外来診療のUncommon Disease Vol.2

  • ページ数 : 160頁
  • 書籍発行日 : 2017年9月
  • 電子版発売日 : 2018年3月30日
¥4,840(税込)
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商品情報

内容

医学的キーフレーズを手がかりに、uncommon disease の診断にどこまで迫れるか?

NHK「ドクターG」でおなじみ、Dr. 生坂の週刊「日本医事新報」好評連載「キーフレーズで読み解く外来診断学」の単行本化第2弾!Vol.2では書き下ろしの2症例を加えて72症例を収載。簡潔に現症・現病歴・最終診断・解説が各CASEごとに2ページにまとめられており、たった5分の隙間時間にも読めると大好評のシリーズです!

あわせて読む → 外来診療のUncommon Disease vol.3, 外来診療のUncommon Disease

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序文

近年のジェネラル志向の高まりを背景にcommon diseaseを扱った書籍が矢継ぎ早に発刊される中, そのど真ん中にあるべき外来診療に無謀にも"uncommon"と銘打った書籍を世に送り出して3年の歳月が流れた。案の定,「プライマリ・ケア医はcommon diseaseに精通すべきであり,稀な疾患まで知る必要はない」とのお言葉も頂いたが,大多数は肯定的な意見であったために,このたび第2巻の発刊と相成った。

確かにuncommonを診断することがプライマリ・ケア医の仕事ではないし,私もそれを読者に期待していたわけではない。ただ,プライマリ・ケアの現場でも稀な疾患に遭遇することは起こるわけであり, 生涯にわたって稀な疾患と無縁な診療もこれまた稀である。その場合に必要なのはパターン認識でuncommonを診断することではなく,commonでは矛盾する情報に着目することによってuncommonをあぶり出すスキルである。そのためにはcommon diseaseごとに感度の高い症候を押さえておき,その症候がないことでcommonを除外する推論力が必要であり,そのプロセスに習熟してもらうのが本書の真の狙いと言える。

本書には私たちが外来で経験した症例のエッセンスとともに,それに対して初診医が想起したcommon diseaseを記している。読者にはその疾患に合致しない矛盾点を挙げて欲しい。ここで注意したいのは,"説明できない点と矛盾点は異なる"ということである。説明できない症候は,複数の疾患が併存していれば生じうるのに対して,矛盾点は二元的,三元的にも説明できない症候,すなわち当該疾患そのものを否定する情報である。

たとえば,半年前からの炎症反応陰性の全身痛と間欠性跛行を訴える80歳男性を診て線維筋痛症を疑ったときに,間欠性跛行は線維筋痛症の特徴ではないが,高齢者にしばしばみられる脊柱管狭窄症をもって説明できるので,間欠性跛行の存在で線維筋痛症の可能性を排除することはできない。つまり,間欠性跛行は"線維筋痛症だけでは説明できない点"となる。一方,線維筋痛症は中年女性に好発するという特徴があり,高齢男性に発症するのはかなり稀であるため,これが感度の高い陰性情報,すなわち矛盾点となる。矛盾点は併存疾患の有無に依らず単独での否定因子となるので, 是非これらに着目することによる疾患除外スキルを高めて頂きたい。ちなみに,この患者の最終診断はACTH単独欠損症および腰部脊柱管狭窄症であった。

各caseの解説では, 最初に初診医が想起したcommon diseaseの矛盾点が挙げられている。この感度の高い情報が陰性である点を見いだしながらの疾患除外はジェネラリストが最も得意とする思考プロセスであり,commondiseaseを遍く否定できればプライマリ・ケア医の診断スキルとしては100点満点である。commonではないと疑うことができれば,後は調べる,相談する,あるいは紹介すればこと足りる。

