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栄養医療のスペシャリストがつづる 心に残る栄養療法の患者さんたち 2

  • ページ数 : 360頁
  • 書籍発行日 : 2016年3月
  • 電子版発売日 : 2018年8月10日
¥1,980(税込)
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商品情報

内容

好評を博した「栄養医療のスペシャリストがつづる 心に残る経腸栄養の患者さんたち」の第二弾。97人103作品が収載。

経腸栄養だけではなく、静脈栄養、経口栄養を含めた栄養管理全体として『心に残る栄養療法の患者さん』に関わった医療者の声を多数掲載しています。

栄養医療のスペシャリストがつづる 心に残る栄養療法の患者さんたち 1

序文

まえがき

『栄養医療のスペシャリストがつづる~心に残る経腸栄養の患者さん~』は、非常にすばらしい本となりました。読めば、感動する内容ばかりです。私が一番感じたのは、こんなに患者さんのことを考えている医療者がいる、本気で患者さんに向き合い、できるだけの心のこもった医療を実践している医療者がこんなにいる、ということを、もっと知っていただきたい、ということです。もっと一般の方(この表現は正しくないのかもしれませんが)に読んで、理解していただきたい、知っていただきたい、と思っています。

正直なことを申しますと、『心に残る経腸栄養の患者さん』は、現在の『胃瘻バッシング』に対して、胃瘻を用いてこんなに有効な栄養管理ができている患者さんがたくさんいるのだ、ということを示してやろう、という意図がありました。胃瘻はいいんですよ、有効なんですよ、そういうことばかりを表現するのではなく、本当に医療者がどのように胃瘻について考え、胃瘻を有効に利用し、胃瘻を用いて有効な経腸栄養を実施していることを示しながら、正しい判断をしていただきたい、正しい判断ができるようになっていただきたい、と思ってのことです。確かに私がこの本を企画した、その意図は、十分に達成できた内容となりました。読んでくださった一般の方からも、そういう評価をいただきました。そうして、いろいろ考えているうちに、経腸栄養だけではないんだ、静脈栄養、経口栄養を含めた、栄養管理全体としても『心に残る栄養療法の患者さん』に関わった医療者の声は、もっともっとあるはず、という思いになり、第二弾としてこの本を企画しました。予想通り、経腸栄養、静脈栄養、経口栄養、すべてを駆使して、栄養管理全体として心から患者さんのことを考えて関わった、個人的な歴史を書いていただきました。今回も100題以上が集まりました。

現在、NST(栄養サポートチーム)が多くの施設に設立され、活動しています。各施設のホームページにも、NSTが専門的な栄養管理を行っています、と掲載されています。しかし、こんなことをいうと叱られるかもしれませんが、本当に有効な栄養管理が実施できていない患者さんがいることも間違いありません。本来、NSTというチームで行う栄養管理法は、中心静脈栄養法(total parenteral nutrition: TPN)を安全確実に実施しようという目的で設立されたものです。欧米ではhyperalimentation unitという名称でした。その後、経口栄養、経腸栄養も含めた栄養管理法を駆使して、患者さんに最も適した栄養管理を実施する、という内容になりました。私自身、アメリカ合衆国のデューク大学のNSS(栄養サポートサービス)に所属して実際を経験してきましたが、私が活動していた頃の活動内容は、すべての栄養療法、特にTPNと経管栄養を駆使した栄養管理法が実施されていました。本邦でNSTという名称が一般的に使われるようになったのは、1998年、日本静脈経腸栄養学会が研究会から学会へと変わった時、初代理事長の小越章平先生が日本にNSTを普及させようと活動を開始してからです。実は、大阪大学第一外科・小児外科では、すでに1974年から岡田正先生の指導のもと、IVH研究室が院内全体の栄養管理(特にTPN)を実施するというNST活動を行っていました。もともとのNST活動は、静脈栄養、経腸栄養を駆使して経口摂取へ移行するという、基本的な考え方で活動が行われていました。しかし、本邦の現在のNST活動は、いつのまにか経口摂取が中心になりすぎて、経腸栄養や静脈栄養の管理がおろそかになりがちである、と私は感じています。静脈栄養、経管栄養をもっと積極的に利用した栄養管理を行うべきです。また、NSTには、NST自体のレベルが低下すると、病院全体としての栄養管理レベルが低下する、という重大な問題がありますが、その傾向が出てきているのではないかという危惧もあります。もちろん、栄養管理の最終的な目的は、経口摂取ができるようになる、ということですが、そこに至る過程として、経腸栄養、静脈栄養を駆使して、と私は思っていますし、当然、そうあるべきです。そういう意味でも、今回の企画には『経口栄養、経腸栄養、静脈栄養を駆使した栄養管理』という意味合いを持たせました。予想どおり、そういうふうに、栄養管理を総合的に考えた内容となりました。これは、私自身が操作したものではなく、自然に、そういう内容の症例が集まった、ということです。

