画像と病理の対比から学ぶ膵癌診療アトラス

  • ページ数 : 184頁
  • 書籍発行日 : 2012年10月
  • 電子版発売日 : 2016年4月28日
¥6,600(税込)
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商品情報

内容

手術適応の決定と術式立案に役立つ読影の要点に迫る!

各科を越えた「金沢大学膵癌カンファレンスチーム」が検討を積み重ねてきた多数の膵癌症例から選りすぐった貴重な28症例を掲載。
膵癌での画像と病理を対比して癌の進展を解説しているテキストはきわめて少ない中、CT画像と同じスライス面で作成された大型病理切片との対比で、難しい膵癌の進展状況がよくわかる、世界に類をみない1冊!

序文

膵頭部癌は,消化器癌の中で最も治癒することが難しい癌といわれておりますが,最近その原因として,切除後の局所再発が意外に多いことが指摘されています.一方,化学療法,放射線療法などの治療の進歩で,何が何でも手術という時代は過去のものとなり,各治療法の侵襲,予後,QOL(quality of life),リスクから総合的に判断しなければいけない時代となりました.このような中で術前の画像診断で,膵頭部癌の進展範囲をミリ単位で正確に診断することがますます重要となってきています.私の教室では,「切除標本は教室で切り出し,自ら顕微鏡で十分検討して臨床に反映させる」という伝統があり,入局以来そのトレーニングを課されて参りました.先々代の宮崎逸夫教授時代に胆膵領域のチーフであった永川宅和先生に,初めて膵癌標本の扱いについて御指導をいただき,1997 年から私がこの担当となり,現在まで胆膵症例全ての切り出し・検討を行ってきました.分子生物学が脚光を浴びていた頃で,このような地味で辛い仕事はあまり人気もありませんでしたが,その結果をなんとか有効に,臨床に反映させたいという気持ちで臨んできました.そこでまず膵頭部の標本をCT と対比してみようと考え,体軸と直行する面で切り出してみたところ,癌巣の進展がCT画像でも十分表れていることがわかったのです.その頃より,放射線科,内科,病理,外科合同で「膵癌カンファレンス」が開始され,「画像」と「手術」と「標本の病理検討」を,その道のプロの高い知識と技術を持って連携させることが可能となりました.特に前任の三輪晃一教授によって行われた上腸間膜動脈を含めた膵頭一括切除術(augmented pancreatoduodenectomy)で得られた標本を詳細に検討することで,上腸間膜動脈に向かう癌の進展経路の理解がより一層深いものとなりました.

この「膵癌カンファレンス」で得られた知見を結集して一冊のテキストとしてまとめることができ,感慨もひとしおです.手術適応の決定と術式立案に役立つものを目指しましたので,是非,明日からの日常診療に役立てていただきたいと思います.

最後に細部にわたって御指導くださった太田哲生教授,的確なアドバイスをくださった萱原正都先生をはじめとした胆膵グループの先生方に感謝するとともに,大型のプレパラート作製に尽力くださった教室の二口泰代さんに感謝致します.

金沢大学大学院がん局所制御学(消化器・乳腺・移植再生外科) 北川 裕久


金沢大学病院の膵癌カンファレンスは,腫瘍内科,肝胆膵外科,放射線科のメンバーで月1 回行っている肝胆膵の症例を中心とした症例検討会です.特に膵癌症例では画像と病理の対比を中心に綿密なディスカッションを行っています.放射線科医の私(蒲田)がCTやMRI の画像を読影し,消化器内科の大坪先生が ERCP や超音波内視鏡の所見を呈示します.次いで,外科の北川先生に切除標本のスライドを呈示しながら病理組織学的な診断について解説してもらいます.マクロの病理スライドはCT の撮影断面に一致するように作られていますので,左右にCT と病理を並べると,CT の所見が病理にどのように反映されているかが直感的に理解できるようになりました.

このカンファレンスのおかげで,我々放射線科医の読影能力が向上していると実感しています.頭の中に病理像を想像しながら行うCT の読影は飽きることがありません.また,きれいな手術や病理所見に負けないようにダイナミックCT の撮影方法や造影剤の注入方法も工夫を重ねてきました.消化器外科の太田教授は,セカンドオピニオンでいろいろな病院のCT を見せられるが,うちの放射線科で撮影したダイナミックCT の画像と読影レポートを見ないと最終判断はしないとまで言って頂けるようになりました.これもカンファレンスに参加して頂いている各科の先生の御努力の賜であると思っています.

この図譜では,正確な診断をするうえで重要な"ダイナミックCT の撮影方法と進展度診断"についてと"膵癌の発生部位による特徴"について執筆させて頂きました.本書を通じて膵癌の画像診断に興味を持っていただけたら幸いです.

金沢大学大学院医学系研究科経血管診療学(放射線科) 蒲田 敏文


このたび,金沢大学で開催されている膵癌カンファレンスのメンバーである放射線科の蒲田敏文先生,消化器外科の北川裕久先生と膵癌図譜を作成する機会をいただきました.
蒲田先生や北川先生のように日本のトップを走る先生方と一緒に仕事をさせていただくことは大変光栄なことでありましたが,逆に大きなプレッシャーでもありました.以前より金沢大学から膵癌に関する本を出そうという話は出ていたのですが,2011 年春頃から打ち合わせを始め,どのようなコンセプトでまとめるか話し合われました.その後何度も打ち合わせを重ね,このたび膵癌図譜を上梓させていただく運びとなりました.

