上部消化管内視鏡スキルアップノート

  • ページ数 : 312頁
  • 書籍発行日 : 2012年10月
  • 電子版発売日 : 2013年1月26日
¥13,200(税込)
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商品情報

内容

あらゆる胃疾患における診断と治療を検討する研究会「TOKYO GASTROLOGY CLINICAL DIAGNOSIS CONFERENCE(TGCDC)」が編んだ上部消化管内視鏡の入門書。過去の研究会で検討された症例のアトラスを中心に、TGCDC流内視鏡の読み方・考え方、病理医からの提言、ミニレクチャーなど、TGCDCが長年にわたる活動によって蓄積した知見をあまさず紹介しています。

序文

ESDが一般臨床で普及しつつあり保険収載も直前に迫った2005年,都内の若手有志を中心に診断をもう一度見直そうという機運が生まれた.そして,その基本理念を“普通”とした.上級者・先進施設における“普通”ではなく,一般病院における中堅・若手の明日の日常診療で即役立つ診断技術とした.幸いに基本理念をエーザイ株式会社の方々にご理解いただき,ご協力いただけることになった.しかし,基本理念が“普通”である以上,一般社会の常識に従うことにした.自分達が勉強するのであるから,エーザイ株式会社に高価なお弁当や懇親会をご負担いただくことはお断りし,今回は会議室のみの提供をお願いすることとした.

研究会をどのように運営していくか.まずは上級医からの一方的な知識の提供ではなく,風通しのよい双方向の議論が成り立ち,お互いに成長できる全員参加型の会であるよう努めた.世の中の常として,発足当初の大きな目的や目標はいつしか会そのものの継続が目的になってしまう.盛者必衰で仕方がないことである.しかし,若手が自らの為に自ら考え自ら行動することで各自が自らの研究会であると実感できる.これは非常に重要なことで,惰性にならず常に新陳代謝が行われるような運営を心がけた.

自らが本心から組織の為に働きたいと思うことが,思えるようにすることが重要なのだと考えている.私の好きな言葉に,“ask not what your country can do for you―ask what you can do for your country”(JFK)がある.countryをそれぞれが属する組織に当てはめていただきたい.藤城先生,小田先生の発案と指導力で研究会から英語論文が2編刊行されたことは,参加者の全員が“自分たちの会のために”と思えたからこそだと思っている.

さらに今回の症例アトラス集の出版である.研究会で持ち寄って議論した大切な症例を書籍として残すことができた.喋ること,見せること,聞かせることは文化をもつ他の動物でも可能かもしれない.しかし経験を記録として残すことは,人間のみに許された英知であり,文明である.壁画を残すことは,経験することなく知識を後世に伝えることを可能にした.また,協力して行うことも人間が人間である証であろう.

多くの研究会で最先端の技術・機器を使用した診断学が議論されていることは承知している.学術集会で議論されているトップクラスの知識は当然日々吸収していかなくてはならない.しかし,“普通”のことを基礎に日々知識を積み上げた先に最先端の知識や技術が生かされるのだと信じている.“まことに小さな国が,開化期を迎えようとしている....”で始まる「坂の上の雲」(司馬遼太郎)の冒頭の一節はまさに本書を手に取った若手の皆様に贈る言葉だと思う.

今回の我々の実績は本当に小さな一歩である.しかし,次世代への大きな励みとなることと信じている.

最後に,研究会に参加者していただいた全ての方々,長く共催いただいたエーザイ株式会社ならびに出版に当たってご尽力いただいた中外医学社の関係者の皆様に感謝を述べたい.


2012年 9月

東京医科大学消化器内科 後藤田 卓志

目次

序説TGCDC のあゆみ

Chapter 1.胃(食道)癌診療~私はこう思う~

1.上部消化管内視鏡での前処置

前処置について

2.上部消化管内視鏡検査法の注意点

上部内視鏡のグリップの方法

上部内視鏡挿入時の注意点

3.ルーチンの上部消化管内視鏡挿入観察法

咽喉頭

食道

食道胃接合部

胃(十二指腸挿入前)

十二指腸

胃(十二指腸観察後)

食道

4.上部消化管内視鏡スクリーニング検査における胃ルーチン撮影法

高位反転法による胃ルーチン撮影

基本的な注意事項

高位反転法の実際

知っておくべき内視鏡の死角

5.上部消化管内視鏡検査は各種内視鏡検査処置の基本

6.食道癌拾い上げから精査まで

拾い上げ診断

ヨード染色の位置づけ

治療前の精密検査

7.食道癌におけるEMR とESD の棲み分け

内視鏡治療の適用範囲とは

EMR とESD の選択

コラムTGCDC の思い出

8.画像強調観察の基本(色素法,光デジタル法を含む)

色素法の種類とインジゴカルミンについて

インジゴカルミン色素内視鏡の前処置と投与法

インジゴカルミン色素内視鏡検査の実際

NBI

9.胃癌リスクを考慮した上部消化管内視鏡スクリーニング

H. pylori感染による胃粘膜の組織学的変化と内視鏡像

H. pylori非感染者と感染者における内視鏡像の違い

胃癌のハイリスク群とは?

10.Helicobacter pylori と胃癌: 内視鏡医の立場から

Helicobacter pyloriとは

Helicobacter pyloriは胃癌の原因か

Helicobacter pylori感染と胃癌のリスク

鳥肌胃炎と胃癌

11.胃炎と胃癌―内視鏡観察から学ぶこと―

H. pylori感染と胃炎

胃炎と胃癌

H. pylori感染と内視鏡観察

12.早期胃癌拾い上げのポイント―この所見に注意!―

観察前および観察時の注意

まずは背景胃粘膜の所見を念頭に!

