新生児緊急搬送ハンドブック

  • ページ数 : 196頁
  • 書籍発行日 : 2012年6月
  • 電子版発売日 : 2014年5月9日
¥4,180(税込)
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商品情報

内容

新生児搬送のすべてがわかる。

「新生児搬送」について単独で取り上げた本邦初の書籍。年間1万人近い重篤な病態の新生児が“医師の手によって”搬送されている。これだけの医師搬送を実行している分野は他にはない。多くの新生児科医は言う。「新生児搬送は若手小児科医の成長に最もふさわしい場である!」

序文

医師が参加する新生児搬送は1970年代に既に普及が始まって,1985年の柴田らの全国調査では143カ所で年間に8,353例の搬送を実施していると報告されています.その後もNICUの発展とともに,新生児搬送は新生児集中治療の提供において重要な部分を占めてきたことは,新生児医療関係者の誰しもが認めているところです.

一方,残念なことに問題も積み残されてきました.

第一に新生児搬送について今なお関係者以外に余り知られていませんし,その内容が正しく理解されているわけではありません.年間に1 万人近い重篤な病態の新生児が医師の手によって搬送されることで,その安全な医療提供が確保されてきたことは,もっと以前から社会的に正しく理解・認知されるべきでした.わが国には他にこれだけの医師搬送を実行している専門分野はないのです.

第二に,2010年の診療報酬改定で新生児医師搬送に独立した点数が設定されたことは,遅きに失しつつも,認知の新しい第一歩と位置付けることができるでしょう.しかし戻り搬送と出迎え搬送が同じレベルで扱われているのは問題なしとしません.搬送医学という観点からすると,緊密な情報システムと集中治療の技術が求められるのが出迎え搬送ですが,戻り搬送は別のニードで必要とされているからです.また救命救急医療で救急救命士の役割が位置づけられているわけですから,新生児搬送ではさらに上のランク付けを得ることが必要でしょう.

第三に,そして何よりも問題として残してきたのは,私たち自身が,新生児搬送という医療の理論と技術を体系化してこなかったことではないかと考えられます.1970年代に本格稼働を始めたNICU医療を立ち上げてゆく中で,常に人手・資金不足と過重労働に追い立てられていた新生児科医にとっては,それも無理からぬことだったと言い訳をしたいところですが,いつまでもそれで良いとは言えないでしょう.今新生児科医にも世代交代が始まっています.第一世代としては,どうしても新生児搬送は自分たちでまとめておきたいということではないでしょうか? そのようなことから,これまで育て上げてきたわが国の新生児搬送医学を,この辺りで一里塚としてまとめようということで本書を企画しました.諸先輩が蓄積し皆様が育ててきた知識と技術を凝集させることができれば,それを踏み台として次世代の新生児科医はさらに次の発展を目指してくれるでしょう.

幸いなことに,企画段階で,多くの先生方からいろいろな情報やアイデアをお出しいただけました.総論では搬送運営の仕組みと組織,地域ネットワーク,入院情報,人員,搬送車と機材,法律面の知識,搬送の安全性,搬送医療の質の確保と向上,搬送時の生理学,家族中心のケア,搬送と医療経営・財務,搬送記録,データベース等を取り上げます.各論は,新生児搬送のノウハウ,搬送で取り上げたい病態生理も含めつつ,主な疾患・症候別の診療マニュアルという性格をもたせたいと考えました.搬送に有益なテクニックや,諸先輩と皆様の長い経験が十分に盛り込まれ,art&scienceという面でも充実した1 冊になったと自負しています.


2012年5月

藤村 正哲

目次

・序 文

・執筆者一覧

I 総 論

1 新生児緊急搬送システムの構築

・新生児搬送のバリエーション

・新生児救急搬送実態調査から

・黎明期の新生児搬送

・─聖マリア新生児センターと新生児搬送の思い出─

2 総合周産期母子医療センターと新生児搬送

3 新生児搬送情報処理システム

・東京都における入院情報処理システム

・地域でのネットワークづくり

4 救急車の運用

・自治体救急車の装備

・自治体救急車との連携事例

・東京都における運用と問題点

5 母体搬送

6 出迎え搬送,三角搬送の特徴と実施方法

7 新生児搬送の病態生理

8 新生児搬送時の救急車両の事故─発生時の対応─

・ドクターカー事故体験記

・事故の補償

・事故事例と対応

9 新生児搬送と医事法制(法律・指針,説明と同意,費用と診療報酬)

10 新生児緊急搬送業務の評価

II 各論(1):新生児搬送の実際

1 新生児緊急搬送の対象となる病態・疾患

・新生児外科症例の搬送─現状と課題─

2 搬送情報・電話の受理体制,搬送記録

・動画像転送システム

3 出発から帰着まで

・搬送元とのコミュニケーション

4 新生児搬送と家族中心のケア

5 後送搬送(back transfer)

・民間航空機による搬送

6 救急車の装備・運行と搬送中の患者の安全

・新生児搬送車と保育器の固定台座器具

・防振動システム

7 ヘリコプター搬送

・和歌山県の周産期ドクターヘリ搬送

・オーストラリアの新生児搬送

8 院外の分娩立会い

・新生児科医が同乗しない搬送

・救急隊からみた新生児搬送

9 搬送時の検査

10 搬送中の保温と感染防止

11 搬送中の気道確保と人工換気療法,心肺蘇生法

・新生児搬送とNCPR

12 搬送中のモニタリング

13 各地の新生児搬送

・北海道/岩手県/東京都/長野県/大阪府/和歌山県/島根県/鹿児島県

III 各論(3):新生児搬送に役立つ鑑別診断フローチャート

1 呼吸障害

2 循環障害(呼吸障害のないチアノーゼ,心音異常)

3 消化器症状(嘔吐,腹部膨満,下痢,吐血・下血)

4 体温異常(低体温・発熱)

5 神経症状・筋緊張異常

6 Not doing well(なんとなくおかしい)

7 黄疸

8 新生児仮死(新生児低酸素性虚血性脳症:HIE)

付 録ピットフォール症例集

新生児搬送 Unknown Episode

・道路交通法の壁?

・はじめての新生児搬送

・赤ちゃんの"受難"

・母子接触の重要性

・首都高速での出来事

・20世紀の"母体搬送"

・声門がない!

・気管挿管困難,そのとき

・前医を責めないこと─恩師の教え

・主訴が「あわわ」の新生児搬送

・呼吸障害の搬送にはペンライトを忘れずに

・ヘリコプター搬送が教えてくれたこと


・索引

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書籍情報

  • ISBN:9784840440622
  • ページ数:196頁
  • 書籍発行日:2012年6月
  • 電子版発売日:2014年5月9日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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