知っておきたい 子宮頚がん診療ハンドブック

  • ページ数 : 128頁
  • 書籍発行日 : 2012年4月
  • 電子版発売日 : 2013年1月1日
¥4,620(税込)
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商品情報

内容

現在の、子宮頸癌における病態、検診やワクチンによる予防の重要性、診断と治療などの学問的成果を踏まえ、子宮頸癌および前駆病変の臨床にまつわるポイントを解説した書。本文を補うコラムやエッセイも多数掲載し、読み応えのある一冊です。

序文

古くより,子宮頸がんの死亡数を減少させるための努力は,主として頸がん患者個々に対する治療法の改善,つまり,手術術式や放射線療法の改善,工夫に注がれてきたが,20 世紀後半になって,細胞診による検診,とくに行政による対策型の検診が導入されて,地域の頸がん死亡率の低下が明確に示されるようになった.さらに,今世紀に入って,HPV ワクチンが開発され,これによって頸がんの発生そのものを予防する一次予防が可能となった.

今や頸がんは,ワクチンによる一次予防と検診による二次予防の組合せによって,ほぼ完全に予防することができる新しい時代に入ったのである.現時点でこのような適確な予 防法をもつがんは他にはない.われわれは今,頸がんの有効な予防手段を手にし,これをいかに展開していくかというエキサイティングなターニングポイントに立っているわけであるが,この展開のためには,これに関わる方々に,この予防法に関する正確な理解をもって頂くことが前提となる.しかしながら,現在わが国には,このような点の理解を深めるための適当な参考書となるべきものが未だない.

この度,今野 良教授を中心とする自治医大さいたま医療センターのグループによって本書が編集された.「子宮頸がん診療ハンドブック」とされているが,著者の今野教授は新しい頸がん予防法のわが国におけるオピニオンリーダーの一人とされるだけに,この本では検診とワクチンという予防の部分に特に多くのページが割かれている.これから頸がんの予防に関わる方々にとって好個の参考書となろう.産婦人科医はもとより,他科の医師,看護師,養護教諭,自治体保健担当者をはじめとする行政,メディアの方々には目を通して頂きたいと思う本に仕上っていると思う.是非参考にして頂きたい.

本文中には今野教授の先輩とされる婦人科腫瘍学のオーソリティの方々の含蓄に富んだコラムが掲載されている.これも内容はいずれも頸がん予防に焦点が合わされているが,楽しい読みものとなっている.

本書が今後のわが国における頸がん予防法の道しるべとなることを期待している.


2012年3月

近畿大学名誉学長
野田 起一郎

目次

Chapter 1 HPV感染と子宮頸癌

1.HPVと子宮頸癌

2.HPV感染の自然史と発癌過程

3.HPVの生物学

コラム ある論文との出会い

Chapter 2 子宮頸癌と子宮頸部前駆病変─概念と用語の発展・変遷─

1.子宮頸部異形成と上皮内癌

2.Cervical intraepithelial neoplasia(CIN)

3.Low-grade CIN

4.High-grade CIN

5.Adenocarcinoma in situ(AIS)

