睡眠障害 知る診る治す

  • ページ数 : 216頁
  • 書籍発行日 : 2014年3月
  • 電子版発売日 : 2015年2月12日
¥4,950(税込)
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商品情報

内容

内科医の目線でわかりやすく解説された睡眠医療の入門書!

睡眠の専門医ではないが睡眠医療を自分の診療の1つとして身につけたい医師、睡眠に関心をもつ若い医師に対して、不眠症、睡眠呼吸障害を中心とした睡眠障害全般について実にわかりやすく解説した本書。近年増加している睡眠障害について、一から学べる一冊です。

序文

刊行にあたって

金沢医科大学では,2000年に「いびき(睡眠)外来」として睡眠医療をスタートしました。当初は注目されることなくひっそりとした外来で,患者が来なくて「医者が寝ている外来」と言われたこともありました。2003年2月,山陽新幹線の運転士が居眠り運転をして乗り越し事件があり,その運転士が睡眠時無呼吸症候群(SAS)であることがわかりました。事件後,マスコミなどを通じて一般の方に広くSASが知られ注目されるようになりました。「いびき外来」にもSASについての取り合わせや患者が殺到し多忙を極めました。

同年10月,北陸に初めての睡眠専門機関として睡眠医学センタ-を開設しました。それから11年がたちます。睡眠医療の環境は大きく変わりました。

睡眠障害は今や高血圧症・糖尿病・脳血管障害などの生活習慣病や精神疾患にも密接に関連することが知られるようになりました。まさに国民病と言っても過言ではないかと思います。

国民に健全な睡眠を得ていただくために,睡眠医療の裾(すそ)を広げる必要があります。そこで,従来の睡眠医療を専門にしている医療者だけでなく,新たに睡眠医療に興味をもってもらい,自分の医療技術の1つとして取り入れる医療従事者の方を増やすことが大切と思いました。特に地域の人と密接に関わっている医師,歯科医,医療技師,歯科技工士の方が睡眠(呼吸)障害に目を向けていただき睡眠専門医療機関と連携することにより,多くの睡眠で悩む人を癒すことができると考えます。

睡眠は人生の3分の1とよく言われます。つまり人生の3分の1,苦しんでいる人がいます。その人を癒す医療者が1人でも多くいてほしいという思いでこの本を監修しました。

この本の制作にあたり,多くの方々のご協力を得られたことに感謝いたします。


2014年 2月
金沢医科大学呼吸器内科学
栂 博久


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序にかえて

人々の暮らしを明暗に例えるとき,明は喜び,暗は悲しみや苦痛の言い換えということができます。つまり,人は光に満ちた夜明けから日が暮れて眠るまでの暮らしや活動を本来の人生の喜びと捉え,眠りはあたかも苦痛や夜の闇を避けるために逃げ込む手段に過ぎず,夢を見ることさえ時間の無駄と捉えていることがあります。まるで,冷たく暗い夜など人生には不要であり,あわよくば一睡もすることなく不夜城に暮らす王のごとく,「意識のある人生」を謳歌したいと望んでいるふうにもみえます。しかし,眠りはその人の「人生(行動)」そのものであり,失って初めて意味を知るといえるほどに,普段はそれを意識することなく,常に人々の傍らにありながら無視されている存在なのです。そもそも,私たちが眠りにまつわる行動を文学的,哲学的に扱うこと自体が誤解を生んでいるのです。

睡眠医学の領域は,科学的な視点で睡眠を捉え,その成果を悩める人々に還元・提供すること,そして睡眠医療の担い手を育てることを命題としています。

本書は,栂 博久教授の監修のもと,金沢医科大学をはじめ秋田大学や岩手医科大学など,全国の仲間の力を借りて,睡眠呼吸障害に留まらず睡眠障害の領域にまで解説範囲を拡げることとなりました。多くの医療担当者に睡眠医学全体への興味をもっていただけるよう,前書(『ココから学び始める! 睡眠呼吸障害診療のポイント』)同様の親しみやすさに心がけたつもりです。最後に本書発想の原点となっている言葉を引用したいと思います。


Not all patients with hypersomnia have sleep apnea, and other diagnoses may be missed if the physician is only trained to diagnose and treat sleep apnea.(Collop NA. Conundrums in sleep medicine. Chest 1999; 115: 607-8.)


