EBM皮膚疾患の治療 up-to-date

  • ページ数 : 370頁
  • 書籍発行日 : 2015年2月
  • 電子版発売日 : 2015年8月28日
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商品情報

内容

本書前身の「EBM皮膚疾患の治療」から7年、待望のアップデート版が登場!

診療上の論点をCQにとりあげ、各領域の第一人者に、文献渉猟からその評価・問題点までコメントされており、日常診療に直結するヒントが詰まった一冊。
臨床的な命題に対してもEBMの視点から明快な指針が示されています。
電子版では、該当の参考文献のPubMedへのリンクも充実しています。

序文

2008年に本書の前身である「EBM皮膚疾患の治療」を刊行してから7年の歳月が流れた.当時はEBMはまだ新参者のコンセプトで,やっとガイドラインの策定が続き,皮膚疾患の治療も経験と勘ではなく,データに基づく根拠をもって行われるべきである,という考え方が皮膚科医に浸透し始めた時期であった.当時の筆致をみても,そのEBMの潮流を何とか皮膚科診療の中に定着させようという編集者の気負いや執筆者の熱い息づかいが感じられる.設問をみると,すでに解決済みのクリニカルクエスチョン(CQ)も散見され,時代の流れさえ感じさせる.

今回の「EBM皮膚疾患の治療up−to−date」では,現時点で最もホットな診療上の論点をCQにとりあげ,各領域の第一人者に,文献渉猟からその評価・問題点までをコメントしていただき,読者の日常診療に直結するヒントを与えていただいた.ご多忙の中,文献検索や解説に多大な労力と時間を割いてくださった執筆者各位に深く敬意を表し感謝したい.それとともに,今回の改訂では,どの執筆者もエビデンスとその評価・推奨などを淡々とこなされ,逆に編集者としてEBMが皮膚科医の中に深く根付いたことを実感し,感銘を禁じ得なかった.

今回の執筆項目をみると,この7年の皮膚科領域の進歩を大きく反映させたCQが目白押しである.たとえば,生物製剤,IVIG,エキシマライト,PD1抗体,陰圧閉鎖療法,イミキモド,BPOなどの新規治療を始め,プロアクティブ療法,抗ヒスタミン薬の増量,痛みにやさしいドレッシング材,カモフラージュメイクなどの従来の治療の武器をいかに新しい治療のアプローチとして用いるか,という視点での設問も多い.さらに,ディベートの多い肝斑のレーザー療法,足浴とシャワー浴の是非,脂腺母斑の切除などをめぐるきわめて臨床的な命題に対してもEBMの視点から明快な指針を与えていただいた.臨床現場で臨床決断に戸惑うとき,専門医がエビデンスを示しながら一刀両断に結論を提示する小気味良い手法はやみつきになってしまいそうである.錯綜する医療情報の荒波に患者も医師も海図を失いかけたとき,本書はEBMを唯一の共通言語とする羅針盤として,その臨床決断や標準治療選択に大きく寄与するであろう.

私事ながら,編集者の私も昨年,定年を2年あまり残して教授職から病院長職に転出した.これも7年という時間軸が確実にシフトしたことを如実に物語っている一方で,最前線の病院ではこのようなEBMに依拠した安全で質の高い医療が強く求められていることを肌身で感じ,編集者として意を強くした次第である.本書が,実地医家の先生方のEBM皮膚科診療にいささかでも貢献できればこれに勝る喜びはない.


2015年冬

滋賀県立成人病センター病院長・京都大学名誉教授
宮地良樹



目次

I.湿疹・皮膚炎群

1.小児アトピー性皮膚炎のタクロリムス療法は安全か?

2.アトピー性皮膚炎のプロアクティブ療法は有用か?

3.アトピー性皮膚炎に発汗は有用か有害か?

4.フィラグリンを増やせばアトピー性皮膚炎は改善するか?

5.アトピー性皮膚炎の病勢評価にTARCはどこまで有用か?

6.アトピー性皮膚炎にシクロスポリンはどこまで有用か?

7.金属制限食は汗疱状湿疹に有用か?

8.脂漏性皮膚炎に抗真菌薬はどこまで有効か

II.蕁麻疹・痒疹・皮膚瘙痒症

1.蕁麻疹に内服ステロイドは有効か?

2.蕁麻疹に外用薬は有用か?

3.蕁麻疹に抗ヒスタミン薬増量は有用か?

4.特発性蕁麻疹の症状消失後も抗ヒスタミン薬内服を継続すべきか?

5.オマリズマブは慢性特発性蕁麻疹に有効か?

6.透析のかゆみにレミッチⓇ(ナルフラフィン塩酸塩)はどこまで有用か?

7.皮膚瘙痒症に紫外線は有効か?

8.保湿剤はかゆみに有効か

III.薬疹

1.SJS/TENのステロイド療法はどこまで有用か?