本書では,「膵癌診断における超音波内視鏡(EUS)の役割」につき執筆させていただきました.EUS は膵癌診断において,大変重要で不可欠な検査と考えられています.また近年,造影EUS やEUS elastography などのEUS を応用した手技が開発され,さらには2010 年4 月にEUSFNA(EUSguided fine needle aspiration)が保険収載されたこともあり,今後ますます発展してゆく分野と考えられます.本書が膵癌診断におけるEUSの有用性を理解していただく一助となれば幸いです.

最後に,貴重なアドバイスをいただいた福井県済生会病院内科の渡邊弘之先生,病理のコメントをいただいた池田博子先生をはじめ膵癌カンファレンスに参加されている先生方,そして当方からのさまざまな要望に応えていただいた出版社の原田顕子さんに深謝いたします.


金沢大学がん進展制御研究所腫瘍内科(金沢大学附属病院がん高度先進治療センター) 大坪公士郎



目次

1章 切除標本の扱い方

2章 膵癌におけるダイナミックCT撮影方法と進展度診断

1 はじめに

2 膵のダイナミックCTの撮影方法

3 動脈浸潤の評価

5 肝転移の評価

6 リンパ節転移の評価

7 腹膜播種および肺転移の評価

3章 膵頭部癌を理解するために必要な基本的組織構造

1 膵頭神経叢第Ⅱ部~上腸間膜動脈神経叢

2 膵頭前方の組織

3 膵頭後方の組織

4 門脈(PV)から上腸間膜静脈(SMV)周囲の組織

4章 膵癌診断における超音波内視鏡(endoscopic ultrasonography:EUS)の役割

1 膵癌,特に小膵癌の検出

2 腫瘍の進展度診断

3 腫瘤形成性膵炎,自己免疫性膵炎などの他の膵疾患との鑑別

4 EUS-FNA(EUS-guided fine needle aspiration)

症例1 膵頭部癌の1例

症例2 膵鉤部癌の1例

症例3 膵体部癌の1例①

症例4 膵体部癌の1例②

症例5 腫瘤形成性膵炎の1例

症例6 EUS-FNAにて診断された小膵癌の1例

症例7 CT にて自己免疫性膵炎が疑われたが,EUS-FNA にて膵癌と診断された1例

症例8 EUS-FNAにて膵頭部,膵体尾部の同時性多発膵癌と診断された1例

症例9 自己免疫性膵炎の1例

5章 膵癌の発生部位による臨床的・画像的特徴

2 膵癌の発生部位による特徴

3 膵癌を見逃さないためのポイント

4 おわりに

6章 膵癌28症例─画像と病理の対比─

症例1 上腸間膜動脈神経叢,上腸間膜静脈への浸潤(PL sma, PVsm)

症例2 上腸間膜動脈神経叢,膵後方組織への浸潤(PL sma, RP)

症例3 上腸間膜動脈神経叢,膵後方組織への浸潤(PL sma, RP)

症例4-1 膵頭神経叢第Ⅱ部~上腸間膜動脈神経叢,膵後方組織への浸潤(PL phⅡ~ PL sma, RP)

症例4-2 膵頭神経叢第Ⅱ部~上腸間膜動脈神経叢,膵後方組織への浸潤(PL phⅡ~ PL sma, RP)

症例4-3 上腸間膜静脈への浸潤(PVsm)

症例5 上腸間膜動脈神経叢,膵前方組織への浸潤(PL sma, S)

症例6 膵頭神経叢第Ⅱ部への浸潤(PL phⅡ)

症例7 膵頭神経叢第Ⅱ部,上腸間膜動脈神経叢への浸潤(PL phⅡ, PL sma)

症例8 膵頭神経叢第Ⅱ部への浸潤(PL phⅡ)

症例9 膵頭神経叢第Ⅱ部,膵後方組織への浸潤(PL phⅡ, RP)

症例10 膵頭神経叢第Ⅱ部,上腸間膜静脈への浸潤(PL phⅡ, PLsm)

症例11 膵頭神経叢第Ⅱ部,上腸間膜動脈神経叢への浸潤(PL phⅡ, PL sma)

症例12 膵前方組織,膵頭神経叢第Ⅱ部,上腸間膜動脈神経叢への浸潤(S, PL phⅡ, PL sma)

症例13 膵頭神経叢第Ⅰ~Ⅱ部,上腸間膜静脈への浸潤(PL phⅠ~Ⅱ, PVsm)

症例14 膵頭神経叢第Ⅰ~Ⅱ部,膵後方組織への浸潤(PL phⅠ~Ⅱ, RP)

症例15 総肝動脈神経叢への浸潤,リンパ節転移(PL cha, N)

症例16-1 膵後方組織への浸潤(RP)

症例16-2 膵頭神経叢第Ⅱ部への浸潤(PL phⅡ)

症例17 膵後方組織,十二指腸への浸潤(RP, DU)

症例18 膵後方組織への浸潤(RP)

症例19 膵後方組織への浸潤(RP)

症例20 上腸間膜静脈,膵前方組織への浸潤(PVsm, S)

症例21 上腸間膜静脈への浸潤(PVsm)

症例22 上腸間膜静脈,膵前方組織への浸潤(PVsm, S)

症例23 リンパ節,膵前方組織への浸潤(N, S)

症例24 膵前方組織,膵頭神経叢第Ⅱ部への浸潤,リンパ節転移(S, PL phⅡ, N)

症例25 膵前方組織への浸潤(S)

症例26 膵前方組織への浸潤(S)

症例27 十二指腸への浸潤(DU)

症例28 腹腔神経叢への浸潤(PL ce)

7章 画像診断を活用した膵頭部癌に対する術式立案

1 基礎的背景

2 リンパ行性進展

3 直接浸潤

4 郭清立案の実際

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書籍情報

  • ISBN:9784780908619
  • ページ数:184頁
  • 書籍発行日:2012年10月
  • 電子版発売日:2016年4月28日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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