内科医のための精神症状の診かた,治しかた

  • ページ数 : 211頁
  • 書籍発行日 : 2014年3月
  • 電子版発売日 : 2014年8月1日
¥3,520(税込)
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商品情報

内容

めまいを主訴として耳鼻科を受診するうつ病患者、血液透析に伴う抑うつ状態の患者、さらには認知症の高齢者など、精神科を専門としない臨床医が、精神症状・精神疾患に対処しなければならないケースは増加の一途をたどっている。

日々臨床に取り組むベテラン精神科医と新進気鋭の内科医がタッグを組み、毎日の診療において必要になる精神症状に関する知識と、求められるノウハウをわかりやすくまとめた。すべての臨床家必携の一冊!

序文

最近,うつ病患者が身体症状を訴えて,内科,整形外科,耳鼻科などのクリニックを受診することが多くなってきたと聞く.うつ病は,憂うつな気分となり,おっくうになる病気ではあるが,憂うつな気分が身体の不全感,違和感,痛みとして現れることもまれではない.このようなケースでは,うつ病であっても体の病気と信じて内科などの一般臨床科を受診してくる.近年,抗うつ薬の開発が進み,副作用の少ないSSRI,SNRIと呼ばれる抗うつ薬が次々と登場して,内科医でも処方が可能となっている.最近発売されたジェイゾロフト,レキサプロ,サインバルタ,リフレックスは,作用の異なった抗うつ薬であり,治療を始めようとした時に,抗うつ薬の使い分けが難しい.また,内科には不眠を訴えて受診する患者も多い.睡眠薬は,処方の仕方によっては,午前中眠気が残ったり,寝る前に行っていたことを忘れてしまったりするので,処方が難しい.睡眠に対する作用は弱いものの依存性が少ない新しいタイプのロゼレムという睡眠薬が発売され,不眠症に対する治療の幅がさらに広がってきたが,この薬に適応する患者であるかどうかの判断が必要になる.

近年の日本は高齢化社会となり,高齢者医療における精神症状の問題が様々な場面で起こってきている.介護保険制度では,介護保険の主治医の診断書には,認知症や,これに伴うせん妄についても記載しなければいけないし,かかりつけ医となるとこれらの治療も大切となる.アルツハイマー型認知症の薬物療法は,従来,アリセプト中心になされてきたが,最近,レミニール,メマリーといった作用機序の違った薬剤が発売され,薬剤の使い分けが大切になってきている.

日常臨床では,患者は様々な主訴をもって病院の外来やクリニックを訪れてくる.訴えによっては,直ちに診断を下して治療にあたらないと生命にかかわるケースもある.他方,同じ訴えをしていても,まずいくつかの検査を何回か繰り返して,内科的治療を進めていくのか,それとも外科的治療が必要なのかを判断してから治療を進めていく疾患もある.また,これらの身体疾患とは別に,訴えは同じでも,これがストレスやうつ病によって起こっている場合も少なくない.

最近では,精神科病床をもつ総合病院が減少し,常勤の精神科医がいない病院や,精神科の外来診療も行っていない病院も数多いと聞く.これらの病院では,うつ病などの精神疾患を患っている患者や,せん妄のある高齢者が入院してきた場合には,内科医も治療にあたらなくてはいけない.また,入院中に起こるせん妄やうつ状態への対処も必要になる.精神症状の治療にあたっては,精神科治療薬には,内科薬との併用時や血液透析時における注意が必要なものも多い.

本書では,日々臨床に励んでいる内科医と精神科医が執筆を担当し,内科などの臨床場面で必要とされる精神症状と薬物療法の知識を整理し,診断と治療の手順を具体的にわかりやすく解説した.第1章では,患者が訴えてくる主訴や救急で搬送されてきた時の状態像から,日常診療でよく出会う17の症状を取り上げ,それぞれの症状について,どのような病気を考え,どのような検査をし,どのように診断していったらよいのかの手順について解説した.第2章では,診断された精神疾患の治療手順について,第3章では,精神症状が現れやすい身体疾患の治療について,具体的に症例をあげて解説した.第4章では,内科医がよく用いる抗うつ薬,抗不安薬,睡眠薬,認知症治療薬,抗精神病薬とそれぞれの新薬について,処方の仕方と副作用について述べた.

本書が,クリニックや総合病院などで苦労しながら精神症状の治療にあたっておられる内科,整形外科,耳鼻科,産婦人科,精神科などの臨床医や研修医の方々,看護師,医療ソーシャルワーカー,介護福祉士の方々に役立つことを願っている.最後に,この本を執筆するにあたって,お世話いただいた中外医学社企画部の五月女謙一氏に深く感謝の意を表する.


2014年3月

中河原通夫
中河原浩史

目次

第1章 自覚症状の診かたと診断への手順

1 意識障害

2 頭 痛

3 めまい

4 耳鳴り

5 呼吸困難

6 胸 痛

7 動 悸

8 喉のつかえ感

9 胃部不快感

10 腹 痛

11 下 痢

12 食思不振

13 体重減少

14 手足のしびれ

15 手足の冷え

16 不 眠

17 全身倦怠感

第2章 内科医がよく出会う精神疾患の治療手順

1 不眠症
Case 夜間にインターネットゲームに夢中になり,不眠症となった・28歳男性

2 パニック障害
Case 動悸と胸苦しさから救急病院に搬送されたパニック障害・34歳女性

3 身体表現性障害
Case 常にのどに食べ物がくっついていると訴える・38歳女性

4 うつ病性障害・うつ病
Case 動悸と腰痛が主症状のうつ病・60歳女性

5 アルツハイマー型認知症
Case 夫の死後に迷子になり,アルツハイマー型認知症と診断された・71歳女性

6 せん妄
Case 大腿部頚部骨折の術後に現れたせん妄・79歳男性

7 強迫性障害
Case 単身赴任後に強迫症状が現れた・44歳男性

第3章 うつ状態を起こしやすい身体疾患の治療手順

1 糖尿病
Case うつ状態を繰り返す糖尿病患者・57歳女性

2 甲状腺機能低下症
Case うつ状態を示した橋本病の患者・40歳女性

3 脳卒中
Case 緑内障がある脳卒中後うつ病・62歳男性

4 更年期障害
Case 家族に症状をなかなか理解してもらえなかった更年期障害の患者・49歳女性

5 過敏性腸症候群
Case 仕事の負担によって起こった過敏性腸症候群・28歳男性

6 血液透析
Case 血液透析により,不安,抑うつ,被害念慮が現れたうつ状態・58歳男性

7 突発性難聴
Case 突発性難聴の後,職場での生活に支障をきたした・33歳男性

8 めまい
Case めまいを主訴として受診したうつ状態患者・58歳女性

第4章 精神科治療薬の投与法と副作用

1 抗うつ薬の使い方と副作用

2 抗不安薬の使い方と副作用

3 睡眠薬の使い方と副作用

4 アルツハイマー型認知症治療薬の使い方と副作用

5 抗精神病薬の使い方と副作用


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書籍情報

  • ISBN:9784498020689
  • ページ数:211頁
  • 書籍発行日:2014年3月
  • 電子版発売日:2014年8月1日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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