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高山病と関連疾患の診療ガイドライン

日本登山医学会 高山病と関連疾患の診療ガイドライン作成委員会 (編者)

株式会社 中外医学社

116 頁  (2017年6月)

Android 対応製品 iOS/iPhoneOS対応製品

eBook Price(ダウンロード販売): ¥3,132 (税込) 

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リリース日: 2017年08月04日

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山岳医療の標準化を目指し、日本人の身体能力や体質などに合わせて作成された“本邦初のガイドライン”ついに刊行!

2013年6月に富士山が世界遺産に登録され、2016年からは8月11日が「山の日」となり、登山への関心が高まる中、事故や遭難も多く発生しています。海外遠征をはじめ、国内の登山・山岳診療所、あるいは病院で。高山病や関連疾患の予防と傷病者の治療に役立つ一冊。

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構想から2年余り.長年待ち望まれた"日本独自の高山病診療ガイドライン"が遂に完成.日本人の身体能力や体質,薬剤の用法・用量などを日本の事情に合わせ,エビデンスレベルを明示して書き下ろされた.本ガイドラインにより,日本の山岳医療の標準化が図られ,海外遠征をはじめ,国内における高所登山の現場や山岳診療所などの医療機関での診療にも活用され,高山病や関連疾患の予防や傷病者の治療に役立つことが期待される.


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はじめに

2013 年6 月に富士山が世界遺産に登録された.2016 年からは8 月11 日が「山の日」となり,国民の祝日となった.「山の日」は,「山に親しむ機会を得て,山の恩恵に感謝する」という趣旨で制定され,広く国民に山の魅力を発信する契機となった.このような動きを受け,登山への関心が高まりつつあり,登山に親しむ人が再び増加している.登山人口の4 割以上は60 歳以上の高齢者であり,慢性疾患を抱えた登山者も少なくない.また,近年はファッショナブルなアウトドアウェアをまとう女性登山者も増えている.登山者のすそ野の広がりとともに懸念されるのが山岳遭難である.

長野県警の統計によると,2016 年に長野県内を訪れた登山者は70 万人以上と推定され,特に槍・穂高連峰で増加している.遭難事故件数は270 件余りであり,原因として転落・滑落・転倒が半数以上を占めるが,病気や疲労・凍傷によるものも2 割に迫る.一方,富士山には夏季を中心に30 万人を超える登山者が訪れている.静岡県警が公表している2016 年の遭難事故件数は86 件であるが,そのうち4 割程度が高山病や低体温症であり,富士山では疾病遭難が多数を占める.国内ばかりでなく,近年は中高年を中心に海外での登山やトレッキングが人気を集めており,高山病による予期せぬ事故も報告されている.

2010 年,Wilderness Medical Society(WMS)は世界に先駆けて「高山病の予防と治療のガイドライン(Wilderness Medical Society Practice Guidelines for the Prevention and Treatment of AcuteAltitude Illness)」を発表した.しかし,日本人の身体能力や体質,薬剤の用法・用量など,海外と異なる部分も多いため,WMS のガイドラインをそのまま日本人に応用するのは困難に思われた.このような経緯から,日本登山医学会でも日本独自のガイドライン作成の機運が高まり,2013 年の第33 回学術集会において,ガイドライン作成委員会の設立と編集方針が承認された.以後,十分な議論を重ねながら編集作業が進行し,3 年余りの歳月を経て発表に至ることができた.日本登山医学会「高山病と関連疾患の診療ガイドライン」は日本の登山医学の粋を集め,最先端の研究者を執筆陣に迎えている.エビデンスレベルの明記に心がけ,用語の統一を図るとともに,豊富な文献も添付した.本ガイドラインにより日本の山岳医療の標準化が図られ,エビデンスに基づいた診療が可能となる.海外遠征をはじめ,国内の登山,山岳診療所,あるいは病院での治療に活用され,高山病や関連疾患の予防と傷病者の治療に役立つことを願っている.

最後に,本ガイドラインの作成にあたり,快く執筆を引き受けていただいた編集委員の方々,査読を担当された査読委員の方々,そして事務局として編集に奔走した信州大学,小林信光氏に心より感謝申し上げたい.