本書を単なる難解症例クイズ集としてではなく,矛盾点を言語化する訓練の書として活用頂ければ幸いである。


2017年9月

生坂政臣

目次

全身の症状

case01 左膝の痛みを訴えて受診した64歳女性

case02 細菌性髄膜炎治癒後の微熱と頭重感を主訴に受診した76歳男性

case03 発熱と悪心を主訴に受診した46歳女性

case04 右胸部・肩腕の痛みと発汗低下を主訴に受診した49歳男性

case05 食欲低下,体重減少,腎障害を呈した69歳男性

case06 原因不明のアナフィラキシーショックを主訴に受診した75歳男性

case07 貧血と全身倦怠感を主訴に受診した80歳女性

case08 体重減少と便秘を主訴に受診した81歳男性

case09 14 年来の繰り返す周期的な上気道症状を呈する27歳女性

case10 全身の痛みと筋力低下を主訴に受診した34歳女性

case11 温熱により出現する全身痛を主訴に受診した40歳女性

case12 発熱と咳嗽を訴えた47歳男性

case13 倦怠感と全身痛を主訴に受診した56歳男性

case14 口渇,悪心を主訴に受診した60歳女性

case15 発熱,皮疹,関節痛を主訴に受診した67歳女性

case16 体重減少,食欲不振,失神を主訴に受診した71歳女性

皮膚の症状

case17 ステロイド外用が効かない顔面の皮疹を呈した46歳女性

case18 四肢の痛みと腫れを訴えた50歳男性

case19 発熱,頭痛,筋肉痛を主訴に受診した76歳男性

case20 繰り返す発熱,腹痛,皮疹を主訴に受診した48歳女性

神経・精神の症状

case21 発熱と意識障害を呈した59歳男性

case22 頭痛,悪心,霧視を呈した89歳女性

case23 起立時のめまいを主訴に受診した69歳男性

case24 消化器症状,体重減少および歩行障害で紹介された78歳男性

case25 Wernicke-Korsakoff症候群の加療後,消化器症状が再燃した78歳男性

case26 1年前からの繰り返す異常行動を主訴に受診した24歳男性

case27 突然体の制御がきかなくなると訴えた72歳女性

case28 眼痛,流涙,呂律障害を主訴に受診した77歳女性

頭頸部の症状

case29 発熱と口内炎を主訴に受診した28歳女性

case30 食後の口腔内の痒みと顔面腫脹を訴えた38歳男性

case31 咳嗽と顔面浮腫を主訴に受診した58歳男性

case32 多関節痛と赤目を主訴に受診した65歳の女性

case33 左鎖骨上窩の腫瘤を主訴に受診した68歳女性

case34 頸部から上背部の痛みを主訴に受診した80歳男性

case35 右頸部痛と発熱を訴えた85歳男性

case36 左肩と左前頸部の痛みを主訴に受診した55歳男性

胸・腰背部の症状

case37 2カ月前から増悪する背部痛を主訴に受診した54歳女性

case38 左側胸部痛で受診した73歳の男性

case39 前頸部から胸部の痛みを主訴に受診した18歳男性

case40 両下腿浮腫を主訴に受診した44歳女性

case41 発熱,前胸部痛,息切れを主訴に受診した45歳女性

case42 右脇腹の痛みを訴えた58歳の男性

case43 進行性の背部痛を訴えた72歳女性

case44 増悪する腰背部痛を主訴に受診した75歳男性

case45 吸気時優位の呼吸困難を訴えた77歳男性

case46 2週間持続する発熱と腰痛を訴えた56歳男性

case47 繰り返す背部の激痛を訴えた66歳男性

case48 嗄声と呼吸困難を主訴に受診した69歳女性

腹部の症状

case49 繰り返す腹痛を訴えた22歳女性

case50 臍周囲の痛みと排尿時痛を主訴に受診した43歳男性

case51 慢性の下痢を主訴に受診した61歳女性

case52 座ると出現する左下腹部痛を訴えた56歳男性

case53 慢性の腹痛と水様便を主訴に受診した61歳男性

case54 難治性腹水を主訴に受診した65歳男性

四肢の症状

case55 急性の多関節痛を主訴に受診した36歳女性

case56 右肘の腫脹を主訴に受診した50歳男性

case57 両腕の腫脹を主訴に受診した16歳男性

case58 繰り返す関節炎で受診した24歳の女性

case59 足の傷の治りが悪い31歳女性

case60 右鼠径の疼痛を主訴に受診した44歳女性

case61 節々の痛みを主訴に受診した46歳男性

case62 発熱と足の痛みを訴えた49歳男性

case63 歩行時の左踵痛を主訴に受診した55歳男性

case64 両下肢と下腹部の違和感を訴えた62歳女性

case65 1 年前からの両肩の痛みを主訴に受診した64歳女性

case66 両下腿浮腫を訴えた67歳女性

case67 難治性腹水を両下肢の浮腫と繰り返す蜂窩織炎を主訴に受診した32歳女性

case68 両膝の痛みを訴えた50歳男性

case69 手指の関節痛とこわばりを訴えた57歳男性

case70 2カ月前から増悪する指趾壊疽を主訴に受診した71歳男性

case71 両足底の疼痛を主訴に受診した81歳女性

case72 両肩痛を訴えた筋肉質の83歳女性


最終診断名一覧

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書籍情報

  • ISBN:9784784956012
  • ページ数:160頁
  • 書籍発行日:2017年9月
  • 電子版発売日:2018年3月30日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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特記事項

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