小児心臓血管外科 手術シミュレーション

  • ページ数 : 298頁
  • 書籍発行日 : 2016年3月
  • 電子版発売日 : 2019年6月26日
¥8,250(税込)
ポイント : 150 pt (2%)
今すぐ立ち読み
今すぐ立ち読み

商品情報

内容

手術の流れがわかると、手術のすべてがわかる、掴める!

実録!手術記録をもとにした豊富な手書きイラストと術中写真で詳細解説。
「シミュレーション」や「予習・復習」の材料として、医学生,看護学生にも幅広く活用できる1冊。
巻末には,使用する機器の写真付き一覧を本文とリンクさせて掲載。どの手技にどの機器を使用するのかが一目でわかる。

序文

本書は,筆者が執刀医を任されるようになった2004年から現在までに経験した小児先天性心疾患症例の手術記録とシェーマ,術中画像を素材として,「実録的な手術シミュレーション書」を目指し,執筆いたしました。

各章は,小児循環器医によって解説された「疾患の概要」に始まり,小児心臓外科医によって記述された「手術シミュレーション」,そして最後に小児循環器医による「術後管理のポイント」で締めくくられる構成になっています。特に「手術シミュレーション」の文中には,実際に使用した手術器械がわかるように,巻末に掲載された手術器械一覧の画像番号が記載されています。

先天性心疾患は多種多様であり,手術の方法や戦略も千差万別といえます。手術リスクの高い症例にもしばしば遭遇します。筆者は,以前より「手術のリスクを少しでも下げる」という目的で,"術前オペ室スタッフミーティング"を行うようにしています。同時に手術記録の記載も徹底して充実させるようにしました。手術操作・手順に沿って使用物品もできるだけ細かく記載し,多くのシェーマ(イラスト)と術中画像を手術記録に添付しました。すると術前ミーティングにおいて,過去の手術記録が参考資料として使えるようになったのです。そんな経緯から,この「手術シミュレーション書」を執筆するきっかけと素材が生まれました。

どんな職種であっても,巨匠や達人とよばれる職人や技術者は,本番前にシミュレーションを2〜3回以上終わらせているといいます。医療現場も例外ではなく,手術を執刀したり,アシストしたりする前のストレスやプレッシャーを少しでも軽くするコツは,手術操作の内容と手順がイメージできる(シミュレーションできる)ことだと思います。そういった意味において,本書を「シミュレーション」や「予習・復習」の材料として活用していただければ光栄です。先天性心疾患・小児心臓血管外科を学び始めた若手外科医,手術治療が必要なこどもたちをいつも支えている小児科医,新生児科医,麻酔科医,看護師,臨床工学士,ひいては先天性心疾患・小児心臓血管外科に興味のある医学生,看護学生にも読んでいただければ幸いです。

筆者は,およそ30年前の医学生時代に当時の高梨吉則教授による鮮やかな完全大血管転位症手術(Jatene手術)に感銘を受け,この道を志しました。現在も心臓外科医のはしくれとして続けられているのは,節目・節目で貴重なご指導,ご助言をいただいた恩師の先生方のおかげであり,この紙面を借りて深謝いたします。また医局員,同僚,後輩,小児関連各部署の看護チーム,また人工心肺操作を担っている森伸一氏をはじめとする臨床工学部スタッフ,そして美しい術中映像を撮影・提供し,われわれの手術手技向上に貢献して下さっている鈴木雅雄氏をはじめとするメディカルフォトセンターのスタッフ,そのほか多くのチームメートの方々に心から感謝いたします。

