臨床のための神経形態学入門

  • ページ数 : 420頁
  • 電子版発売日 : 2011年5月15日
¥26,400(税込)
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商品情報

内容

症候から神経形態学を学べるユニークな教科書「臨床のための神経形態学入門」が電子書籍になりました。

序文

神経系,特に中枢神経系の形態を理解するのは,初学者,ことに学生にとって最大の難関である.その難関は,まず神経解剖学の理解が簡単にはできないという「ジレンマ」に始まる.神経解剖学は正常構造の立体的な把握が,まず越えなければならない高いハードルである.さらにその先には神経病理学という病的な形態学の理解があり,次に踏破しなければならない現実的な難所である.この 2 つの難所だけなら,労を厭う人やこの分野が嫌いな人は避けてしまえばよいわけであるが,現実はそれを許してはくれない.それは神経画像診断学の急速な進歩のためでもある.現在では,医師・医学生のみではなく,看護・リハビリテーション・診療放射線をはじめとする医療に携わるコメディカル全体,さらに社会一般の人たちまでも中枢神経系を知ろうとする意識がきわめて高くなっている.したがって,これら医療全般の本来はまず神経形態学を学ばなくてはならない立場の人たちには,この領域を楽しく勉強できるよい教科書がなく,たいへんな不便を感じているという話も聞くし,それが現実でもある.著者らはこのような諸般の事情を十分に考慮して本書の出版を企画した.また,本書は神経解剖学・神経病理学・神経放射線学・神経生理学・神経生化学・神経薬理学・法医学・神経内科学・脳神経外科学・小児神経学・精神医学・救急医学・リハビリテーション医学・老年医学などの医学のみでなく,看護学・理学療法学・作業療法学・診療放射線学など読者対象の専攻が広範囲にわたり,医療人全般の学力には幅があるので,書籍の記述にはかなりの工夫が必要である.最新の情報をも含めて神経形態学全般の理解を容易にして誤解を防ぐためには,平易な記述と視覚的に提供できる情報が多く盛り込まれていることが大切である.本書はその点を重視してまとめてある.また,多くの方々の勉強のお役に立つなら望外の喜びである.

神経形態学の執筆にあたり,解剖学・画像医学・病理学でそれぞれが使用している用語の一部に違いがあることが分かった.どれかに統一すると,他の領域の用語を否定することになりかねないので,各領域での用語は原則として残し,必要に応じて註釈を付けた.欧語は英語を主としたが,英語圏でラテン語の定着している用語と使用頻度の低い用語はラテン名とした.

最後に,本書は出版の企画以来早くも 7 年の歳月を経ている.これは神経解剖学・画像診断学・神経病理学などの既成の領域概念を超えて,症候からの神経形態学を目指しての執筆であるために,著者らは試行錯誤を重ねたことと,よりよい成果を期待しての修正作業を重ねたためでもある.また,執筆・編集の過程では三輪書店の皆さんには忍耐を強いた.さらに,実に多くの方々にご助言やご協力をいただいた.あわせて衷心からお礼を申し上げる.


2008年 11月

後藤 昇 / 柳下 章 / 大浜 栄作 / 宮田 元

目次

第1章 正常構造と画像解剖

神経系の分類 / 脳の区分 / 中枢神経系を容れる骨の構造 / 脳幹の表面構造と脳神経 / 大脳の葉 / 大脳の断面 / 大脳の内部構造 / 脳幹・小脳の内部構造 / 頭蓋底と脳神経の根 / 脊髄の肉眼構造 / 脳の正常画像 / 脊髄の正常画像

第2章 症候から見た神経形態学

1.運動麻痺
運動麻痺とは / 運動麻痺の種類と関連部位 / 神経伝導路 / 運動麻痺の画像〔運動皮質の異常・内包後脚内の皮質脊髄路の異常とMRIでのその描出〕 / 運動麻痺の病理〔筋萎縮性側索硬化症,家族性筋萎縮性側索硬化症,認知症(痴呆)を伴う筋萎縮性側索硬化症,ヒトTリンパ球向性ウイルス脊髄症〕


2.運動失
運動失調とは / 運動失調の関連構造 / 運動失調関連の伝導路 / 運動失調の画像〔多系統萎縮症,皮質性小脳変性症,常染色体優性遺伝性脊髄小脳変性症〕 / 運動失調の病理〔多系統萎縮症,皮質性小脳萎縮症,CAGリピート病,マシャド-ジョセフ病,歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症,フリードライヒ運動失調症,傍腫瘍性小脳変性症〕


3.不随意運動
不随運動とは / 不随運動と関連構造 / 不随運動の画像〔ハンチントン病〕 / 不随運動の病理〔ハンチントン病〕


4.錐体外路症候
錐体外路症候とは / 錐体外路系とその関連構造 / 錐体外路系の伝導路 / 錐体外路症候の画像〔パーキンソン病,進行性核上性麻痺〕 / 錐体外路症候の病理〔パーキンソン病,進行性核上性麻痺〕


