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理論がわかる!実践できる!非特異的腰痛のプライマリ・ケア

  • ページ数 : 226頁
  • 電子版発売日 : 2011年5月31日
¥6,820(税込)
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商品情報

内容

これ1冊で学べる! 腰痛保存治療の実用書「理論がわかる! 実践できる! 非特異的腰痛のプライマリ・ケア」の電子書籍版です。

序文

腰痛の医学的治療は、「保存治療」・「外科治療」と対比的に述べられることが多い。しかし、腰痛自体の解消を目的として外科治療が選択されるのは、それが腫瘍や脱臼などから生じている場合が一般的であり、実数としては稀である。疾患に特異な腰痛に苦しむ患者と異なり、多数が悩む腰痛は、日常診療レベルでは病因、病態を明確にできない「非特異的腰痛」である。病因、病態が明らかでない症候に外科治療の適応は原理的に成立しない。この状況を踏まえて考えると、保存治療は腰痛治療の基本である。

保存治療は、薬物療法、理学療法、装具療法、運動療法、さらには患者教育など、さまざまな療法に仕分けされ、さらにそれぞれには多様な薬剤や手段、そして技法がある。その多くが経験的に、あるいは観念的な発想のもとに開発されてきている。近代医学がその進歩の推力としてきた病理学、生化学、分子生物学などの研究手法が病因・病態の解明に未だ届かない腰痛においては、当然ながら、いずれの治療法についても、その妥当性、有効性についての、科学的に明確な裏付けが乏しい。腰痛の基本治療が、誤解を恐れず言えば、混沌の中にある。

このような状況の中で、腰痛診療に携わるものはそれぞれの得手から治療法開発・確立に突き進んできた。特に、アメリカやヨーロッパの一部では椎間板ヘルニアの低侵襲治療として化学的髄核融解療法(キモパパイン注入)を展開した。その後矢継ぎ早に、経皮的髄核摘出術、脊椎instrumentation 手術(椎弓根スクリューや椎間板ケージなど)、腹腔鏡下前方椎間固定術、椎間板内電気温熱療法、人工椎間板置換術が出されてきた。

この勢いは、腰痛の治療法を開発したいとの純粋な熱意だけからのものとは理解できない。しかし、われわれを巻き込むには十分な勢いであった。経皮的髄核摘出術は日本オリジナルであるが、そのほかについて本邦の外科医も当初はその流れに遅れまいと追いかけ走った。しかし、その後は許可当局の審査方針の変更があり、追走が不可能となった。つまり、二階に上がってすぐに梯子を外されていた状態から梯子が架けられない状態となり、梯子に足をかける前に、次の梯子が架けられる状態となった。これで皮肉にも扇動者の犠牲者にはならず傍観者にとどまるようになった。いずれにせよ、外科治療の異様な展開に、整形外科に基盤を置く多くの医師の目が保存治療より外科治療に引き寄せられたのは確かである。

一方、科学的根拠に基づく医療(evidence-based medicine;EBM)の考え方は、治療法をめぐって混乱の度合いが高い腰痛診療に、大きな衝撃を与えた。多くの治療法がEBMの篩により、その効果に疑問符が付けられたり、あるいは逆に思いもよらない方法が推奨されたりとなり、ある意味で混乱が深まった。しかし、EBMの衝撃の第1波が過ぎて少し落ち着いて状況を見渡せるようになると、困惑は治療成績評価法の問題であったり、試験方法の問題であったりすることもわかった。しかし、大きな問題の一つは介入の内容の問題である。腰椎牽引療法ひとつを取り上げてみても、実施の方式はさまざまである。もちろん、臨床試験個々においては方式が統一されているが、各所で行われている「腰椎牽引」において、必ずしも同一性が保証されてはいない。介入の内容が、化学名と用量で表されれば同一である薬物療法を除けば、外科治療を含めて、同じ名で呼ばれる療法でも異なることがある。この思いでわれわれが日常行っている保存治療をみてみると、そのバリエーションはさらに大きくはないだろうか?

第15回日本腰痛学会を2007年に開催するにあたり、腰痛研究の推進も重要であるが、日々の診療の水準向上も学会の重要な使命と考え、企画を検討した。もし、保存治療が理論や原理の理解なしに、あるいは標準的な手技、手法の知識なしに行われているとすれば、それについてのセミナーは診療内容の平準化に有効ではないかと考え、「非特異的腰痛の保存治療.基本コース」を企画した。主な療法の理論と実践についてのセミナーは、幸いその趣旨をご理解いただけたのか好評を博し多くの参加者を得た。これを参加者だけにとどめるのは惜しいとの思いから、これに腰痛の新たな病態概念の解説などいくつかの項目を加えて、腰痛保存治療の実用書とした。

腰痛は二足歩行の宿痾といわれ、昔からこれに苦しみ、悩む人は多い。超高齢社会ではその数はさらなるものとなっている。腰痛には古くからケアの立場で関わる人々がいる。科学を基盤とする医学の手法で腰痛に関わろうとしてきたわれわれはある意味、これの新参者である。この多様なアプローチがある腰痛において、その新参者の強みは科学であり、その批判の精神と普遍性を見いだす思考力を忘れず、腰痛診療に関わってゆきたい。


2009年 4月

米延 策雄
菊地 臣一

目次

第Ⅰ章 腰痛治療の考え方

腰痛に対するPrimary Care ―新たな病態概念―

第Ⅱ章 腰痛の薬物療法

腰痛の薬物療法

第Ⅲ章 非特異的腰痛の理学療法

1.牽引療法

腰椎牽引の理論
介達牽引療法の実際

2.装具療法

腰痛疾患に対する装具療法
腰痛に対する装具療法の実際

3.物理療法

物理療法の理論とその限界
腰痛に対する物理療法の実際

4.運動療法

非特異的腰痛に対する運動療法の理論 ―EBMの立場から―
腰痛症に対する運動療法A to G

5.徒手療法

AKA-博田法の理論と実際
徒手的疼痛抑制法とIDストレッチング

6.トリガーポイント(局所注射)

トリガーポイントの理論
腰痛に対する局所注射の実際

第Ⅳ章 Patient education

腰痛患者に対する教育的介入 ―腰痛学級―


コラム

腰痛のコンサルテーション・リエゾン治療の実際
―精神科の立場から

コンサルテーション・リエゾンの実際
―心療内科の立場から


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書籍情報

  • ISBN:9784895903288
  • ページ数:226頁
  • 書籍発行日:Invalid date
  • 電子版発売日:2011年5月31日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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