最後に,忍耐強く原稿を待ち,温かい励ましとともに緻密な編集作業を担当された高橋範子氏に深謝いたします。


2016年2月

東邦大学医療センター大森病院小児心臓血管外科准教授

小澤 司

目次

①動脈管開存症

疾患の概要


動脈管開存症(PDA)閉鎖術

術式の概要

患児の術前プロファイル

手術シミュレーション

STEP1 左側方開胸・右側臥位のポジション取り

STEP2 左側胸部皮膚切開・左第4肋間開胸

STEP3 動脈管,迷走神経,反回神経の確認

STEP4 動脈管の2重結紮

STEP5 閉胸操作


②大動脈縮窄症

疾患の概要

術式の概要


鎖骨下動脈フラップ大動脈形成術

術式の概要

患児の術前プロファイル

手術シミュレーション

STEP1 左側胸部皮膚切開

STEP2 動脈管結紮の準備

STEP3 左鎖骨下動脈の剥離と授動

STEP4 左鎖骨下動脈フラップの下行大動脈への縫着

STEP5 肺動脈絞扼術(PAバンディング)

STEP6 閉胸操作


拡大大動脈弓吻合術

術式の概要

患児の術前プロファイル

手術シミュレーション

STEP1 左側方開胸,大血管剥離,およびテーピング

STEP2 拡大大動脈弓吻合前の準備操作

STEP3 下行大動脈切断端と大動脈弓切開口の端々吻合

STEP4 肺動脈絞扼術(PAバンディング)