「過眠の患者がいつも無呼吸とは限らない,医師が無呼吸の診断治療を学ぶだけでは他の病態が見逃されてしまう」。つまり,睡眠医療の適正な診療には医学,わけても「睡眠学」全体に関心をお持ちいただくことが肝要であるという意味だと考えます。また「医者は患者を選べない。治せないまでも邪魔はするな」は私の恩師の口癖ですが,睡眠を医学の重要な一部と考える多くの人々が本書を手にとり,日々の診療に役立てていただければと願っています。


2014年 1月
岩手医科大学医学部睡眠医療学科
櫻井 滋

目次

1 睡眠障害の概要INDEX

睡眠障害の概要INDEX
睡眠障害を知ろう!/中枢性過眠症群/概日リズム睡眠障害/睡眠時随伴症(パラソムニア:parasomnias)/睡眠関連運動障害群(sleep related movement disorders)/孤発性の諸症状,正常範囲内と思われる異型症状,未解決の諸症状/その他の睡眠障害

2 不眠症

知る

睡眠のメカニズム―睡眠・覚醒の調節メカニズムを理解する
睡眠の神経性調節/睡眠の液性調節

ノンレム,レム期の脳の働き―ノンレム睡眠,レム睡眠時にみられる脳・末梢機能の特徴を理解する
ノンレム,レム睡眠時のニューロン活動/ノンレム,レム睡眠と自律神経系および筋活動/ノンレム,レム睡眠と記憶

睡眠リズムの変化―生物リズムとしての睡眠・覚醒を理解する
概日(サーカディアン)リズム/加齢と睡眠リズム/交替制勤務と睡眠リズム

体温とホルモンの関係―身体からの放熱が眠りをよぶ
睡眠と体温の深い関係/体温による睡眠調節とホルモン

不眠による社会・家庭の影響を考えてみる
睡眠不全を見直すのは今です

睡眠と不整脈,心血管疾患
睡眠時無呼吸と不整脈/睡眠時無呼吸と心不全/睡眠時無呼吸と虚血性心疾患

睡眠と糖尿病,高血圧,肥満―生活習慣病との密接な関係
睡眠不足は糖尿病の発症リスク/睡眠不足とグルコースとインスリン濃度/睡眠障害と高血圧

うつ病と睡眠障害―切っても切れない心と体
うつ病と不眠の関係/うつ病における睡眠障害の非薬物療法/うつ病における睡眠障害の薬物療法

不眠症の一般的基準―入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害とは
不眠症とは/入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害とは


診る

不眠症の診断―精神生理性不眠症と逆説性不眠症の診断の流れ
精神生理性不眠症
精神生理性不眠症はこういう疾患/臨床診断/治療
逆説性不眠症
逆説性不眠症はこういう疾患/臨床診断/治療


治す

睡眠衛生の見直し―睡眠障害対処12の指針とその理解
①睡眠時間は人それぞれ,日中の眠気で困らなければ十分/②刺激物を避け,眠る前には自分なりのリラックス法/③眠たくなってから床に就く,就床時刻にこだわりすぎない/④同じ時刻に毎日起床/⑤光の利用でよい睡眠/⑥規則正しい3度の食事,規則的な運動習慣/⑦昼寝をするなら,15時前の20―30分/⑧眠りが浅いときは,むしろ積極的に遅寝・早起きに/⑨睡眠中の激しいいびき・呼吸停止や足のぴくつき・むずむず感は要注意/⑩十分眠っても日中の眠気が強いときは専門医に/⑪睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと/⑫睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安全

