ERで役立つ救急症候学

  • ページ数 : 262頁
  • 書籍発行日 : 2012年3月
  • 電子版発売日 : 2013年3月1日
¥3,850(税込)
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商品情報

内容

5分以内の症候・検査所見のみかたと病態のメカニズム

救急外来で遭遇する主要な15の症候、3つの病態、3つの疾患に絞り、その診断と初期治療をメカニズムに焦点をあてて理由づけした書。現在標準化されている主要な分類、ガイドラインを320の図表で提示して、論理的に解説することを心がけて解説している。経験や勘に頼る前にまず、抑えておくべき知見を網羅したロジカルテキストである。

序文

ERに来院する患者の初期診療を行う場合に,我々医療従事者は,どのような医学的情報を入手して,それをどのような理論で解析して,診断から初期治療,advanced triageにつなげていくかが重要である.この医学的情報入手項目の認識と解析理論が不在なままで主に経験に頼りながらERでの診療が行われてきたのが現状ではないだろうか.

私も,ERでの診療に15年以上関わりながら,上記命題の答えが出せずに中途半端になったままだった.今回,上記命題の答えを出すべく本書を執筆した.患者の医学的情報入手項目のうちで最も早急にかつ正確に入手しなければならない事項は,患者が最も困っている医学的事項,つまり主症候・主訴である.患者の年齢と性別が既にわかっているはずなので,この一言で,患者の診断まで可能な場合が少なくない.

主症候,主訴とは患者にとって最も困る医学的事項であるが,この主症候・主訴を重篤度で分類し,どのような理論でその重篤度が決められているのかまで含めて認識することが重要である.ただ,ここで気をつけなければならないことは,患者がまたは他の誰かが,例えば,めまいと言ったから主訴はめまい,または呼吸不全と言ったから主症候は呼吸不全という,中途半端な決定はしてはならない.その主症候・主訴にはすべて医学的定義が存在するため,その定義を満たしているかどうか,状況から考えて本当にそれで良いかを自分自身で再度確認する必要がある.

主症候・主訴が決定されれば,それに対する鑑別診断が自動的に挙げられ,必要な所見の聴取や検査が行われる.鑑別診断については,原因疾患の重篤度と頻度を常に念頭に検索順序が決められなければならない.その詳細については考え方の理論も含めて本書を読んでいただければ理解できるものと思っている.

次に,主症候・主訴からの診断の経緯の中で,もう一つ同時進行しなければならないことがある.それは,目の前の患者の重篤度診断である.来院後すぐに原因疾患の診断がつけば重篤度も同時に把握できるが,原因疾患の診断がついていない状態でもその重篤度を把握することが重要である.これに役立つものが来院後約5分以内に結果が出る緊急病態の検査項目である.具体的には,酸塩基平衡異常,ナトリウム異常,カリウム異常,血糖異常である.これらの数値は通常,来院後5分以内には結果が出る.その時点で原因疾患の診断がついていなくても,これらの数値をみれば重篤度が予想できる.また,これらの数値で原因疾患の診断も可能な場合が多い.このように,主症候・主訴と緊急病態を理論的に解析することで重篤度を基本においた原因診断が論理的に可能になってくる.

最後に,ERに来院する重篤度の高い疾患群を予め知りそれらの疾患の全体像を把握していなければならない.この疾患群は緊急心血管系疾患と言われ,具体的には,心肺停止・呼吸停止,不整脈,急性冠症候群,脳卒中である.これらの疾患については,主症候・主訴から理論的に診断していく方法は当然として,疾患自体の全体像も把握する必要があるため,重要疾患として整理をした.

本書では,症候編,病態編,疾患編として整理して記載した.症候編では重篤な主症候・主訴から順番に15項目(本文では複数の項目を一項目として一緒に述べている場合があり,11項目となっている),病態編では前述した4項目,疾患編では,心肺停止・呼吸停止以外(心肺停止・呼吸停止は症候編に含まれるので)の前述した3項目について記載している.本書を読むことにより,ERでの診療をイメージできるように構成されている.

もう一つ,本書の特徴は,重要な医学用語や医学的事項に太文字を使ったことである.これは,その項目での重要点を理解できるという利点だけではなく,ある程度理解できている読者には太文字のみを追って読むことで,その項目の内容が理解できるようになっている.

いずれにしても,本書を臨床現場で活用することでERでの初期診療の向上に役立てていただければ幸いである.


2012年 3月吉日

河野 寛幸

目次

はじめに

ER型救急システムでの初期診療の考え方

第1章 症候編

Ⅰ 心肺停止・呼吸停止

[1]心肺停止およびその周辺病態

[2]心肺停止・呼吸停止の治療

[3]電気的治療

Ⅱ ショック

[1]ショックの全体像

[2]心原性ショック,閉塞性ショック

[3]循環血液量減少性ショック

[4]血液分布異常性ショック

[5]ショックの診療

Ⅲ 呼吸不全

Ⅳ 意識障害

Ⅴ 痙攣

Ⅵ 失神・失神性めまい

Ⅶ 胸痛,呼吸困難,動悸

Ⅷ 巣症状

Ⅸ 頭痛

Ⅹ めまい(前庭性めまい)

XI 腹痛・腰痛

第2章 病態編

Ⅰ 酸塩基平衡異常

Ⅱ ナトリウム異常(水代謝異常)

Ⅲ カリウム異常

Ⅳ 血糖異常

第3章 疾患編

Ⅰ 不整脈

[1]不整脈の全体像

[2]期外収縮

[3]徐脈の概念と診断

[4]頻拍の概念と診断

[5]徐脈・頻拍に対する臨床的対応

Ⅱ 急性冠症候群

Ⅲ 脳卒中

[1]脳卒中総論

[2]脳梗塞(虚血性脳卒中)

[3]脳出血

[4]くも膜下出血

[5]脳卒中の予防

索引

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書籍情報

  • ISBN:9784902470796
  • ページ数:262頁
  • 書籍発行日:2012年3月
  • 電子版発売日:2013年3月1日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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