骨粗鬆症患者に対する手術と成功の秘訣

  • 書籍発行日 : 2019年10月
  • 電子版発売日 : 2020年3月20日
¥8,250(税込)
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商品情報

内容

骨粗鬆症患者への手術前に,脆弱骨への対策は万全ですか?

骨粗鬆症患者の手術においては,若年者と異なり骨の脆弱性に配慮することが必要になる。本書では脊椎・上肢・下肢の部位ごとに,術前(手術適応)・術中(手術手技)・術後(離床時期,合併症への対応)でそれぞれポイントとなる事項を記載し,また脆弱骨で起こりやすいインプラント周囲骨折についても記述した。 術前対策では,万が一に備えて術前に「準備しておくもの」を項目ごとに記載し,また術中で特に重要な事項は「成功の秘訣」として別枠で掲載。術前後の骨粗鬆症治療薬の使い分けや服用期間など,骨折連鎖防止への対処法についても言及した。

序文

序文

超高齢社会を迎えたわが国において,骨粗鬆症患者は増加の一途を辿っています。骨粗鬆症に伴う代表的な脆弱性骨折である大腿骨近位部骨折,上腕骨近位部骨折,橈骨遠位端骨折に対する骨接合術,椎体骨折に対する椎体形成術はもとより,骨粗鬆症患者に対する人工関節置換術,骨切り術,脊椎固定術など骨粗鬆症患者に発生するさまざまな疾患に対して手術が必要になる機会も増えています。また,骨粗鬆症類縁疾患である強直性脊椎炎,続発性骨粗鬆症の原因である慢性腎臓病や透析患者に発生する破壊性脊椎関節症,関節リウマチ患者に対する手術など,脆弱な骨に対する手術が必要になる場合も多く,さらには骨粗鬆症に対する治療の合併症として発生し,通常の骨折より治療が難しいとされる非定型大腿骨骨折の報告例も増えてきています。骨粗鬆症患者に対する手術は若年者に対する手術と異なり,思わぬpitfallに陥ったり,手術終了後早期にfailureをきたしたりすることがあるため,十分な術前準備と術中・術後の注意や対策が不可欠です。

そこで本書では,脆弱な骨を手術する際の注意点やコツ・秘訣を,当該分野の第一人者の先生方にお願いして,部位別に術前・術中・術後に分けて執筆して頂きました。術前の項目として手術適応,必須検査と重要な画像所見,準備しておくべきものなど,術中の項目として手術体位や手術手技,注意すべきpitfall,成功の秘訣など,術後の項目としては後療法,合併症などについて解説して頂きました。手術が成功するための秘訣や,万が一何らかのトラブルが発生したときにも冷静に対処できる方法などが,随所に散りばめられています。本書が骨粗鬆症患者を手術する先生方の参考になり,手術を受ける骨粗鬆症患者の福音になれば望外の喜びであります。

最後に,大変お忙しいところ,さまざまなエビデンスやご自身の貴重な経験を基に玉稿を賜りました先生方に,心より深謝申し上げます。ありがとうございました。

2019年9月

三重大学大学院医学系研究科整形外科学教授
湏藤藤啓広

目次

Ⅰ 骨粗鬆症患者に対する手術(総論)

骨粗鬆症の病態  萩野 浩

 骨粗鬆症の分類

 原発性骨粗鬆症の病態

 続発性骨粗鬆症

 臨床症状

 骨粗鬆症の診断

 骨粗鬆症の治療

骨粗鬆症性骨折に対する手術の注意点

 術前の注意点

 術中の注意点

 術後の注意点

骨粗鬆症患者に対する手術(骨折以外)の注意点

 骨粗鬆症を念頭に置いた注意と対策

 手術手技の工夫

 脊椎インストゥルメンテーション手術における骨粗鬆症治療薬の役割

 人工関節置換術における骨粗鬆症治療薬の役割

 骨粗鬆症治療薬は術前から使用すべきか

 骨代謝の改善と原疾患のコントロール

骨粗鬆症患者に対する周術期管理  宮部雅幸

 術前リスク評価

 術前管理

 麻酔

 術後管理

Ⅱ 脊椎手術

骨粗鬆症患者に対する脊椎固定術(前方,側方,後方)

