• ページ数 : 288頁
  • 書籍発行日 : 2012年7月
  • 電子版発売日 : 2013年1月1日
¥9,020(税込)
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商品情報

内容

物理工学と医学双方の専門家がMRIの本質をときほぐした「骨太」入門書です。「装置を使うだけの研究者」から「仕組みがわかった上で使いこなせる研究者」への変身を手助けする貴重な一冊となるでしょう。理論と実践を究めた執筆陣によりまとめ上げられた本書は、クリアで過不足のない記述に貫かれており、磁気共鳴画像学の神髄に触れようとする読者には最適です。

序文

私が磁気共鳴画像(MRI)に関わることになったのは、1978年のことである。Californiaに渡って間もないころ、BossからUC BerkeleyのSinger教授を紹介された。改めて言うまでもなく、やがてMRAとして臨床を席捲することになる「流れの核磁気共鳴学」の創始者である。私が臨床医であることを知ったSinger教授は、Lauterbur教授のZeugmatographyを勉強しろと勧めてくれた。それが、Budinger教授の主催していたDonner laboratoryで、PETだけでなくMRIの研究をも始めるきっかけとなった。

もともと画像学をやろうと考えたのは井上多門先生との出会いによる。東大にEMIの最初のCTが導入された縁で、東芝の研究所を主宰されていた工学部の先輩である井上先生から、画像物理学の手解きを受けたのである。1996年、日本に研究室を移すことを決めた私のSan Franciscoの自宅に、当時、筑波大学で物理を教えていらした井上教授から「筑波大学で物理の教授を兼任してくれ」とのお電話を頂いたことは、筑波大学教授会の反対で実現はしなかったものの、私の人生最大の誇りである。

CaliforniaのBossが医者であると同時に、MITでMathematics/Physicsのdouble majorをこなした数理物理学者であったように、私も物理工学出身である。Californiaでほとんど同時にMRIに手を染めた古い友人Bill Bradleyも、医者である前にCaltech出身の物理工学者であった。また、Bruce Rosenに代表される第二世代の研究者たちも、皆、医学と物理学との両方を修めている。

ところが日本では、なぜだかわからないが、物理学を習得していない医師や研究者がMRIの技術指導をしていることが多い。不思議なことだが、MRIの教科書の物理工学的な記載ですら、専門家ではない臨床医によるものが圧倒的に多い。fMRIの普及で、装置を使うだけの研究者が激増した現代でも、日本以外の先進国にはみられない現象である。それがこの本を書くきっかけとなった。物理工学と医学の両方に、正式に携わった者による磁気共鳴画像学の本である。画像学をきちんと勉強したいと願う日本の若き医師・研究者のための入門書である。


平成24年6月

中田 力
新潟大学脳研究所・統合脳機能研究センター

目次

1章 MR formalism

1-1 基本数学

Dirac表記

エルミート演算子(Hermitian Operator)

正規直交基底(Orthonormal Bases)

固有ベクトル(Eigenvector)と固有値(Eingenvalue)

物理現象におけるテンソル

1-2 量子力学における公準

1-3 1/2スピン系での応用

測定可能な演算子の平均値

観測可能なスピン

1/2スピン粒子の発展

平均値の発展

磁気モーメントの平均値

密度演算子と密度行列 参考文献

2章 磁気共鳴の物理学

2-1 磁気モーメントの二つの定義

2-2 磁気モーメントに働く力

2-3 スピンの発見

2-4 巨視的角運動量

2-5 スピンの大きさと単位

2-6 軸性ベクトルと極性ベクトル

2-7 磁子とg因子

2-8 スピンの仮想実験

2-9 量子力学の処方箋と自由粒子への応用

2-10 波動関数の確率解釈と基準系

2-11 共役関係と交換関係

2-12 軌道角運動量演算子と球面調和関数

2-13 回転演算子との同等性

2-14 波動関数からDirac表記へ

2-15 時空とスピノル

2-16 スピンの表現

2-17 回転と2価性

2-18 ポテンシャルと歳差運動

2-19 回転磁場の作用

2-20 密度行列とコヒーレンス

2-21 スピン結合と多量子コヒーレンス 参考文献

3章 撮像シーケンス

3-1 緩和時間と画像コントラスト

相関時間 correlation timeについて

3-2 各種撮像シーケンスの分類

Spin Echo系

Gradient Echo系

 (1)横磁化のspoiling

 (2)SSFP

 (3)balanced sequenceについて

3-3  Navigator echoとPROPELLER

motion artifactの補償の原理

motion artifact type Ⅰ、type Ⅱ

 (1)"type Ⅰ artifact"?─?並進運動の場合

 (2)"type Ⅰ artifact"??─?回転運動の場合

 (3)"type Ⅱ artifact"?─?並進運動の場合

 (4)"type Ⅱ artifact"?─?回転運動の場合

navigator echoの動き補正

PROPELLERの動き補正

3-4 磁化率強調画像

磁化率(magnetic susceptibility)について

画像処理プロセス

フィルタリング

phase wraparoundの除去

位相マスク

3-5 拡散イメージング

拡散現象

「真の」拡散と「みかけの」拡散

等方拡散(isotropic diffusion)と不等方拡散(anisotropic diffusion)