STEP5 閉胸操作


体外循環を用いた一期的大動脈弓再建・心内修復術

術式の概要

患児の術前プロファイル

手術シミュレーション

STEP1 胸骨正中切開,体外循環確立

STEP2 右腕頭動脈根部の遮断と心停止下での新大動脈弓再建

STEP3 心室中隔欠損(VSD)パッチ閉鎖術

STEP4 心房中隔欠損(ASD)直接縫合閉鎖

STEP5 人工心肺離脱・閉創


③大動脈弓離断症

疾患の概要


体外循環を用いた一期的大動脈弓再建・心内修復術

術式の概要

患児の術前プロファイル

手術シミュレーション

STEP1 正中開胸,体外循環確立,心筋保護による心停止まで

STEP2 PDAの処理

STEP3 上行大動脈遮断・心停止

STEP4 大動脈弓3分枝動脈の遮断と大動脈弓再建

STEP5 VSDパッチ閉鎖術

STEP6 二次孔型心房中隔欠損の直接縫合閉鎖

STEP7 人工心肺離脱と止血


④心房中隔欠損症

疾患の概要


心房中隔欠損直接縫合閉鎖術

術式の概要

患児の術前プロファイル

手術シミュレーション

STEP1 胸部正中小切開と視野出しの3点固定

STEP2 人工心肺装着と大動脈遮断

STEP3 右房切開および心内修復

STEP4 人工心肺からの離脱と閉胸操作


⑤部分肺静脈還流異常症

疾患の概要


右肺静脈-右房還流型に対する修復術

術式の概要

患児の術前プロファイル

手術シミュレーション

STEP1 胸骨正中切開

STEP2 人工心肺の確立と大動脈遮断

STEP3 術中所見と心内修復

STEP4 人工心肺離脱と閉胸操作


下大静脈還流型(scimitar症候群)に対する修復術

術式の概要

患児の術前プロファイル

手術シミュレーション

STEP1 胸骨正中皮膚切開と人工心肺確立

STEP2 右房内トンネルの作成

STEP3 下大静脈還流ルートのパッチ拡大

STEP4 人工心肺離脱および閉胸


⑥総肺静脈還流異常症

疾患の概要


総肺静脈還流異常に対する修復術

術式の概要

患児の術前プロファイル

手術シミュレーション

STEP1 胸骨正中切開・テーピング操作

STEP2 人工心肺の確立

STEP3 On-pump beating下での肺静脈の剥離

STEP4 心停止下での共通肺静脈幹と左房の直接吻合

STEP5 ASD直接縫合閉鎖

STEP6 人工心肺離脱・胸骨閉鎖


⑦心室中隔欠損症

疾患の概要


両大血管下型に対する修復術

術式の概要

患児の術前プロファイル

手術シミュレーション

STEP1 胸骨正中切開・人工心肺確立・大動脈遮断

STEP2 心室内検索と心内修復

STEP3 人工心肺離脱と閉胸


膜性部周辺型に対する修復術

術式の概要

患児の術前プロファイル

手術シミュレーション

STEP1 胸骨正中切開・人工心肺確立・大動脈遮断

STEP2 VSDパッチ閉鎖

STEP3 三尖弁形成

STEP4 卵円孔開存(PFO)直接縫合閉鎖

STEP5 大動脈遮断解除・人工心肺離脱・閉胸


多発性筋性肉柱部型に対する修復術

術式の概要

患児の術前プロファイル

手術シミュレーション

STEP1 胸骨正中切開

STEP2 人工心肺確立・大動脈遮断

STEP3 膜性部流入路型心室中隔欠損(pVSD)に対するパッチ閉鎖術

STEP4 多発性筋性部肉柱部型心室中隔欠損(mVSDs)に対するパッチ閉鎖術

STEP5 肺動脈絞扼(PAバンディング)解除術(PAデバンディング)

STEP6 大動脈遮断解除・人工心肺離脱・閉胸


⑧部分型房室中隔欠損症

疾患の概要


部分型房室中隔欠損に対する修復術

術式の概要

患児の術前プロファイル

手術シミュレーション

STEP1 胸骨正中アプローチ・自己心膜採取・人工心肺装着・心停止

STEP2 右房切開・心内の検索

STEP3 右側房室弁(輪)から自己心膜パッチへの糸かけ

STEP4 左側房室弁逆流テスト・左側房室弁形成

STEP5 心房中隔欠損一次孔[ASD(Ⅰ)]の閉鎖

STEP6 右側房室弁形成

STEP7 右房閉鎖・人工心肺離脱

STEP8 閉胸操作


⑨完全型房室中隔欠損症

疾患の概要


完全型房室中隔欠損に対する修復術

術式の概要

患児の術前プロファイル

手術シミュレーション

STEP1 胸骨正中切開・人工心肺確立・大動脈遮断

STEP2 心内検索と術中所見

STEP3 VSDパッチ閉鎖

STEP4 左側房室弁(僧帽弁)形成とASDパッチ閉鎖

STEP5 右側房室弁(三尖弁)形成

STEP6 肺動脈再建

STEP7 大動脈遮断解除・人工心肺離脱・閉胸操作


⑩Fallot四徴症

疾患の概要


Fallot四徴症修復術

術式の概要

患児の術前プロファイル

手術シミュレーション

STEP1 右室流出路再建用の1弁付きパッチ作成

STEP2 胸骨正中切開および人工心肺確立

STEP3 心内の検索

STEP4 主肺動脈幹−右室流出路縦切開および肥厚筋束切除

STEP5 心室中隔欠損(VSD)パッチ閉鎖

STEP6 自己心膜パッチによる肺動脈形成および1弁付きパッチによる右室流出路再建

STEP7 大動脈断裂解除,人工心肺からの離脱


⑪肺動脈閉鎖症

疾患の概要


Rastelli型手術

術式の概要

患児の術前プロファイル

手術シミュレーション

STEP1 胸骨正中切開・人工心肺確立・大動脈遮断

STEP2 VSD拡大と心室内ルート作成

STEP3 肺動脈パッチ拡大によるグラフト末梢側吻合部の作成

STEP4 Bulging Sinus 3弁付きグラフトの吻合(心外ルート作成)

STEP5 人工心肺からの離脱と閉胸操作


⑫完全大血管転位症

疾患の概要


Jatene手術

術式の概要

患児の術前プロファイル

手術シミュレーション

STEP1 正中開胸,自己心膜採取,大血管関係・冠動脈所見の確認,人工心肺確立

STEP2 両大血管の切断と左右冠動脈移植

STEP3 新大動脈の再建

STEP4 ASD閉鎖および一時的大動脈遮断解除による冠動脈血流と止血の確認

STEP5 新肺動脈の再建

STEP6 大動脈遮断解除・人工心肺離脱

STEP7 二期的胸骨閉鎖


⑬左心低形成症候群

疾患の概要


両側肺動脈絞扼術

術式の概要

患児の術前プロファイル

手術シミュレーション

STEP1 胸骨部分切開アプローチ

STEP2 左・右肺動脈の絞扼(バンディング)