6.微小浸潤癌

コラム 子宮頸部腺癌とHPV

Chapter 3 子宮頸がん検診

1.子宮頸がん検診と受診率

a)日本の子宮頸がん検診の歴史

b)検診受診率─海外との比較

c)検診受診率向上の課題

2.子宮頸がん検診の精度

a)細胞診

b)子宮頸がん検診へのHPVテストの導入

3.将来的な具体的検診プログラムの提案

コラム 子宮頸がん検診事始め

検診開始の時代背景

検診の思い出

Chapter 4 細胞診

コラム 細胞採取─その単純な医療行為─

Chapter 5 HPV検査

1.HPV検査とは

a)HPV DNAキアゲンHCⅡの特徴

b)アンプリコアHPVの特徴

c)HPVジェノタイピング(クリニチップHPV)の特徴

2.HPV検査の臨床応用

a)細胞診ASC-USに対するHPVテストによるトリアージ

b)一次検診における細胞診とHPVテスト併用

c)一次検診におけるHPVテスト単独使用,その後に細胞診でトリアージ

d)CIN 3治療(円錐切除)後のHPV DNA検査

3.HPV検査による社会的心理反応

コラム 細胞診・HPV検査併用検診

コラム 最新版 米国における子宮頸がん検診の勧告

Chapter 6 コルポスコピー,生検

1.適応

2.必要な器具

3.手順

a)腟鏡の固定

b)子宮腟部の観察

c)酢酸処理

d)コルポスコープの操作

e)狙い生検

f)止血操作

4.コルポスコープによるsquamo-columnar junction(SCJ)と扁平上皮化生の観察

5.コルポスコピー所見分類

6.コルポスコピーにおける異常所見

7.コルポスコピー所見記載の方法

コラム イギリスの子宮頸がん撲滅への取り組み

Chapter 7 CINおよびAISの管理

1.CIN 1の管理

a)CIN 1に先行する細胞診がASC-US,ASC-H,LSILだった場合

b)CIN 1に先行する細胞診がHSILまたはAGCだった場合

c)20歳以下のCIN 1

2.CIN 2の管理

3.CIN 3の管理

4.妊婦のCINの管理

5.AISの管理

6.CIN治療後の管理

コラム 【重要ポイント】ベセスダシステムに基づく子宮頸がん検診のながれ

子宮頸がん検診のながれ

細胞診,組織診の結果とその後の方針

Chapter 8 CINの治療

1.CIN治療の方法

2.治療の適応

a)Ablative technique(凍結療法,CO2レーザー蒸散)の適応

b)Excisional technique(LEEP,コールドナイフによる円錐切除)の適応

3.凍結療法の実際

4.LEEPの実際

5.コールドナイフによる子宮頸部円錐切除術の実際

コラム CIN患者と不妊治療─HPV感染予防

コラム 要注意! CIN治療で頸部を取りすぎてはいけない ─CIN治療が周産期合併症に及ぼす影響─

Chapter 9 子宮頸癌の診断

1.病理診断

a)細胞診

b)組織診

c)円錐切除術による病理診断

d)組織型について

2.進行期診断

a)Ia期子宮頸癌の診断

b)Ib期以上の子宮頸癌の診断

3.補助診断

コラム 妊婦の子宮頸がん検診

Chapter 10 子宮頸がんの治療

1.扁平上皮癌の治療

a)旧分類上皮内癌──CIN 3の治療

b)Ia期の治療

c)Ib1,IIa1期の治療(4cm以内)

d)Ib2期およびIIa2期(4cmを超える),局所的進行癌(IIb~IVa期)の治療

2.腺癌の治療

a)上皮内腺癌の治療

b)Ia期の治療

c)浸潤腺癌の治療

3.治療法について

a)手術療法

b)根治的放射線療法

c)化学放射線同時併用療法

d)術後補助療法について

e)術前化学療法(NAC)後の広汎子宮全摘術および術後化学療法

f)IVb期,再発癌の治療

g)神経内分泌腫瘍の治療

4.妊娠中の子宮頸癌の治療

a)上皮内癌

b)浸潤癌における妊孕性温存術式

コラム 患者を地域で支える体験者の力

Chapter 11 HPVワクチン(子宮頸癌予防ワクチン)

1.HPVワクチン

2.2価HPVワクチンと4価HPVワクチン

コラム 思春期女子へのHPVワクチン接種率を高める方法

3.HPVワクチンの最も推奨される接種対象 11~14歳

4.15歳以上の女子および女性に対する接種

5.HPVワクチン接種の実際

コラム HPVワクチンはなぜ,筋肉内接種なのか?

激痛が失神を引き起こすのか?

6.HPVワクチン接種の副反応

7.HPVワクチン接種後の子宮頸がん検診

8.2種類のHPVワクチン,どちらを選ぶか?

コラム 思春期以降の女性・成人女性へのHPVワクチン接種について

コラム コッホの4原則


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書籍情報

  • ISBN:9784498060623
  • ページ数:128頁
  • 書籍発行日:2012年4月
  • 電子版発売日:2013年1月1日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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