5.知覚障害
知覚障害とは / 知覚の種類 / 知覚関連構造 / 知覚終末装置 / 知覚伝導路 / 知覚障害の画像〔視床出血〕 / 知覚障害の病理〔視床症候群,外側延髄症候群,完全横断脊髄障害,脊髄半側横断障害,加齢に伴う触覚小体の変化〕


6.高次脳機能障害
高次脳機能障害とは / 高次脳機能障害の関連構造 / 高次脳機能障害の画像〔大脳皮質基底核変性症〕 / 高次脳機能障害の病理〔大脳皮質基底核変性症〕


7.認知症(痴呆)
認知症(痴呆)とは / 正常脳の加齢による形態学的変化〔脳重量と加齢,脳の体積と加齢,大脳の皮質髄質比率と加齢・性差,脳の生理的萎縮,脳の組織学的な生理的変化〕 / 認知症(痴呆)の画像〔アルツハイマー病,ピック病,クロイツフェルト-ヤコブ病〕 / 認知症(痴呆)の病理〔アルツハイマー病,レビー小体型認知症(痴呆),ピック病,前頭側頭型認知症(痴呆),タウオパチー,プリオン病〕


8.頭蓋内圧亢進と脳ヘルニア
頭蓋内圧亢進と脳ヘルニアとは / 頭蓋内圧亢進と脳ヘルニアの関連構造 / 頭蓋内圧亢進と脳ヘルニアの画像〔帯状回ヘルニア(大脳鎌下ヘルニア),上行性テント切痕ヘルニア〕 / 頭蓋内圧亢進と脳ヘルニアの病理〔脳回の扁平化・脳溝の狭小化,正中線の偏位・帯状回ヘルニア,テント切痕ヘルニア(鈎ヘルニア・海馬回ヘルニア・上行性テント切痕ヘルニア),小脳扁桃ヘルニア,後頭葉の出血性梗塞,二次性脳幹出血,眼窩回ヘルニア〕


9.血管障害
血管障害とは / 脳脊髄血管の解剖 / 血管障害の画像〔脳葉あるいは皮質下出血,高血圧性脳内出血,脳梗塞,脳動静脈奇形,海綿状血管腫,くも膜下出血,?状動脈瘤〕 / 血管障害の病理 / 主な脳血管障害〔脳出血,くも膜下出血,脳動静脈奇形,脳梗塞,血管性認知症(痴呆)〕


10.頭部外傷と脊髄損傷
頭部外傷・脊髄損傷とは / 頭部外傷と脊髄損傷の関連構造 / 頭部外傷と脊髄損傷の画像〔脳挫傷,硬膜外血腫,硬膜下血腫〕 / 頭部外傷と脊髄損傷の病理〔頭蓋骨骨折,脳挫傷・外傷性くも膜下出血,硬膜外血腫,硬膜下血腫,びまん性軸索損傷,脊髄外傷・脊髄圧迫性変化〕


11.脳腫瘍
脳腫瘍とは / 脳腫瘍の症候 / 脳腫瘍の理解に必要な解剖 / 脳腫瘍の画像〔線維性星状膠細胞腫,膠芽腫,髄膜腫,下垂体腺腫(微小腺腫),胚芽異形成性神経上皮腫瘍〕 / 頭蓋内および脊柱管内に発生する腫瘍・腫瘍性病変の病理〔神経上皮組織腫瘍,末梢神経腫瘍,髄膜腫瘍,リンパ腫および造血器腫瘍,胚細胞性腫瘍,トルコ鞍部腫瘍,転移性腫瘍〕


12.髄膜と脳脊髄液の異常
髄膜と脳脊髄液の異常とは / 髄膜の形態と脳脊髄液の産生・排出 / 髄膜の神経支配と血管分布 / 髄膜と脳脊髄液の異常の画像〔水頭症,正常圧水頭症,低髄液圧症候群(髄液圧低下症候群),単純ヘルペス脳炎〕 / 髄液と脳脊髄液の異常の病理〔急性化膿性髄膜炎,単純ヘルペス脳炎,亜急性硬化性全脳炎,進行性多巣性白質脳症〕


13.脊髄と脊髄神経の障害
脊髄と脊髄神経の障害とは / 脊髄と脊髄神経の構造〔脊髄の肉眼構造,脊髄神経の肉眼構造〕 / 脊髄の内部構造 / 脊髄と脊髄神経の障害の画像〔脊髄血管の解剖,脊髄梗塞〕 / 脊髄と脊髄神経の障害の病理〔圧迫性脊髄障害,脊髄腫瘍,筋萎縮性側索硬化症,多発性硬化症,フリードライヒ運動失調症,ヒトTリンパ球向性ウイルス脊髄症,二分脊椎,脊髄の血管奇形,亜急性脊髄連合変性症〕


14.顔面の異常
顔面の異常とは / 表情筋と顔面神経の形態 / 顔面の異常の画像〔顔面神経鞘腫〕 / 顔面の異常の病理


15.眼と視覚の異常
眼と視覚の異常とは / 眼と視覚の構造〔視覚伝導路,網膜の形態,視神経,視交叉,視索,外側膝状体,視放線,有線領〕 / 眼と視覚の異常の画像〔多発性硬化症,後大脳動脈梗塞,内側縦束症候群〕 / 眼と視覚の異常の病理〔多発性硬化症〕


