臨床画像 2017年6月号 MRI最前線

  • ページ数 : 116頁
  • 電子版発売日 : 2023年10月10日
¥2,750(税込)
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商品情報

内容



序文

序説

MRIの技術が複雑化しているため,何をどう学んだらよいのか悩まれる方も多いと思う。そこで今回の「MRI最前線」特集を担当するにあたり,①現在〜近未来に施行可能で,②特に臨床に重要になると思われる題材を選ばせていただき,解説内容がなるべく平易になるよう,企画した。

以下のご紹介では,(現):すでに一部もしくは多くの市販装置で可能であるもの,(1):1年以内に少なくとも一部の市販装置で可能になるもの,(3):3年以内に可能になると思われるもの,の表記もしたので,読者諸氏の参考になれば幸いである。

① synthetic MR(I 現):6分程度の1回撮像で(MRAと拡散強調像を除く)脳の主要な画像を得る。2つの反転パルス(例:白質抑制)やT2 mapのような定量化マップを示しうることが重要である。このほかミエリンの定量化も考案されている。ルーチン検査を短縮して残った時間をテンソル画像のように時間のかかる撮影法に振り分けられるという意義もある。筆頭著者の萩原彰文先生は,順天堂大学の気鋭の若手研究者であり,本撮像法の意義を端的にまとめていただいた。

② MR fingerprinting(3):1回の撮影のなかで撮像条件を変化させて撮影し,すでに用意してある辞書と比較する(pattern matching)ことで,そのピクセルのT1,T2,PDを推定する。推定できればこれを元にどんな画像も得られる。撮像時間を短く(〜1分)できることが特徴の1つで,拡散強調像やMRAを得ることも報告されつつある。現時点では臨床画質を得ていないが,大量の研究発表が続いており,3年程度で臨床の場に普及する可能性が高い。著者の寺田康彦先生(筑波大学)は,難解なこの技術についてわかりやすく解説いただいた。

③ glymphaticシステム(現):神田知紀先生により見出されたGd造影剤(リニア型)の脳内沈着と,長縄慎二先生が研究していた内耳リンパ水腫に関連する超遅延造影,また最近提唱された,脳の老廃物を排出する経路としての血管周囲リンパ排液路(用語注意,本文参照)および睡眠との関連,の3つが合わさってきわめて興味深い研究分野を産んでいる。筆頭著者の田岡俊昭先生は著名な神経放射線研究者で,彼の独特な語り口で物語風に解説が進み,楽しく読める。

④ PDFF(proton density fat fraction:脂肪定量)(現):数脂肪の割合を%表示できる撮影法の総称で,各ベンダー(MRI販売会社)いずれも対応ができた。短時間(十数秒)で撮影ができ,汎用性が高い。筆者自身もダイエットによる脂肪肝改善効果で興味深い結果を得た。筆頭著者の舟山 慧(さとし)先生は,山梨大学のMRI大好き人間の1人のようで,期待する逸材である。

⑤ 圧縮センシング(1):数年前からISMRMで報告されてきた技術だが,ここへ来て急速に臨床応用可能になってきている。取得すべきデータの「疎」な部分をうまく端折って撮影することで時間を短縮するが,SENSE(sensitivity encoding)などのparallel imagingとの併用(相乗的高速化)が可能である。空間における適用と,時間における適用が考えられている。筆頭著者の増井孝之先生(聖隷浜松病院)は長らくMRI研究者として精力的な仕事を続けられている著名人である。

⑥ 心臓のT1 mapping(1):例えば遅延造影では,「染まらないところ」を正常と考え,染まるところを見出すものであるが,すべてが染まってしまうような場合には正常か異常かの診断は難しくなる。絶対値表示のT1 mappingは,こういった領域に対し革新的効果を発揮する。著者の片平和博先生(熊本中央病院)は,診断と最新技術を組み合わせる現在の最高の匠であり,彼の工夫も含め,循環器に関連のない人もぜひご堪能いただければと思う。

⑦ 骨転移の画像診断(現):全身DWIによる骨転移の診断は,最近の世界でのガイドラインなどに掲載されるようになり,ここ1年でMET–RADS–Pの提唱など急速な標準化が進んでいる。筆頭著者の吉田宗一郎先生(東京医科歯科大学)は数々の受賞経験をもつ最も注目される泌尿器科医の1人で,なぜ全身DWIが必要なのかについてエビデンスと経験をベースにした解説をいただいた。

⑧乳 房短縮MR(I 現):乳癌のスクリーニング方法として提唱されているabbreviated MRIについて,一早く実践した亀田京橋クリニックの町田洋一先生らに概説いただいた。非造影の短縮MRIに関する提言もしていただき感謝している。


東海大学工学部 医用生体工学科 高原太郎

目次

特集:MRI最前線  企画:栗原泰之,編集:高原太郎

序説/高原太郎

SyMRIの理論と脳への臨床応用/萩原彰文ほか

MR fingerprinting(MRF)/寺田康彦

ガドリニウム造影剤と脳脊髄液-glymphaticシステムとは何か?-/田岡俊昭ほか

proton density fat fractionによる肝脂肪定量/舟山 慧ほか

圧縮センシング-臨床MR検査への応用-/増井孝之ほか

心臓のT1 mappingの臨床的有用性について/片平和博

骨転移の画像診断-DWIBS法を用いた全身拡散強調像-/吉田宗一郎ほか

乳房短縮MRI/町田洋一ほか

Current Topics

遠隔医療・遠隔画像診断-遠隔画像診断サービス事業者の立場から-/煎本正博

連載

・特集アドバンストコース[2017年2月号特集]  

小児の画像診断:画像診断医が知るべき厳選重要疾患/松原佳子

・私が診断に迷った症例[最終回]  

症状のない婦人科ルーチンMRIで迷った症例/高濱潤子

・私を変えたこの論文[24]/山田 惠

・今月のKey findings[15] 

腹部・骨盤部領域③/中島功雄ほか

症例報告

めまいで発症した右海馬一過性虚血の1例/土屋寿司郎ほか

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書籍情報

  • ISBN:9784008003706
  • ページ数:116頁
  • 書籍発行日:Invalid date
  • 電子版発売日:2023年10月10日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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