長年、この領域に携わってきた者として、同じような気持ちでおられる医療関係の方々の経験を、「論文として書くのはむずかしいが、エッセイ的な表現で書いていただこう」と思ってこの本を企画しました。硬い文体、柔らかい文体、いろいろありますが、本気で患者さんに関わった、医療者の気持ちが込められています。投稿していただいたみなさんに感謝しながら、患者さんや家族の方々にもその気持ちをわかっていただきたいと編者として切に願っています。こういうことを言う必要はありませんね。とにかく、読んでください。自然と、医療者の優しさと熱意を感じていただけると思います。


2016年2月

井上 善文

目次

略語・用語

第1章 患者さんの思い、家族の思い

一基くん、32年間、よくがんばったな

「ご飯を食べて、もう一度自宅へ帰したい」

『細さ』にこだわる経鼻栄養チューブ~こだわりに隠された理由~

栄養士さん、食事の話を聴いてほしい

口から食べたい(経口摂取への思い) 

~全身性強皮症による慢性偽性腸閉塞症症例の経験より

「トマトが食べたい」から始まり金婚式に退院

家族の絆で復活!

経口摂取の喜びが経腸栄養を通してわかったケース

匂い袋と夫婦愛

ベッドサイドで握手

最後まで自身で『栄養補給方法』を意思表示された患者さん

患者と家族の強い覚悟

第2章 胃瘻・経腸栄養

胃瘻の合併症もいろいろ経験しました

腹部CTで胃の前方に大腸があり、胃瘻が不可能であると考えられた症例

酒豪のひと

胃瘻造設から食べる胃瘻へ

胃瘻に対するイメージ...「胃瘻作るんやったら首つるわ」

「これはわしのご飯や。自分でする!」

味わうことの「幸せ」と胃瘻

胃瘻で関わった忘れられない二人の患者さん

パーキンソン病は胃瘻とリハビリでよくなる!?

家族と花屋を続けたい

仲の良いNさん夫婦

〝安心〟からもう一歩踏み込んで

胃瘻栄養管理のセカンドオピニオン

胃瘻造設により念願の自宅に戻れた患者さん

終末期の経腸

十二指腸穿孔から後腹膜膿瘍を併発し経腸栄養が有効であった患者さん

早期経腸栄養で社会復帰した同僚のNさん

胃瘻からの栄養で化学療法をがんばられた重複がんの男性患者さん

骨髄異形成症候群、移植後脳症の患者様が男らしさを取り戻した一症例

褥瘡ケアの礎となった4年余の経鼻胃管患者

第3章 静脈栄養

はじめてのHPN患者さん

周期的静脈栄養法第一号患者さんの思い出

シャープのテレビとTPN

この点滴で家に帰れるの?