 術前 手術適応

    必須検査と重要な画像所見

    準備しておくべきもの

 術中 手術体位

    手術手技

    [成功の秘訣]軟骨終板は十分に切除し,骨性終板は温存する

    [成功の秘訣]ケージの設置位置で術後の弛みを防止

 術後 閉創

    離床時期

    [成功の秘訣]ロッドの固定端は後弯気味にベンディングする

     術後の薬物療法

     合併症への対応

骨粗鬆症患者に対する変形矯正術  大鳥精司,ほか

 術前 手術適応

    必須検査と重要な画像所見

    骨粗鬆症患者に対する変形矯正術を成功させるための術前後の投薬

 術中 スクリュー

    手術法

    [成功の秘訣]PSの効きが悪い場合

    手術成績

 術後 後療法

    合併症への対応

   術前 手術適応

骨粗鬆症患者に対する椎体形成術

 術前 手術適応

    手術適応外

    必須検査と重要な画像所見

    準備しておくべきもの

 術中 手術体位

    [成功の秘訣]ガイド針刺入時は穿破しない

    バルーン,骨セメント

 術後 離床時期

    骨粗鬆症治療

    合併症への対応

強直性脊椎炎に対する手術

 術前 手術適応

    必須検査と重要な画像所見

    準備しておくべきもの

 術中 手術体位とマーキング

    [成功の秘訣]ロッドはややオーバーベンディングで

 術後 合併症への対応

    骨粗鬆症治療薬

Ⅲ 上肢手術

骨粗鬆症患者に対する人工肩関節全置換術(インプラント周囲骨折を含む)

 術前 手術適応

    必須検査と重要な画像所見

    準備しておくべきもの

 術中 TSA,RSAの体位,アプローチ

    [成功の秘訣]展開時の無理は禁物

    軟部組織の段階的剥離

    骨頭の骨切り

    TSAのインプラント設置

    [成功の秘訣]骨粗鬆症例では軟骨下骨はある程度残す

    RSAのインプラント設置

    [成功の秘訣]スクリューはしっかり効かせる

 術後 術後経過観察

    後療法

    TSA,RSAの術後合併症

    インプラント周囲骨折

骨粗鬆症患者の肩周辺骨折に対する手術

 術前 手術適応

    準備しておくべきもの

 術中 髄内釘

    [成功の秘訣]Intrafocal pinningを用いた整復

    ロッキングプレート固定

    [成功の秘訣]ロッキング機構による固定性を過信しない

    スクリューやスーチャーアンカーを用いた固定

    人工関節置換術

    [成功の秘訣]インプラントの設置高位は計画的に決定する

   術後 後療法

骨粗鬆症患者の手関節周辺骨折に対する手術

 術前 手術適応

    必須検査と重要な画像所見

    準備しておくべきもの

 術中 手術手技

    [成功の秘訣]プレートの設置は慎重に

   術後 合併症への対応

   術前 手術適応

Ⅳ 下肢手術

骨粗鬆症患者に対する人工股関節全置換術(インプラント周囲骨折を含む)

 術前 手術適応

    必須検査と重要な画像所見

    準備しておくべきもの

 術中 手術手技

    [成功の秘訣]術前計画は正確に

    [成功の秘訣]ハンマリングの音にも注目

 術後 後療法

骨粗鬆症患者に対する人工膝関節全置換術(インプラント周囲骨折を含む)

 術前 手術適応

    必須検査と重要な画像所見

    準備しておくべきもの

 術中 手術手技

   術後 インプラント周囲骨折と骨粗鬆症

    [成功の秘訣]骨硬化像が著しい骨ほど硬くて脆い

    骨吸収抑制薬の使用は非感染性の弛みを減少できるか?

