子どものこころの医学

  • ページ数 : 277頁
  • 書籍発行日 : 2014年7月
  • 電子版発売日 : 2015年1月23日
¥3,960(税込)
ポイント : 72 pt (2%)
今すぐ立ち読み
今すぐ立ち読み

商品情報

内容

語らない子どもたち、こころを閉ざす子どもたちをいかに理解して支援するか、その切り口が見える!

医療、教育、福祉等の分野においてそれぞれの臨床現場で子どもと向き合うスペシャリストが、子どものこころに焦点を当て子どもたちの現状とその対応策を解説した一冊。

序文

近年,世の中の価値観が多様に広がり,昔ながらの規範,概念が大人から子どもに伝わりにくくなった。情報社会の中で情報は拡散し,各々の興味に基づいた情報の集約があり,子どもたちは新聞やテレビをほとんど見なくなったので,世代を超えて情報の共通認識を持つことは難しい。唯一の共通の場所(先生と生徒)が学校であるが,学習以外の学校の役割が大きくなりすぎ,学校の先生への負担は大きい。そして子どものこころの問題は,さまざまなところで取り上げられ国民の関心は深いが,大人たちは現状に戸惑っている。子どもたちは語らない。ゆえにどこから子どもたちを理解していけばよいか切り口が見えてこない。子どもを必死に理解しようとするが,大人が語れば語るほど子どもはこころを閉ざす。いったん大人になってしまうといつのまにか子ども たちのことが理解できなくなっていることに気づき,自分の子ども時代を一生懸命思い出そうとするのだが,今の子どもたちの世界とはマッチせず途方に暮れる。

本書『子どものこころの医学』では,医療,教育,福祉などの子どもを扱う専門家たちや専門家を目指す人たちを対象とし,子どもたちの現状について各専門家が解説する。まずは子どもを知るところから解説する。子どもに関して普段素朴に疑問に思うことに対してお答えする構成になっている。たとえば,親としてどのように子どもに対応すればいいのか,学校へなぜ子どもは行かなくなるのだろうか,いじめや体罰は実際どういうことなのか,子どもの自殺とは何かなどである。次に実際の子どもたちへの対応について,子どもの虐待に対する対応,落ち着かない子どもたちへの対応,子どものやせ症への対応,子どものうつへの対応についてなどを解説する。そして,子どものこころの問題に対する予防,治療に関して,どのように子どものこころの問題があらわれてくるか,薬物療法,子どものこころのケア,ペアレント・トレーニング,怒りのコントロールなどについて解説する。この本を読んでいただくと,子どものこころのことが次第にわかり,実際の子どもたちのこころの問題の対処へ役立てていただけると考える。

2014年5月

編者 中村和彦

目次

Ⅰ 学校,社会,家庭でゆらぐ子どものこころ

1 子どものこころ,こころの発達とは何か

1.こころの発達

2.こころの発達を考える際の視点

3.子どものこころの特徴

4.こころの発達:特に自己の組織化に向けて

2 親は子どものこころにどのように対応していけばよいのか

はじめに

1.小さな子どもに必要なもの

2.両親の育った環境

3.親になること

4.「基本的な安心感」とは

5.「安全基地」としての親

6.無条件の愛

7.日本の母親はお節介?

8.子どもが自発的に楽しむことを見つけるために

おわりに

3 学校に行かないとはどういうことなのか,どうすればよいのか

はじめに

1.不登校を巡る現状

2.不登校が起こりやすい環境

3.予防的支援

4.すべての子どもを対象にした支援

4 いじめにどのように対応していけばよいのか

1.わが国のいじめを巡る実情

2.いじめに関する研究

3.学校安全調査

4.まとめ―いじめにどのように対応していけばよいのか―

5 体罰についてどのように対応したらよいのか

はじめに

1.体罰に関する実態調査

2.教育と体罰

3.部活動と体罰

4.指導手段としての体罰

6 子どもの自殺は防げるか

はじめに

1.子ども自殺の統計

2.子どもの自殺とはどのようなものか

3.事例特性から見た自殺の類型化

4.子どもの自傷行為と自殺の関係

5.いじめと自殺

6.子どもの自殺は予見できるのか

7.改めて子どもの自殺を防ぐ対策とは何か

7 子どもが自殺で亡くなった場合にどう対応すればよいのか

はじめに

1.遺された人たちに生じる心理反応

2.子どもを亡くした遺族のサポート

3.遺された子どもたちのこころを守る

4.学校の対応

おわりに

8 福祉機関はどこまで子どものこころに対応できるか

1.福祉機関にはどんなものがあるか

2.児童相談所はどんなことができるか

3.児童発達支援センター(特に従来型の医療センター)