栄養の充足だけでなく患者のQOLにも貢献できる静脈栄養管理

がん化学療法施行患者におけるHPN症例

在宅静脈栄養(HPN)からの離脱に成功した超短腸症候群の患者さん

先んじて在宅静脈栄養を施行した患者さん

終末期の在宅中心静脈栄養管理の患者さん

最後のクリスマス

第4章 それぞれの栄養管理-1

治療を乗り越え無事帰国できた、笑顔の可愛い少年

「ん、食べてみてもええけどなぁ」

たかが20g〝生きろ、食べろ、食べることは素晴らしい!〟

NSTは、心の栄養療法もサポートする

「食べる」可能性と「笑顔」を取り戻せた患者さん

栄養はThe Long and Winding Road

家族協働で在宅療養を可能にした栄養療法

がんセンター時代を振り返って

栄養士にしかできない仕事に気づかせてくれた患者さん

「褥瘡管理」は栄養管理を中心としたチーム医療の集大成!

栄養に興味を持った訳

―食事療法が医療の基本だということに何時気付いたか

患者にとっての栄養の認識とは何か?

~食道がんの症例を通じて~

NSTに届いた一通の手紙

~残された家族にも栄養サポート!?~

食べられなくなったら寿命?

胃がん腹膜播種の患者さん

奇跡の食事

「頼りにしている」

~在宅訪問栄養指導の重要性を教えてくれたMさん~

心に残る栄養療法の患者さん

投与計画お願いします!

第5章 それぞれの栄養管理-2

曾孫の誕生を見届けて旅立たれHさん

術後栄養管理は大切であると実感した食道がん術後栄養不良例

ストレスが症状悪化を来すことを強く示唆したクローン病患者の一例

「もとの体に戻して!」 ~ストマ閉鎖に挑んだ患者さん

「栄養が必要な方ほど栄養が入らない」ことを思い知らされた患者さん

嚥下障害の原因が不明の患者さん

重症破傷風患者への至適な経腸栄養:胃電図の活用

小脳梗塞で悪戦苦闘した症例

少しの勇気が患者を救う!?

亜鉛投与の奇跡

放射線化学療法による酷い嚥下痛、それでも経口摂取できた理由

Sちゃんの思い出

様々な困難を乗り越えて~80歳の挑戦

筋萎縮性側索硬化症(ALS)が背景にあり栄養管理に難渋した患者さん

たまにはあんたの顔も見んとな

~エイジシューターになれなかったHさん

第6章 失敗、心残り、葛藤

一般障害者病棟にある笑顔

アルコール依存症患者に学んだ管理栄養士のあるべき姿

今一度問い直す。栄養は足りているか? 体重は測られているか?

忘れられない食道がんの患者さ

~口から食べたい気持ちに応えた結末~

患者さんから学んだこと(経腸栄養の事例経験)

ケセラセラ

このようなことがないようにNSTを始めたのに・・・

私のおじさん

痛恨の鎖骨下静脈穿刺

短腸症候群になった栄養の先生

4通の手紙

私が栄養管理をして元気にしてみせよう・・・できなかった

第7章 緩和ケア、ターミナル

緩和ケアでの医学的根拠に基づく患者さんのニーズに応じたケアとは?

~医療者間の葛藤~

「ただ、もう一度ご飯が食べたい!」

-積極的な栄養療法が教えてくれたこと

ひやしあめ

命のバトンにつながる死に水

心の栄養療法

ビールで乾杯!

最期を見送るお手伝い

第8章 栄養医療と私

脳卒中・胃瘻・誤嚥性肺炎と私の思い出

私を栄養療法の道へ導いてくれた患者さんT君

患者家族の希望実現へのステップがもたらした私の歩み

刹那の景

「患者の物語に飛び込む」ということを知った日

一番最初に伝えたかった・・・

23年前の母の思い出 ~私を栄養へ向かわせた原体験~

栄養管理についての私の個人史


執筆者索引

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  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784862701572
  • ページ数:360頁
  • 書籍発行日:2016年3月
  • 電子版発売日:2018年8月10日
  • 判:四六判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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特記事項

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