16.耳・聴覚・平衡覚の異常
耳・聴覚・平衡覚の異常とは / 耳の構造〔蝸牛とラセン器(コルチ器),半規管・卵形?・球形?〕 / 内耳神経(前庭蝸牛神経)〔前庭神経,蝸牛神経〕 / 聴覚伝導路〔聴覚伝導路,蝸牛神経腹側核と背側核,内側上オリーブ核,外側毛帯,下丘,下丘腕,内側膝状体,聴放線,横側頭回〕 / 平衡覚伝導路 / 耳・聴覚・平衡覚の異常の画像〔聴神経腫瘍〕 / 耳・聴覚・平衡覚の異常の病理〔聴神経腫瘍,老人性難聴,中枢性頭位眩暈〕


17.舌・咽頭・喉頭の異常
舌・咽頭・喉頭の異常とは〔舌・咽頭・喉頭の観察,舌の運動障害,舌の知覚と味覚の障害,咽頭の運動障害,咽頭などの知覚障害,咽頭の運動障害〕 /  舌・咽頭・喉頭の形態と神経支配 / 味覚伝導路 / 舌・咽頭・喉頭の異常の画像〔脊髄空洞症,延髄空洞症〕 / 舌・咽頭・喉頭の異常の病理〔口蓋ミオクローヌス〕


18.けいれん発作
けいれん発作とは / けいれん発作の関連構造 / けいれん発作の画像〔限局性皮質異形成,結節性硬化症・皮質結節,孤発性皮質結節,滑脳症,多小脳回,片側巨脳症,内側側頭葉硬化症(海馬硬化症),スタージ-ウェーバー症候群〕 / けいれん発作の病理〔片側顔面けいれん,てんかん〕


19.自律神経異常
自律神経異常とは / 自律神経系とは〔交感神経,副交感神経,生理活性物質〕 / 視床下部の構造 / 下垂体門脈系 / 自律神経異常の画像 / 自律神経異常の病理


20.神経系の発生と発生異常
神経系の発生とは / 神経系の正常発生〔中枢神経系の初期発生,中枢神経系の表面成熟,脳の内部構造の成熟,脳の重量と体積の発達〕 / 中枢神経系の発生異常 / 神経系の発達の画像〔髄鞘形成〕 / 神経系の発達障害の画像〔脊髄髄膜瘤,孔脳症,裂脳症〕 / 発生異常・奇形の病理〔神経管欠損・癒合不全・閉鎖不全,前脳の左右分離障害,脳破壊性病変,先天性水頭症,小脳の奇形,脊髄の奇形〕


21.筋と筋力の異常
筋と筋力の異常とは〔筋力の異常,筋緊張の異常,筋の動きの異常,筋の形やサイズの異常〕 / 筋の形態 / 筋の筋力の異常の画像〔大腿中央部の筋肉,多発性筋炎・皮膚筋炎,封入体筋炎〕 / 筋と筋力の異常の病理〔神経原性筋萎縮,神経筋接合部の異常による筋疾患,筋原性疾患(ミオパチー)〕


22.中毒性疾患
中毒性疾患とは〔一酸化炭素中毒,アルコール性神経障害,キノホルム中毒,有機水銀中毒(水俣病),鉛中毒,有機リン中毒,有機溶剤中毒,麻薬中毒〕 / 中毒性疾患の画像〔一酸化炭素中毒,アルコール性小脳萎縮症〕 / 中毒性疾患の病理〔一酸化炭素中毒,アルコール性小脳変性症〕


23.代謝性疾患
代謝性疾患とは〔リピドーシス,アミノ酸代謝異常,レッシュ -ナイハン症候群(プリン代謝異常),ポルフィリン症,ウィルソン病,アミロイドーシス,ビタミン欠乏症,糖尿病性神経障害,尿毒症性神経障害〕 / 代謝性疾患の画像〔慢性後天性肝脳変性,ウェルニッケ脳症〕 / 代謝性疾患の病理〔ウェルニッケ脳症,ウェルニッケ -コルサコフ症候群,亜急性脊髄連合変性症,橋中心髄鞘崩壊,橋外髄鞘崩壊〕


24.大脳白質の病変
大脳白質の病変とは〔白質ジストロフィー,白質粗鬆化,縊死脳病変,ビンスワンガー病〕 / 大脳白質の病変の画像〔副腎白質ジストロフィー〕 / 大脳白質の病変の病理〔縊死脳病変,ビンスワンガー病〕


第3章 補遺:その他の知っておきたい事項

1.脳血管障害の大型染色切片


2.神経皮膚症候群(母斑症)
神経線維腫症1型 / 神経線維腫症2型 / フォン ヒッペル-リンドウ病 / スタージ-ウェーバー症候群 / 結節性硬化症あるいはブルヌビル -プリングル病


3.神経形態学人名録

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書籍情報

  • ISBN:9784895903202
  • ページ数:420頁
  • 書籍発行日:Invalid date
  • 電子版発売日:2011年5月15日
  • 判:A4判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
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