2.重症薬疹にIVIGは有効か?

3.手足症候群の根拠に基づくベスト治療は

IV.血管炎・紫斑

1.リベド血管症にワルファリンは有効か

V.膠原病および類縁疾患

1.強皮症の皮膚潰瘍にエンドセリン受容体拮抗薬は有用か?

2.強皮症の皮膚潰瘍にプロスタグランジン製剤は有用か

VI.物理化学的皮膚障害・光線過敏症

1.皮膚潰瘍に陰圧閉鎖療法はどこまで有用か?

2.皮膚潰瘍に消毒は禁物か?

3.下肢潰瘍に足浴とシャワー洗浄どちらがよいか?

4.うっ滞性潰瘍に圧迫療法は有用か?

5.褥瘡管理に栄養補給はどこまで有用か?

6.褥瘡にラップ療法は有効か?

7.痛みにやさしいドレッシング材はあるのか

VII.水疱症・膿疱症

1.天疱瘡に大量免疫グロブリン静注療法(IVIG)はどこまで有用か?

2.水疱性類天疱瘡にステロイド外用は有効か?

3.表皮水疱症に再生医療はどこまで有効か?

4.掌蹠膿疱症にエキシマライトは有効か?

5.掌蹠膿疱症にVD3は有効か?

6.好酸球性膿疱性毛包炎にインドメタシンはどこまで有用か?

7.膿疱性乾癬にGMA/GCAP療法は有用か

VIII.角化症

1.尋常性乾癬に生物製剤はどこまで有用か?

2.尋常性乾癬にエキシマライト療法は有効か?

3.尋常性乾癬にメトトレキサートは有用か?

4.VD3とステロイドの合剤は乾癬にどこまで有用か?

5.メタボ治療で乾癬は改善するか

IX.色素異常症

1.肝斑にレーザーは有用か?

2.白斑にエキシマライトは有用か?

3.白斑のカモフラージュメイクはどこまでQOLを改善させるか?

4.白斑にVD3は有用か

X.代謝異常症

1.こどものクル病予防にどの程度の日光浴が必要か

XI.付属器疾患

1.痤瘡にアダパレンと抗菌薬併用療法はどこまで有用か?

2.痤瘡にBPOはどこまで有用か?

3.ケミカルピーリングは痤瘡に有効か?

4.ステロイド痤瘡にマラセチア治療薬は有効か?

5.酒皶にテトラサイクリン系内服薬は有効か?

6.掌蹠多汗症に塩化アルミニウム外用は有効か?

7.掌蹠多汗症にイオントフォレーシスは有用か?

8.掌蹠多汗症にボツリヌス毒素療法は有用か?

9.円形脱毛症にステロイドパルス療法は有用か?

10.円形脱毛症に局所免疫療法は有効か?

11.男性型脱毛症にフィナステリドはどこまで有効か

XII.母斑

1.皮膚乳児血管腫に対するパルス色素LASER治療は推奨されるか?

2.脂腺母斑は切除すべきか?

3.巨大先天性色素性母斑は予防切除すべきか?

4.扁平母斑にレーザーは有用か

XIII.悪性腫瘍

1.掌蹠の色素性病変診断にダーモスコピーはどこまで有用か?

2.メラノーマの原発巣を部分生検してもよいか?

3.BRAF阻害薬,抗PD−1抗体はメラノーマに有効か?

4.日光角化症におけるイミキモドフィールド治療は有用か?

5.サンスクリーン剤は光発癌予防に有効か?

6.血管肉腫に化学療法は有効か?

7.乳房外Paget病に化学療法は有効か

XIV.感染症

1.再発性性器ヘルペスの予防投与は有用か?

2.帯状疱疹ワクチンは有効か?

3.帯状疱疹治療;内服と点滴の治療選択基準は?

4.帯状疱疹関連痛の根拠に基づくベスト治療は?

5.イベルメクチンは疥癬にどこまで有用か?

6.尋常性疣贅にイミキモドは有効か?

7.足底疣贅にビタミンD3は有効か?

8.アクアチムⓇで耐性菌がでにくいのはなぜか?

9.伝染性膿痂疹;内服と外用の治療選択基準は?

10.市中感染型MRSA感染症に対するベスト治療は?

11.爪白癬に抗真菌薬外用は有効か?

12.糸状菌検出試験紙は有用か?

13.マダニ刺咬症の際にライム病予防のために抗菌薬を投与すべきか

XV.治療全般

1.外用薬の混合は有用か?

2.皮膚疾患にエビデンスのある漢方薬は?

3.光線力学療法(PDT)はどこまで有用か?

4.ステロイドによる骨粗鬆症の予防治療はどこまで有効か?

5.コールタール療法はなぜ有効か?


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書籍情報

  • ISBN:9784498063563
  • ページ数:370頁
  • 書籍発行日:2015年2月
  • 電子版発売日:2015年8月28日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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