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なぜ臨床医なのに研究するのか?

佐藤 雅昭 (著)

株式会社 中外医学社

210 頁  (2017年4月)

Android 対応製品 iOS/iPhoneOS対応製品

eBook Price(ダウンロード販売): ¥2,808 (税込) 

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リリース日: 2018年06月08日

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研究指導・論文作成術のカリスマとしても著明な外科医がおくる、あなたへの熱いメッセージ!

われわれがやらなくて誰がやる!?臨床医だからこそ開拓できる研究分野・領域、臨床医にこそ可能な「患者さんのためになる研究」がある!臨床を目指す学生さんにオススメです♪

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臨床を目指す学生さんの多くは,研究なんて自分とは無関係,と思っているかもしれません.しかし決してそのようなことはありません.臨床医だからこそ開拓できる研究分野・領域,臨床医にこそ可能な「患者さんのためになる研究」があるのです.研究指導,論文作成術のカリスマとしても著明な外科医がおくる,あなたへの熱いメッセージ!


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これまで私は何冊か教科書的な本を書いてきましたが、中外医学社の五月女謙一さんから、なにかエッセイ風のものを―というお話をいただいて、私の医師・研究者としての考えを自分自身のエピソードにのせてまとめたのが本書です。基本的にはエッセイなので、気楽に読んでいただきたい、とくに若い人たちが興味を抱いてくれれば、と思って筆を執りました。というのも、若い頃のインプットは、その後の人生にとても重要だと思うからです。

京都大学の医学部生だったころ、私は臨床実習にしても講義にしても、決して言われたことを素直に受け入れてそのままやるという意味での「まじめ」な学生ではありませんでした。今はだいぶ時代が変わったかもしれませんが、当時の京都大学の伝統(と自分たちが思っていたもの)は、やる価値があると自分で思えることはやる、そうでないことはやらない、そして損得ではなく「面白い」というのが最高の価値であったように思います。もちろん社会人になればそんな甘いことばかりは言っていられないかもしれませんが、そういう価値観は今も、医師として研究者として、頑張ってやっていこうと思う上での拠り所になっています。

そんな学生時代、臨床実習の中で、研究に関して強く印象に残っていて、その後の人生に大きく影響した教授のお言葉が二つあります。一つは当時、血液内科の教授だった内山卓(たかし)先生のお言葉で「MD(医師)がやらなければならない研究というのがある」というものでした。つまり医師ではないPh.Dの人たちの発想では進まない研究分野があるということです。もちろん臨床医には臨床医の、基礎研究者には基礎研究者の持ち味があるわけで、その良さを生かしてこそ良い研究ができるといえますし、違った持ち味の人たちが協力しないと成し得ないことがたくさんあるわけですが、自分はこれから臨床医になる以上、研究をするなら臨床医として研究しなければならないのだな、とそのとき心に刻みました。ちなみにこの言葉を聞いたのは、内山教授自らがミニレクチャーをしてくださるというのに、4人グループのうち私も含めた3人が遅刻して来てひどく怒られた後でした。本当に舐めた学生だったと思いますし、申し訳ないと思います。が、そうして学生時代好きにやっていた友人たちが医者になって各方面で活躍するのをみていると、それくらいのほうが医者になってからの余力があって良いのではないか、という気もします。

もう一つの印象に残っているお言葉は、呼吸器内科(当時は京大病院に併合される前の京都大学医学部附属胸部疾患研究所という別の病院の第二内科)の教授だった泉孝英先生の「研究は目の付け所だ。目の付け所が良ければすぐに世界のトップにたてる。世界なんて、あっけないほど、そんなものだ」というお言葉。泉先生は特にサルコイドーシスの研究で有名な先生ですが、なぜサルコイドーシスかというと、あまり人がやっていなかったからだ、とおっしゃっていました。人があまりやっていないけれど、重要なテーマを見つけることが大切なのだ、と思ったわけです

本書で紹介しているように、こうした若い頃のインプットが様々な形でその後の私の生き方に反映されています。そういう言葉、哲学に出会えることは幸せであり、自分もまた、僭越ながら指導者として、そうしたものを後輩たちに伝えていくことができればと思っています。今私は、東京大学医学部の胸部外科の学生実習で「リサーチ」を担当していて、このテーマでローテーションしてくる各グループの学生さんに1時間ほどお話しする機会があるのですが、そこでは実際に行っている研究の難しい話ではなく、医者として何に注目してどう生きていくか、その中で研究がどういう役割を果たすのか、といったことをお話ししています。それが若い学生さんの心にどのように響いているのかわかりませんが、もし何年か、何十年か経って、あのとき胸部外科の実習で佐藤とかいう人が言っていたことはこういうことだったんだな〜とでも思ってくれれば、―あるいは思い出さないまでも潜在意識のどこかで私の話したことが生かされれば、それは教育者冥利に尽きると思います。本書の内容は、そうした学生さん向けの話を、部分的にはもう少し詳しく拡充したものになっています。ですので、本書をたまたま手に取った読者の方は、その興味に応じて、詳しく知る必要のない部分は気楽かつ適当に読み飛ばしていただければいいかなと思います。そして本書の読者の中にも、何か感じていただける人が一人でもいれば嬉しい限りです。まぁ、研究なんて、本当にしんどいことの連続ですが、それでも、なぜ臨床医なのに研究するのか、その答えを見つけていただければと思います。


2017年3月 まだまだ肌寒い東京大学本郷キャンパスにて

―春はきっとすぐそこだと信じて―
佐藤 雅昭


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プロローグ 臨床と研究の架け橋

現在の私の医師としての仕事:自己紹介を兼ねて

肺移植とともに歩んだ臨床経験

臨床と研究の関係

第1章 自然から学ぶ──肺移植後肺内リンパ組織新生の発見

研究の入り口─運命の一日:1999年7月5日

次なるチャンス─トロント大学の大学院へ

肺移植後の慢性拒絶を研究テーマに決める

素朴な疑問

観察こそ研究の命

偶然のような必然

得意分野を活かせ

第2章 患者から学ぶ──Restrictive Allograft Syndrome(RAS)の提唱

教科書と違う!

もう一つの現実

研究の意義を考える

名づけの重要性

試されるプレゼン力

なかなか論文が通らない

RASのその後

根本的な問題

再び話はリンパに......

ますます自然から教わる

ラボでの知見を臨床に活かす

トロントCLADチームとのつながり

第3章 経験から学ぶ──Virtual Assisted Lung Mapping(VAL-MAP)の開発

再び日本へ

新たな課題

バーチャル気管支鏡との出会い

バーチャル気管支鏡+GGN病変

経験から学び活かす

硬膜外麻酔の経験から

気管支鏡下肺生検(TBLB)の経験から

ちょっと余談─外科の将来への懸念

必要なムダ

CTガイド下マーキングの経験

最初の三例

偶然か、必然か── 一カ所のマーキングから複数個所のマーキングへ

マッピングとVAL-MAPという呼び名

マーキングではなくマッピングという呼び名

第4章 仲間から学ぶ──VAL-MAPの新展開

多施設共同研究へ

共に学び、共に成長する

またしても予想外──東大でのVAL-MAP第一例目のこと

先行研究MIL-MAP studyの節目

先進医療へ

マッピングモード──企業との協力

AMED資金の獲得とこれから

そして再び世界へ

エピローグ 天の時、地の利、人の和

目の前の一歩に集中しそれを楽しむ

臨床医・研究者としてのミッション

臨床医・研究者としての幸せ

特記事項

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