睡眠時間制限療法
睡眠時間制限療法はこういう治療/認知行動療法の考え方/不眠の成り立ち/不眠の流れを断ち切る

刺激コントロール法
不眠症患者に対するCBT-I/刺激コントロール法のねらい/刺激コントロール法で気をつけること

認知行動療法
なかなか不眠が改善しないときの狭義の認知行動療法/随伴性マネジメント法/認知再構成法

薬物療法―具体例から学ぶ
治療の必要性/治療介入/薬物療法の導入/薬物治療抵抗性の不眠症患者/維持療法/さまざまな不眠に対する薬物療法の例

睡眠薬の離脱―どんなタイミングで減らし,やめるか
睡眠薬の減量・中止を判断する4つの基準/離脱症状や退薬症状の起こりやすい不眠症患者/睡眠薬の中断方法/睡眠薬の中断または減薬のポイント


もっと知る

適応障害性不眠症(急性不眠症)―東日本大震災を踏まえて,今注目
適応障害性不眠症の基本的特徴/実際の診察・治療

夜間就労の弊害―交替勤務の患者さんをどう治すか
交替勤務にはこのような問題点がある/どのようなことを確認するべきか/交替勤務の患者に対する治療

睡眠環境をよくする―快適な入眠,睡眠,目覚めのために
快適な入眠のための環境/快適な睡眠のための環境/快適な目覚めのための環境

寝具をよくする
枕の選び方/敷き寝具(布団・マットレス)の選び方/寝具のメンテナンス

心理カウンセリングにおける不眠の対処法 浮世満理子
心理カウンセリングにおける具体的な対処法/生活習慣の改善はこのように

3 睡眠呼吸障害

知る

睡眠呼吸障害の歩みと疫学
有病率―どれだけの人がSASに悩まされているか―/性差/睡眠検査/診断基準/主な治療―どうやって治すか―/予後

睡眠呼吸障害の社会的コスト―睡眠呼吸障害の社会的影響について考えてみる
無治療の睡眠時無呼吸症候群がもつ基本的リスク/国民の健康と睡眠呼吸障害/交通・輸送の安全と睡眠呼吸障害/国民の余命に間接的に影響する睡眠呼吸障害

睡眠呼吸障害の分類と概要
呼吸の分類/中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)/閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)/睡眠関連低換気/身体疾患による睡眠関連低換気/低酸素血症/その他の睡眠関連呼吸障害

OSASの発症メカニズムと症状―肥満や自覚症状のない患者も多いので要注意!
上気道閉塞の発症メカニズム/OSAS(閉塞性睡眠時無呼吸症候群)の症状

CSASの発症メカニズムと症状―中枢性無呼吸って閉塞性無呼吸とどう違うの?
CSAS(中枢性睡眠時無呼吸症候群)とは/閉塞性無呼吸と中枢性無呼吸の判別のしかた/CSASの発症メカニズム

チェーン・ストークス呼吸パターンの発症メカニズムと症状
チェーン・ストークス呼吸はこういうもの/チェーン・ストークス呼吸の発症メカニズム/CSR-CSAに対する治療/ASVによるCSR-CSA治療

肥満低換気症候群 笠井良彦
概念・定義/疫学/診断・病因/治療/予後

上気道抵抗症候群―強い眠気があれば疑う
上気道抵抗症候群の病態/上気道抵抗症候群の症状/上気道抵抗症候群の原因/上気道抵抗症候群の治療


診る

睡眠障害の検査基準―問診から簡易検査,PSG検査まで
問診/簡易検査/終夜睡眠ポリグラフィ(PSG)

簡易型睡眠検査―まず導入して,スクリーニングにトライする
診断の流れのなかでの簡易型睡眠検査/睡眠専門医療機関での検査手順/睡眠専門医療機関とクリニック(かかりつけ医)との連携

