日本の医療と疫学の役割

  • ページ数 : 140頁
  • 電子版発売日 : 2011年6月1日
¥4,620(税込)
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商品情報

内容

70人を超える内外の研究者からの協力のもとに執筆された「日本の医療と疫学の役割」が電子書籍になりました。

序文

本書は,日本胸部臨床(日胸)誌に66巻9号(2007年)より 67巻4号(2008年)まで8回シリ ーズで連載された「日本の医療と疫学の役割─歴史的俯瞰」に,補遺とその後の知見を加えてまとめたものである。

上記日胸誌への連載は,著者の一人重松とかねてからサルコイドーシスの研究などを通じて御交誼 をいただいている工藤翔二名誉教授(日本医科大学;日胸編集委員長)よりのお誘いによるもので,たまたまこの時期,著者の一人森岡が Walter W Holland 教授(英国ロンドン大学;元・国際疫学学会理事長)より著書"Foundations for Health Improvement"(2002年)の贈呈を受け,それを分担翻訳("疫学公衆衛生研究の潮流",日本公衆衛生協会,2004年)したことに刺激されて,日本の疫学史に強い関心を持っていたので,二人の共著として連載をお引き受けすることにした次第である。

今回,この連載を改めて読み返してみると,日本の医療に対する疫学の関与についての記述が不十分であり,本書ではこの点の補充と新知見の追加に努めた。本書を通じて,日本の疫学研究の萌芽が江戸時代に求められること,術語としての疫学の定着に至る小史,戦後の疫学の目覚ましい拡大,原因不明疾患へのアプローチ,臨床現場での疫学の活用などについて御理解をいただければ幸いである。

本書最終章の末尾に掲げたように,本書の執筆に関しては70人を越える内外の研究者各位から御教示を得たことを感謝している。著者の一人重松は疫学の将来を論ずる場合,しばしば"温故創新"を提唱している。歴史に学んで新しいパラダイムを開くという意味であるが,著者らも21世紀における疫学の進化の方向に注目したいと考えている。

2009年 1月

森岡 聖次
重松 逸造

目次

第1章 疫学事始
    ─日本における疫学の発祥からその認知まで─

1.はじめに
2.江戸期の医療と疫学研究の萌芽
3.誕生期の疫学(その1 明治時代)
  1)疫癘学の紹介/2)高木兼寛と脚気研究/3)脚気の病因論争/
  4)高木兼寛のその他の業績/5)緒方正清と富山県奇病論/
  6)藤浪 鑑とがんの疫学研究
4.誕生期の疫学(その2 大正時代と昭和時代前期)
  1)疫病学と疫理学/2)疫学研究室の誕生
5.まとめ

第2章 日本の疫学誕生期(後期)
     ─感染症の疫学と初期の疫学公衆衛生研究─

1.はじめに
2.感染症の疫学
  1)病原体の発見/2)感染症をめぐる疫学
3.藤浪 鑑とがん研究
  1)発がん物質に関する研究/2)地理病理学的研究
4.その他の領域の研究
  1)循環器疾患/2)脚気/3)その他の疾患
5.疫学研究が行われた施設
6.まとめ

第3章 成長期の疫学
    ─疫学の定着と非感染性疾患の疫学─

1.はじめに
2.感染症の疫学
 1)病原体の発見/2)感染症の流行/3)結核の疫学研究
3.がんの疫学
 1)戦前のがん疫学研究/2)がん登録/3)がんコホート研究
4.循環器疾患の疫学
 1)循環器疾患死亡の動向/2)循環器疾患の疫学研究/
 3)日本循環器管理研究協議会発足の気運
5.その他の疾患の疫学
 1)農村医学の萌芽/2)産業活動と疫学/3)その他の疾患
6.疫学研究施設
 1)国立公衆衛生院/2)大学医学部/3)その他の研究施設
7.まとめ

第4章 発展期の疫学(その1)
    ─がん・循環器疾患の疫学と国際共同研究の進展─

1.はじめに
2.疫学の発展
  1)国内における疫学の定着/2)海外における日本人の活躍
3.感染症の疫学

1)結核の流行状況/2)インフルエンザ/3)その他の感染症の動向/

4)未知の感染症

4.がんの疫学
  1)がん死亡率の動向/2)がん対策/3)がんの疫学研究
5.循環器疾患の疫学
  1)循環器疾患の動向/2)移民研究/
  3)世界7か国研究(Seven countries study)/4)国内の疫学研究/
  5)日本循環器管理研究協議会の発足
6.まとめ

第5章 発展期の疫学(その2)
    ─公害病と原因不明疾患への対応─

1.はじめに
2.難病の疫学
  1)スモンの原因究明/2)難病特定疾患対策
3.公害と疫学
  1)公害事例のその後/2)新たな公害/3)じん肺/

4)石綿による健康障害/5)食品の化学物質汚染/6)放射線被曝の疫学

4.その他の領域と疫学
  1)母子保健と疫学/2)高齢者の健康と疫学/3)脚気再び/
  4)その他の健康問題
5.疫学研究施設
  1)国立公衆衛生院/2)大学医学部における疫学研究施設/

3)結核予防会結核研究所/4)国鉄中央保健管理所/5)その他の研究施設

6.まとめ

第6章 拡大期の疫学(その1)
    ─国際疫学学会と日本疫学会─

1.はじめに
2.疫学研究と関連学会
 1)国際疫学学会/2)日本疫学会/3)その他の学会
3.感染症の疫学
 1)新病原体の記載/2)感染症のアウトブレイク/3)結核/
 4)院内感染/5)その他の感染症/6)広域化する食中毒
4.まとめ

第7章 拡大期の疫学(その2)
    ─生活習慣病とたばこ対策─

1.はじめに
2.がんの疫学
  1)がんの動向/2)たばこ対策/3)コホート研究/4)がん検診の評価
3.循環器疾患の疫学
  1)循環器疾患の動向/2)国際共同研究/
  3)循環器疾患基礎調査とその追跡/4)コホート研究
4.その他の疾患の疫学
  1)呼吸器疾患の疫学/2)糖尿病の疫学/3)消化性潰瘍の疫学/
  4)難病の疫学/5)産業活動と疫学/6)母子保健と疫学/
  7)高齢者の健康と疫学/8)放射線と疫学/9)精神疾患と疫学
5.まとめ

第8章 疫学のこれから
    ─直面する課題と未来─

1.はじめに
2.疫学の分化
  1)臨床疫学/2)環境疫学/3)実験疫学/4)_清疫学/
  5)野外疫学/6)理論疫学/7)分子疫学/8)薬剤疫学/
  9)栄養疫学/10)運動疫学/11)社会疫学/12)応用疫学
3.疫学の直面する課題

1)病因解明への寄与/2)政策決定への寄与/3)健康危機管理と疫学/

4)疫学研究と倫理/5)国際貢献/6)次代の疫学者の育成

4.疫学の未来
  1)疫学の限界/2)21世紀の疫学/3)温故創新
5.おわりに

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書籍情報

  • ISBN:9784771903470
  • ページ数:140頁
  • 書籍発行日:Invalid date
  • 電子版発売日:2011年6月1日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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