骨粗鬆症患者に対する人工足関節全置換術(インプラント周囲骨折を含む)

 術前 手術適応

    術前画像評価

    術前計画

 術中 体位・麻酔

    手術手技

    [成功の秘訣]骨切り面を必ず指腹で確認する

    [成功の秘訣]骨棘は切除しない

 術後 インプラント周囲骨折への対応

骨粗鬆症患者に対する高位脛骨骨切り術

 術前 手術適応

    術前計画

    準備しておくべきもの

 術中 OWHTO

    Hybrid CWHTO

    [成功の秘訣]より慎重,愛護的な操作を

 術後 後療法

骨粗鬆症患者の骨盤骨折に対する手術

 術前 手術適応

    必須検査と重要な画像所見

    準備しておくべきもの

 術中 手術手技

    [成功の秘訣]可能な限り長いスクリューを使用する

 術後 離床時期や荷重時期

    骨癒合や固定時期を早める工夫

    合併症への対応

骨粗鬆症患者の大腿骨近位部骨折に対する手術

 術前 手術適応

    必須検査と重要な画像所見

    手術適応と術式決定には正しい分類が必要

    手術前の注意点・準備

 術中 人工骨頭置換術

    頚部骨折の内固定

    SFN(ガンマネイルなど)による転子部骨折の内固定

    [成功の秘訣]ラグスクリューの遠位端の位置は慎重に

    Subtypeの手術法

 術後 離床と後療法

    合併症への対応

    術後のトラブル

    二次骨折の予防

骨粗鬆症患者の大腿骨遠位部骨折に対する手術

 術前 手術適応

    必要な検査と画像所見

    骨折型に応じた固定法

    準備しておくべきもの

 術中 麻酔・体位

    手術手技:アプローチ

    プレート手技の実際

    [成功の秘訣]手術のポイントをおさえておく

 術後 後療法

    合併症への対応

Ⅴ その他の手術

透析患者の破壊性脊椎関節症に対する手術

    HDにおける病態の解釈

 術前 透析脊椎病変の特徴と手術適応

    必須検査と重要な画像所見

    準備しておくべきもの

    術式選択

 術中 出血コントロール

    [成功の秘訣]全身リスクの評価と対応

    手術成績

 術後 まとめおよび今後の展望

骨粗鬆症性骨折に対する創外固定(インプラント周囲骨折を含む)

 術前 内固定とリング型創外固定の比較

    手術適応

    必須検査と重要な画像所見

    準備しておくべきもの

 術中 手術体位

    足関節周辺骨折(Pilon骨折を含む)

    膝関節周囲骨折

    インプラント周囲骨折(人工膝関節周囲骨折)

    [成功の秘訣]マネージメント力が大事

 術後 合併症への対応

    骨癒合を早める工夫

骨粗鬆症を伴った関節リウマチ患者に対する人工関節以外の手術

 術前 手術適応

    必須検査と重要な画像所見

    その他,注意すべきこと

 術中 手術体位

    手術部位感染(SSI)と創傷治癒遅延

    [成功の秘訣]正確な骨評価を行う

 術後 後療法

    生物学的DMARDsを再開する場合

    合併症への対応

非定型大腿骨骨折に対する手術馬場智規,ほか

 術前 手術適応

    必要な検査

    原因薬剤の中止

 術中 転子下骨折

    [成功の秘訣]できるだけ解剖学的な整復を得る

    骨幹部骨折

    [成功の秘訣]逆行性髄内釘も考慮

    番外編:非定型大腿骨骨折の形態を有したステム周囲骨折

 術後 後療法

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  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784758318747
  • ページ数:0頁
  • 書籍発行日:2019年10月
  • 電子版発売日:2020年3月20日
  • 判:B5変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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特記事項

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※コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcher(iOS/iPhoneOS/AndroidOS)が必要です。


※書籍の体裁そのままで表示しますため、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。