週刊日本医事新報 2月特集号 臨床医学の展望

  • ページ数 : 160頁
  • 書籍発行日 : 2015年2月
  • 電子版発売日 : 2015年4月10日
¥1,320(税込)
ポイント : 24 pt (2%)
今すぐ立ち読み
今すぐ立ち読み

商品情報

内容

各領域で活躍するエキスパートによる厳選されたトピックスは必見!

医学・医療の進歩は目覚ましく、その進歩を皆様方に包括的に知って頂くため、日本医事新報社では毎年「臨床医学の展望」と題して、幅広い臨床医学の中から約30領域を選出し、最新の動向を紹介してきた。これまではそれらを小分けして、頻回にわたって紹介していたが、一括して紹介するほうが理解しやすく、利便性が高いことから、内容をコンパクトにし、1冊として発刊することになった。(序文より)

序文

医学・医療の進歩は目覚ましく,その進歩を皆様方に包括的に知って頂くため,日本医事新報社では毎年「臨床医学の展望」と題して,幅広い臨床医学の中から約30領域を選出し,最新の動向を紹介してきた。これまではそれらを小分けして,頻回にわたって紹介していたが,一括して紹介するほうが理解しやすく,利便性が高いことから,内容をコンパクトにし,1冊として発刊することになった。

編集にご協力頂いた先生方と相談し,今回も30領域を選出し,各領域でたいへん活躍され,これまで執筆されていない先生方に執筆をお願いした。執筆に際し誌面の制限もあることから,各領域ごとに,特に注目されるトピックスを3つ選んで解説をお願いした。

たいへんご多忙にもかかわらず編集に協力して下さった先生方と執筆して下さった先生方に厚く感謝申し上げる。

2014年を振り返ると,臨床医学の領域で関心が高かったのは,2013年と同様に再生医療,がん,遺伝子解析の問題であり,そのほか画期的な新薬が開発され,治療効果が改善された疾患への関心も高かった。以下に,それらの注目点について述べてみたい。

再生医療に関しては,相変わらず日本ではドナー不足で臓器移植が普及しないため,iPS細胞やES細胞を用いて目的とする諸細胞を誘導して移植する研究に力が入れられており,臓器そのものを作成する研究が開始されている。2014年の研究で特に注目されたのは,理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーらが,iPS細胞を網膜上皮細胞に分化させ,加齢黄斑変性症の患者に世界で初めて移植したことである。現段階では効果よりも安全性の観察に重点が置かれている。

実際に治療として臨床効果が上がっているのは,自己骨髄間葉系幹細胞を用いた脳梗塞や脊髄損傷患者への治療や肝硬変患者への治療である。小児重症心筋症への骨格筋細胞シート移植も実施され,効果がみられている。

がんに関しては,日本人の死因の第一位を占め,年々増加の一途をたどっているため,国はがん研究やがん拠点病院の整備に多額の資金を投与している。

がんはゲノム・エピゲノムの異常に基づく疾患であるので,その診断と治療には遺伝子解析がきわめて重要である。近年,遺伝子解析技術の著しい進歩により,遺伝子変異を詳細にとらえることが可能となり,その情報に基づいて治療薬の開発が進められている。すでに多くの分子標的薬が開発され,従来の殺細胞薬と分子標的薬の併用で,著明な効果がみられている。今後,低コストで,少量の検体でも短時間でいっそう詳細な情報が得られる機器の開発が望まれる。

このほか近年,免疫制御分子を標的とした治療法も注目されており,従来の殺細胞薬や分子標的薬に匹敵する効果がみられている。

がん以外の疾患で注目されたのは,まずC型肝炎の治療で,ペグインターフェロン(PEG-IFN)とリバビリン(RBV)の治療に,ウイルスに直接作用する薬剤(DAA)が加わったことで,治療効果が著しく向上したことである。現在,多数のDAAが開発されており,今後,これらの薬剤をどう併用していくかがポイントである。

次に糖尿病の治療薬として,インスリンの作用を介さず腎尿細管に働き,ブドウ糖の再吸収を阻害して血糖を低下させるsodium-glucose co-transporter(SGLT)2阻害薬が注目されている。血糖降下とともに全身の糖尿病状態の改善がみられ,他の糖尿病治療薬との併用が可能である。

高齢者の増加とともに心房細動の増加による心原性脳梗塞も重要な問題であり,その予防のためにワルファリンが広く用いられてきた。最近,新しい経口抗凝固薬が次々に登場してきている。選択的抗トロンビン薬のダビガトラン,選択的Xa阻害薬のリバーロキサバン,さらにアピキサバンなどの経口抗凝固薬がワルファリンに比しどれだけ利点があるのか,今後の臨床経験が待たれている。

臨床医学の領域には年々着実な進歩がみられており,その進歩に日本の科学者が大きく貢献している。2015年4月には日本医療研究開発機構が発足し,基礎研究の体制が大きく変わるが,それと連携して日本の臨床医学がいっそう発展することが期待されている。


2015年2月

慶應義塾大学名誉教授
猿田享男

目次

巻頭

プラタナス:認知症になっても人として同等な社会づくりを

NEWS

振り返り1week

TOPICS:中医協─次期診療報酬改定に向けた議論スタート ほか

お茶の水だより

感染症発生動向調査

特集:臨床医学の展望─30領域のトピックス

① 循環器病学

② 高血圧症学

③ 血液病学

④ 腎臓病学

⑤ 消化器病学

⑥ 肝臓病学

⑦ 糖尿病・内分泌代謝学

⑧ リウマチ膠原病・アレルギー学

⑨ 感染症学

⑩ 腫瘍内科学

⑪ 脳血管内科学

⑫ 神経病学

⑬ 小児科学

⑭ 皮膚科学

⑮ 精神・心身医学

⑯ リハビリテーション医学

⑰ 老年病学

⑱ 再生医学

⑲ 肝胆膵外科学

⑳ 心臓血管外科学

㉑ 呼吸器外科

㉒ 小児外科学

㉓ 脳神経外科学

㉔ 麻酔科学

㉕ 整形外科学

㉖ 産科学・婦人科学

㉗ 放射線腫瘍学

㉘ 泌尿器科学

㉙ 耳鼻咽喉科学

㉚ 眼科学


ドクター求キュウNAVI(医師求人・求職)
コラム 開業カウントダウン365「匠の眼」(その4)

ドクター掲示板(開業向け不動産・人材紹介・求縁その他)

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 10.0 以降

    外部メモリ:21.8MB以上(インストール時:47.4MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:87.2MB以上

  • android icon

    AndroidOS 5.0 以降

    外部メモリ:41.1MB以上(インストール時:102.9MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:164.4MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcherが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784784947400
  • ページ数:160頁
  • 書籍発行日:2015年2月
  • 電子版発売日:2015年4月10日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※今日リンク、YNリンク、南山リンクについて、AndroidOSは今後一部製品から順次対応予定です。製品毎の対応/非対応は上の「便利機能」のアイコンをご確認下さいませ。


※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。


※コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcher(iOS/iPhoneOS/AndroidOS)が必要です。


※書籍の体裁そのままで表示しますため、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。