早期胃癌を疑う所見

生検

13.精査(生検など)が必要な病変の判断方法

胃のスクリーニング観察から病変の拾い上げまで

生検の必要性の判断

14.胃ESD のための範囲診断―ESD後に断端陽性となった例から―

胃ESD 切除例における断端陽性例の検討

ESD で断端陽性となった病変の特徴

ESD で断端陽性と判断された要因

考察

15.胃癌の深達度診断

肉眼型と深達度

肉眼型別の深達度診断ポイント

コラムTGCDC 第1回アンケート調査胃粘膜生検と胃EMR/ESD 2007年11月~12月実施

Chapter 2.内視鏡医への提言~病理の立場から~

1.内視鏡医が病理を学んだら―病理学へのご招待―

なぜ病理を学びたいと思ったか?

いざ,病理の世界へ!

学んだこと

内視鏡に戻って~病理を学んでから変わったこと~

病理への招待~まずは第1 歩を踏み出してみましょう~

2.消化管病理の基礎―組織で見る癌の広がり―

正常胃の組織像

胃癌の組織像

潰瘍瘢痕を有する病変

3.肉眼所見を裏づける組織所見について

胃壁の正常構造

粘膜ヒダの太まりや癒合とは

消化性潰瘍瘢痕と粘膜下層浸潤

陥凹内隆起と粘膜島

粘膜模様が消えるとき

横這・手つなぎ型の癌の範囲がわかりにくいわけ

癌のできた場所と組織型(体部大彎病変は要注意)

癌の範囲を決める食道生検は,取るならガッツリ

4.病理医との対話のススメ―横這型胃癌の診断―

横這型胃癌とは?(病理組織学的特徴)

横這型胃癌の肉眼的・内視鏡的特徴

症例からみる横這型胃癌

横這型胃癌の自然史~浸潤したらどうなるか?

まとめ

コラム前処置薬アンケート結果報告

Chapter 3.内視鏡の読み方,考え方

1.正しい内視鏡用語mini 解説

正しい内視鏡用語とは

2.内視鏡診療に役立つ咽頭部の観察

頭頸部表在癌の拾い上げ診断における画像強調法

下咽頭の構造と解剖について

咽頭領域の内視鏡観察の注意点およびコツ

病変部の詳細な観察のコツ

3.上部消化管内視鏡検査の実際―私のルーチン上部消化管内視鏡検査―

注意すべきポイント

4.Type 4病変を見逃さないために

Type 4(4型進行胃癌)とは

Type 4を見逃さないために

Type 4における生検

Type 4病変の鑑別疾患

5.陥凹型胃病変の鑑別診断

陥凹型胃病変の内視鏡所見

陥凹型胃癌の組織型別の特徴

6.潰瘍病変の良・悪性の見分け方

消化性潰瘍と癌性潰瘍の鑑別

まとめ

7.早期胃癌の内視鏡診断―NBI 併用拡大内視鏡所見を中心に―

NBI の原理

血管パターン

構造パターン

NBI 拡大内視鏡像に対応した立体構築像

NBI 拡大内視鏡像と未分化型癌粘膜内浸潤様式

考察

8.微小胃癌診断のポイント

内視鏡医の心構え

微小胃癌の発生と頻度

微小胃癌の内視鏡所見

生検の問題

9.微小胃癌の内視鏡治療(生検消失癌への対応について)

コラムESD後出血アンケート結果報告

10.胃ESD を考慮した,生検のポイント

採取手技

術前組織診断としての生検

術前範囲診断としての生検

11.胃ESD の適応拡大についての考え方

EMR/ESD 適応に関する基本的な考え方

ESD 適応拡大に必要な条件とは?

ESD 適応拡大に向けた臨床試験

今後の課題

まとめ

12.未分化型適応拡大への挑戦

未分化型早期胃癌に対する内視鏡的切除の妥当性

未分化型適応拡大の問題点

未分化型適応拡大の拾い上げのコツ

13.非典型的な胃癌―粘膜下腫瘍様の形態を呈する胃癌―

14.除菌後の胃癌

H. pyloriと胃癌

H. pylori感染による胃粘膜の変化

H. pylori除菌後の胃癌

コラム抗血栓薬アンケート第2弾結果報告―被験者アンケートからみた国内の現状―

Chapter 4.症例アトラス

第2回セミナーを基に1.良性潰瘍か悪性潰瘍か?

第3回セミナーを基に2.深達度は?

第4回セミナーを基に3.Group Ⅲ! 手術か内視鏡治療か?

第6回セミナーを基に4.下堀れ潰瘍: どこから生検する?

第7回セミナーを基に5.淡い発赤を鑑別する

第7回セミナーを基に6.食道胃接合部のポリープを鑑別する

第8回セミナーを基に7.萎縮境界の厚みのある小潰瘍を見たら?

第8回セミナーを基に8.胃体中部の強い発赤

第9回セミナーを基に9.腸上皮化生内の病変はどこ?

第10回セミナーを基に10.わずかな褪色を見逃さない

第11回セミナーを基に11.嘔吐の原因は?

第12回セミナーを基に12.特異な形態の深達度は?

第14回セミナーを基に13.前庭部の発赤を鑑別する

第15回セミナーを基に14.ヒダの所見が読めますか?

第15回セミナーを基に15.胃炎様変化を鑑別する

第16回セミナーを基に16.ウォーリーをさがせ

第16回セミナーを基に17.噴門部は要注意!!

特別参加症例18.大きな褪色平坦病変はどこにある?

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書籍情報

  • ISBN:9784498041783
  • ページ数:312頁
  • 書籍発行日:2012年10月
  • 電子版発売日:2013年1月26日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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