拡散テンソル

一次元のADC計測

不変量の計測

三次元不等方性コントラスト

固有値、固有ベクトルの算出

eigenvector imagingと3DAC

eigenvalue imagingとLambda chart

 (1)Diffusion Characteristic Function

 (2)Lambda chartの実例

 (3)Lambda chart(脳梗塞例)と固有値画像

Probabilistic tractographyについて

 (1)deterministicな方法論からの脱却

 (2)作用素族の次元拡張と球面調和関数

 (3)ベイズ統計とMarkov Chain Monte-Carlo法

 (4)Probabilistic tractographyの臨床例

 (5)burn-inの効果 参考文献

4章 MR装置の電磁気学

4-1 phaserによる表示

4-2 phaser表記を用いたインピーダンス表現

4-3 ラプラス変換を用いたインピーダンス表現

4-4 集中定数回路と分布定数回路

4-5 同軸ケーブル

4-6 分布定数回路としての同軸ケーブル

4-7 波動方程式 二階線形偏微分方程式の分類について

4-8 真空中のMaxwell方程式

4-9 導体中のMaxwell方程式

4-10 skin-effect(表皮効果)

表皮効果(skin effect)について(その1)

表皮効果(skin effect)について(その2)

4-11 定在波とSWRについて

定在波について

SWR(Standing Wave Ratio)について

4-12 インピーダンス平面とスミスチャート

4-13 Sパラメーターと散乱行列

4-14 T/Rスイッチについて

 (1)λ/4ケーブル

 (2)クロスダイオード

送信時

受信時

4-15 代表的RFコイルについて

ソレノイド型コイル

Butterfly coil

Saddle coil

Bird cage coil

Phased array coilについて

Phased array coilの画像再構成

コイルのSNR(signal to noise ratio)

4-16 B1mapping

4-17 Ernst角について

4-18 プローブコイルについて

4-19 コイルのQ値

4-20 Radiation Damping(放射減衰) 附表1 参考文献

5章 流体力学とflow imaging

5-1 流体力学

Navier-Stokes方程式

連続の式

定常流とReynolds数

Reynolds数

慣性力と粘性力

力学的相似と数値シミュレーション

Knudsen数(平均自由行程/系の長さ)

Prandtl数(動粘性係数/温度伝導率)

Mach数

Froude数

Weber数

層流と乱流

層流の速度分布

Hagen-Poiseulle(ハーゲン-ポアズイユ)の式

層流から乱流への遷移

拍動流とWomersley数

Wormersley数と拍動パターンの変化

流 線

流線の方程式

流線関数と渦度

rotについて

Stuart渦列について

Newton流体と非Newton流体

Newton流体とshear stress

非Newton流体

dilatant流体

擬塑性流体

Bingham流体

5-2 Flow imaging

Time-of-flight effect

inflow effect

Phase-shift effect

Phase-shiftと傾斜磁場

二相性傾斜磁場

三相性傾斜磁場

一般化

velocity compensationとacceleration compensation

5-3 生体情報としての流れ

血管構築の描出

Time-of-flight angiography

Phase-contrast angiography

projection angiography

画質改善のための工夫

phase dispersionの抑制

saturationの抑制

magnetization transfer contrast, MTC

流速の定量

direct bolus tracking

pre-saturation

Fourier velocity imaging

shear stressのin-vivo測定 参考文献

6章 MRIデータ処理の幾何学的理解

6-1 画像再構成の新しい問題

逆空間としてのk空間

フーリエ基底と内積

次元の拡張

非直交基底と逐次法

6-2 fMRIデータ解析の二つの方法

Statistical Parametric Mapping

一般線形モデルと基底

パラメータ推定と線形独立

検定量によるマッピング

独立成分分析を用いたデータ駆動型解析

分散と直交基底

独立性と非直交性

ブラインド信号分離

非ガウス性と非線形性

情報理論的アルゴリズム

高次統計学的アルゴリズム

ノイズと情報

情報抽出と詳細解析

参考文献

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  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784784941995
  • ページ数:288頁
  • 書籍発行日:2012年7月
  • 電子版発売日:2013年1月1日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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