一般内科で行うSASスクリーニング
睡眠非専門医が開設した睡眠外来/八戸西病院の睡眠外来の流れ

SASの病診連携―釜石・大槌での取り組み
地域のクリニック・歯科と専門外来の連携

歯科におけるSAS診療の流れ―SASの歯科的治療
OAの健康保険導入/当院でのOA治療の流れ

耳鼻咽喉科クリニックにおけるSAS診療の流れ
耳鼻科診療とSAS診療の並行/耳鼻科的チェックポイント/いびきの訴えに対する注意点

睡眠変数の解釈
睡眠に関する指標/睡眠時の呼吸障害に関しての指標

MSLTとMWT
MSLT/MWT


治す

SASの治療の流れ
保険診療下でのSASの診療の流れ/CPAPが使えない場合の治療法

CPAP療法―SASになくてはならない治療の王道
CPAP療法の適応/CPAP療法の流れ/CPAP治療で査定できる健康保険項目

口腔内装置とCPAPの併用治療―それぞれの治療法の利点・欠点を知る

BiPAP
BiPAPはこういう装置/タイトレーションと効果判定/使用中のトラブル・合併症/疾患別設定

アダプティブ・サーボベンチレーション(ASV)療法―中枢性無呼吸およびチェーン・ストークス呼吸(CSR-CSAS)の新しい治療
生活習慣病,慢性心不全と睡眠呼吸障害/アダプティブ・サーボベンチレーション(ASV)とは何か?/ASVの睡眠検査による設定例/CSR-CSASにASVは必須か?

口腔内装置の適応と製作
口腔内装置の適応患者/口腔内装置の作製/口腔内装置装着後の経過観察

口腔外科的治療
SASに対する口腔外科的治療の実態/口腔外科的治療/予後

耳鼻咽喉科的治療
成人のSAS/小児のSAS


もっと知る

睡眠関連低換気/低酸素血症―間質性肺炎とCOPDを中心として
IPは乾性咳嗽と労作性呼吸困難が特徴/IPは睡眠時低酸素血症も伴う/COPDは労作時呼吸困難と咳,痰が特徴/COPDも睡眠時低酸素血症を伴う/COPDと睡眠時無呼吸症候群のoverlap syndrome

気管支喘息とSAS
気管支喘息と睡眠時無呼吸症候群の共通点/喘息によるSAS増悪の可能性/SASによる喘息増悪の可能性

夜間頻尿とOSAS
夜間頻尿の定義/睡眠障害の原因としての夜間頻尿と睡眠時無呼吸症候群/夜間尿量の増加とOSAS/OSASの積極的治療による夜間頻尿の改善

女性とSAS―妊娠・不妊のかかわり
女性におけるSASの特徴/年齢分布の男女差/妊娠とSAS/男性SASと女性SASの違い

SAS患者に多い逆流性食道炎
OSASにGERDが多いわけ/GERDがある患者のOSAS治療/OSAS患者に対するGERD治療

4 特別付録

終夜睡眠ポリグラフィ―スクリーニングの次に詳しく調べる
睡眠の判定が可能/PSG測定の流れ/PSGが必要な場合

実際の睡眠検査―簡易型睡眠検査,終夜睡眠ポリグラフの解説
パルスオキシメータ/簡易型睡眠検査/簡易型睡眠検査の流れ/終夜睡眠ポリグラフィ検査(PSG)

典型的な呼吸・睡眠のパターン
健康成人のPSG睡眠経過図/各疾患における睡眠経過図および呼吸・脳波波形

代表的な睡眠関連治療薬の使い方

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  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784758303774
  • ページ数:216頁
  • 書籍発行日:2014年3月
  • 電子版発売日:2015年2月12日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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特記事項

※今日リンク、YNリンク、南山リンクについて、AndroidOSは今後一部製品から順次対応予定です。製品毎の対応/非対応は上の「便利機能」のアイコンをご確認下さいませ。


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※書籍の体裁そのままで表示しますため、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。