えるのでしょうか? 位置づけや臨床的な意義も教えてください.
Q25 混合型肝癌は切除後に初めてわかることが多いですが,病理組織学的な特徴や分類・病期などの記載法はどうなっていますか?
Q26 肝幹細胞由来の肝癌は予後不良と聞きました.どのようにしたら認識でき,どのように臨床的に異なるのでしょうか?
Q27 「生物学的悪性度」評価のために腫瘍マーカーはどの程度役に立ちますか?
ガイドラインと集学的治療
Q28 3cm3個以内なのにガイドライン通りの治療が行えない理由は何が多いですか?
Q29 最近は高齢者の肝癌が増えてきていますが,治療法決定で考慮すべきことは何でしょう?
Q30 直径2・以下で乏血性の肝癌はすぐに治療しなくてもいいでしょうか?
Q31 肝切除・RFA・TACEを反復することで背景肝はどの程度悪くなりますか?
外科治療
Q32 肝予備能に準拠した切除範囲や切除適応はどう決めますか?
Q33 系統的切除の成績がよい理由は,肝予備能のよい症例が多く含まれることも大きな理由ですか?
Q34 一見外科治療可能にみえても「外科医が切除を避けたい」とか 「避けるべき」肝癌はありますか?
Q35 外科医が切除を考えるときの解剖学的留意点を内科医に教えてください.
Q36 根治的切除と考えられたのに予想外に早期再発するのはどのような場合ですか?
Q37 残肝が小さいときに門脈枝塞栓術(portal vein embolization:PVE)をして対側葉増大をさせてから肝切除を考えますが,PVEで必ず対側葉増大が期待できますか?
経皮的治療
Q38 RFAと比べてマイクロ波凝固治療が優れているのはどこでしょうか?
Q39 小型肝癌であってもRFAをできる限り避けるべきと考えられる腫瘍がありますか?
Q40 「3cm・3個以内」の範囲を超えた腫瘍のうち,どのような症例にRFAの良好な効果が期待できますか? どのようなことに注意して治療すればよいでしょうか?
Q41 モノポーラRFAの違いや使い分けはありますか?
Q42 バイポーラRFAのメリットは何で,よい治療対象となる肝癌は何ですか?
Q43 RFAで腫瘍を大きく丸く焼灼する工夫にはどんなものがありますか?
Q44 RFAの治療効果判定法はいつどのようにするのがいいでしょうか?
Q45 経皮的RFAを適切に行うための工夫やサポート技術の最新の情報を教えてください.
Q46 CTガイド下RFAのメリットを教えてください.患者さんや術者の被曝は心配ないのでしょうか?
Q47 強力集束超音波(HIFU)治療の現状と将来性はどうでしょうか?
経カテーテル治療
Q48 超選択的塞栓術を行うときに心得ることは何ですか?
Q49 通常のTACEを反復しても治療効果がなくなってきたときに考えるべきことと,その後の治療対策はどのようにしたらいいですか?
Q50 TACEの際に使用する抗がん剤の違いで抗腫瘍効果や予後が変わりますか?
Q51 ミリプラチンを最も効果的に投与する方法は何ですか?
Q52 ミリプラチンの有用性が期待できる肝癌はどのような肝癌でしょうか?
Q53 DC Beadは,扱い方で従来のゼラチン粒塞栓とどのような違いがありますか?
Q54 HepaSphere(SAP-MS)の特徴,使い方,治療効果を教えてください.
Q55 マイクロバルーンカテーテルによる標的B-TACE(targeted B-TACE)の理論的根拠と期待できる治療効果
Q56 TACEを2回行って効果不良ならソラフェニブ内服へ治療変更すべきですか?
放射線治療
Q57 通常のリニアック照射で,肝内腫瘍・肝外転移に対してはどの程度の効果を期待できますか?
Q58 肝癌に対する体幹部定位放射線治療の適応と治療成績について教えてください.
Q59 定位放射線治療と経カテーテル治療とを併用することに意味はありますか?
Q60 門脈浸潤症例に対する陽子線治療の効果はありますか?
Q61 粒子線治療はどのようなときに考慮すべきでしょうか?
Q62 陽子線と重粒子線の違い,そして臨床的な効果の違いについて教えてください.
進行肝癌治療
Q63 門脈浸潤があっても外科切除の価値があるのはどのような症例でしょうか?
Q64 5-FU持続肝動注+IFN併用(FAIT)が最も適しているのはどのような症例ですか?
Q65 持続肝動注化学療法にリピオドール(R)を併用すると抗腫瘍効果が増しますか?
Q66 持続動注化学療法とソラフェニブはどのように使い分けますか?
Q67 ソラフェニブの効果が期待できる肝細胞癌を事前に把握できますか?
Q68 ソラフェニブの副作用のうち,減量や中止にいたる副作用は何ですか? どのような人に注意すべきですか?
Q69 わが国のソラフェニブ治療の実態と治療成績はどのくらいですか?
Q70 ソラフェニブに次ぐ肝癌分子標的薬の開発の展望はどうですか?
遠隔転移
Q71 肝外転移巣を経皮的局所治療で治療することは可能でしょうか?
Q72 肝外転移に対してTACEが行われるのはどのような場合でしょうか?
Q73 ソラフェニブが効きやすい転移先はありますか?
肝移植
Q74 肝機能が悪化してくると生体肝移植を考慮しますが,どのタイミングで肝癌患者さんに話すのが適切でしょうか?
Q75 肝癌患者が生体肝移植のレシピエントになるには,どの程度まで適応拡大が可能でしょうか? 腫瘍因子以外についても教えてください.
Q76 肝細胞癌に対する生体肝移植のドナー選択に関し,脳死移植との違いを含め,知っておくべきことは何ですか?
Q77 ミラノ基準内外で成績が違うでしょうが,生体肝移植後の肝癌症例の5年生存率や合併症はどのくらいと話せばよいでしょうか?
Q78 多発肝癌に対して内科的治療で3cmかつ3個以内を達成できたら,「ミラノ基準内」として保険診療での移植が可能ですか? その場合は再発率はかなり高いのでしょうか?
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書籍情報
- ISBN:9784498142121
- ページ数:314頁
- 書籍発行日:2013年10月
- 電子版発売日:2014年2月21日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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