4.児童相談所との連携

Ⅱ 子どもへの対応をどうすればよいのか

9 折れた子どものこころとはどのようになっているのか―児童虐待による脳の変化―

はじめに

1.性的虐待による視覚野の形態的変化

2.暴言虐待による聴覚野の形態的変化

3.厳格体罰による前頭前野の形態的変化

4.両親間のDV 曝露による視覚野への影響

5.児童虐待ストレスと感受性期

6.虐待の連鎖と医学的根拠

7.「生態的表現型」という疾患概念

10 子ども虐待とは何か,どのように対応していけばよいのか

はじめに

1.虐待がもたらす影響とその特徴

2.対応

11 落ち着かない子どもたちへの対応はどうすればよいのか

はじめに

1.診断・評価

2.自閉スペクトラム症との関係

3.児童虐待および反応性愛着障害との併存・鑑別

4.破壊的行動障害との併存・鑑別

5.気分障害との併存・鑑別

6.治療・支援

おわりに

12 自閉症スペクトラムについては何がわかってきたのか

1.自閉症スペクトラムの診断について

2.自閉症スペクトラムの最新の研究

13 子どものやせ症についてどのように対応していけばよいのか―

はじめに

1.摂食障害,神経性無食欲症とは

2.神経性無食欲症に特徴的な精神症状

3.神経性無食欲症に特徴的な身体症状

4.子どもの神経性無食欲症の特徴

5.神経性無食欲症の治療

6.神経性無食欲症の子どもの気持ちの変化

7.周りの人々の対応について

8.家族の対応について

14 子どものうつにはどのように対応したらよいのか

1.子どものうつとはどのような状態か

2.うつ病はどんな病気か

3.子どものうつ病はどんな特徴があるのか

4.子どものうつ病にはどのように対応したらよいか

5.子どものうつ病に対する薬物療法はどのように行うか

6.子どもの双極性障害とはどのようなものか

15 青少年の薬物問題について

はじめに

1.青少年の薬物汚染の実態

2.脱法ドラッグによる青少年の汚染

3.注意欠如・多動性障害と薬物依存の関連

おわりに

Ⅲ 予防,治療に向けて

16 子どものこころは生まれてからどのように遅れを示すか

はじめに

1.正常な発達と発達の遅れとは

2.出生コホート研究からうかがえるASD 児の発達の軌跡

3.こころの発達にかかる予防と治療

おわりに

17 子どものこころのひずみはどのようにあらわれてくるのか

はじめに

1.乳幼児によくみられる精神障害

2.児童期によくみられる精神障害

3.思春期によくみられる精神障害

おわりに

18 薬物療法

1.薬物療法とは

2.子どもの精神病に対する薬物療法

3.子どものうつ病

4.子どもの双極性障害

5.子どもの不安障害

6.ADHD

7.広汎性発達障害の薬物療法

19 子どものこころをどのようにケアすればよいのか―子どもの認知行動療法―

1.子どもの心理療法について

2.認知行動療法について

3.CBT を子どもに適用する際の工夫

4.養育者への介入

おわりに

20 子どものこころへの対応―ペアレント・トレーニング―

1.ペアレント・トレーニングとは

2.ペアレント・トレーニングの歴史

3.発達障害児の保護者を対象としたペアレント・トレーニングのプログラム概要

4.ペアレント・トレーニング実施者として注意するべきこと

5.自閉症スペクトラム障害を対象としたペアレント・トレーニング

おわりに

21 子どもの怒りのコントロールをどうするか

1.怒りとは

2.認知行動療法による怒りのコントロール

3.怒りのコントロールプログラムの実践例

4.怒りと上手につき合っていこう

VI 英国での対応

22 イギリスにおける児童精神科医療について

はじめに

1.CHAMS の4層構造(The four-tier structure)

2.Tier3 LYPS での治療の流れ

3.イギリスCHAMS の最近の現状について

おわりに

*記事一覧(コラム,トピックス,サイドメモ)

Topics 映し返し機能

Column 「愛された記憶」の大切さ

Column いじめ予防プログラムの実際

Column いじめを防止するヒント

Column 二次被害

Side Memo サバイバーズ・ギルト(Survivor's guilt)

Side Memo 連携の成功事例

Column 摂食障害の世界の動向

Column Autism Spectrum Disorders(ASD)

Topics 早期発見・早期介入の威力

Column ペアレンティング

Column どうして怒ってしまうのだろう?

Column 多文化の中で学ぶ児童精神医学

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 10.0 以降

    外部メモリ:10.8MB以上(インストール時:23.4MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:43.2MB以上

  • android icon

    AndroidOS 5.0 以降

    外部メモリ:26.8MB以上(インストール時:67.1MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:107.2MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcherが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784765316095
  • ページ数:277頁
  • 書籍発行日:2014年7月
  • 電子版発売日:2015年1月23日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※今日リンク、YNリンク、南山リンクについて、AndroidOSは今後一部製品から順次対応予定です。製品毎の対応/非対応は上の「便利機能」のアイコンをご確認下さいませ。


※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。


※コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcher(iOS/iPhoneOS/AndroidOS)が必要です。


※書籍の体裁そのままで表示しますため、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。