2017年4月

日本登山医学会高山病と関連疾患の診療ガイドライン作成委員会委員長
花岡 正幸


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第I章 急性高山病

1.概念

2.病態生理

3.症状・所見

4.診断

5.予防

a.危険度の認知

b.ゆっくりとした登高

c.高地順応トレーニング

d.薬物による予防

6.高所での治療

a.駐留

b.低地または低い高度への移動・搬送

c.酸素吸入

d.携帯型高圧チャンバー

e.薬物療法

f.判断の一助として

7.搬送中の治療

8.入院後の治療

第II章 高地脳浮腫

1.定義・概念

2.病態生理

3.症状,所見

4.診断

5.予防

a.ゆっくりとした登高

b.薬物による予防

6.高地での治療

a.低地または低い高度への移動・搬送

b.酸素投与

c.携帯型高圧チャンバー

d.薬物療法

7.搬送中の治療

8.入院後の治療

9.経過・予後

第III章 高地肺水腫

1.概念

2.病態生理

3.症状・所見

4.診断

5.予防

a. HAPEの予防法

b.HAPE予防方法の提案

6.高所での治療

a.高所でのHAPEの治療法

b.高所でのHAPE治療法の提案

c.HAPEとHACE両方を発症している患者における治療法の提案

7.搬送中の治療

8.入院後の治療

a.入院後のHAPEの治療法

b.入院後のHAPE治療法の提案

第IV章 高地での循環器疾患

1.概要

2.病態生理

a.登山中の疾患発症の機序

b.高地登山と組織低酸素・臓器虚血

3.予防・リスク分類

a.総論

b.各種循環器疾患の特徴と高地登山への対応

c.登山における循環器疾患のリスク評価について

4.高所での心血管疾患発症への治療

a.心臓病を疑う症状への対応と初期治療

b.既知の心血管疾患

5.搬送の原則

6.まとめ

第V章 高地での呼吸器疾患

1.概念

2.慢性閉塞性肺疾患(COPD)

a.疾患概念

b.病態生理

c.症状・所見

d.診断

e.増悪の予防

f.COPD増悪の際の高所での治療

g.搬送中・入院後の治療

3.気管支喘息

a.疾患概念

b.病態生理

c.症状・所見

d.診断

e.発作の予防

f.高地での治療

g.搬送中・入院後の治療

4.その他の呼吸器疾患

a.肺高血圧症

b.肺血栓塞栓症

c.睡眠時無呼吸症候群

d.間質性肺炎

e.肺の術後,気胸

第VI章 低体温症

1.概念

2.病態生理

3.症状・所見

a.バイタルサイン─呼吸と脈

b.バイタルサイン─意識

c.神経筋症状─震え

4.診断

a.重症度判定

b.深部体温測定

c.脈が触知できない場合と心静止

d.個体死

5.予防

6.野外・高所での治療(病院前治療)

a.優先すべき基本事項

b.臨床ステージと基本方針

c.復温方法

d.心電図モニタリング

e.circum-rescue collapseとafterdrop

f.酸素投与と気道管理

g.心肺蘇生の開始

h.心肺蘇生の実施

7.搬送中の治療

a.搬送先の決定

b.搬送中の復温

c.酸素投与と気道管理

d.心電図モニタリング

e.搬送中の心肺蘇生(保留と中断)

f.circum-rescue collapse と afterdrop

8.入院後の治療

a.中心静脈路確保と補液

b.循環が安定している低体温症患者

c.循環が不安定な低体温症患者

d.心停止を伴う重症低体温症

e.心拍再開

f.修正二次救命処置と標準二次救命処置

g.血清カリウム

第VII章 熱中症

1.概念

2.疫学

3.病態生理

a.熱中症の病態生理

b.分類

c.危険因子

d.熱射病の病態生理

4.診断

5.予防

a.登山における水分補給の意義

b.「現実的」な補給指針の必要性

c.行動中の水分補給の指針

d.生活中の水分補給の指針

e.本指針の有用性と限界

6.高所での対処法・治療

a.熱射病

b.熱痙攣

c.熱失神

d.熱疲労

7.搬送中の治療

8.入院後の治療

第VIII章 高地での心肺蘇生

1.概要

2.高所での心肺停止の頻度

3.高所での心肺停止リスク軽減のための推奨事項

4.高地での心肺蘇生

a.心肺蘇生作業を開始する前の安全確認

b.心肺蘇生手技実施者への影響

c.高所でのAEDと心臓マッサージの労務を軽減しうる器具

d.屋外環境・高所での酸素投与

5.高所での心肺蘇生の中止・停止

本ガイドラインで紹介した主な医薬品一覧


索引

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