• ページ数 : 232頁
  • 書籍発行日 : 2014年12月
  • 電子版発売日 : 2015年2月12日
¥4,180(税込)
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商品情報

内容

本邦初!「18トリソミー」の単独解説書

緩和ケアか、積極的治療か、その治療方針が大きく分かれる18トリソミー。しかし近年、退院し、家族の中で豊かに育まれる子どもたちの姿が報告されるのに従い、子どもの生きる力に寄り添う医療のかたちが見えてきた。医学的管理から家族のサポート、療育、在宅医療まで、すべての道しるべとなる一冊。

序文

はじめに

18トリソミー(症候群)は頻度の高い代表的な染色体異常症の1 つです。しかし、13トリソミーとともにその治療方針が、大きい病院でも制限的治療(緩和ケア)から積極的治療(標準的新生児・小児集中治療)まではっきり分かれるという点で特別な疾患です。欧米で制限的治療が主流となる中で、日本のいくつかの病院では、持てる力を尽くして子どもの生きる力を支えるという独自の進化をとげていました。その成果は、2006 年の新生児集中治療の有効性に関する報告に始まり、心臓手術の有効性、てんかんの特徴と治療方針、食道閉鎖根治手術の有効性に関する報告と、次々に国際誌に発信されてきました。

同時に、2001 年に設立された「18トリソミーの会」の活動により、子どもへのよりよい医療を望む1 人ひとりの親の声が集まり、しだいに大きな流れとなっていきました。この流れは、日本の新生児医療現場に「医療スタッフと親、患者会が協働して」医療を作り上げていく機運につながり、『重篤な疾患を持つ新生児の家族と医療スタッフの話し合いのガイドライン』の制定にも貢献しました。2003 年に行われた質問紙調査の成果はさまざまな学会での発表やリーフレット作成を通じて磨かれ、ついに2013 年に国際誌に発表されました。そこには「18トリソミーの子どもは、手厚い医療・ケアにより、従来考えられていたよりも長期に生存すること、親は育児に前向きであり、子どもも生きている限り親やきょうだいとさまざまな交流をし続けること」が示されています。

こうした日本からの発信は欧米の医療現場にも影響を与え始めています。18トリソミーの子どもの母親の立場から数々の重要な臨床研究をしている米国のバーバラ・ファーロー(Mrs. Barbara Farlow)さんから、次のようなメールが届きました。

「あなたたちの研究は、多くの国の18トリソミーの子どものケアに目覚ましい(astounding)影響を与えています。ほとんどの米国の小児病院では、心臓手術は珍しいものではなくなっています。先月スコットランドではこの20 年間で初めて心臓手術が行われ、無事成功しました。イングランドでは、今も親の懇願を固く拒んでいますが......。そして、国、文化、宗教にかかわらず、18トリソミーの子どもは愛され、価値あるものと考えられ、そして人間愛に貢献しているのですね!」 本書は、18トリソミーの会代表・櫻井浩子さんの発案に、臨床心理士として長く18トリソミーの子どもとその家族の支援をしてきた橋本洋子さんと臨床遺伝科医として18トリソミーの医学的エビデンス構築に取り組んできた古庄が賛同し、企画をいたしました。

そして、その歴史的・社会的意義を理解してくださったメディカ出版の協力により、準備を進めてまいりました。出版の目的は、18トリソミーの子どもが、家族とともに、1 日でも長く、充実した日々を過ごしていけるよう、現時点で最高の治療、看護、療育を含めた包括的支援のあり方を発信することです。執筆陣は、こうした医療、ケアを日々実践しておられ、かつそれをさまざまな立場で発信されてきた日本を代表する専門家です。したがって、ここに記されている内容は、各分野における世界最先端のものであると言ってよいでしょう。さらに、櫻井さんの呼びかけで18トリソミーの会の会員の方々も寄稿してくださり、まさに「医療者と親、患者会が協働して」作り上げた現時点での18トリソミー支援の到達点とも言える書籍となりました。

