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- 周産期の生理と異常2 改訂2版 イラストで学ぶ新生児の生理と代表的疾患
商品情報
内容
出生直後からダイナミックに変化する新生児の生理とその生理的な特徴に関連する代表的疾患について、イラストを用いてわかりやすく解説。改訂2版では、最新知識を盛り込み、また本文にキーワード・キーセンテンスを表示して、さらに見やすくなりました。
序文
はじめに
新生児医療は成人医療とは異なり,各々の臓器別に疾患を診ればよいという医療ではなく,新生児一人ひとりの頭の先から爪先まで,全身のすべてを同時に見つめることが必要な医療です.
そして,新生児の全身状態は,日々ならず,文字どおり刻々と,しかも複雑な変化を示します.
それに加えて,早産児の場合は,すべてが未熟なまま生まれてきます.しかもその未熟度も在胎週数によって異なり,体重によっても異なります.さらに臓器によっても未熟度は異なり,それらの成熟度の異なった多くの臓器がきわめて複雑な新生児の生理をかもし出します.
また,新生児の生理は小児や成人と比較すると共通するところもいくつかはありますが,新生児期特有のものがほとんどで,しかも出生後の時間経過とともに大きく変化するやっかいなものです.
新生児のその急激で複雑な生理的変化に新生児医療が正確に対応し,適切な治療を提供するためには,その変化をもたらす身体の生理的な仕組みの全体像を,可能な限り理解していることが必要になります.それらの理解抜きには治療の内容を決めることはできませんし,治療を進めていくことも困難になります.しかし,各臓器の成熟過程と多様な生理学をすべて学ぶには,かなりの労力と時間を必要としますし,これまでの教科書は難解であるものが多く,理解すること自体も少し困難だったと思います.
そこで本書は,それらの新生児医療の特徴と問題点を考慮し,新生児のさまざまな生理的変化の一つひとつについて,イラストや見出しをつけてわかりやすく説明して,みなさんの理解をサポートすることを目的として,2006年3月に出版されました.その後6年間,版を重ねてきました.しかし,新生児医療は常に進歩しています.
私の35年間の経験でも,人工サーファクタントの登場,高頻度人工換気(HFOV)の登場は歴史を書き換え,人工換気の方法の変化はまさに日進月歩の感があります.本書の第1版出版後の6年間でも,新生児医療は著しい発展を示しています.
それらの変化に対応するために,このたび新しい内容を加味し,一部,大幅な書き換えを行い,改訂2版を出すことになりました.
項目は初版と同じ,呼吸器,循環器,神経,消化器,腎・泌尿器,代謝,免疫,血液の各部門について,それらの部門の現役の第一人者の方々に執筆をお願いしています.内容としては,各部門の生理的な変化と特徴をわかりやすく解説していただきました.また,現場で日常的に遭遇するポピュラーな疾患を取り上げて,それらの疾患の生理学的な理解と,基本的な治療とその意味を述べていただきました.この6年間に新たに注目を浴びた疾患についてもわかりやすく書き加えていただいています.
最後に,新生児医療でもっとも大切なことは,新生児の生理を理解し,適切な医療を提供することはもちろんですが,その中で黙々と闘い続けている小さな命を慈しむことと,家族との絆を大切にすることであるのは言を待ちません.
本書が,新生児医療従事者の生理学と治療学の入門書であると同時に,その内容に含まれている小さな命への慈しみの精神もくみ取りながら,常に身近に置いていただくことで日常の臨床に役立つ参考書となれば幸いです.
2012年2月
さかいたけお赤ちゃんこどもクリニック院長
堺 武男
目次
●第1章 呼吸器系の生理と代表的疾患
1 胎児期の肺(肺の発生)
2 肺サーファクタント
3 胎児呼吸様運動
4 肺胞液の役割
5 胎児ヘモグロビンとヘモグロビン酸素解離曲線
6 呼吸の開始と新生児の呼吸調節
7 機能的残気量とは?
8 早産児の呼吸調節の特徴と無呼吸発作
代表的疾患1 呼吸窮迫症候群
代表的疾患2 新生児一過性多呼吸
代表的疾患3 胎便吸引症候群
代表的疾患4 慢性肺疾患
●第2章 循環器系の生理と代表的疾患
1 胎児における循環系の特徴
2 病的な状態における胎児循環
3 胎児循環から新生児循環への移行
代表的疾患1 新生児遷延性肺高血圧
代表的疾患2 一過性心筋虚血
代表的疾患3 未熟児動脈管開存
代表的疾患4 左室流出路狭窄性疾患
代表的疾患5 右室流出路狭窄性疾患
代表的疾患6 大血管が入れかわっている疾患
代表的疾患7 左心系と右心系の間に大きな短絡路(シャント)がある疾患
代表的疾患8 肺静脈還流異常と狭窄を合併する心疾患
代表的疾患9 房室弁逆流をともなう疾患
代表的疾患10 心房内臓錯位症候群(無脾症,多脾症)
代表的疾患11 気道狭窄を合併する疾患
代表的疾患12 徐脈性不整脈
代表的疾患13 頻脈性不整脈
代表的疾患14 晩期循環不全(急性期離脱後循環不全)
●第3章 中枢神経系の生理と代表的疾患
1 胎児期における発達
2 出生前後の変化
3 新生児期の正常発達経過
4 低出生体重児・早産児・FGR児における特徴(病態)
代表的疾患1 脳室内出血
代表的疾患2 脳室周囲白質軟化症
代表的疾患3 新生児低酸素性虚血性脳症
代表的疾患4 二分脊椎
代表的疾患5 水頭症
●第4章 消化器系の生理と代表的疾患
1 胎児期における発達
2 出生前後の変化
3 新生児期の正常発達経過
4 低出生体重児・早産児・FGR児における特徴
代表的疾患1 先天性食道閉鎖症
代表的疾患2 壊死性腸炎
代表的疾患3 消化管閉鎖
代表的疾患4 メッケル憩室
代表的疾患5 臍帯ヘルニア
代表的疾患6 腸回転異常
代表的疾患7 ヒルシュスプルング病
代表的疾患8 直腸肛門奇形
●第5章 腎・泌尿器系の生理と代表的疾患
1 胎児期における腎・尿路の発達
2 出生前・新生児期の腎・尿路の変化
3 低出生体重児・早産児・FGR児における腎機能の特徴
代表的疾患1 先天性水腎症
代表的疾患2 膀胱尿管逆流
●第6章 代謝系の生理と代表的疾患
1 胎児期における発達
2 出生前後の変化
3 新生児期の正常発達経過
4 低出生体重児・早産児・FGR児における特徴
代表的疾患1 新生児低血糖症
代表的疾患2 新生児高ビリルビン血症
●第7章 免疫系の生理と代表的疾患
1 胎児期における発達
2 出生前後の変化
3 新生児期の正常発達経過
4 低出生体重児・早産児・FGR児における特徴(病態)
代表的疾患1 新生児TSS様発疹症
代表的疾患2 新生児特発性血小板減少症
代表的疾患3 新生児ループス
●第8章 血液系の生理と代表的疾患
1 新生児の血液
2 赤血球系の生理と代表的疾患
代表的疾患 赤血球系
3 白血球系の生理と代表的疾患
代表的疾患 白血球系
4 血小板の生理と代表的疾患
代表的疾患 血小板
5 凝固・線溶系の生理と代表的疾患
代表的疾患 凝固・線溶系
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書籍情報
- ISBN:9784840440226
- ページ数:202頁
- 書籍発行日:2012年4月
- 電子版発売日:2014年11月14日
- 判:単行本
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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