医科プロバイオティクス学

  • ページ数 : 650頁
  • 書籍発行日 : 2009年10月
  • 電子版発売日 : 2014年6月20日
¥19,800(税込)
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商品情報

内容

人類はアロパシー医学(逆療法)だけで微生物や病気に勝てるか?

いま世界中で注目され、研究や開発に鎬が削られているプロバイオティクスの、基礎研究からエビデンスに基づく臨床応用までを詳細に解説しました。

Mechnikov以後100年、連綿として研究が続けられてきた本領域は、ゲノム時代を迎えて新たな転換期となりつつあります。その守備範囲はアレルギー・感染症のみならず、生活習慣病や癌、心身医学まで、広範囲に亘っており、基礎・臨床ともに、研究テーマとしても最もホットな分野の一つです。

序文

Mechnikov は著書"The Prolongation of Life:Optimistic Studies, New York, Putnam,1908"のなかで,ヨーグルトを摂取すると腸内腐敗が抑えられて長寿が全うできることを,実験や疫学調査に基づいて詳細に説明した.すなわち,「毎日摂取する酸乳は,脱脂乳でつくり,この酸乳を1 日に300~500 mL 摂取すると,整腸効果があり,腎臓を刺激するので,多くの消化器疾患・腎障害さらに一部の皮膚病に有効である」とし,「早老や老衰が,大腸にいる無数の細菌が産生する毒素の有害作用によって起こるということが正しいとすれば,腸内腐敗を抑える乳酸菌が,老衰を遅らせ,寿命を延ばすに違いないことは明白である.この論理は,酸乳を主食としている人々に長寿が多いという事実が証明している.しかし,この学説を証明するためには,さらに早老と腸内細菌の関係や,寿命延長や健康維持のための腸内腐敗を抑制する食餌についての系統的研究が必要であり,それには,かなりの年月がかかる」と指摘している.これがMechnikov のヨーグルトの常飲が老化防止に役立つという"ヨーグルトによる不老長寿説"である.この「乳酸菌の摂取が,腸内腐敗菌を抑制し,健康維持と疾病を予防する」という考えは,まさに現在のプロバイオティクスの機能と同一であり,Mechnikov がすでに今から100 年前にプロバイオティクスを予言していたのである.

20 世紀後半,腸内フローラの研究は飛躍的に進展した.すなわち,腸内フローラの検索・培養法の開発に始まり,腸内嫌気性の菌種の分類・同定法が確立され,これを駆使して腸内菌の定着性・伝播様式,加齢に伴う推移,ストレス・疾病時・薬物・食餌による腸内フローラの変動など,腸内フローラの生態学的法則が次々と発見され,これに基づいて,腸内フローラが宿主の栄養・免疫・感染から癌や老化にまで関係することが明らかにされた.かくして1980 年には,学際的な新学問分野「腸内細菌学」が樹立された. これがきっかけとなり,腸内フローラのバランスをBifidobacterium のような腸内有用菌を増やし,Clostridium のような腸内有害菌を抑制することが,生活習慣病を予防するためにきわめて重要であることが明らかにされ,プロバイオティクス,プレバイオティクス,バイオジェニクスなどの機能性食品が開発された.

1980 年以降,プロバイオティクスの健康効果に関する膨大な数の論文や成書が国内外で発表され,プロバイオティクスによる腸内環境改善,下痢の改善と予防,感染防御,炎症性腸疾患・過敏性腸炎の改善,発癌抑制,アトピー性皮膚炎・花粉症などのアレルギー性疾患の予防・改善,脂質異常症(高脂血症)・高血圧・糖尿病など生活習慣病の予防,さらに,胃内Helicobacter pylori 菌の抑制や,虫歯や歯周病の予防などについても報告されている.

本書は,東海大学医学部感染症研究室の古賀泰裕教授の編集により医歯学分野の各領域におけるプロバイオティクス研究の成果が網羅的に集められており,臨床応用の現状とその可能性にまで言及されて,『医科プロバイオティクス学』として上梓されたことは洵に欣快に堪えない.本書が,メディカル,コメディカルの学生や,医療従事者および医学研究者の一助となるとともに,医歯学分野においてプロバイオティクスが生活習慣病の予防や代替医療として利用されることを期待したい.


2009 年8月

東京大学名誉教授 光岡 知足

目次

Ⅰ 総説

1 プロバイオティクスは加齢医学から始まった

2 細菌学の歴史におけるプロバイオティクス

Ⅱ 基礎編

1 ヒト口腔内・腸内常在菌の構成

2 フローラ解析─培養法

3 フローラ解析─分子生物学的方法

4 フローラ解析─メタゲノム解析

5 腸内フローラ・腟内フローラの生理的役割

6 腸内フローラの免疫系に及ぼす効果

7 口腔フローラの免疫系に及ぼす影響

8 プロバイオティクスの効能と作用機序

9 プロバイオティクス医薬品の現状と展望

10 プロバイオティクス食品の現状と展望

11 プレバイオティクス,シンバイオティクス

12 プロバイオティクスの安全性評価

Ⅲ 臨床編

1 Helicobacter pyloriに対するプロバイオティクス応用の基礎的検討

2 Helicobacter pylori感染症に対するプロバイオティクスの臨床応用

3 ウイルス感染症

4 衛生仮説(hygiene hypothesis)

5 アレルギー性鼻炎に対するプロバイオティクスの基礎的検討と臨床トライアル

6 アレルギー性鼻炎,花粉症

7 アトピー疾患

8 胃・十二指腸疾患

9 NSAIDs潰瘍

10 functional dyspepsia

11 小腸・大腸疾患

12 炎症性腸疾患

13 過敏性腸症候群

14 感染性腸炎

15 周術期腸内管理

16 経腸・経静脈栄養

17 MODS,SIRS

18 肝・胆・膵疾患

19 脂質異常症

20 高血圧症

21 糖尿病

22 慢性腎臓病(CKD)

23 大腸癌予防

24 心身医学

25 脳腸相関

26 口腔歯科学の臨床

27 口臭外来

28 歯周病の治療とプロバイオティクス

29 歯周病に対するプロバイオティクスLS1株の検討

30 新生児・乳児期医療

31 乳児腸内細菌叢形成における母子間垂直伝播の役割

32 新生児外科疾患

33 小児アレルギー疾患

34 小児のHelicobacter pylori感染症

35 加齢医学の基礎

36 加齢医学の臨床


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書籍情報

  • ISBN:9784916166241
  • ページ数:650頁
  • 書籍発行日:2009年10月
  • 電子版発売日:2014年6月20日
  • 判:B5変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:2

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