昨年4 月より国内でも臨床研究として導入された新型出生前診断(NIPT)は、「すべての妊婦に対して、あらゆる遺伝性・先天性疾患を調べられる選択肢を提供することで、少しでもリスクの少ない子どもを選んでいく」社会の入り口を示していると言えるでしょう。他方、本書から発信される18トリソミーの子どもへの手厚い支援は「どんなに深刻な合併症や重度の障がいがあっても、授かった子どもを大切に育てていく」という社会の究極の姿と言えます。分岐点にある現在を生きる私たちは、次世代にどのような社会を残していくのでしょうか。

これまで18トリソミーの子どもやその家族の支援に関わってきた、また、これから支援をしようとする医療・療育・教育関係の方々、18トリソミーの子どもを授かり育児や介護に取り組んでおられるご家族、おなかの赤ちゃんが18トリソミーをもっている(かもしれない)と言われ不安の中にいる妊婦さんとそのご家族、周産期・遺伝・障がい児医療を学ぶさまざまな職種の卵の方々など、多くの方々にお読みいただきたいと思い、詳細で複雑な内容もできる限り平易な表現で記載するよう執筆陣一同心がけました。日本において世界最高の医療・支援体制を築き上げてきた医療スタッフの情熱、ご家族の深い愛情、そして何より18トリソミーの子どもたちのすばらしさを感じとっていただければ、これ以上の喜びはありません。


2014 年10月20

日古庄 知己

目次

・本書の出版によせて/FOREWORD(刊行によせて)

・はじめに

・執筆者一覧

【第Ⅰ章 18トリソミーの理解のために】

(1) 18トリソミーに関する医学的エビデンス

(2) 18トリソミーの子どもをもつ家族の思いに関するエビデンス

(3) 親の立場から周産期医療にのぞむこと

(4) 「こころのケア」という視点から

(5) 18トリソミーをめぐる医療の歴史

(6) 新生児医療と「話し合いのガイドライン」

(7) 「18トリソミーの会」のこれまでとこれから

【第Ⅱ章 診療の実際】

(1) 産科管理

(2) 新生児集中治療

(3) 心疾患への対応

(4) 外科疾患への対応

(5) てんかん発作への対応

(6) 骨格異常への対応

(7) 視聴覚症状への対応

【第Ⅲ章 発達と健康の包括的支援】

(1) 18トリソミーの子どもの成長・発達と包括的健康管理指針

(2) 摂食指導

(3) 子どもと家族への看護

(4) 療育的支援

(5) 子どもと家族への縦断的支援 ①胎児主治医制

(6) 子どもと家族への縦断的支援 ②妊娠中から在宅までの心理的支援

(7) 子どもと家族への縦断的支援 ③福祉的支援・在宅支援

(8) 子どもと家族への縦断的支援 ④家族の立場から

(9) 家族とともに、そして社会とのつながりの中で

【第Ⅳ章 心理的支援と遺伝カウンセリング】

(1) 家族への心理的支援

(2) 18トリソミーをめぐる遺伝カウンセリング

(3) 親の立場から遺伝カウンセリングにのぞむこと

【第Ⅴ章 各施設の取り組み】

(1) 獨協医科大学病院  これまでの10年、そしてこれから

(2) 東京大学医学部附属病院  在宅医療への移行も見すえて

(3) 東京都立墨東病院  NICU卒業生のネットワークをいかして

(4) 日本赤十字社医療センター  施設を越えてノウハウの蓄積を

(5) 滋賀県立小児保健医療センター  「医療」と「療育」、両面からのサポート

(6) 愛仁会高槻病院  家族とともに考える

(7) 関西医科大学附属枚方病院  姑息的心臓手術で平均生存期間の改善へ

(8) 大阪府立母子保健総合医療センター  呼吸障害に対する経鼻エアウェイの有効性

(9) 倉敷中央病院  治療・ケアの変遷、それぞれの医療のかたち

(10) 沖縄県立中部病院  "ゆいまーる"の精神で、その子らしい生活を

【Column わが子への思い 18トリソミーの会メンバーより】

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書籍情報

  • ISBN:9784840453141
  • ページ数:232頁
  • 書籍発行日:2014年12月
  • 電子版発売日:2015年2月12日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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