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シリーズ生命倫理学 第13巻 臨床倫理

浅井 篤, 高橋 隆雄 (編)

丸善出版 株式会社

290 頁  (2012年1月)

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リリース日: 2018年06月08日

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臨床倫理では、生命の始まりから終わりまでのあらゆる時期の問題を取り扱う。疾患横断的であり、安楽死や中絶など社会的に大きな注目を集める問題や、日常的に医療現場で起きている倫理問題を対象とする。同時にプロフェッショナリズム(専門職意識)や人間性の問題も守備範囲とし、職業倫理や徳倫理にも深く関わる。医療専門職・医療系学生に対する倫理教育活動も大きな役割のひとつになる。本書では、医療現場の比較的日常的な倫理問題と事例を取り上げつつ、現時点での臨床倫理関連領域の最前線について紹介・解説。

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臨床倫理では、生命の始まりから終わりまでのあらゆる時期の問題を取り扱う。疾患横断的であり、安楽死や中絶など社会的に大きな注目を集める問題や、日常的に医療現場で起きている倫理問題を対象とする。同時にプロフェッショナリズム(専門職意識)や人間性の問題も守備範囲とし、職業倫理や徳倫理にも深く関わる。医療専門職・医療系学生に対する倫理教育活動も大きな役割のひとつになる。本書では、医療現場の比較的日常的な倫理問題と事例を取り上げつつ、現時点での臨床倫理関連領域の最前線について紹介・解説。


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緒言

臨床倫理とは,生命科学と医療技術の発達が医療現場と患者ケアにもたらした倫理・法・社会問題等を学際的に検討する応用倫理の一分野であり,個々の患者診療に関わる倫理問題を同定,分析し,どのような選択が最善かを考察することを一義的な目的とする.関係者が担当する患者や家族の受ける診療行為に懸念や疑問,倫理的ジレンマを感じたとき臨床倫理に関わる問題が生じ,人々は当該事例に即して考察を進め,妥当な結論を導くことが目指される.例えば日常的な事例を挙げよう.今年で90 歳になる患者がいる.寝たきり状態で1 日の多くを眠って過ごしている.目を覚ましているときは,こちらからの呼び掛けに頷くことがあるが,ほとんど無言である.今までは食事介助で栄養摂取を行ってきたが,最近は食べる量が落ち込んできた.担当医療者のひとりが,この患者が十分な食事を取れなくなったらどうしたらいいのだろうかと疑問をもった.このような問いに明確かつ実践的に答えようとするのが臨床倫理である.

医療専門職・医療系学生に対する倫理教育活動も大きな役割の1 つになる.患者ケアに関わる人々が倫理的観点から課題を自ら発見・探求し,共感的で謙虚な態度で他者と接して意見交換を行い,熟考・自己反省を通じて問題を解決できることが大きな教育目標になろう.同時に臨床倫理に関連する問題の発生頻度や性質,関係者の態度や見解の共通点と相違点,文化や国家による医療慣行や行為の記述倫理的差異を,医療社会学や人類学等の手法を用いて研究することも主要活動に含まれる.自らの倫理的内省を行うにあたって,諸文化の倫理的見解に関する知識は有益であろう.臨床倫理では,生命の始まりから終わりまでのあらゆる時期の問題を取り扱い,疾患横断的であり,安楽死や中絶など社会的に大きな注目を集める問題だけでなく,日常的に医療現場で起きている倫理問題を対象とする.同時に「医療専門職はどのような人間であるべきか」「医療専門職はどのような特質をもつべきか」というプロフェッショナリズム(専門職意識)や人間性の問題も守備範囲とし,職業倫理や徳倫理にも深く関わる.

患者やその家族が医学的に考えて適応のない治療を強く望んだ場合はどうすればいいのか.逆に,患者の家族が患者に対する救命治療を宗教的な理由で拒否した場合にはどう対処すべきか.延命治療に関して,患者の意向と家族の希望が異なる場合はどうしたらよいか.家族が反対しているときに,患者への病名説明はどうしたらいいのか.どんな状況なら患者の意に添わない医療を行ってもいいのか.この患者に心肺蘇生術を行うべきなのか.いったん始めた延命は決して中止してはいけないのか.これらが臨床倫理でよく扱う具体的問題の諸例となる.上述の事例同様,これらの問題は日常的に医療現場で起きている.そして一日も早い問題解決が求められている.

シリーズ生命倫理学第13巻『臨床倫理』では医療現場の比較的日常的な倫理問題と事例を取り上げつつ,現時点での臨床倫理関連領域の最前線について紹介・解説する.

第1章~第5章では,臨床倫理の歴史と現状,代表的事例,臨床倫理アプローチ,倫理カンファレンス等を取り上げる.次に主要な臨床倫理活動である倫理コンサルテーションについて,倫理コンサルタントのコンピテンシー,個人コンサルテーションと少人数グループコンサルテーションの利点と問題点などについて言及する.同時に臨床倫理委員会の在り方と活動を哲学的に深いレベルまで掘り下げて検討し,委員会による倫理を論じる.加えて,医療現場で適切な倫理的判断を行うにあたって欠かすことのできない倫理と法の関係と法とガイドラインに関する考察を行い,関係者の心理とコミュニケーション,医療現場の人間関係についても専門的に検討する.

第6章~第9章では患者ケアに関わる倫理問題に対応する際に必須となる,意思決定における重要概念をいくつか考察する.インフォームド・コンセントの妥当性と治療拒否の是非を考えるにあたって最も重要になる患者の意思決定能力,自律性と並んで意思決定の重要な判断根拠となる患者の利益に関する議論と医学的無益性の定義,そして治療中止と延命措置の是非に大きく影響する事前指示と心肺蘇生不要指示(DNAR)の意義と問題点などが検討される.

第10章~第13章では医療専門職が日々直面している倫理的ジレンマを取り上げる.報道されるたびに大きな社会的問題になる人工呼吸器取り外し,エホバの証人信者の輸血拒否,脳死でも植物状態でもなく,意識はあるが意思決定能力がない最小意識状態患者の医療の在り方,そして良心的拒否,不適切な診療要求に対する対応,プロフェッショナリズムなど,医療専門職自身の深い悩みについても検討する.

臨床倫理は教育および研究的側面をもつが,基本的には実践的な学問であり,問題解決のためのツールでもある.本巻が医療現場においてより善い倫理的意思決定を実現することに貢献できることを願っている.


第13巻編集委員 浅井 篤

高橋 隆雄


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第1章 臨床倫理―基礎と実践

第2章 倫理コンサルテーション

第3章 臨床倫理委員会の現状と課題

第4章 臨床倫理と適法性

第5章 倫理的判断に関わる関係者の心理とコミュニケーション

第6章 患者の意思決定能力

第7章 患者の利益と無益性

第8章 家族と代行判断

第9章 事前指示とDNR

第10章 人工呼吸器取り外し

第11章 エホバの証人信者の輸血拒否と他の治療拒否

第12章 最小意識状態の患者の医療に関する意思決定

第13章 医療専門職自身の悩み

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