STEP3 閉胸操作


Norwood手術

術式の概要

患児の術前プロファイル

手術シミュレーション

STEP1 胸骨正中再切開および人工心肺の確立

STEP2 PDAの処理と大動脈弓・下行大動脈の遮断

STEP3 RV-PA conduit(螺旋リング・カフ付きePTFEグラフト)の末梢側吻合

STEP4 自己組織のみによる新大動脈再建

STEP5 RV-PA conduit(螺旋リング・カフ付きePTFEグラフト)の中枢側吻合

STEP6 心房中隔欠損(ASD)の作成

STEP7 大動脈遮断解除・人工心肺離脱


⑭単心室・三尖弁閉鎖症

疾患の概要


両方向性Glenn手術

術式の概要

患児の術前プロファイル

手術シミュレーション

STEP1 胸骨正中再切開,大血管のテーピング,肺動脈圧測定

STEP2 人工心肺の確立

STEP3 Rt.TCPS(川島法):RSVC-RPAの端側吻合

STEP4 Lt.BDG(左両方向性Glenn吻合):LSVC-LPAの端側吻合

STEP5 肺動脈絞扼術(PAバンディング)

STEP6 人工心肺からの離脱

STEP7 pacemaker generator交換

STEP8 閉胸操作


Fontan型手術

術式の概要

患児の術前プロファイル

手術シミュレーション

STEP1 胸骨正中再切開,大血管テーピング,人工心肺装着,大動脈遮断

STEP2 RV-PA conduit(螺旋リング・カフ付きePTFEグラフト:Distaflo®)の抜去

STEP3 下大静脈の切断と中枢側断端の閉鎖

STEP4 除細動・aortic root venting

STEP5 下大静脈断端と人工血管の吻合(TCPC末梢側吻合)

STEP6 肺動脈と人工血管の吻合(TCPC中枢側吻合)

STEP7 人工心肺離脱・止血・閉胸操作


⑮Modified Blalock-Taussig shunt手術 肺動脈絞扼術

BTシャント変法手術

術式の概要

患児の術前プロファイル

手術シミュレーション

STEP1 胸骨正中切開および体動脈・肺動脈のテーピング

STEP2 グラフト吻合の準備

STEP3 BTシャント変法のグラフト中枢側吻合

STEP4 BTシャント変法のグラフト末梢側吻合

STEP5 閉胸操作


肺動脈絞扼術 術式の概要 患児の術前プロファイル 手術シミュレーション

STEP1 バンディングテープ(ePTFEバンド)の準備と左側方開胸

STEP2 PAバンディングと肺動脈圧測定

STEP3 閉胸操作


小児心臓血管外科で使用する機器

小児心臓血管外科で使用する機器 器械展開と準備の工夫

使用する主な機器

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 10.0 以降

    外部メモリ:47.7MB以上(インストール時:103.7MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:190.8MB以上

  • android icon

    AndroidOS 5.0 以降

    外部メモリ:66.9MB以上(インストール時:167.2MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:267.6MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcherが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784758314299
  • ページ数:298頁
  • 書籍発行日:2016年3月
  • 電子版発売日:2019年6月26日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※今日リンク、YNリンク、南山リンクについて、AndroidOSは今後一部製品から順次対応予定です。製品毎の対応/非対応は上の「便利機能」のアイコンをご確認下さいませ。


※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。


※コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcher(iOS/iPhoneOS/AndroidOS)が必要です。


※書籍の体裁そのままで表示しますため、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。